今更?
デート!妹と!デート!!?
いかん落ち着くんだ僕!ここで僕が死ぬほど喜んでしまえば
妹達にちょっとばかし引かれる!ちょっとばかしな!!
平静の仮面を装着して「デートなんて今更じゃないか?」なんて
澄まして言ってみたんだが…。
僕の全細胞は歓喜を示している。これを悟られたらダメなのだ!
兄の威厳は関わってくるからな!クールでファビラスな兄を僕は目指しているのだ!
僕の葛藤なんて僕にしか伝わらなかったのだろう…。
キーコーンカーコーン…………。
ちっ!ここの学校のチャイムは空気も読めないのか!
折角の妹と時間を過ごす事も許してくれないのか!
情けない事に僕は妹達とも別れに耐えきれず膝から崩れ落ちてしまった…
妹達の前で…なんて僕は弱い人間なのだろうか…
こんな体たらくじゃ君達の兄だなんて…
と思っていたんだ……チュッ
んえ?なななななんたる事だ……。
妹達から両頬にキッッスされてしまったぞ…
それほどまでに僕は情けない顔をしていたんだろうか…
慰める側なのに慰められてしまった。
「んじゃにぃに!うちら行くね!デートのプラン考えててね!」
「それではお兄様。私達はこれで…」
そう言って星は手を振って…
夜は綺麗なお辞儀をして帰ってしまった。
なんだと?二人が追求してこなかった?
僕は内心、バレなかった?僕落ち込んでいた事バレなかった!?
ひっそりとバレなかった事にガッツポーズをして、二人の去っていく姿が
見えなくなってから教室に戻った。
******
姉妹の会話
「夜?ティッシュ持ってない?」
「ええ。勿論ありますわ。グズん」
私達姉妹は誰もいない木陰に潜み涙を拭き…鼻をかんでいた…。
「ぐぅぅう…にぃにの落ち込んでいたのが…尊くて…」
「持って帰って干からびるほど愛でてしまいそうだった件について…」
「ん〜にぃに好き!あっ!にぃにがこの後、絡まれちゃう!」
「それは絡んだ方々が可愛そうでございますね。
何も抵抗も出来ずに気を失うのでしょうから」
姉妹二人とも目元がちょっと赤らんでいた事もあり
教室に帰ってきたらみんなが、心配そうにしていたのはこの姉妹知るよしもない。
******
教室に戻って来たのは…うん。良かったのだけど…。
なんか星や夜にひっそりと思いを寄せる者共から、教室に入る際に捕まってしまい…
これって俗に言うリンチかな?めっちゃみんなバットやら鉄パイプやら持ってんだけど…
今、僕は体育館裏に連れて来られたんだけど…なんなんだ本当に?
授業サボっちゃう羽目になんだけど!?あとそんな玩具で僕が
怪我するって思っているのが滑稽だ。現代の人間は力量も測れないんだもんな。
そりゃ女神も今世紀三人も用意する筈だ。
こんな脆弱では何も出来んぞ?成長補正が良くても…まぁ僕らには関係ないのだけど…
勝手に逝くなら逝けって感じで仕方がない…。
「んで僕に何の様ですか?」とだるそうに言ってみた。だって本当に怠いんだもん。
でもこいつ等は妹達へ一方的な思いを持っている…何が目的でこんな事をしたのか
確認しとかないと、僕の事はどうって良いけど、妹達の学生生活に支障をきたす存在か
判断しなければなるまいて…。
「はぁ?お前さ夜さんと星さんに何のつもりで尻尾振って構って貰ってんだよ?」
「嫉妬か?ならお前達も尻尾振って構って貰えば良いだろう?」
「それが出来ねぇから言ってんだよ!?お前なめてんのか!?」
モブ達が文句を垂れだした。何なんだ本当にめんどくさい奴らだ…
何で僕に愚痴を垂れて来るのか、意味が分からない。
あ!野村が居るじゃないか!お前さっき痛い目にあったんだから改心してこいつらを止めてくれ…
「うぉおおい!名空木!お前どうやって夜さんと親しくなってんだ!?
