「ぬいぐるみたちのファッションショー♪」
❅「冬童話祭2023」参加作品です♪
みどりちゃんという女の子が居ました。
そのみどりちゃんのママはファッションデザイナーという素敵なお仕事をしています。
よく、みどりちゃんの持っている人形やぬいぐるみにお洋服を作ってくれます。
みどりちゃんのママは人形やぬいぐるみのお洋服を作る天才!
そう呼ばれるようになったのはいつの頃からだったのか。
多分、みどりちゃんがみんなに自慢していたからでしょう。
「みどりちゃんの持っているぬいぐるみたちってみんなオシャレね!」
「ねえねえ、わたしのくまさんのぬいぐるみのお洋服も作ってほしいって、みどりちゃんのママにお願いしてもいい?」
「ずるい! わたしも!」
「ぼ、僕も!」
「……ってことなの。ママ、お願い!」
みどりちゃんはママにお願いを何度もしました。
「仕方ないわね~。いいわよ。えっと。くまさんとぞうさんね。それとうさぎさんに、ぺんぎんさんに……。ええ! 何体あるのかしら!」
みどりちゃんのママはびっくりして目を回しました。
ぺろり、とみどりちゃんは舌を出しています。
調子に乗ったみどりちゃんは全部で6個ものぬいぐるみを持って帰ってきたのです。
その晩からみどりちゃんのママは一生懸命ぬいぐるみたちのお洋服作りです。
カタタタタ。
とミシンを踏んだり。
ぬいぬい、と糸で生地を縫ったり。
大忙しです。
みどりちゃんももちろんお手伝いをします。
針に糸を通したり、ですけれど。
「出来たわ!」
「ママ、本当にありがとう!」
みどりちゃんはぎゅうっとママに抱き付きました。
テーブルの上には、くまさん。ぞうさん。うさぎさん。ぺんぎんさん。怪獣さん。アリクイさん。
それぞれがオシャレなお洋服を着て座って並んでいました。
「さあ、もうおやすみの時間よ」
「はーい」
みどりちゃんはおともだちの喜ぶ顔を頭に浮かべて眠りにつきました。
「う~ん?」
みどりちゃんはお部屋で目を覚ましました。
リビングから微かに音楽が聞こえた気がしたのです。
パパがテレビを点けっ放しにして寝てしまったのでしょうか。
ひたひたと、リビングまでの廊下をみどりちゃんは歩きます。
「イエーイ! 僕のお洋服カッコイイだろう!」
「あらあら。わたしの方が素敵でしてよ?」
そんな声が聞こえて、みどりちゃんはびっくり。
そおっとリビングを覗いてみると。
テーブルの上でぬいぐるみたちがママが作ったお洋服で自慢っこしていました。
「ぼおくの、ベストも素敵だろう~」
「おいらのシャツとズボンもどうだい?」
ぞうさんがのんびり言えば、ペンギンさんが蝶ネクタイを引っ張っています。
うさぎさんはひらひらの素敵なスカートをつまんで、くるりと回っています。
くまさんは素敵なハットを怪獣さんのぬいぐるみに見せています。
怪獣さんは、パーカーを着ています。
アリクイさんは?
「……ちょおっときつい」
とTシャツを触っていました。
ちゃんとみどりちゃんのリクエストでアリの刺繍をしてあるTシャツです。
目を丸くして見ていたみどりちゃんに、くまさんが気付きました。
「みどりちゃん、おいでよ」
「おいでよ!」
「一緒に、ファッションショーしましょう!」
「うん!」
みどりちゃんは大急ぎで部屋に戻ってママが作ってくれたワンピースを着てきます。
みんなで気取って音楽に合わせてお部屋の中を歩きます。
まるでモデルさん気分です。
みどりちゃんは笑いました。
ぬいぐるみたちも嬉しそうにポーズを決めます。
「うふふふ」
みどりちゃんもポーズを決めて音楽が止みました。
「うふふふふ……」
「まあ、みどりちゃんったら!」
朝、リビングに来たみどりちゃんのママは驚きました。
何故かワンピースを着たみどりちゃんがぬいぐるみたちに囲まれてソファーで寝こけていたのです。
「ファッションショーでもしていたのかしら。まさかね」
そっと上掛けを掛けてみどりちゃんのママは呟きました。
〖おわり〗
お読みくださり、本当にありがとうございます♪