あとがき
この本を手に取っていただいた皆様、ツイッターでリツイートしてくださった皆様、そんな皆々様に篤くお礼申し上げます。ありがとうございました。
※この先にネタバレはありません
この『ブレーメンの聖剣』は初期の初期の着想を得てなんと20年が経過しています。つまり小学生の時、その原点を思いつきました。『ブレーメンの聖剣』はシリーズとして長く続くのですが、そのうち「第1章 胎動」を書いたのはなんと2013年のこと。ファイルの拡張子もdoc、つまりWindows7で書いていました。ちょうど大学生の頃ですね。当時も長々と書いていたのですが、せいぜい100pほど。人物像や物語の展開などはやはり10年経った今、人生の酸いも甘いもたくさんの人との交流を通じて得た経験があるからこそ、書けたのかな、と思っています。修辞法は正直、そこまで進歩していませんから(笑)
さて、物語の着想なのですが、いくつか好きな作品の要素を継ぎ足しながら、自分のアイデアも加えつつ、書き進めました。
まずはなんといっても「スターウォーズ」。作中でも登場する“青く輝く” “何でも斬れる剣”はもちろん、ジェダイのライトセーバーです。エピソード1~3の作品群は子供の頃の私に多大な影響を与え、強くも儚いヒーロー像というものを作っていったと思います。
つぎに「うたわれるもの」。高校生の終わり頃、このアニメ版を見たのですが(全年齢版のゲームは2020年頃しました)その中で登場する“トウカ”というキャラクターが一番のお気に入りです。山岳の少数民族出身で、義に応える武士として描かれています。そう、この小説の“ブレーメン族”そのものですね。すでにキャラクターイラストはご覧になったかと思いますが、10年前も少しだけイラストの練習をしており、“トウカ”のキャラデザインを取り入れたシィナ(※当時の名前は“レナ”でしたが)のイラストも描いた記憶があります。もう手元には残っていませんが……。
最後に「Call of Duty WWⅡ」です。みなさんおなじみのFPSですね。CoDはいまいち日本で知名度がないですが……。キャンペーンモードで登場するキャラクターに、つねに主人公とともに戦う“ザスマン”というキャラクターがいます。撃たれてもすぐ戦線復帰するキャラですが、その飄々とした姿が気に入り、青1&2として描きました。青1&2は10年前の初期バージョンにはなく(たくさん出てくる兵士たちを描写し分ける能力がまだなく)、ニケの腹心としてときに有能な兵士、ときとしてニケをおちょくり弄り倒す憎めない部下だったかと思います。
この10年間の、筆者自身の変化としてもちろん社会人として働いているというのがあるのですが、一番の大きな変化は訳あって外国に住んでいる、ということです。2024年時点でもう5年です。この経験が作中における、ヒトとブレーメンのカルチャーショック(文化衝突)を描くきっかけになりました。例えば、両者は食べるものが違う、生活習慣が違う(シィナはブラをしないし、パンツも嫌々履いているなど)、さらに言葉も違います。ブレーメンはよく罵倒語を使う、という描写があったかと思います。日本語はこの罵倒語が少ないと言われていますが、今住んでいるこの国では、親しい間柄だからこそ罵倒語を使い親密に話す、という風習があります。私自身驚いた経験なのですが、それは(上)巻で詳しく取り入れることができました。
社会情勢もそうです。今住んでいる国はどうしようもない権威主義(偉い人に賄賂を上納して出世する風潮)は横行しています。高級車が渋滞の列にいるそのとなりで、資源ごみを拾って生計を立てる人々がいます。中間層の人々は一見すると自由で平等ですが決してアッパークラスには(賄賂なしに)食い込めず、互いにローワークラスへ落ちないように競争しています。それがまさに連邦のあり方そのものでした。さすがにテロや戦争は(あまり)していませんけど。
このあとがきを書いている時、まだまだ現実世界では戦争が続いています。あの戦争を見ながら、やはりいろいろと作中の描写に反映した部分は大きかったです。塹壕戦、砲撃戦、耳をかすめる銃弾の音など、たしかに映画やゲームでも描かれてきた描写ではあるのですが、リアルな人の生と死が鮮明な映像で届くことで、戦場に立つキャラクターの心理を描写することができたのだと思います。
さて、長々とお付き合いいただきましたが、この『ブレーメンの聖剣』はまだまだ第1章です。つまり第2章もあるということです(祝福
ちらりと、その情報をここに書きますが、ヒントは、「マクロスフロンティア」にドはまりしていた高校生の頃書いたプロット(原案)を元に書き進めました。なので泥臭い戦争モノではなく、学園×ハーレム×ロボットモノになる予定です。乞うご期待!
それでは、次回作のあとがきでまたお会いしましょう。
2023/5/8
2024/2/17加筆
マグネシウム・リン




