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魔王ノートの記述・復活の魔法について&追記&更に追記

〈復活の魔法について〉


 復活の魔法。

 魔族の間ではこれは冥界——つまりは死後の世界から魂を呼び戻す魔法である。とされている。

 

 しかし、これは真実では無い。

 このノートには真実を記す。


 結論から述べると、これは他者——それも別世界の者の魂を奪い取り、己のものとする魔法である。

 冥界とは、我々のいた世界の事である。


 魔法の対象となるのは、少年漫画や特撮好きのオタクの若者である。


 若者が選ばれるのは、若者の方が魂の寿命に余裕があるからであろうと我輩は推測している。


 少年漫画や特撮好きのオタクであるのは、そのようなオタクの方がこの世界では大きな力を行使出来るからである。(何故オタクは強いのか? これについては魔法のページにて後述する)


 そのような若者の魂を吸い取り、自らの命とする。

 復活の魔法とは、そういう魔法である。


 ……さて、ここまで読んで疑問が浮かんだのではないだろうか?


 では何故、自分は生きているのか? 

 魔王に魂を吸い取られたのに自意識があるのは何故か? という疑問が。


 これに対する答えは、この魔法を開発した初代魔王の自我が消滅したからである。と我輩は考えている。


 恐らく初代の魔王は奪った魂の持つ意識を自らの意識で塗り潰し、知識と寿命のみを吸収する事で延命してきたのであろう。


 だが、そうやって異なる世界の知識を得て寿命を伸ばせても、精神的なもの——つまりは自らの意識、自我の劣化は防げなかった。


 魔王城に残されていた古い記述の中に「最近の魔王様の言動はおかしい。まるで魔王様ではないようだ。これも冥界帰りの影響だろうか? あの魔王様があのような前後不覚の状態になってしまうとは……秘術には、それ相応の代償があるという事なのか……」というようなものがあった。

 それから鑑みるに、我輩の何代か前から既に初代魔王の自我は失われていたようだ。


 復活の魔法は棺桶に付与されており、魔王の死亡時に自動で発動する。

 初代魔王は自身の精神の消耗に気づいていたはずだが、オートにしていたシステムを解除しなかったのは、いつまでも生き続け、君臨し続けるという意思の表れである。

 流石は真の魔王であると我輩も恐れ入った。

 いやはや……大したやつである。


 そのようなわけで、これが復活の魔法の全貌である。


 以上の事からわかる通り、君から見て先代に当たる我輩は魔王であって魔王ではない。


 我輩の次の魔王である君が魔王であって魔王でないのと同じように。


 だが、それでも——君は魔王として振る舞わなければならない。


 ここに来てしまったという事は、単なるオタクの若者なのだろうが……ここに来てしまったからには、この世界で生きる魔族の為に力を尽くして欲しい。


 社会に全く貢献していなかった我輩が、己を奮い立たせ、気力を振り絞って、魔王として振る舞ったのと同じように。



〈追記〉


 一応記しておくが、もし魔王としての責務が果たせぬと思ったのならば、自爆するという手もある。


 どこか人里離れた山奥まで行き、そこで己の内に向けて全ての魔力を解放する。


 そうすれば辺り一帯を吹き飛ばし、魔王としての、その黒一色の霧のような肉体も爆発四散し消滅する。


 我輩は試していないが、古い記述にあったやり方である。


 何人かそうやって自死した者がいるようで、そういう風に魔王が死んだ際に魔族の者たちは「また冥界に行きたくなったのか」とか「冥界帰りで気が触れていたし、仕方ない」と思うらしい。


 非常にあっけらかんとした感想しか残っていないわけだが、それぐらいポピュラーなやり方のようである。


 だから、もしもの時はそうするといい。

 

 君が復活したという事は復活の魔法がきちんと発動しているという事なので、程なくして誰かの魂が我々のいた世界から奪われ、新たなる魔王としての生を歩む事になるはずだ。


 故に、君は何も心配しなくていい。

 後の事は次代の魔王に任せればいい。


 もっとも、自死を選ぶくらい追い詰められているのならば、魔族の事や次の魔王の事を心配する事など無いだろうが……。


 何にしても、我輩は君の選択を尊重する。


 人には向き不向きがある。

 出来ない事を無理にやろうとしないでいい。

 自らが潰れるくらいなら、重い責任など他人に押し付けてしまっていいのだ。

 出来る人にやって貰えばいいのだ。

 逃げていいのだ。


 もう一度言う。


 我輩は、君の選択を尊重する。



〈更に追記〉


 古い記述に興味があるなら書庫に行ってみるといい。

 我輩より前の魔王が残した記録は全てそこにある。

 この魔王ノートより情報量は少ないが、それでもこの世界について、魔族、魔王に関する知識を得る事は出来るはずだ。


 ちなみに書庫には我輩が原作を担当し魔族一の絵師が作画をした超絶オススメ漫画『魔法少女シャイニング・ステラ』が保管してあるはずだ。


 古の時代、魔法の力を駆使してこの世界を旅したステラという少女がいたそうな。

 その少女の冒険譚をベースにしつつも、我輩が色々とエンタメ向きにダイナミックにアレンジした圧倒的超絶オススメ作品なので絶対に目を通して欲しい。


 お願いだ……。

 お願い……します!

 どうか……読んでください!


すごくどうでもいい余談。

この話に出てくる『魔法少女シャイニング・ステラ』というのはこの物語の根幹に深く関わっている作品であり、それについてはこの先色々と書いていくことになると思うのだが、それはそれとして一体どこから自分が「魔法少女」や「変身ヒロイン」が好きになったのかがわからない。記憶を辿れば「カードキャプターさくら」や「おジャ魔女どれみ」などが原初体験になるのだろうが、当時そこまで刺激を受けた覚えはない。とすると次に思い出深いのは「魔法少女リリカルなのは」になるはずだが、あれはバトルアニメとして見ていたような覚えがある。バインドしてビームとか、カートリッジをガッシャンガッシャンやって威力を上げていたのはこれ男のロマンだよなぁと思っていた記憶がある。そのようなわけで、可愛い魔法少女というのがパッと思いつかないのだが、魔法少女は可愛いと思っている自分がおり、一体そのイメージの源泉はどこなのか?と日々自問自答をしている次第である。

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