デート一択!
結局、僕への願い事が決まらず仕舞いに終わった姉妹。
翌日、僕は授業中に蟹の事で頭がいっぱいで午後授業に集中出来なかった…
そんなこんなでお昼休み。
これはあれか?僕が授業に集中していなかった天罰なのか?女神様よ!!
これはマズいぞ…僕は焦っていた…。
なんでかって?あの入学初日の時点で容姿だけで有名になった
おてんば姉妹が僕の教室まで押し掛けて来やがった!
俺はわざわざ目立たない様に地味に過ごしてきたのに!
その日のために何!この地味な奴!実はあの一族なの!?ってワッてやりたかったのに!
あ、でも有名じゃ無かったわ、影で。だったわ…。
とほほ…。そんな僕の厨二病設定が音を立てて崩れていった事も知らず二人わ…
「にぃに!ご飯食べに行こう〜?」
「おにぃ…お兄様?早く参りましょう?」
ほらぁクラスが騒ついてんじゃないかぁ…
地味に夜が猫かぶってるとこ初めて見たかも…はぁ
ため息を漏らし諦めた僕は意を決して妹達が待っている廊下へと足を運んだ…
のだが…。
「おい!ちょっと待てよ!」
誰かが声を掛けてきた…
いや、分かってはいるんだけどさ…誰かなんて…
「…なんだい?野村君?」
声を荒げて呼んだのはクラスメイトの野村…なんだっけ?
確か夜のことが好きな奴ってだけしか知らん。
僕さ妹達以外興味ないんだよ?ごめんね。
と心の中で謝っとく…すると待ったを掛けられた妹の一人、星が不機嫌気味に会話に入ってきた。
「にぃに?まだぁ?誰?それ?友達?」
「ん?いやぁクラスメイト」
星は俺以外の人を“それ”と呼ぶことがあって、昔やめなさいって言い聞かせたんだけど…
不機嫌な今そうなってしまって仕方がない、と思ってしまう俺はダメな兄なのか?
自分の兄素質の問題を考えていたら野村くんが吠えた。
「それってなんなんだよ!このクソ女!夜さんの姉なんだろ!?
そんな口が悪い姉なんて最悪だな!!」
プツンと音が響いた。
きっと僕と夜のものだ。
でも僕は年の功か、何なのか…多分…いや絶対、夜よりも冷静だった。
あ…マジでまずい!!!そう思って僕は…
野村の後頭部に鈍器と落とし気絶させた……
糸が切れた人形の様に倒れた野村を見下ろし、ここで一芝居…
「え、の、野村?野村!?どうしたんだ!?お、おい!誰か保健委員居ないか!」
終始見ていたクラス全員…何なら廊下で見ていたであろう生徒達は騒然
保健委員が到着、先生に報告しに行った生徒を確認し僕達は人混みに紛れるかの如し。
その場を後にした…。
******
「ふぅ、大丈夫だったか?星、夜」
なんとか人気のない場所まで抜けてきた僕達は息を整え直して
二人の心配をすると……
「…あのクソガキ、私のお姉ちゃんになんて口の聞き方を…ぶっ殺してやるデス」
夜が真顔で…でも内なる殺気をだだ漏れにさせ物騒なな事を言っている…
正直この夜は今でも怖い…兄でも怖いものだってあるのだ!
あのまま僕が何もしなかったら野村は腕か足…最悪、首が飛んでいただろう…
これは比喩の表現なしにして、事実なのだ。
それを止めてやって、尚且つ気絶までで済ましてやったのだ。
何なら感謝してほしいくらいなのだがなぁ…
そんなの伝わる訳ないかと諦め、被害者の星を見てみるや…すっごい落ち込んでる…
うん。やっぱ夜の代わりに僕が押し潰してグラウンドで干すべきだっただろうか?
見事な掌返しを披露していると落ち込んでいた星が口を開いた。
「にぃに、ごめんね?うち…またにぃにの言いつけ破っちゃた…ねぇうちって悪い子?」
わぁお。なんて事だ…思わず涙ぐんでしまったぞ…ゴシゴシゴシ。
よっし大丈夫!いや、まさか悪口を言われた事に対して落ち込んでいた訳じゃなくて
僕との約束を破ってしまった事に落ち込んでいたなんて…健気だ…
何てうちの妹達はこんなにも愛しいのだろうか。あ、いかんいかん
「…そんな訳ないぞ?星は怒っていたんだろう?それは誰の為にだい?」
「……ん…にぃに」
モジモジして言ってくる俺の妹がめちゃくちゃ可愛いくて
ついつい「だいすきだぁぁぁあ!」と叫んでしまわない様、耐える兄が滑稽な件について。
「んほ、ゴッホン!…そ、そうか、それは僕も嬉しく思うよ?僕だって
星の悪口を言われてぶっこ…ううん、能力使っちゃたしね?お互い様だよ?
