第1話 接引道童
初めまして。『不滅天君』を読んでいただきありがとうございます。
異世界転生ものですが、主人公は最強スタートではなく、凡人からの成り上がりです。ぜひお楽しみください。
「見て、流星雨だよ!」
武雲が顔を上げると、確かにその通りだった。静かなキャンパスの夜空を、無数の流星が疾走している。心の中でそっと喜びが湧いた。もうすぐ卒業だ。ようやく勇気を振り絞って、ずっと憧れていたあの子を運動場に誘い出せた。胸に秘めた想いを伝えるために。ちょうど今夜は千年に一度の流星雨、ロマンチックな雰囲気が何倍にも膨らんでいる。
振り返って、隣に立つ背の高い美しい少女を見つめた。ピンクと白のワンピースが柳のように細い腰線を描き、玉のように透き通る肌、瓜実顔が清らかで美しい。髪を洗ったばかりらしく、長い黒髪が香り立つ肩に降りかかり、麝香と蘭を思わせる香りが絶え間なく武雲の鼻をくすぐり、彼の心を揺らがせた。
(あの熱い視線を感じたのかな)
少女の頬にゆっくりと桃色の紅潮が広がり、視線を戻して微笑みながら言った。
「小武、ここ数年、クラスのみんなとあまり交流してこなかったよね。もうすぐ卒業で、みんな散り散りになっちゃうけど……これからどうするの?」
「俺か?」武雲は確かに普段からクラスメイトとの付き合いが少なかった。すべては大学一年の入学式の夜、ふらりと校門の前で占いをしていた老人に出会い、気がつけばその老人について「長生功」なるものを修行し始めていたからだ。あっという間に数年が過ぎ、自分がどれほど成長したのかもわからないまま。
将来のことなんて、武雲にはまったく見えていなかった。
(もう、こんな時なのにまだ告白してくれないなんて……本当に別れてから打ち明けるつもり?誰に話すのよ?もしそうなら、私たちには縁がなかったってことね)
少女は心の中でそう呟き、少し失望した表情でうつむいた。
空の流星はますます増え、輝きを増していく。武雲の喉仏が上下に動いた。ようやく勇気を振り絞って口を開いた。
「俺は――」
二文字を発した瞬間、突然体が軽くなるのを感じた。続いて声が出なくなった。まるで魂が体から抜け、空中へ舞い上がっていくようだ。
上空の一つの流星が突然強烈な光を放ち、ちょうど武雲の体に降り注いだ。光束は稲妻のように瞬く間に消え去った。少女も目の前がパッと明るくなったのを感じ、続いて武雲の体が隣で崩れ落ちるのを見た。
……
武雲が目を覚ますと、耳元に女性の声が聞こえてきた。
「坊ちゃま、だめですよ、まだ寝ちゃいけません。おっぱいを飲んでからにしましょう」
「……ん?」
目を開けると、まず雪のように白く柔らかな肌が視界に入った。よく見れば――それは女性の胸だった。
まさしく、一人の女性が彼を抱き、乳首を口元に押し当てようとしている。
(俺、赤ん坊に戻ったのか?)
