九
それからしばらくたってから、お父さんもかえってきて、ばんごはんをみんなでいっしょにたべました。そのとき、お母さんが、その日ぼくがおねえさんによびだされてクラブのかいいんのけいやくをしてしまった話をしました。お父さんもぼくがあったのはサギにまちがいないと言いました。お父さんはお母さんみたいにおこらなかったけど「まったく、なにしてんだてつじは」とにがわらいをしてあきれていました。そして、「てつじはめんとむかってことわれないタイプだから、こういうときは会いに行っちゃぜったいにだめなんだよ。会いに行ったじてんでもうあいての思うつぼだから」と言いました。お父さんはほかにも「てつじはせけんしらずだから、もっとよの中のことをしらないといけない。とらえようによっては、いいきかいかもしれない」と言いました。それから、ぼくがかていきょうしをやろうとしているという話にもなったけど、それにはお父さんはさんせいだと言いました。お父さんも学生のときにやったそうです。でも、せっかくアルバイトでかせいだおかねをサギでとられるのはもったいないと言いました。
お父さんとお母さんの話をきいているうちに、やっぱりぼくはだまされたのだと思いました。とてもくやしくなりました。とてもかなしくなりました。とてもはずかしくなりました。それでも、おねえさんがやさしかったことやおにいさんに言われたことをかんがえると、まちがっているのはお父さんとお母さんのほうだと少し思いました。ぼくにうたがいのきもちをうえつけて、ぼくとおねえさんをひきはなそうとたくらんでいるのだと思いました。お父さんとお母さんのことをこころの中で少しおこりました。そうやっていろいろかんがえていると、あたまがこんがらがってきました。すごくなきたくなったけど、それはいっしょうけんめいがまんしました。ぼくはなきませんでした。
ごはんがおわると、お父さんがけいやくしょのうつしを見せてくれと言うので見せました。お父さんはそれを見ると「クーリングオフすればなんとなかなるかもしれないな。ここにもかいてあるよ」と言いました。ぼくも、もういちどけいやくしょのうつしをよく見たら、すみのほうにクーリングオフのことがだいぶ小さいじでかいてありました。けいやくしたあとの8日のあいだは、クーリングオフという、ぼくのほうからじゆうにけいやくをかいじょすることができるということでした。そういうことがほうりつで決まっているそうです。お母さんはクーリングオフのことをきいて、とてもよろこんでいました。そのあとに、つぎの日にしょうひしゃセンターというところにそうだんしてみようという話になりました。お父さんはぼくに「あしたのごぜんちゅうにかならずしょうひしゃセンターにでんわしなさい。こういうことはできるだけ早いほうがいいから」と言いました。でも、つぎの日は、お父さんはしごとで、お母さんも朝からパートづとめで、ぼくはずっとひとりでおるすばんでした。だから、ぼくはひとりでしょうひしゃセンターにでんわしなきゃいけませんでした。ぼくはそういうところにでんわするのがはじめてで、うまくせつめいできるかふあんだったのですが、お父さんは「てつじも、これくらいはもうひとりでできないといけないな」と言いました。ぼくはちょっといやだったけど、お父さんの言うとおりだと思ってがんばってでんわしようと思いました。
そのばんねるとき、ぼくはその日のことをいろいろ思いだしたりしていました。おねえさんやおにいさんがぼくをだますのはやっぱりしんじられないなあと少し思いました。でも、お父さんやお母さんが言っていることもむしできませんでした。とてもふくざつな気もちでした。ぼくはいろいろかんがえながらどうじに、おねえさんのおっぱいのたにまとか、ふともものあいだからちらっと見えた白いパンツのこととかを思いだしてしまいました。このときはものすごくはっきりと思いだしました。すると、はれつしてしまいそうなほどちんちんがかたくなりました。ぼくはがまんができなくなってなんどもシコってしまいました。