おにぃとデート!!
「うわぁぁあぁんお姉ちゃん〜!!」
今日は日曜日。おにぃとデートの日だ!わーいでーす!
今は朝、デート出発1時間前ですが、ハプニングが起きてしまいました。
「…どーしたのぉって、うおぉ!また派手にやったねぇ…」
そう、私は実のところ、不器用です…。
メイクもダメ、お料理もダメ、お掃除も雑破…偶に泣ける時があるのです。
今回はデートに向け、お洋服の片付けとメイクに…失敗です。
本当は自分でしたかったのですが、服に埋もれて
お姉ちゃんに助けを求めた次第です…とほほ。
「面目ないです…最初から頼めば良かったですぅ…」
落ち込んで服に埋もれた私をお姉ちゃんは優しくギュッとしてくれて
私を引っ張り出してくれました!そして頬にチュッっとキスをしてくれるのです。
私は落ち込みやすく照れ屋なので幾らお姉ちゃんのキスだったとしても
照れない訳無いのです!
「夜?ダメそんなに弱気になっちゃ。夜はにぃにとのデートの為に自分でお粧ししようと
してるんだよね?それは絶対悪いことじゃ無い!夜はオシャレさんなんだから
きっと数を重ねれば上手くなれるよ!だから今日は昨日のお礼としてうちに任せて?ね?」
「うぅぅ、お姉ちゃん…ヒシッ。私頑張るから今日はお願いします…です…」
私はお姉ちゃんの心遣いに感激して涙目で抱きつきお願いした。
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「お姉ちゃん!似合うかな?おにぃに変って言われないです?」
玄関先で一周くるりとお姉ちゃんの前で回り感想を待つ…。
「…うん!バッチリ!にぃにも惚れ直すかもね?」
お姉ちゃんはそう言ってニシシと笑う。きっとお世辞では無いけどそれはそれで照れる…
「そ、そうかな?おにぃ喜ぶかな?」
「勿論!うちが保証する!だからあんまり緊張しない様にね?」
お姉ちゃんが私を送り出そうとするので急いで両手を開き
行ってきますのハグを要求をするのです。
「……はやくぅ」
「…もーーーっ!何兆年一緒に居ても夜は可愛すぎるなぁ!」
お姉ちゃんの溢したセリフで恥ずかしいがりながらもハグを終え。
最後に私は行ってきますを言って地上で待つおにぃの所へ向かうのであった。
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「おにぃ、お待たせです〜」
「おう、おはよう。全然待って…ん?夜、珍しいな三つ編みに…ハーフアップなんて…
まるでどこかのお姫様の様だ。服もすごく似合っているよ?つい見惚れてしまった」
早速おにぃが、マシンガンの様に褒めてくるです!!
くっ!おにぃは女慣れし過ぎですわ!疑いをかける前に私の頬の熱を治めないと!
深呼吸しておにぃの全身を見て…よっし。私も負けられません!
「…ありがとうございます。おにぃも黒のスキニーでシャープなシルエットが素敵で
ストライプ柄のブルゾンがシンプルなのにモデルの様に着こなす、おにぃは私の自慢です。
アッシュグレーの髪とよくマッチしていてカッコイイの一言です!」
よし!噛まずに言えた!ちょっと過剰勢力だったかもしれないが
事実カッコよ過ぎなのでよしとしよう…ここで…。
ムギュっ
おにぃと腕を組んで…「おにぃ行きましょう?」
完璧。仮におにぃから当たっているよ?と言われたとしても
当ててるのよ?保険があるから一切の隙なんてない。
もうこれでおにぃは私にメロメロ…
「うぐっ…ひっぐ…」
…どう…しよう…おにぃが泣いておられる…。
私の計算式に狂いが生じたです。
「お、おにぃ…どうしたですか?」
「妹が饒舌に僕を褒めてくれたのと…おっぱいが当たって泣ける…」
「…そうですか…ほら、泣いてないで行きますですよ…」
「…うん」
おにぃが泣きながら私と腕を組んで歩くカオスな構図でデートって…
お、おっぱいが当たっているとツッコミがあったが…泣きながら言われると
返す刀も錆びて抜けなくて…無駄に恥ずかしいくなり何とも言えない雰囲気のまま
私達のデートが始まってしまった…。
おにぃがおっぱいって!おっぱいって!なんかこう…
ムズムズするです!!ちょっと興奮してたのは内緒。
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「ふえ〜これは凄いのです」
おにぃは凄いのです…。
お姉ちゃんからはネタバレが嫌だったのでデートがどうだったか聞かなかったのですが…。
私が時間が無かったり、ちゃんと見切れてなかったり、満足に回れなかった場所を
的確に回ってくれるので、おにぃが普段どれだけ私達を見てくれていたのか実感して
嬉しくて堪りません!
極め付けは昼食を取った後に来たここです!
「無限収納は凄いです…転移まで出来たなんて…」
「見かけだけの無限じゃないって事さ、どうだい?綺麗だろう?
星も昨日ここへ連れてきたら凄いはしゃいでいたんだぞ?こういう景色、夜も好き?」
「はい…」この時の私はこの景色が凄すぎて呆けてしまっていたから
おにぃへの返事が素っ気なくなったしまったです。でも許して欲しいです…
あっちの世界じゃありえない様な、色とりどりの葉の木々に
ありえない程に透き通った湖、その中央に生えた一本の大樹…ここはまるで天国と言っても
信じてしまいそうな世界です。
地上と湖に反射した青、紫、黄、緑、赤と言った葉、力強く生える大樹、雲ひとつない空が
全てを埋め尽くし、天地がひっくり返ったと脳が錯覚してしまいます。
でもそれは混乱したとかではなく私の美的感覚が最大限に興奮し
夢見心地の様で、幸福感が限界まで刺激され…
もう!言葉に出来ないくらい美しいって事です!
…おにぃ、お姉ちゃんありがとう…本当に。
景色を眺めながら不意に出た感想は最愛の二人への感謝の言葉だった。
お姉ちゃんが提案してくれたからこんな素敵な場所に来れたんです…その…おにぃと…
チラッと隣で先程の私と同様、景色に没頭して眺めているおにぃを見る。
…あぁ好きです。
どうしようもなく好きです…おにぃ。
私は隣にいるおにぃの手をそっと握った。