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ヤベーイ気がする。マジで。 

 誰ともなく、ギャラリーが語り始めた。

 

 その男の名はガゼン・ボルトゾン。

 人呼んで暗黒狂剣士のガゼン。

 身の丈ほどのくろがねの斬鉄大剣。名は、ゲルミルブレード。

 それを軽々と振り回し、屠ってきた魔獣の数は100や200はくだらない。


 曰く、その剣は魔獣を斬り過ぎて対魔獣の特性を得たという。

 曰く、その身体は傷を負い過ぎて、もはや傷つくところがないという。

 曰く、鎧は身を守る為ではなく、その不名誉な傷を隠す為だけ着ているという。


 経歴不明。

 謎の雇われ傭兵であり、金さえ積めばどんな依頼でもこなすという伝説的な腕前を持つ男。

 人の国にて最強の一角。

 勇者にも劣らぬと噂された影の実力者。

 故に、勇者との戦闘に備えて雇われていた。

 彼は言った。


「この世に最強の称号を持つ者は二人もいらぬ」と。


 無論、彼以外にも実力者はいる。が、勇者と正面切って闘おうとしている者は彼一人だった。

 その心意気は、強者のもので間違いない。

 その強者が、いざ我こそはと前に進み出て、剣を構えて——勇者のワンパンで遥か彼方までぶっ飛ばされた。


 それで今は話し合いとなっている。

 如何にも悪徳貴族っぽい太った男がシズカさんと話をしている。


「いやあのですね、我々こんな形で決起したわけですけどもこれはあくまで形だけでありまして……暴力的なのはなしにしてですね、勇者様の仰ることは最もだと思いますが、こちらにも生活がありましてですね、いきなりこれまでのやり方を全て変えてしまっては、何事も立ち行かなくなるといいますか……」


「そうか。では貴様の行っていた仕事は私が引き継ごう」


「え? そ、それは……」


「文句があるなら掛かってこい」


「い、いえ……ありません……」


「安心しろ。貴様も下働きからやり直せる。その腐った性根は正せるのだ。労働によってな」


「い、いえ……働くのは下の者の役目で……」


「文句があるなら掛かってこい」


「……働きます」


 太った男は眼前に突きつけられたシズカさんの握り拳を目にして、諦めて頭を垂れ「明日から畑を耕すのかぁ……」と呟きながら、とぼとぼと去っていった。


 俺はその様子を上空から眺めながら、シズカさんは実はヤベーイやつなのでは? と思わずにはいられなかった。

 もうなんというかこれ完全に暴君のやり方じゃん……。

 クズの相手を一々するのが面倒くさいのか。

 それとも力こそが正義という理念が彼女の根底にあるのか。

 何にしても、完全に力に物を言わせて物事の解決を図ってる。


「単純労働は身分の低い者にさせているわけでして、我々はやり方を全く知りませんし、逆に足手まといになるかと……」


「これから毎日働くのだ。自ずと知る事が出来る。そもそも自分の領地での仕事に自分が全く関わっていないとはどういう事だ? 現場を知らずに命令を下す事が出来るのか?」


「現場の事は現場の者に任せておりますので……」


「何も知らない者に限って荒唐無稽な事を口にする。そしてそれにより民が苦しむ事になる」


「自分はそのような事は……」


「現場百回だ。まずは現場を知るところから始めるのだ」


「だから、それは……」


「文句があるのか? ……む、見えた」


「え? 何がですか?」


「過去だ」


「過去?」


「お前の祖先が一生懸命に働いて土地を耕しているところが見えた。勇者の力によって」


「確かに自分の家は成り上がったと聞いていますが……」


「そういう事だ。まずは現場百回だ」


「現場百回……」


「異論はあるか?」


「……ありません」


 現場百回ってそういう意味だっけ? 

 とか思う間もなく、次から次へと論客ロジカリスト論破ロジカルブレイクしていくシズカさん。


「民が苦しんでいたのは王の課す税の負担が大きかったせいであって我々の統治の仕方が問題だったわけではなくてですね……」


「王は私がしばき倒した。そして私が王となった。法律は変える。この国を変える。人々が当たり前の幸せを享受出来る国とする。故に、これからは税の負担が激減する。民に過酷な労働を課す必要は無くなる」


「そ、そうですね……」


「故に貴様も働け」


「え!? それとこれとは話しが……」


「貴様の時よりは労働は楽なはずだ。民の事を何も知らない貴様は、下働きからやり直せ。今勇者の力によりここにいる者たちの祖先の事が大体わかったが、皆土地を良くする為に力を尽くしていたぞ」


「それで今の暮らしがあるのですから……」


「その時の気持ちを忘れてはならない。いや、むしろ再び思い出さなければならない時が来たのだ。開拓の精神は人をより良き方へと前進させる。故に、働け」


「えぇ……そんなぁ……」


「私の言っている事は間違っているか?」


「それは……」


「話は終わりだ。これ以上は拳で語るしかないぞ?」


「……働きます」


「よろしい。次に文句がある者は出てこい!」


 項垂れて去っていく貴族の方々。

 啖呵を切るシズカさん。


 うーん。ヤマダさんのこともあるし、悪徳貴族共が一方的に倒されていくところを見るのは、なんとも胸のすく気持ちの良い光景……のような、そうでないような。

 まあ彼らは実際悪いやつらだとは思うけれど、シズカさんのやり方はこちらを不安にさせる。

 きっとシズカさんは相手をボコボコにすることに慣れているのだろう。

 正論ジャスティスロジックで押し切って、論破ロジカルブレイクして、押し切れなくとも拳で語るしかないと言って強引に押し切って……。

 シズカさんは自分の論理を言葉と暴力で押し通すタイプ……。

 腕力と権力がある者こそ正義と思っているような……いや、そういう力を持つ者にしか正義を名乗る資格はないってくらい思っていそうだ。

 それはまさしくこの世の理であり、その通りだとは思わないでもないが、こうして見ているとマジで暴君にしか見えない。

 この世界にシズカさんも御しきれる人はいるのか?

 アンコントロールなのではないか?

 ヤベーイ気がする。マジで。 

すごくどうでもいい余談。

昔は狂ったようにスパロボをやっていた。友達が来た時も「スパロボやるか」とやっていた。一面クリアで交代していた。今考えるとそういうことに付き合ってくれるとかあいつらいいやつらだったなぁと思う。そんな感じで暇な時も暇でない時も飽きずに何周もクリアしていたわけだが、常々「敵の時は強いけど味方になったらユニット弱くするのやめて……」と思っていた。もうね、明らかに耐久力違うじゃん。敵の時はめっちゃ硬いけど味方になった途端に紙装甲になるのなんでなんだよ……見るからにスーパーロボットなのに柔らかいのやめて……と思うことが結構あった。あとスパロボのやりすぎで80%は外れる確率が高いと思うようになった。たぶんそのお蔭で用心深いというか、慎重な性格になったのだと思う。とはいえまあ「ええい!ままよ!」と適当に行動することも多いが……。最近ではスマフォアプリでスパロボのシミュレーションが出たと聞いたが、昔ほど暇ではないのでまだ手を出してはいない。そのうちやってみたいなぁと思う今日このごろである。

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