脅してんのか!?お前ぶっ殺すぞぉおお!?」
んなダメだ。なんならバーサ●状態に入って嫉妬鬼と化してんぞ?
「…無言は了承の意味って言うんだよ!俺も夜さん脅してめちゃくちゃに…へぎゃ!」
彼が…嫌、ゴミ屑が最後まで言葉を発せる事は無かった…
その他のゴミ屑供も…少し八つ当たりみたいなもんだ。
僕は全員の頸椎に的確に不可視の鈍器を落としてやった。
運が良かったら、5分くらいで目が覚めるだろう。
だが目覚めても、もう一発あるんだからな?ずっと気を失っとけ!ゴミ屑が!
僕は汚物でも見るかのような目でゴミ供を見下した後、教室に戻った。
******
「おにぃそれやり過ぎじゃないですかぁ?」
結局あの後、野村も早退し、他の奴らも早退したと聞いた。ざまぁ!
学校が終わり家に帰ってきて夜を抱っこしながら昼過ぎの件について話しを
していたら、夜が珍しく非難してきた。
ちょっとショック、嫌…かなりショックが大きかったが君の為にやってしまった。
何て恥ずかしくて言えないので…「ご、ごめん」と気の抜けた謝罪をしてしまった…。
「謝ん無くて良いのですぅ次気を付ければ良いのですよぉ〜?よしよ〜し」
そんな僕をよしよしと優しく撫でてくれる夜に癒されていると…
星がこれもまた珍しく、夜の発言に反論しだしたのだ。
「夜?ダメだよ?にぃに叱っちゃ。にぃには夜が不快な事言われて怒ったんだよ?
うちが見てきたんだから間違い無いでしょう??」
ぐ!しまったぞ!星の能力に対して失念していた!
恥ずかしいところを見られてしまったみたいだ…。そして…
ほら!夜の顔も真っ青になったし!この子凹みやすいんだぞ!
だから学校で嫌われる存在になりたくなくて猫被ってんのに!
あーもう!
「ごめんな!夜!僕、恥ずかしくてさ素直に言えなくて…
その…星が言った通り夜の悪口言われたたら怒ったんだよ?でもね?
僕は君に嘘をついたんだ…だから君は何も悪く無いよ?」
そう言って僕は夜の額に軽くキスをした。
安心できたかな?
と思って僕は思い出した…。
しまったぞ。夜はエロ知識をぶん回すし、自分がする側に抗体があっても…
自分がされるのは抗体が無くって…てか、すっごいピュアだった。
なんなら星よりも…チラッ
「はぁー、やっぱり…星、悪いんだけどティッシュと氷枕持ってきて?」
「なんか懐かしいねそれ…はいティッシュ…氷枕持って来るね〜」
トタトタと星は行ってしまった。
はぁ、なんで忘れていたのか…いやこのくらいの接触があまり無かったからだろうか?
んーでも今、後悔したところで毒にも薬にもなりはしないし…最後、夜が言ってた様に
繰り返さない事を意識していくしかないか…。
これからどうするべきか…考えながら星から貰ったティッシュで
夜の鼻血を拭き取る。真っ赤になってうなされている夜も可愛らしい。
ん?もうこんな時間か。時計を見れば就寝の時間が迫っていた。
僕は夜を横抱きにし、星が向かったであろうキッチンにある冷蔵庫へ足を運ぶと
丁度、氷枕をタオルに包んで持った星が出てきたので声をかけた。
「星、僕は夜が心配だから一緒に寝ようと思ってるんだけど星はどうしたい?」
僕の問いかけに一瞬固まってしまった星…ぶんぶんぶん!頭を振り
時間停止魔法をなんとか振り解きちょっと恥ずかしそうに星は言った。
「…うちも一緒…がいい」
「うん。じゃ氷枕もって来て?… 「はぃ…」うん、ありがとう。おいで?」
「…ぁ…ぅん…」
星も誘って今日僕らは久しぶりに一緒の布団で寝たのだった。