だった。
×× ×× ×× ××
「やー。どの曲も、エモいよなぁ」
『でしょ?』
「ほんま、どっから見つけてくるんよ。
こんなインディーズばっかり」
『自力で辿り着いた時、結構嬉しいのよね』
「いっつもキラキラの目で、教えて……くれるもんなぁ」
『最近、ドライアイだけどね』
「次、何聴こ」
『次は、あなたが好きな曲かけてよ』
「お、これええやん。懐かしなぁ」
『もう。結局じゃないの。私の好きな曲』
×× ×× ×× ××
「あー」
『何をそんなに悩んでるの?頭を抱えて』
「今回も、より美味く出来てしもた」
『何、その贅沢な悩み』
「こりゃ、もうすぐプロチーム選抜か。卵も包丁で割るし」
『ないよ。オムライスのプロチームなんて』
「ないか。オムライスのプロチームなんて」
『今言ったよ、それ』
「こんなことだけ、腕上がって……どうしよなぁ」
『毎日作るからじゃない。私の好きなオムライス』
×× ×× ×× ××
「相変わらず……この坂キツ」
『つらそうね。歳じゃないの?』
「はぁ……体鍛えなあかんよな……。
爺さんになっても、上らなあかんから」
『ストイック』
「それくらい、やめられんな。この景色は」
『これだけ工場夜景が見渡せるの、貴重よ』
「……教えてくれて、ありがとう」
『いいの。私の好きな展望台』
×× ×× ×× ××
「後10分、か」
『そう……あれから1年になるのね』
「……俺。あの日から、ちょっと変わったみたい」
『どんな風に?』
「ギターの音、ちょっとだけ聞き分けられるようなったし」
『あぁ。あのギタリストさん、曲ごとに持ち変えるもんね』
「卵はもう破けんし」
『偏食は、気になるけどね』
「なんと、ジムに通い始めたんやで。驚きやろ」
『頑張ってるよね』
「あとは…………[独り言]が、多なったな」
『…………そうね』
「俺、これからも君の好きな物を追うよ」
『もう、側には居られないのに』
「まだ……過去には出来んから」
×× ×× ×× ××




