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十七

 クーリングオフのしょるいをおくってからなん日かたって、あいてのかいしゃからつうちょうと1まいはがきがおくられてきました。はがきには、かいやくしょりつうちしょとかかれてあって、ぼくがかいやくしたことをみとめるぶんしょうもかいてありました。さいしょにはらったあたまきんの1万円もへん金するとかかれてありました。つうちょうには、あたま金ではらった1万円がふりこまれていました。1万円はもしかしたらかえってこないかもしれないと思っていたので、よかったと思いました。お母さんはとてもよろこんでいて、はがきを見たとき「いちおう、こういうものはちゃんとおくってくるのね」と言っていました。ぼくもうれしかったけど、どうじになんだかちょっとさみしい気もしました。

 はがきがおくられてきた日、そのおいわいということで、お母さんはばんごはんをやきにくにしてくれました。このときサギの話になりましたが、お母さんは、ぼくがでんわでおねえさんからどなられはじめても、でんわを切ろうとしなかったことが気になっていたようでした。「どうしてあのときでんわを切らなかったの」と、お母さんはきいてきました。ぼくは「やくそくやぶっちゃったし、いろいろめいわくもかけてしまったから」と言いました。すると、お母さんはあきれたように「そんな、サギしあいてに気をつかうひつようなんてないでしょう。てっちゃんのほうがひがいしゃなんだから。ああいう人たちになさけはいっさいむようなの」と言いました。お父さんもあきれて「まったく、てつじも人がよすぎるからなあ」と言いました。お母さんは「てっちゃん、ことわるときはきっぱりことわらないと。もうちょっとずうずうしくならなきゃね。そんなんじゃよのなかわたっていけないわよ」と言いました。ぼくもそうだと思いました。もし、こんど同じようなことがあったらぜったいにことわろうと思いました。

 そのあと、ぼくがかていきょうしをするかどうかという話にもなりました。ぼくはもうぜんぜんやる気がありませんでした。お父さんもお母さんもむりにやらなくていいと言うので、ぼくはしないことにしました。そのかわり、これからはもっとまじめにべんきょうをがんばろうと思いました。

 それから、またなん日かたって、夕がたじぶんのへやにいると、お母さんが大きなこえで「ちょっとてっちゃんきてー」と、ぼくをリビングルームによびました。ぼくがすぐにリビングルームにいくと、お母さんが「これみてよ」と言ってテレビをゆびさしました。テレビには夕がたのニュースばんぐみがながれていました。そのばんぐみで、ちょうどあくしつなセールスにかんするとくしゅうがやっていて、ぼくをだまそうとしていたかいしゃのことがしょうかいされていました。どうやら、そのかいしゃのひがいはだいぶひろがっていたようです。ばんぐみでしょうかいされていたそのかいしゃのサギのやりかたは、ぼくがされたやりかたとそっくりでした。さいしょに女の人によびだされて、とちゅうで男の人がくるというのも同じでした。だますあいてが男の人のときは、女の人がちょっと色っぽいかっこうでくるのとか、30万円のDVDセットをかわされるのもいっしょでした。そのDVDセットのないようは、30万円とは思えないおそまつなものだそうです。クラブのかいいんになったら、いろいろなものがわりびきでやすくかえたりつかえたりするとせつめいされたけど、それはまったくうそではないけど、ほんとうに少しのおみせとかでしかつかえないそうです。それから、そのばんぐみでは、そのかいしゃのかんぶの男にしたというでんわのインタビューのえいぞうもながれていました。その男の人はぎゃくギレして「うちは、せつめいもきちんとしていますし、けいやくしょにクーリングオフのことをめいきしてありますし、たいおうもちゃんとしてますから、もんだいないですよ」と、ひらきなおっていました。お母さんはテレビを見ながら「やっぱりろくでもないところだったのね」と言いました。このテレビばんぐみを見るまで、ぼくはわるいのはじぶんだったという気もちもまだ少しありました。おねえさんへのいやらしいスケベな気もちにつられてしまったこともわるいと思ったし、おねえさんやおにいさんとのやくそくをやぶってしまったこともわるいと思っていました。でも、ばんぐみを見て、やっぱりぼくはひがいしゃなのだと思いました。そう思うと、ものすごくはらがたってきました。おにいさんにせっきょうされたこととか、おねえさんにいっぱいわるぐちを言われたこととかが、「わーっ」とさけびたいほどくやしくてゆるせないと思いました。こんど、おなじようなことされたら「バーカ」と言ってやろうと思いました。ぜったいに言ってやろうと思いました。

 それからまたなん日かたって、ぼくはゆめを見ました。ゆめのなかで、おねえさんからうちにでんわがかかってきました。でんわでおねえさんは、ほんとうはだますつもりじゃなかったとか、かいしゃがわるいことをしているとは知らなかったとか、どなってわるぐちをいっぱい言ったこともわるかったとか言ってあやまってきました。かいしゃもやめたと言ってきました。そして、ちゃんとおわびをしたいからまた会ってくれないかと言ってきました。ぼくは「またそうやってだますつもりですよね。もうだまされないですから」と言ってことわりました。そして、さいごに「バーカ」と言いました。すると、おねえさは、なきながらなんども「ごめんなさい」と言ってあやまってきました。おねえさんがなんどもあやまるから、ぼくは「もう、いいですよ」と言ってゆるしました。ゆめはここでおわりました。目がさめてからおねえさんのことをかんがえると、少しだけちんちんがかたくなりました。ぼくはおねえさんにどなられてからちんちんがぜんぜんかたくならなくなっていたので、かたくなるのはひさしぶりでした。

 これからはもうぜったいにだまされないように気をつけたいと思います。ことわるときはきっぱりことわろうと思います。もう少しずうずうしくなろうと思います。いやらしいスケベな気もちにつられないようにしたいです。こんかいはとてもつらい思いもしたけど、とてもいいべんきょうになりました。

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