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十一

 そのあと、すぐにお母さんがかえってきました。お母さんはかえってくるとすぐに「しょうひしゃセンターにでんわした」ときいてきました。ぼくは「したよ」と言いました。お母さんが「どうだった」ときくので、ぼくは、しょうひしゃセンターのおばさんからクーリングオフのてつづきをおしえてもらって、そのてつづきをしたことを話しました。そして、そのときにあいてにおくったしょるいのコピーを見せました。お母さんはそれを見ながら「これでほんとうにだいじょうぶなんでしょうね」と、まだしんぱいそうでした。ぼくは「ちゃんとおしえてもらったとおりにやったのでだいじょうぶだと思う」と言って、センターのおばさんがおくってくれたクーリングオフのやりかたをかいたファックスの紙も見せました。お母さんはそれを見ると少しあんしんしたようで、ためいきをつきました。でも、まだちょっとしんぱいそうでした。「もう、ほかにすることはないの」とぼくにきいたので「いちおう、あいてに、クーリングオフのことをちょくせつ言ったほうがいいみたいだけど、言わなくてもだいじょうぶみたい」と言いました。ぼくはちょくせつ言うことがいやでしたが、お母さんはそれをきくと「ねんのために言ったほうがいいわね」と言いました。ぼくは「だいじょうぶだよ」と言いました。でも、お母さんはそのあとも言ったほうがいいとしつこく言いました。ぼくはぜったいにいやでした。それで、お母さんと少しけんかになりました。でも、さいごは、あいてのほうからでんわがあったら言うということになりました。ぼくもまだしんぱいな気もちはあったけど、できることならでんわがかかってこなければいいなと思いました。

 それから少しするとでんわがかかってきてしまいました。じぶんのけいたいでんわにかかってきたら知らんぷりをしようと思っていましたが、うちのでんわのほうにかかってきて、お母さんがそれにでてしまいました。ぼくはお母さんによばれました。でんわしてきたのは、前の日にぼくをよびだしたおねえさんでした。お母さんはでんわをぼくにかわるとき、小さなこえで「れいの女からよ。このさいはっきり言ってやりなさい」と言いました。ぼくはかくごをきめて、お母さんとでんわをかわりました。ぼくがでんわにでると、お母さんはおねえさんのこえがお母さんにもきこえるようにするスピーカーきのうのボタンをおしました。

 ぼくが「もしもし」と言うと、おねえさんは「あ、てつじさん、きのうはありがとー。今じかんだいじょうぶだったー」ときいてきたので、ぼくは「はい」とこたえました。ぼくはおねえさんのハスキーなこえをきくと、まえの日に見たおねえさんのおっぱいのたにまのことや、おねえさんのふともものあいだから見えていた白いパンツのことを、いっしゅんでとてもはっきりと思いだして、ちんちんがかたくなってきました。ぼくはお母さんにそのことをきづかれないようにお母さんにせなかをむけました。おねえさんはそれから「なにかきのうの話でわからないこととかあったー」ときいてきました。ぼくが「いえ、だいじょうぶです」とこたえると、おねえさんは「かいていきょうしはできそうかなー」ときいてきたので、ぼくは「まだわからないです」とこたえました。おねえさんは「そうだよねー。そんなすぐにはきまらないよねー」と言いました。「ええ、まあそうですね」とぼくが言うと、おねえさんは「ごりょうしんにきのうのこと話したりしたのー」ときいてきました。ぼくが「いちおう話しました」とこたえると、おねえさんは「まじでー。だいじょうぶだったー」ときいてきたので、ぼくは「ええ、まあ」とこたえました。おねえさんは「それじゃあ、しおくりとかはもっとだしてもらえそうなのー」ときいてきたので、ぼくは「それはだめでした。もうぼくに今いじょうのお金はだせないそうです」と言うと、おねえさんは「そっかー。じゃあ、やっぱりかていきょうしをするしかないのかなー。なんかめんどうなことになってごめんなさいねー。でも、てつじさんならだいじょうぶだと思う。あたしおうえんしてるからー」と言いました。

 こうしておねえさんとでんわで話しているあいだ、お母さんが耳もとで小さなこえで「はやく言いなさい」とせかしていました。ぼくはクーリングオフのことをすぐにおねえさんに言えませんでした。おねえさんをうらぎるようでとてもつらいと思いました。でも、やはりぼくもはやく言わなければいけないと思いました。

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