頭の中で轟音が響き、武雲は再び深い眠りに落ちていった。
……
十五年後――
四月十四日、年に一度の神仙節。空がほんのり白み始めた頃、瀏陽城の昇仙閣前はすでに人で埋め尽くされていた。門前の広場には数千の民衆が集い、皆が敬虔な面持ちで空を見上げ、何かを待ちわびている。
三層建ての昇仙閣の大門が開くと、奥の金ぴかに輝く大殿中央の彩色壁画が見える。仙帝が仙宮に座す図で、雲霧に包まれた宮殿には、薄衣をまとった美しい仙女たちが雲に乗り、舞い踊り、酒を酌み交わして楽しんでいる。
巨大な絵の下には三尺の供物台が設けられ、果物などの供物が並べられている。中央の香炉からは白檀の煙がゆらりと立ち上り、大殿をより荘厳な雰囲気に包んでいた。
突然、空の彼方に三つの異なる色の気流が現れた。隕石のように長空を切り裂き、急速に近づいてくる。千メートルほどまで近づくと、その眩しい気流の上に、それぞれ一人の女性が剣を踏んで風に乗ってくる姿が見えた。
「接引道童だ!接引道童が来られた!」
下の民衆がざわめき、皆が地面に平伏し、頭を上げようとしない。
三人の女性が空から降り立ち、昇仙閣の前に着いた。長剣は自動的に背中の鞘に収まり、無表情で閣内へと入っていく。供物台の前まで来ると、三人は同時に振り返り、殿外を見据えた。
彼女たちは皆、月白色の衣をまとい、道髻に碧い簪を挿している。中央の女性が最も年長で三十歳ほど、神仙のような風貌で比類ない美しさ。右側は少し若く二十歳前後、一代の美貌を持つ絶世の佳人。左側の女性が最も若く、十五、六歳ほど。水のように澄んだ霊気に満ち、幽蘭のような気品。わざと落ち着いた様子を見せているが、双眸には純真さが溢れ、美しい瞳の動きに喜びがにじんでいる。
灰色の衣に白髭の老人が頭を垂れ、素早く昇仙閣の中へ入ると、両手で一冊の線装の名簿を捧げて言った。
「仙子、これが今年選ばれた子供たちでございます。ご覧ください」
中央の女性は受け取らず、背中の払塵を抜きながら淡々と言った。
「あなたが読みなさい。一人ずつ中へ通すように」
老人は慌てて頷き、名簿を開いて外へ呼びかけた。
「武雲、入るがよい!」
殿外には白色の勁装をまとった少年が、落ち着かない様子で中を覗いていた。十五、六歳ほど、高い鼻に尖った顎、濃い眉に十分な英気を備えているが、その瞳はきょろきょろと動き回り、年齢よりもずっと生意気そうだ。
老人の呼び声を聞くと、小走りで三人の女性の前に進み出て、軽く一礼した。
「武雲、三人の仙子にご挨拶申し上げます」
三人の女性は何も言わない。中央の女性が払塵を少年の頭頂に当て、双眸を閉じた。しばらくして目を開くと、相変わらず無表情だった。
「七情複雑、六欲旺盛。魂が純粋ではない。入道を許さず。下がれ」
「はあ、またかよ!」
武雲は眉をひそめた。わけもわからずこの世界に転生し、わけもわからず生まれ落ち、わけもわからず仙界の存在を知った。胸に溜まった鬱憤を晴らそうと、長生不老への憧れを胸に奮い立ったのだ。
だが、仙家に幾度も拒絶されるうち、心の中に火種がくすぶり始めていた。
(そんなにダメなのか?前世では長生童子功を修行してたんだぞ。女の子の手すら触ったことないくらい清く正しく生きてきたのに。多少は徳も積んでるはずだろ?転生したら魂が変わっちゃうのか?)
これで三度目の拒絶だ。武雲は思い切って三人の女性を見上げた。視線が十五、六歳の少女の顔に止まった時、一瞬にして息をのんだ。この少女は繊細で、顔は白磁のように滑らか、唇は桜色、眉は墨絵のようで、瞳は秋水のように澄んでいる。言葉にできないほどの柔らかく繊細な美しさだ。月白色の衣はこの濁世の中でひときわ鮮やかに映え、雨に洗われた青蓮か、霧に包まれた孤山のようで、言い表せない空霊な美しさをたたえていた。
知らず知らず、武雲は少女の美しさと純粋さに心を奪われ、少しぼんやりとしてしまった。少女もこれほどじっと見つめられるのは初めてで、胸が突然高鳴り、頬に一抹の困惑した紅潮が浮かんだ。
しかし、武雲のこの様子は他の二人の女性にとっては、凡人による仙子への冒涜に等しかった。中央の女性が突然怒り、払塵を素早く振るうと、武雲の首を締め上げ、厳しい声で喝った。
「大胆な!」
武雲はようやく我に返った。息が詰まり、顔を真っ赤にして苦しんでいる。
