勇者、か……
「勇者、か……」
魔王の敵……。
ヤマダさんが死んだのだとしたら、それは勇者の手によって……。
嫌な想像が頭を過った。
一体どれだけ恐ろしことが書き記されているのか……。
想像も出来ない。
今読んだページに少し勇者に関しての説明があったが、それだけで強さがわかるというものだ。
敵を知り己を知れば百戦危うからず。とは言うが、戦う前に戦意が挫けてしまうかもしれない。
ページを捲るのが何だか恐ろしくなった。
でも、読まないわけにはいかない。
前の魔王が死んだ原因が間違いなくそこにある。
俺はゆっくりパラパラとページを捲り、気持ちを落ち着けてから、勇者の項目に目を通した。
すごくどうでもいい余談。
ホラー映画が嫌いなのにいつも見たがる友人がいた。顔の前に手を翳して、指の隙間から画面を見ていた。「結局見てんじゃねーか!」と言うと「だって気になるんだもん!」と怒られた。怖いもの見たさ。というやつらしい。そういう好奇心があるのは不思議だが、未知のものを知っておかなければと思う人間の本能なのかもしれない。だが私などは結構な怖がりだから未だに「呪怨」とか見ていなかったりする。「へレディタリー」や「ミッドサマー」など、映画が好きなので気になっている作品はあるものの、これ絶対に怖いよなぁとビビっているので中々見ることがない。まあそんな作品に限ってある日突然吹っ切れて一気に見たりするのだが。それはそれとして最近面白かったホラーは「イット・フォローズ」である。このアイデアには感心した。怪物と言うか幽霊というか特定の条件を満たすと「それ」がずっと対象を追尾してくるのだがこの「それ」というのがどこにでもいそうでありながら、明らかに画面から浮いた存在感を放っているので、画面の端に映る度にゾクゾクした。ラストのワンシーンも見事。青春ホラーとしてかなり楽しめた。なにか適当なホラーを見たい。と思っている方に是非オススメしたい一本である。ちなみに個人的に一番「ひぇ〜〜〜」となったのは「ミザリー」である。人間が一番怖いよぉ。という系統の作品だが、終始緊張感があって見応えがあった。また、軽い気持ちで見たいなら「キャビン」をオススメする。ホラー設定を非常に上手く利用した作品であり、私は爆笑した。




