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山田浅右衛門 吉睦〜斬痕見立て帖〜  作者: やはぎ・エリンギ
第二章 影斬りの刀

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36/36

「春の余白、斬痕のあとさき」

春の江戸、川辺の柳がゆっくりと芽吹き始める。


 吉睦が町の裏道を歩く姿は、もう江戸の町では見慣れた風景になっていた。

 だが、町のどこかには、いまだ誰のものとも知れぬ“斬痕”が静かに刻まれている。



---


 あの夜の騒ぎは、表向きは“辻斬りの一味捕縛”として片付けられた。

 だが、町の人々の胸には、“型”の噂や恐れが微かな傷跡となって残ったままだ。



---


 吉昌は、静かな座敷で巻紙をひとつひとつ並べていた。

 師から託された景光写しの刀も、今は新しい白鞘に納めてある。


 斬痕の線――

 それぞれの傷口は、斬った者ごとに、心の闇と希望を滲ませていた。



---


 ある日、吉昌はふと窓の外を眺めた。

 春の陽ざし、どこかで遊ぶ子どもたちの声。

 その隣では、吉睦が静かに茶をすする。


 「どうした、吉昌」


 「……いいえ、ただ、町が静かになったなと思いまして」


 「静かな時ほど、見えぬ“型”が動き出すものだ」



---


 吉昌は深く頷き、巻紙に筆を走らせる。

 (いずれまた、未解決の斬痕が現れるだろう。

 だが、その時は自分が“見立てる”番だ)



---


 外の空気には、春の匂いが満ちている。



---


 そして、町のどこかでまた、新たな斬痕が生まれる。

 その痕が、誰の“業”を語り、何を遺すのか――

 まだ誰にも、分からない。



---


 斬痕見立て帖

 その物語は、静かに、だが確かに、次の世代へと続いていく――



1部完

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