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22 試験結果

 第三試験場の廃墟から元のポラリスの会場へ戻って来ると、受験生は半数ほどに減っていた。軽傷者はこの場で応急手当を受けて、重傷者は別の場所に運ばれたようだ。


 スバルは魔法のポーチから活力剤を取り出し一気に呷った。程なくして身体にへばりついていた疲労感が少しだけ和らぎ、手足の強ばりも解れてきた。


「受験生諸君! これで全ての試験は終了だ。結果は後日、発表される。各々ゆっくりと身体を休めてくれ」


 試験官が試験終了を宣言すると受験生は解散してその場を去っていった。


「うぉ~い、スバルぅ、コーネリアぁ」


 上空から降りてきたルイがコーネリアの頭の上に着地した。


「うわっ、わわ、よ、妖精……? もしかして妖精さん? は、初めまして、ボクはユーリって言うの! わぁ、可愛い」


 ルイの姿を見たユーリが興奮しながら自己紹介をしながら手を差し出した。それに応えるようにルイも手を伸ばして軽く握手を交わした。


「お? なんだなんだ。可愛いって? いやぁ照れちゃうねぇ。あたいは妖精族のルイだよ」

「えへへ、ちっちゃ可愛い」

「当たり前の事言うなよ、にゃはは……およ? スバル、お疲れだね。魔力が極端に減ってるじゃん」


 ルイが、コーネリアの頭からスバルの頭に乗り換える。


「うん、最後の試験で全力を出し切っちゃったからね」

「ちょい待ってな」


 ルイが羽根を小刻みに震わせると光の粒子が舞い落ちてスバルに降り掛かる。

 光の粒子がスバルの身体に染み込むと、それまでの疲労感が嘘のように消えた。


「お? おぉ? 何だか日向ぼっこしたみたいに気持ち良いな。ありがと、ルイ」

「ふぅ……あたいの魔力をちょっとだけ分けたんだよ。ずいぶんと無茶したねぇ」


◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️


「カレー四人前と鳥の半身焼き三つ、ミートパイ二枚ね」

「私はグラタンとパンのセット、一人前で」

「あたいは……フルーツ盛り!」


 ユーリとは試験会場で別れ、三人は宿の食堂で夕食を取った。

 コーネリアの山盛りの注文にも慣れたのか店員は淡々と注文を厨房へと伝えた。


「へぇ……ゴーレムの暴走か、そりゃとんでもないめにあったね」

「まったくだよ。本当の試験内容は二つグループ、合計六人でゴーレムをどうにかしろって話でさ、ゴーレムの性能は受験生に合わせて弱体化させてある筈なのに、ウチらだけ暴走状態のゴーレムに襲われたんよ。相手グループは初手で動けなくなるし、足場崩して狭いところに落ちるし、死人が出なかったのが不思議な話だよ」


 コーネリアは試験での不満を口にしながら、鶏の半身を解体して頬張っている。


「ゴーレムはどうにかなったけど、あの試験はどうなるかな?」


 スバルはデザートの焼き林檎を一口食べながら試験結果を心配した。第一試験は問題無くても第二試験の結果はあまり良くない。


 そして問題の第三試験。他の受験生と条件が違い過ぎて試験の評価自体されない恐れがある。


 もしも試験に落ちるようなら抗議の一つでもしなければならないかと考えているとフーマが食堂にやって来た。


「お前達、ここにいたか。探したぞ」

「え~と、フーマさんだっけ? もう出歩いても大丈夫なんだね」

「ああ、元々大した怪我じゃないからな。お前達には迷惑をかけた、すまなかったな。今回の第三試験についてなんだが、一つ伝える事があってここに来た」


 コーネリアとスバルは食事の手を止めてフーマの話に耳を傾けた。


◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️


 時は少し遡り、受験生達が会場を去ってすぐにゴーレムが暴走した問題の廃墟へ、調査班が送り込まれた。


 地下で破壊されたゴーレムの破片は調査の為、地上に運び出されこれを派遣された調査員達が分析にあたった。


「やはり肝心のコアが事前に用意された低級の物でなく実戦用の高出力の物にすり替えられています。ゴーレムを配置したのは前日ですから犯人を特定するのは難しいですね」

「う~む、単なるイタズラなどというレベルじゃないな。コアもそうだがゴーレムに掛けられた魔法処理も変更されている。かなり殺意の高い犯行だ……問題は」

「無作為にやったのか、特定の誰かを狙ったのか……ですか?」

「ああ、今回の犯人の目的次第ではこちらの対応も変わってくる」


 回収されたコア、ゴーレムに使われた魔法処理の記録、あらゆる証拠品を集めて議論する調査員達。


「それにしてもゴーレムを破壊したのが星騎士志望の受験生というのは本当なんですかね? この断面を見る限り、武具による破壊じゃ無いですよ。魔法処理で防御力を高めたゴーレムの身体は並みの岩石とは比べ物にならないのに……」


 調査員の一人がゴーレムの一部に残る断面を指でなぞり、その滑らかさに首を傾げる。


 高い耐久力を持つゴーレムをここまで見事に切る事の出来る魔法使い。そんな存在がいるのだろうかと疑問を持ったようだ。


「もしかしたら、その受験生に仰々しい箔をつける為……てのは、考え過ぎですかね」

「それは無いだろ。下の状態を見ただろ、ゴーレムが暴れてメチャクチャだ。死人が出なかったのが本当に奇跡だよ。とても箔付けの為に狙って作った状況とは思えん」

「ですね。でも巻き込まれた受験生達は、ほんと気の毒ですよね、運良く生き残ったとしてもこの試験は無効でしょう。どうなるんですかね」

「さぁな、それは俺達にはどうも出来んよ。ほれ、無駄話はその辺にして手を動かせ」


 上司に促されて調査員が仕事に戻った。

 その上司はどうにも出来ないとは言いつつも、試験を管理している上層部が被害を最小限に抑えた当の受験生達を簡単に放り出すような真似はしないだろうと確信していた。


「このゴーレムを倒せるほどの実力者なら、あの御方の従者を任せられそうだしな」


 ポツリと呟いた。

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