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魔界な人々

魔界軍人な私と天然護衛官な彼女

掲載日:2014/12/02

『新人護衛官な僕と魔界軍人なあなた』とリンクしております。

そちらを先に読んだ方がよくわかります。

なんて天然なんだ……天然過ぎるにも程があるだろう……


俺はあの天然希少生物を思い出した。

男を知らなすぎる……


女性らしい華奢で薄紫の鱗の竜人……

保護しないと絶対にどっかのバカ男に汚される。


「おい、アウスレーゼ、お前、聞いてるのか。」

同僚のグリシスが俺の前に立った。

「すまん、考え事をしていた。」

私は頭を下げた。


グリシスは魔界軍内で私に実力を拮抗している……はずだ。


魔界軍の詰め所は男ばかりで殺伐としている。

女性軍人もいるのだが、今日は休みらしいな。


「ムー孃のことか? 俺に嫁にくれるって言ってた。」

グリシスがニヤリとした。

「ハイキックに耐えられるならな。」

私は自然と脇腹をさすった、ムーに蹴られたところは赤黒く変色していた。


本当に容赦ない妹だ。


「まあ、俺はもうフリーじゃないから無理だけどな見合いをして嫁をもらうことになった。」

グリシスがニヤニヤした。


な、なんだと!!


「この裏切り者め。」

私は腹のそこから恨みがましい声を出した。

そういえばこいつは最近、妙に浮かれていたな……

「これでイー女史のお節介はお前に集中決定だな。」

本当に嬉しそうにグリシスが笑った。


独身同盟はどうした〜。

いや結婚したくないわけではないのだが……



案の定次の日からそれは始まった。

「ねぇ、アウスレーゼ君、このお嬢さんなんてどうかしら?」

イー女史が見合い写真を出してきた。


イー女史は魔界軍の事務官で同じ竜人だが世話好きの気の良いおばさんだ。


とくに男女をくっつけることに生きがいをかんじているようだ。


「私は勤務が不規則だ、通常の女性では無理だとおもう。」

私ははっきり断った。

冗談じゃない……私はまだ結婚は考えていない。

「あってみなきゃわからないじゃないの、グリシス君だってあったら一発だったのよ。」

小柄なイー女史が迫力満点に迫った。


グリシスのやろう2重の意味で裏切りものだったのか〜。


「この娘はね、堕天使の一族なのよ……」

麗しい白い翼の乙女が写真にうつっている。

……ピンとこない……やっぱりあの華奢な……

「その……あの。」

俺はたじろいだ。

「あら、竜人のほうがいいかしら?それとも下級人型魔族狙いかしら?」

イー女史が次々写真出してくる。

いや……竜人ならあの薄紫の鱗の……


どうしたら良いんだ。

それを見たグリシスのやろうがニヤニヤと楽しそうに笑っている。


お、ぼ、え、て、ろ、よ。


その日の訓練で俺はグリシスを徹底的に叩きのめした。


「私怨入ってませんか?」

副官のグリフィン族の二ファスがタオルを私に渡しながらわらった。

「グリシスの奴たるんでるからな。」

俺はニヤリとした。


グリシスのやつは地面と仲よくしているみたいだ。

ザマー見ろ。


気分よく午後の書類仕事をしていると副官にグリシスが医務室で療養さぼってしているから迎えにいけと蹴り出された。


まったく容赦がない。

まあ、私くらいしかヤツに対抗出来ないが……

なんだかんだとヨルムンガンド族の戦士だからな……


「おい、いい加減仕事に戻れ……」

情け容赦なくプライベートカーテンをあけると寝ているグリシスの手を握ってる小柄な人物がいる。


ピンクの髪の愛らしい美少女な夢魔族だった。

いったいどういうわけだ。


「ペルシャ、僕はもうダメだ。」

グリシスがいつもと違う口調で甘えたことをいったので鳥肌が立った。

「グリシス様〜。」

彼女が抱きついてグリシスが嬉しそうにだきしめた。


「グリシス、仕事にもどれ。」

私は半眼になった。


いやー怖いグリシス様ってなんだ夢魔孃。

それに大丈夫だよ、僕が守るよって人を悪モンにするのはやめろ、このクソいろボケが!!


