懲りない奴ら
ガッシャーーン!
…朝の学校、僕は登校して教室に入った瞬間
自分の机が蹴っ飛ばされる様子を目の当たりにしていた…。
誰がやってんだって?ふっ、紹介しよう!
「ごぉらぁああ!!名空木ぃぃいい!!!お前!土日何してやがった!!!」
みんなもそろそろ、覚え始めているのではないだろうか?
そう!野田だ!ん?いや!野村だ!でも今回わ…
殺気を滲ませた目で僕を睨みつける十数人
この前、僕に集って返り討ちにされた数名と何人か増えていた。
ん。この増えた奴らも星と夜の事を一生片思いする運命の方々だな…。
……自分で言って泣けてきたぞ?あの子達も恋して愛して…結婚すんのかな?
うぅ、目が湿ってきたよ?いや、従姉妹で結婚する人もいるよ?でも…でも…。
「うぅゔぅううぅ……」
「……」
「…の、野村?こいつ泣き始めたけど、やり過ぎたんじゃないのか?」
「相当悲しそうだぞ?こいつ大丈夫なのか?」
「…えぇえい!おい!なに泣いてんだ!机蹴っ飛ばしただけだろ!?」
「うぅぅゔゔゔゔえぇぇんよるぅゔ!せぃいい!!」
なんだかんだ野村達は僕が泣き終わるまで待ってくれた。
******
「んで?なんで僕の机、蹴っ飛ばしたの?」
「こ、こいつ…ふん!まぁいい!お前!土日何してやがった!」
会話にもなりやしない。もう落とそうかな?…
いや、泣き止むの待ってくれたし、もうちょっと付き合ってやるか。
「土日?星と夜の二人でデートしてたよ?」
先週、クラスに二人が来て大騒ぎになったんだ。
もう僕とあの子達の関係を隠す必要もあるまいて。
「!?…お前はあの二人の…なんなんだ?」
野村が何故か、ゲームのコントローラーみたい震えている。
トイレにでも行きたいのかな?「トイレはあっちだぞ?」と言ったが
「違うわ!!」って怒られた。本当に面倒くさい奴だ。
「だから!お前は星さんと夜さんの何なんだよって聞いてんだよ!!」
「兄妹だけど?」
「「「「は?」」」」
野村達が間抜けな顔して固まったんだが…いや。
僕は周りを見渡した…生徒達がチラホラ登校し始めて、僕らのやりとりを見て
ざわざわと話す者、聞き耳立てて黙っている者、全員が剽軽な顔で固まっていた。
何なんだ?何が起きているんだ?その顔、馬鹿にしてんのか?
いきなり静寂になったから、ビックリしちゃったじゃないか…。
すると、一足早く立ち直った野村が僕の肩を叩いた。
「お〜〜いっ!そういう事は早く言えよぉ〜ブラザ〜はっはははは!ぐべっ」
なんか急にフレンドリーになってムカついたから
野村と愉快な仲間達を鈍器で制裁しておいた。カッとなってやった。他意ない。
結局、意識を刈ってしまったお陰で
奴等が蹴り飛ばした机は自分で直す事になったのは言うまでもない。
******
「も〜にぃに!大変だったんだから聞いてよぉお!」
「本当、男って生き物は、知能が特別低いと言うのでしょうか?」
お昼に二人がまた迎えに来てくれた…が、酷かった…。
僕がこの子達との関係を公表した所為なのか…なんなのか…
先々週まで告白の嵐だった日々が、鳴りを潜めていたらしいのだが
今日を境にまた嵐が舞い戻って来たらしい。
さっきも星が告白されていた。
勿論、邪魔なんて無粋な真似はしない…が
告白して来た男があんまりにもしつこかったのを物影から見ていたので
無限収納でそいつの足元の土を取って転ばせてやった。
転んだ刹那に土を元に戻し、隠蔽工作も完璧。ざまぁ!
星も夜も真面目だからなぁ。
能力使えば撒けるだろうがそんな事していたら殺してしまうらしい。
手加減出来ないからこそ、ちゃんと対応しているみたいだ。
星の能力もその場で透過する様なもんだし
存在さえ消してしまうと授業にも差し障るし、授業が終わった後とか
目の前で居なくなるなんて気味悪がられるし学校は人気も多い。
おいそれと使うべきで無いのは確かだ。
夜は…うん。この子って不器用なんだよなぁ。
この三人の中で間違いなく一番強力な能力を持っているし今世紀はこの子も戦うのだ。
だから毎日、魔力操作の練習を真面目にしているし…一番は古代の記述通り
姉が一度死んだ事を気に病んでいるのだろう。
これ以上は言うまい…。
そう言えば僕の方にも×ゲーム、イタズラで告白される事がお昼になるまで
5回ほどあった。先々週から無かったのに何でだ?
勿論、僕は妹一筋だし嘘告だと分かっている告白なんかに靡くなんてまず無い!
「…見てたし鉄槌は下したけど。いつもあぁなのか?星?」
「ん〜あれはマシな方かな?」
「さっきのお姉ちゃんの相手はマシですよ!私なんていきなり土下座されて
パンt……し、下着くれたら付き合ってあげます。何て言われた事ありますよ!?」
「…どれ…行こうか夜。そいつの人生を退学させに…」
「ちょ!おにっ、お兄様!その人は私が先生に告発してここを退学して
頂きましたのでもう居ませんよ?!」
「…そうだったのか…だったらお部屋探しからか…」
「無料相談受け付けていますので早まらないで下さい!お、お姉ちゃん!
笑ってないで!お、お兄様を止めてください!!」
「あっははは!無理ーにぃにの体重
重いから能力使っても、うちの腕力じゃ元の位置に戻せませーん!」
「そ、そんな〜〜」
僕は歩く、我が妹を虐める悪を裁く為!!
除雪機の如く!後ろから腰を抱く夜を引きずり校内へと歩くのだ!
******
はぁ〜またかぁ。
「名空木君…好きです!付き合ってくれませんか?」
学校が終わり放課後。
僕は下駄箱で上履きを仕舞っていたら、また嘘告をされている。誰なのこの人?
いつもいつも断っているのだから、分かっていいと思うのだが?
「…名前も知らない子とは付き合えない」
「っ…はい」
そう言って彼女は足早に去っていった。
全くもう〜君達に興味も無いし、どうせ嘘なんでしょ?仮にだけど僕が好きって一体
貴女は僕の何に好きになったの?今回初めて話すよね?顔なの?
それなら尚更、お断りだよ?
話した事も、何なら喋った事も無い女性、または男性と
付き合うか?脳が下半身に付いた男なら分からんし
両思いの奴らも中には居るかもしれない。
だが、友達からでも僕には意味が分からない。
接点を作りたいの?僕はそう思わないし、要らない。
妹が居るからでもあるが、それ以下も以上も僕が望まないし、これからも望まない。
僕に君達の違う好きを押し付けないでくれ。
だから…君達の僕の事を何も知らない告白は嘘なんだよ?
それは好きでもなんでもなく、好ましいだ。
******
僕は待たせているであろう妹達が居るはずの校門へと駆ける。
早く…会いたい、顔を見たい、話をしたい、触ってあげたい。
そう、これが僕の好きと言う感情だ。
そして…
明後日からゴールデンウィークだ!!
######
(ガァン!)
ピシシッ