六
おにいさんのせつめいのあいだ、おねえさんは、ときどきおにいさんのせつめいにうなずきながら、だまってアイスコーヒーをのんだりしていました。おねえさんはテーブルからずれてすわっていたので、ちょうどぼくのところから、おねえさんのひざくらいから上が見えるようになっていました。おねえさんはじぶんのやくめがおわってほっとしていたようで、おねえさんの足はちょっとだけひらいていました。おねえさんはとてもみじかいスカートをはいていたので、ふともものあいだから白いパンツがちらっと見えていました。ぼくはとちゅうでそれにきづいてから、またちんちんがはれつするほどかたくなっていました。
おにいさんはせつめいがおわると、「話はだいたいりかいしていただけましたか」ときいてきました。ぼくは「はい、すばらしいと思います」と言いました。それから、おにいさんは少しみのうえ話をしました。おにいさんはいえがびんぼうだったので、はたらきながら大学に通ったそうです。おととし大学をそつぎょうして、すぐに今のかいしゃに入ったそうです。おにいさんは今のしごとに人生をかけていると言いました。今つとめているかいしゃのしゃしょうにとてもほれているそうです。しゃちょうはとてもみりょくてきな人で、しゃちょうをしってじんせいかんがかわったと言いました。
そのあと、ぼくのお父さんのしごとの話にもなりました。ぼくは、お父さんがあるかいしゃのサラリーマンでぶちょうをしていることを話して、かいしゃのなまえも言いました。すると、おにいさんは「なかなかのだいきぎょうじゃないですか。お父さまはえらいかたなんですね」とかんしんしたように言いました。ぼくはお父さんがほめられてとてもうれしくなりました。それから、お父さんのきゅうりょうの話にもなりました。ぼくはお父さんのきゅうりょうがいくらかはあんまり知らなかったけど、大学に入る前に、お父さんがぶちょうにしょうしんして、きゅうりょうが80万くらいになったという話をしていたことを思いだしました。ぼくは「月に80万くらいはもらっていると思います」と言いました。すると、おにいさんは「じゃあ、お金のしんぱいとかなさそうですよね」言いました。それから、ぼくのおこづかいがひと月いくらくらいかもきいてきました。ぼくは夏休みじっかにいるけど、ふだんはかよっている大学の近くでひとりぐらしをしていて、おやからしおくりをしてもらっています。やちん、ごはんだいとかいろいろなものを引くと、ぼくがひと月でじゆうにつかえるお金は1万円ちょっとくらいでした。ぼくがそのことを言うと、おにいさんは「それでしはらいはきびしいと思うので、このさい、アルバイトなんかやってみたらどうでしょうか」とアルバイトをすすめてきました。でも、ぼくはアルバイトをやったことがありませんでした。だから、じしんがないし、アルバイトをしたらべんきょうをするじかんがなくなると思いました。ぼくは「そうですね。でも、アルバイトはやったことがないし、ちょっとじしんがないです。今はべんきょうだけでせいいっぱいですし」と言いました。するとおにいさんはすこしムッとしてするどい目つきになりました。そして、ちょっとあきれたように「いやいや、やってもいないのにできないかなんてわからないでしょう。ひと月にたった2万にもみたないていどじゃないですか。もう、あなたも子どもじゃないんだからさあ、おやばかりにたよらないで、それくらいはじぶんでなんとすべきじゃないですか」と言いました。ぼくはきゅうにおこられたのでちょっとびっくりしました。ぼくは「はあ、そうですかね」と言いました。するとおにいさんはもっときつい言いかたになって「なにもまいにち朝からばんまではたらけって言ってるわけじゃないし、べんきょうのあいまにじゅうぶんできるレベルでしょう。どうしてそこでできるって言えないんですか。さっきも少し話しましたけどね、こういうときにつかうなにげないことばが、このさきのあなたのじんせいのほうこうをきめるんですよ。それに、あなたはちょっとあまえてますよね。お金をえることのほんとうのくろうを知らないからむりもないでしょうが、よのなかにはお金のために大学に行けない人だっているし、がくひをかせぐためにはたらいている人だってたくさんいるんですよ。げんにわたしだってそうでしたからね」と言いました。