隣の老人は状況が飲み込めず、恐れおののいて地面に平伏した。
「仙子、お許しください!どうかお許しください!」
女性は冷ややかに「ふん」と鼻を鳴らし、腕を一振りして払塵を引き戻すと、冷たく言い放った。
「滾がれ」
武雲は三歩後退し、心の中では不服だった。振り返りながら去り際にぶつぶつ呟いた。
「何が偉いんだよ。ちょっと見ただけじゃないか。ちっ、美を愛する心は誰にだってあるだろ。何が悪い?」
声は小さかったが、殿中の者たちにははっきりと聞こえた。すでに地面にひれ伏していた老人は、今にも気を失いそうだった。
(この小僧め……お前は今、俺の祖宗だ。命取りの小祖宗め。武家がお前のせいで滅びそうだ)
案の定、中央の女性の美しい双眸から冷たい殺気がほとばしった。
左側の二十歳ほどの女性が先に動き、一掌を放つ。一道の火紅の光束が少年の背後を直撃しようとした。口からは怒鳴り声が飛んだ。
「死にたいのか!」
武雲は何か覚悟があったかのように、双脚を奇妙に動かし、驚くほど素早く身を翻して易々と攻撃をかわし、三人の女性を睨みつけて怒鳴り返した。
「お前ら、不意打ちかよ!俺が何を間違えたって言うんだ!」
三人の女性は武雲が攻撃をかわしたのを見て、一瞬呆然とした。攻撃を仕掛けた女性が怒りに震えて言った。
「小僧の分際で、礼儀も知らぬとは!仙子の御姿を、お前のような凡人の蟻が眺めていいものか!」
「仙子の顔を見ちゃいけない?だったら仮面でも被ればいいじゃないか!見ただけで悪いのか?凡人の蟻がどうした!お前らだって元は凡人だろうが!生まれながらの仙人か?それに、お前らだって本物の仙人じゃないだろ。ただの接引道童じゃないか。見なきゃ、妖か鬼か魔か区別もつかねえぞ!」
武雲は少しも怯まず、顔を上げて問い詰めた。
三人の女性は同時に言葉に詰まり、しばらく反論の言葉が見つからなかった。しかし内心の怒りはさらに募り、衣が風もないのにひらりと揺れた。
しばらくして、中央の女性が払塵を一振りした。それは短槍のように手を離れ、武雲の額を直撃しようとする。
一道の光束は風雷の如く。武雲は内心で驚き、避けられないと悟ると、慌てて両手を上げて防ごうとした。
「ぱんっ!」
払塵は武雲の手の平を貫き、両掌を突き刺した。額から一寸ほどのところで止まり、鮮血が白い払塵を染めていった。
そして女性の冷たい声が響いた。
「口先ばかりで言葉巧み。それがお前ら凡人の常だ。我々と比べるなどおこがましい。今日、お前を罰さねば、仙家の威厳が地に落ちる」
「武雲!」
老人が叫んだが、立ち上がることはできなかった。
その時、殿外から一人の男が飛び込んできた。肩幅が広くたくましい体躯、髪は肩まで伸び、紫色の勁装をまとっている。武雲の肩を支えながら慌てて言った。
「武雲!」
武雲は歯を食いしばり、三人の女性を睨みつけた。手の平を貫かれた痛みは激しく、額から冷や汗が流れ落ちるが、それでも負けず嫌いに言い返した。
「お前ら仙人と魔に何の違いがある?人命を蟻のように扱い、我々を奴隷同然に見下す。じいさん、いつまで跪いてるんだ!」
「黙れ!」
ずっと平伏していた老人が突然激怒し、立ち上がると一掌を振るい、武雲の腹を打った。
「どんっ!」
武雲は吹き飛ばされ、殿門の外まで飛ばされて地面に叩きつけられ、一口の鮮血を吐いた。
殿内にいた中年の男は呆然とその場に立ち尽くした。
「父上、あなたは?」
「黙れ、この不孝者め!普段から息子をきちんと躾けていなかったから、仙子を怒らせるような真似をさせてしまうのだ!滾がれ!」
老人の怒りは収まらず、白い髭が震え続けている。
中年の男は仕方なく振り返り、殿外の武雲の元へ駆け寄ると、手を伸ばして刺さった払塵を掴もうとした。しかし払塵の表面に突然白光が現れ、針のように男の手に刺さった。手を見ると蜂の巣のようで、無数の細かい血の穴から血が滲み出ている。
中年の男はわずかに眉をひそめただけで、少しもためらわずに払塵を掴み、ゆっくりと引き抜いた。殿内を冷たい目で一瞥すると、手を一振りして、払塵を槍のように中央の女性へと投げ返した。
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