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Level.0

作者: 希罪




「この雑魚キャラめが!」

投げかけられるのはそんな罵倒の言葉。慣れたなんて認めたくはないけど、それは紛れもない事実で、受け止めなくてはならないんだ。

ろくなアイテムもスキルもなくて、役立たずなんだ。でも仕方が無いこと、僕はそういうキャラなんだもの。ゲームの世界なんだもの。右と言われれば右に、左と言われれば左に動くし、武器を振りかざせと言われれ、相手を殺す。それが普通で褒められることも感謝されることもない。

そうしている内に、僕は度々その死ぬという状態になってしまう。体力が限界になって、突如暗闇に包まれる。それはとても無気力な世界で何を考えられなくなるんだ。

けれど、気が付いたら元の場所に戻っている。それでまた言われるんだ「クソだ」と。「何回コンティニューさせれば済むんだ」と。

‘‘コンティニュー”てのは、こうして元の場所に戻ることを言うらしい。そして僕はそれが他のキャラと比べて多いらしい。それの何がいけないのかは分からない。でも、それは僕が弱いってことの象徴らしい。

それ以外の意味はよく分からないけど、とても悲しい気持ちになる。存在を否定されているみたいで。


なのにどうやら僕は勇者らしい。弱いのに、怖がりなのに、とても。けれど設定とかいうものによって僕は勇者らしい。勇者ってのは、名前通り勇気があって、勇敢で、強くて。それから正義感があって命をかけて戦う者のことを言うんだってくらい僕だって知ってるさ。

なのに僕は勇者らしい。

じゃあ、勇者って何なのかな。


僕が勇者なら、強くなくても勇者なのかな。


勇敢じゃなくても勇者なのかな。


怖がりでも勇者なのかな。


僕は弱い。こういう者のことを落ちこぼれって言うらしい。けれど誰かの役に立ちたい。「頑張ったね」って褒められたい。誰かのために一生懸命になりたい。


こんな欲張りじゃ、やっぱり僕はまだ勇者じゃないのかもね。




勇者って何なんでしょうね。

勇者目線の少し簡易な文章ですが、その中にも何かを感じてもらえれば幸いです。


ご愛読ありがとうございました。

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