謎の男
村の外での生活は過酷だった。
「なんとかドラゴンに見つからずに、生き残れてはいるけど。
小さな虫と木の実しか食べてない。もう死にそうだよ。でも、こんなことで根を上げてちゃいけないんだ。何のために村を出たんだ…って うわぁ ドラゴンが来た。」
すぐさまカケルは草むらに隠れる。
「キールの野郎 人間のガキんちょ逃がしたらしいぜ。まぁ わざと逃がしたって言ってたけどな。」
「もったいねぇ話だ、おれっちなんて人間の子供大好きなのによ。頭からツルっと食べるのがうめぇってんだ。逃がすくらいなら、俺によこして欲しかったぜ。」
2匹のドラゴンが楽しそうに話していた。
(やばい、あのドラゴン達に見つかったら確実に殺される。)
カケルは見つからないように息を殺した。そして、こっちに来ないようにとただただ祈った。
「なんか、俺の好きな匂いがするんだよなぁ。人間の子供の匂いだ。
クンクン こいつはいい匂いだ。思わずヨダレが出ちまった。」
(やばい、あいつ俺に気づいたんじゃないのか。こっちに向かって来る。)
1匹のドラゴンが少年に近づいていく。
「お前の鼻はすげぇなぁ。俺にはまったくワカンねぇよ。ホント近くに人間の子供がいるのか?」
「いるぜ。ほらよ 新鮮な肉だぁ。」
少年のいる草むらが掻き分けられた。
「うまそぉ いただきまぁす。」
「待てっ」
どこからか声が聞こえた。それと同時に一本の矢がドラゴンに刺さった。
「なんだぁ矢かぁ。こんなの痛くも痒くもねぇ。」
どこからかやってきた男が一気に近づく。それを見てドラゴンも反撃しようとした。
「体がうごかねぇ…」
「御免」
男の持っていた剣が光る。そして、一瞬の内にドラゴンの首が切り落とされた。凄まじい切れ味であった。しかし、剣は瞬く間に粉々になった。
「少年、こっちに来い逃げるぞ。私はもうドラゴンを倒せる武器を持っていない。」
少年は首を縦に振って、男の手に捕まった。
「逃がすと思うか、人間風情が調子に乗りやがって。」
ドラゴンがギラギラとした目をこちらに向けてきた。しかし、それと同時に辺りに光が走った。男が閃光玉を投げつけたのである。
「この野郎っ!汚ねぇ手を使いやがって、畜生 目が見えねぇ」
この間に男と少年は姿を消した。