療養・作戦会議
町医者の診療所。
夜明け前の冷たい空気と、薬草の匂いが漂う。
吉睦は肩に包帯を巻いたまま目を覚ました。
すぐ横で、録之助が布団に寝転んでいる。
腕に分厚い包帯を巻き、天井をじっと見つめている。
「……しぶといな、お前も」
録之助がぽつりと言った。
「お互い様だろう。ひでえやられ方だったな」
吉睦が苦笑する。
「小森の剣、ちょっと次元が違ったな……型の通りに斬られて、何もできなかった」
「動きも読まれてた。素人相手の斬りじゃねぇ。……油断したのが悪かった」
二人はしばらく黙り込んだ。
「けど、このまま引き下がるわけにはいかねぇだろ」
録之助が体を起こして、きつく言う。
「また誰かが斬られる。今度は、こっちから仕掛けるしかない」
吉睦もうなずく。
「……“型”の執念があいつを動かしてる。次は誘い出して、止めを刺すしかないな」
「やるしかねぇな。今度こそ、決着つけようぜ」
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春の兆しが江戸の町に忍び寄っていた。
二人は、最後の勝負に向けてゆっくりと立ち上がった。




