にぃにとデート!
今日は土曜日!にぃにとデートする日!やっふぅー!
うちは自分の部屋で軽く香水をふって…よっし!
バタバタ騒がしく廊下を走って、玄関で…うーん。
ショートブーツかハイカットのスニーカー‥どっちが良いだろう?
どっちがにぃに喜んでくれるだろうか…。
外に居るであろう、にぃにから聞いても良いかも。だけどこれはデートなのだ。
ここは…「ねぇ〜夜〜!」ここは最愛の妹に聞こう!
タタタタッと足音が近づいてくる。
「……ふぁひ、おへぇひゃん、ほふひはひぃは??」
食パンを咥えて可愛い妹の夜がペンギンの着ぐるみパジャマを着てやってきた。
因みに今、夜は「はい、お姉ちゃんどうしました??」と言っていた。
それにしても…このペンギンを選んで買ってきた、にぃには天才だと念を送り経緯を話すと…。
「…このグレーのパンプスで」
なんと夜は私の選んだ靴のどれかじゃなく別の靴を選んできた…
うちは疑問も持たずパンプスを取り出して履き、夜の前で一周回って見せた。
実は夜とにぃにの服のセンスは良いのだが、うちは悪くて…
今日の服も昨日、夜が決めてくれたものだ。
「うん、バッチリです。楽しんできてくださいお姉ちゃん!」
「うん!ありがとう夜!お土産買ってくるから!後、魔力制御の練習
頑張ってね!いつも言ってるけど夜は無理ばっかりするんだからちゃんと休むんだよ?」
「んもう、分かってますぅ。ほらほら、お姉ちゃんもおにぃ待たせちゃダメです!」
うちは夜にお礼としてハグをし、急かされて家を出た。
******
「…お待たせ!にぃに!」
家から出てエレベーターで上がり扉から出れば、そこには後ろを向いたにぃにが居た!
「おぉ、全然?今きたところ」
「うっそだぁ!30分前には出てた癖に」
「ぐっ、星…覗いたな?」
えへへっと、笑いうちはにぃにの頭の上から爪先まで見て…うん。
服のことは分かんないけど、深緑色?のジャンパーがカッコいい!
「うん!やっぱりにぃにはカッコいいね!」
「…ぐふっ…そ、そうかありがとう。ふん。星もその赤のPコートに
ベージュのハイウエスト…うん、そのパンプスの組み合わせ…凄く大人っぽいよ。綺麗だ。」
心臓のあたりを抑えてうちの服、正確には夜が選んでくれた服装を
めちゃくちゃ褒めてくれる…ついつい嬉しくなっちゃって…
ぎゅ
「えへへ〜にぃにありがと〜」
「む、どういたしまして。それじゃ行こうか」
うちがにぃにの手を握ったら握り返してくれて、そのまま出発!楽しみだなぁ!
******
「え?にぃにここって?」
「あぁ、星とここに来た時、目がキラキラしていたからな」
今うちらが居るのは、家から電車で30分ほど走った、市街。
ここには何回か、にぃにとうちらで来たことがあって、かなり栄えている。
何回か来てるわりには全然回れてないし、次来たら新しい商品やらお店が
入ったり出来ていたりと、全部見て回るのは至難の技。
そんな街の一角にある、雑貨屋さん。
ここに、にぃにが連れてきてくれた!前にも三人で来たことあるんだけど
あの時、時間がなくてあまり見て回れなかったしうちはここの商品が好きで
もっとじっくりと見たかったのだ!その事は誰にも言って無かったのに、にぃには
それに気づいていたらしい…。もぉ、にぃには凄いなぁ。
うちはあの時出来なかった事を。
じっくり吟味して欲しいものを選んで、一つに絞り買った。
買い物袋を抱きしめ、うちの隣で待ってくれていたにぃにを見てお礼を言う。
「ありがとう!にぃに!お陰で良いもの買えたよ!」
「いいえ、それは良かったね。…ん?もうお昼だな、星は何か食べたいものあるかい?」
「え?」
え?!もうお昼なの?どれだけうちは選んでいたの!?
それよりにぃにをそれだけ待たせてしまった事が申し訳なかった…そんなうちの心中を察し
にぃにはうちの頭を撫でながら語りかけてくれた。
「僕が待ち惚けしてるって思ってる?そんな事無いからね?
僕も星と一緒くらい夢中になって…ほら?こんなに買っちゃったんだよ?」
そう言ってにぃにが人目につかない様にアイテムボックスから、ここで買ったであろう人形を
取り出して言った。…良かった、そう思ってうちは安堵のため息を吐いてご飯の件を…
「…ん〜タピオカ?」
「それはご飯じゃ無いよ?」
「あははぁ知ってる〜SUSI食べたいな!」
「なんで片言に…ははっ…ほら人が多いから手を…」
「うん!」にぃにから差し伸ばされた手を取って大袈裟にブンブン振ると…
「…星、能力使ってるだろ?」
「…ん?なんのことかなぁ?」棒読み
流石、にぃにだ。うちと夜って見た目が良いからよく絡まれちゃうからね…
今日は大好きな、にぃにとのデートなんだから邪魔でもされちゃ殺しかねない。
だからうちはもう一人とリンクして運命をねじ曲げる。
「まぁ良いけど、無理はするなよ?未知の能力でもあるし
星が倒れてしまったら、お兄ちゃん悲しんで身を投げちゃうぞ?」
「あははっ!こわ〜い。大丈夫!うちの事はうちが1番分かっているから!!」
そんな事を言うにぃにが可愛くって腕に抱きついてしまった。
今回のデート凄く良い、好き、にぃにの事がもっと好きになってしまう。
うちらの事を凄く良く見てくれているんだって実感して大切にされているんだって
改めて思ってしまう…発案した夜に感謝してもしきれない。
ありがとうね、夜。
にぃにの腕をギュッと強く抱きしめて街道をうちらは歩いた。
今日はもっともっと満たして欲しい。
愛情を…。