仕上げにイー女史のお見合い攻撃を再び受けて俺は完璧に疲れ果てた。


ああ、癒やされたい……あのカツカレー……いや……あの天然素材に癒されに行こう……


あの薄紫の鱗の華奢な天然素材な竜人にあいたい。



魔界軍の本部は魔王都の中心にある魔王城から少し離れている。


仕事帰りにこの辺だったかと広大な魔王城をさまよっていると探していた天然素材が廊下の窓から外をぼーっと見ていた。


薄紫の鱗が可憐だ。

ムーラシアと同じ魔王護衛官に見えん……魔王護衛官の真紅の軍服を着ている自体目の錯覚かと思うくらいだ。


「ジー孃。」

そっと近づき呼びかけた。

薄紫の鱗の可憐な乙女が振り向いた。

「アウスさん……ムー先輩ならコンビニですよ。」

ジー孃が言った。

まあ、前回を考えればそう言うだろう。

だが、今回は違う。

「……いやジー孃と少しはなしたくなってな。」

私は微笑んだ。

ああ、ニヤける……なんでこんなに好ましいのかわからない……。


「食堂に行きますか? 」

ジー孃が今夜チャーハンの予定だけどと小さくつぶやいた。

「そうだな。」

私はにやけるのをおさえてうなづいた。


ここの食堂は本部とちがってやや上品だな……対外的にも開放しているからだろうか?