だからね?落ち込まないで?そんな責任感が強い星が僕は好きだよ?」
んほって何なんだ?!んほって!!
変なことを言ってしまいそうだった自分にツッコミを入れておく。
元気出たかな?さっきから顔を真っ赤にした星がボーッと僕の顔をを見ているのだが…
ちょっと気まずくなったので夜に助けを求めようかと
視線を夜に移したのだが…こっちはこっちでって!
昨日もやったぞ!このくだり!?
夜は恍惚した顔で身悶えていやがった…
「はふん!お姉ちゃんが羨ましいデスわん!すっすす好きだなんて…
私もももいつかは…いやん!私ったらはしたない!!」
また危ない橋を渡ろうとする、このむっつりスケベな夜にまたもや
チョーーップ!「あいて!」何て可愛い声を上げて自分のデコを擦っている。
今回は20%力で…因みに昨日は15%の力でだ!
橋にどれだけ踏み入れるかでチョップのパーセンテージが決まる。
僕は夜に過去最高で50%のチョップを喰らわせてやった事があるのだが…
あの時の夜は凄かったとしか言いようがない、本人の尊厳に関わるからな!
でも、これだけは言っておこう。チョップを放った後、夜は3日部屋から
出てこなかった…羞恥でか痛くてかは誰も知らない…。
「よし、夜、星を起こしてやってくれ」
「了解なのです!おにぃ!」
立ち直るのが早すぎる夜は置いといて…
未だ僕の居た方をボケッと見ている星に近寄る夜。そして…
「ふぅぅー」
星の耳に吐息をかける夜…そんなんで起きんのか?
そんな事を思っていると…
「ぴゃ!!」
星が飛び跳ねた。
俺は感心するよりも先にポケットから『いもうノート』を取り出して
星の弱点 耳と記入して妹達に近寄るのだった。
*****
「んで?君達は何しに教室に来たんだ?」
今は昼ごはんを食べ終わって三人で寛ぎ中だ。
僕はおてんばな妹達に何気なく尋ねて…みただけだったのだけど?
二人は何故かちょっと不機嫌そうに言った。
「にぃにの悪口聞いて…」
「私達いても立っても居られなくて…」
ん?何で僕の悪口を聞いたんだ?僕って極力目立たない様に
過ごしていたはずなのに…たまに悪戯か×ゲームで告白してくる女子を断るくらいだ。
それで何で目立つのか…僕には想像出来なかった…。
「ん〜僕の悪口かぁ、因みにどんなのか言える?」
二人はちょっと間を置いて喋り出した。
「…難攻不落と」
「あいつは本当に女が好きなのかと…」
「ん?」
ん?ん?何を話しているんだ愛しい妹達よ、話が見えてこないんだが……。
難攻不落はちんぷんかんぷんだが、女が好きなのか?答えはYESだ。
だってこんなにも妹達を愛しているのに…。
いや、でも待てよ?もし仮に本当に…ほっんっとーに仮に妹達が男だったと…
騙していたとしたら…僕はどうなるんだろう…いや。やめよう!
もしもの話を今してどうする!本当だったらただ一年くらい寝込むだけだ!
よし落ち着け?まずは言葉のキャッチボールから始めていこうな?僕?
「にぃにはやっぱり…」
「男の方が…好まれると…ふむ、それはそれで私は…」
「おーっと夜さーんそれ以上、純粋な星を汚そうもんなら今日は抱っこ無しだぞー?」
「はぅ!…ふぁい」
「??」
良いんだ星。お前は普通の子供と一緒の速度で学んでいけば良いんだから…
お兄ちゃんと夜が早熟なだけなんだから…。
…今度、夜の通信環境を一回停止してみようかな…どう出るかで考えよう。
妹の豊富なエロ知識をどうしたもんかと対策を練っていたら
星が僕の腕をクイクイと引っ張ってきたので、どうしたのかと聞くと…
「それでうちら心配だったしいっぱい考えたんだよ?にぃに、昨日のお願いの事なんだけど…」
「お姉ちゃんといっぱい考えてきました!お兄様がホ●でない事を証明する為に!」
星は昨日の僕が言った一人一つのお願いを…
夜は…うん。今日の夜やけにテンション高いな?と思いながら失言を零した夜に
デコピンしておいた。「あん!」なんてこんなとこで言うんじゃない!!あ!復活した。
「にぃに私達の願いは…」
「一人ずつ公平の…」
何故か雰囲気がある二人に固唾の飲み次の言葉を待った…
「ゴクリ…」
「「…デート一択!!」」