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14 ステラ教国に向けて

 セントナードにやって来てから数日が過ぎ、連日地下訓練場で『鏡の法』を使った訓練に明け暮れていたスバル達は今日も汗を流していた。


「デェリャアアァ!」


 スバルの渾身の一撃を食らい、頭部を破壊されたスバルゴーレムが消滅した。


「やったね、スバル! これで三連勝じゃん」

「ありがと、コーネリア」

「スバルもコーネリアもだいぶ上達したな。実力が上がればそれに比例して難易度が上がるが、とりあえずここらで区切るとしようか」

「区切る?」

「あぁ、ここでの訓練も一区切りして目的地のステラ教国を目指していいんじゃないか」


 『鏡の法』による訓練で二人の技量は上がった。ここでさらに修練を積み、実力を付けるのも一つの選択だがスバルには目的がある。


「そうですね。コーネリア、そろそろステラ教国へ行こう」

「だね。そうと決まれば準備しなくちゃ……馬車の予約に空きがあるかな」


 長距離移動に向けて準備しようとする二人をクレスが呼び止めた。


「おっと、その前に。短期間とはいえここで訓練をしたんだ。その成果を試してみないか」

「試すって?」


 クレスは『鏡の法』で自身のゴーレムを作り出し。


「現役の星騎士と戦ってみろ、二人がかりでな。魔法、スキルの制限無しでな」


 クレスの提案にコーネリアがキラキラした目でスバルを見ている。スバルも同意して、二人がクレスゴーレムの前で身構える。


「制限時間は五分。相手はゴーレムとはいえ、格上だ。全力でいけ!」

「ふうぅ……『獣性解放』!」

「メロディエンスの名の下に。地精よ、我が身に力を 『剛力強化(パワード)』」


 コーネリアが強化スキル『獣性解放』で身体を活性化させて、全身の筋肉が膨張する。髪の色が白く染まり、唸りを上げる口の端から鋭い牙が覗く。


 スバルは地系の強化魔法で筋力と防御力を上げた。コーネリアとの連携を考えて速度よりも耐久力を選んだ。


「ガルルゥ!」


 コーネリアが唸り声を上げると同時に突進し、攻撃を防いだクレスゴーレムの剣が大きく弾かれた。爪の直撃は剣で防いだが勢いに負けてよろけたようだ。


「てぇりゃ!」


 上体を崩したクレスゴーレムの隙を狙って突き出されたスバルの剣は空を切り、背後から追撃してきたコーネリアの手刀はクレスゴーレムの剣で受け流され、バランスを崩して地面に倒れたコーネリアをクレスゴーレムが押さえ込み、剣を振り上げた。


 コーネリアを狙うクレスゴーレムの剣をスバルが防ぐ。ギリギリと音を立ててせめぎ合う中、コーネリアは身体を捻り、押さえ込みから脱出した。


 すぐさまクレスゴーレムの頭に回転蹴りを放つがクレスゴーレムの左腕に阻まれた。


 右手の剣でスバルを押さえ、左手でコーネリアの連続蹴りを弾いている。


「くっ!」


 両手で剣を握り、強化された剛力でクレスゴーレムの剣を押し返すが力の方向を逸らされる。


 スバルの剣が滑るように逸らされたが、その勢いを利用してクレスゴーレムの頭部へ回し蹴りを繰り出す。タイミングを合わせて逆方向からコーネリアも足下へ回し蹴りを放つ。


 両方の回避は不可能と判断したクレスゴーレムが飛び上がり、スバルの蹴りを受けた。

 岩のように硬くなった蹴りを受けてダメージが蓄積していた左腕が破壊された。


 体勢を整えるクレスゴーレムに向かってコーネリアが飛び蹴りを放つがこれを身体を伏せて躱し、続くスバルの剣を防ぐ。


 クレスゴーレムの背後に着地したコーネリアが間髪入れず飛び掛かりクレスゴーレムの後頭部を狙うがこれも躱した。


「コーネリア!」


 スバルが腕を突き上げた。攻撃を躱されたコーネリアはその意図を読み取りスバルの腕を掴み、その場で方向転換をしてクレスゴーレムに再度向かっていく。

 曲芸じみた動きで飛ぶコーネリアを迎撃しようと反応したクレスゴーレムだったが、右手の剣をスバルに押さえ込まれていた。剣を手放し コーネリアの蹴りを防ごうとするが、それより先にクレスゴーレムの頭部が砕かれた。


「ふいぃ~」

「よっしゃあ! やったやったやったったぁ!」


 固い防御で幾度も阻まれたがついにクリーンヒットさせたコーネリアがぴょんぴょん跳び跳ねて喜んだ。


「むうぅ、やるじゃないか」


 少し悔しさを滲ませながらもクレスは二人を褒めた。内心、時間切れになると踏んでいたのだが予想外の結果に驚いていた。


◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️


 翌日、ステラ教国へ向かう巡回馬車を運良く確保出来た二人はクレスに見送られていた。


「すでに推薦状は持っているだろうが、俺も書いておいた。持っていけ」

「ありがとうございます、クレスさん」

「あざぁっす」


 クレスが推薦状と一緒に車内で食べれる乾物を差し入れしてくれた。


「ありがとね、クレスさん。ウチ、大切に食べるね」

「ったく、調子いい奴だぜ。お前達なら心配はないと思うが、慢心せず訓練に励め」

「はい!」


 巡回馬車が出発し、二人は徐々に小さくなっていくクレスに手を振り続けた。

 セントナードの城門をくぐった馬車は街道を進んでいく。


「スバルも食べる?」

「早いよ。もう開けたの?」


 コーネリアがクレスから貰った差し入れを食べながらスバルにも勧めてきた。こうなるだろうとは思っていたが、苦笑しながらスバルも干し芋を噛った。


 ここからステラ教国の中央部まで、馬車でも数日はかかる。ステラ教国の何処かにいる勇者をどうやって見付けようかと考えながら、ぼんやりと外を眺めた。

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