「アウスさん、元気がないです、どうかしたんですか? 」

ジー孃が私を心配そうに見た。

「あなたはいつも元気だな。」

私は小さく笑った。


ああ、癒される……これぞ天然希少生物の……


「なんだい、デートかい? 」

クラーケン族と思われる三目、八本足の壮年魔族が注文した極盛り焼豚チャーハンと取皿を置いた。

「デートだ。」

ジー孃に否定される前にこたえてチャーハンを取り分ける。


まごうことなきデートだ。


「そうなんですか? 」

ジー孃が小首をかしげた。

可愛すぎる……反則だろう……

ポーカーフェイスを決めるのがやばくなってきた。


「まあ、落ち込むことがあってな、あなたにあうことしか思いつかなかった。」

私はジー孃の前にチャーハンをおきながらため息をついた。

グリシスのやろうのせいで疲れた。


今度酒でも思いっきりおごらせてやろう。


「デートにため息はないだろう? まったく。」

壮年魔族はそういいながら付け合せのスープ2つおいてカウンターに戻っていった。


「何かあったのですか? 」

ジー孃が水分を取りながら聞いた。

ピンクの唇が色っぽい。

「まあ、魔界軍の同僚が裏切っただけだ。」

苦々しく思いながらチャーハンをすくった。


パラパラしててうまいな……魔界軍のめしもこれくらいうまいといいんだが……


「グリシスのやつ……」

大方今頃夢魔孃としけこんでることだろうよ。

あいつは胸の大きな女性が好きだったんだな……

「その方が裏切ったんですか? 」

ジー孃が心配そうに聞いた、案外胸があるな……

「ああ、どうしてなんだ。」

その様子が可愛すぎて取皿にチャーハンを入れながら思わずなげいてみせた。


あのいろボケ、大方、好みぴったりだったんだろうよ。


「きっとのっぴきならない事情が……」

ジー孃がくちごもった。

私はいけない男だな……なんて可愛いんだ。

「ヤツのせいで私は……」

ついつい悲しそうな顔をしてからかってしまう。


悩み顔すらジー孃は可愛い。


「ち、チャーハンもっと食べますか? 」

ジー孃が慌ててチャーハンの大皿を私に押した。

「あなたは……優しいな。」

思わず微笑みがうかぶ。

魔界軍の連中ならからかいまくるだろうな。

「い、いえ、そんなことないですよ。」

ジー孃がどこか慌てる様子が可愛かった。

「……やはりあなたがいいな。」

ジー孃に思わず本音を漏らす。


この希少な天然生物がほしい……誰にも渡さない。

私の伴侶はジー孃しか考えられない。


「ジーファイラ・リン・オスティ孃、私、アウスレーゼ・リン・ハスナティスはあなたに結婚を前提にした交際を申し込む。」

私の本音はこうなのか……

「え、えーと。」

ジー孃が戸惑った表情を浮かべた。


「もっとロマンチックなところでやんなよ。」

壮年魔族があきれたように水を注いだ。


興味津々だな……壮年魔族っていうのはこういう事が案外好きなんだな……上級魔族だろうに……まあいい。


「ロマンチック……私にこれ以上無理だ、ジー孃頼む。」

水を飲もうとジー孃手を伸ばしたところをすかさず掴んだ。

なんて小さい手なんだ……それなのに武器だこがある。

ドサクサに紛れてなでる。

「……あ、あのだいぶ格下の家なので……」

そういいながらジー孃は少し悲しそうな顔をした。


魔王都にその家ありといわれた鱗守護分家の娘だぞ……大体両親ともに早く嫁もらえと言われてるのに反対されるわけ無い。


「……あなたしか考えられない……それにあなたは立派な守護鱗家の令嬢ではないか。」

ジー孃の手の指にキスした。

「あの……きっと反対されます。」

ジー孃がためらいがちに言った。

「親父殿は反対どころかグリシスのせいで大賛成だ。」

耐えきれずジー孃の指をアマガミした。


グリシスの婚約をしって魔界大将の親父殿が私にも嫁の紹介をとイー女史に頼んでるのを昨日聞いてしまった。


あの裏切り者のせいで踏んだりけったりだ……

堕天使の嫁なんぞいらん。


待てよ……もしかして……

後ろを見るとやつがきた……


「それともティインがあなたの恋人か? 」

私はジー孃の肩越しにジー孃と同じ護衛官で幼馴染のティインをにらみつけた。


ティインが足早にこちらに来る。

可愛い後輩……という感じでもないな……さすがだ、天然素材。


「可愛い後輩をたぶらかしてるんじゃないよ。」

そのままティインがくるりと回り込んでヘッドロックを仕掛けてきた。

「苦しい……ティインシス、私は本気だ。」

私はティインの技を解こうとして確信した。

こいつは本気でジー孃のことを……


ジー孃が静かに席をたとうとしている。

逃がすか!


「ジーファイラ孃、私はあなたを愛している。」

私はジー孃を見つめていった。

「しめなきゃわかんないみたいだな。」

ティインがさらに技かけようとした。


「あんたら!! 喧嘩するんならよそでやんな! 」

クラーケン族の壮年魔族に食堂からティインとふたりで八本足でつまみ出された。

そのまままどから庭にほうりだされた。


私は激突する前に受け身をとった。

それでも背中を少しうったようだ。


起き上がるとティインも起きる様子が見られた。

暗い中庭のあちこちにウィルオーウィスプとうの光属性の魔族が配置されている。


ティインが構えた。

「アウス……ジーをどうするつもりだ。」

ティインが低い声で言った。

闇で表情はよく見えない。

「私は……」

いいかけたところでティインが殴りかかってきた。

避けて応戦する。

「ジーは純粋なんだ、からかっているなら許さない。」

強烈な蹴り技がはいる。

「私は……本気だ、ティインシス……ジー孃を……ジーファイラ孃を愛している。」

ティインシスの蹴りを腕で受けてそのまま足首をつかむバランス崩したティインはそのまま倒れた。


ジー孃が廊下に出てきたのが見えた、私は急いで窓枠をよじ登った。


あ、アウス待ちやがれとティインが怒鳴ってるのが聞こえたが無視だ。


なんとか廊下に降り立ってジー孃に足早に近づいた。

「ジー孃、私は本気だ。」

そのままジー孃を思いっきり抱きしめた。


ティインが逃げやがっていいながらと窓をよじ登ってるのが見えた。


「わかりました、本気にします……よろしくお願いします。」

ジー孃が抱きついてくれた。


ジー〜そんな堅物くっつくと人生棒にふるぞとティインが言ってるのが聞こえた……あとでしめる。


なんて気持ちがいい体なんだ……そのまま甘い唇を貪った。



抱きしめすぎたのかジーが身じろぎした。

慌ててゆるめた……


アウスさんも男だしやりたがるのかなとジーがつぶやいてる。


もちろんやるに決まってる。

ジーと早くしたい……



そのまま抱き上げて私の部屋までとぼうとした。


「あの、明日仕事なので……」

ジーが抱き上げようとする私の腕からすり抜けておやすみなさいとさっていった。


あとには腕の寂しい私……


「まあ、ジーは天然だからな……」

ポンっと私の肩をティインが叩いた。


天然……天然だと……諦めん……



今日もグリシスが鬱陶しい。

「おーい、婚約したんだってなぁ……お前もついに年貢の収め時か? 」

グリシスがニヤニヤした。

「まあな……」

私は筋トレを続けた。

「おや、メロメロのふにゃふにゃじゃないのか? 」

グリシスがニヤリとした。

「…………させてくれないからな……」

私はボソリとつぶやいた。

「え……なんだ? 」

グリシスが聞き返した。


言えるか!


ジーとは婚約した……熱愛している。

彼女も私に素直に愛情表現をしてくれている……だが……


いざことにおよぼうとするとかわされるんだ……


なぜだ……なぜなんだ……


「まあ、今が一番いい時だよな……俺なんてさ……」

グリシスがブツブツ言い出した。


あの夢魔孃と何かあったのか?

とりあえず……天然素材の誤解をとかないと……



今日こそジーと良い事を……

「アウスさん〜。」

デートに誘い出したジーは可愛い。

「ジー。」

ああ、このまま抱き上げて連れ去りたい……


今日こそ今日こそ今日こそ……きっと……


私は心に決めた。


しかし、ジーが男は女とやりたがるを殺ると勘違いしていたことに気が付かなかった。


天然希少生物恐るべし……


だが、私は天然希少生物を愛している〜。


しかし……結婚するその日まで勘違いに気が付かないなんてどんだけ天然希少生物なんだ〜。

駄文を読んでいただきありがとうございます。

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