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第98話 初旅行は東京になりました

 月日が経つのも早いもので、今日から東京で開催される新人冒険者交流会に参加するため、新大阪駅に来ている。


 交流会は明日なんだけど、1日早く行って東京見物する事にした。


 もちろん、空を飛んで行ったら数十分で着くんだけど、色々とギルドが用意してくれたので、旅行気分も楽しむ為に新幹線で行く事にした。


 僕は初めてクレセントで行く旅行なので、嬉しくて昨日は寝付けなかったぐらいだ。


 旅行の用意は<虚空庫>があるので、全員手ぶらなんだけど、新幹線の中で食べる駅弁を買いに皆で来ている。


 どれもこれも美味しそうで目移りしちゃうけど、断腸の思いで3つにしておいた。



「も~ ヨウ君。駅弁3つなんて食べすぎよ」


「え~ アヤメさんも沢山お菓子買ってるじゃないですか」


「こ、これは皆の分よ」


「あ~ いっけないんだ~ ツドイってばビール買ってる」


「えっ? 新幹線ならビールだよ?」


「フフ、ちょっと飲みたいような気がしますね♪」


「うわ~ リラ姉が悪い子になってる~」


「ナギサにノノは飲まないのかな?」


「「飲みます♪」」


「ナギサが買ってるの、ビールのツマミばかりじゃない?」


「にひひ、バレたか。どれもこれも美味しそうなんだよね~♪」


「あはは、今日は朝から乾杯ですね」


「うふふ、旅の醍醐味だね~♪」



 流石にビールをケースで買っているのには驚いたけど、其々が色んな物を買っているのが実に楽しそうだった。


 トイレに行ってから全員で新幹線に乗りにいくと、まるで未来の乗り物みたいな形状をしている。


 今まで新幹線なんて乗った事なかったけど、凄いなと思いながら車両の中へ入る。


 新幹線の切符を見ながら自分の席を探していると、3人掛けの座席が目に入った。


 すると、ナギサさんが座席を回転してくれ、6人が向かい合わせになるようにしてくれた。



「へええ~ 新幹線の座席って回転出来るんですね」


「んふふ、全部がそうじゃないんだけどね、私達6人だし調べておいたんだ」



 早速全員座席に座った。僕は真ん中の座席に座ったので、前面と両手に花状態になる。なんて素晴らしいんだと感動した。



「んふふ、じゃ、早速いきますか♪」


「も~ まだ、出発もしてないじゃない」


「やっぱり、新幹線はこれだよね」


「今日は朝から乾杯ですね♪」


「何時もならダンジョンに潜ってる時間なんだけど、朝からビールも良いですね」


「フフ、たまには良いですね」


「ほらほら、ヨウ君」


「はいはい♪ じゃクレセント初旅行を祝して朝から乾杯!」


「「「「「かんぱ~い♪」」」」」


「プハッ!? 美味しい~♪」


「あ~ 何か普段出来ない事するのって楽しいわね」


「にひひ、ツマミいっぱいあるから食べて食べて」


「チーカマいっただきー♪」


「へえ~ 牡蠣のパック詰めなんてあるんですね~」


「これは何ですか?」


「ビーフジャーキーよ、やっぱり冒険者なら干し肉食べないとね♪」


「あはは、それ良いですね♪ 後はカチカチのパンとか?」


「そんなの売ってないわよ~」



 こうして僕達の席だけ酒盛り状態になったけど、極力静かに騒ぐことにした。


 他のお客さんに迷惑だしね。


 周りを見渡せば仕事に行く人が多いのかスーツを着た男性が多く、静かにしてる筈なんだけどチラチラと此方を見ているようだ。


 まあ朝から酒盛りしてたら目立つよね。




「おいおいおい、見たかあれ?」


「当然見たって、羨ましすぎて泣きそうになったよ・・・」


「しかし、美人すぎねえか? あれ絶対プロのモデルか何かだぜ、すっげえスタイルも良いしよ」


「社長秘書みたいな美人も居たぞ? くそう、ハゲてから爆ぜろ」


「あんなに美人な女性達が楽しそうに酒盛りしてるのって、見てるだけで幸せになるよな」


「それが、あの少年みたいな男が独り占めしてるんだよ」


「くそう、こっちは仕事なのに旨そうに飲みやがって、羨ましすぎるだろ」


「やめろやめろ、悲しくなる・・・あんな、美人が楽しそうに笑ってるのが見られただけでも幸運なんだからよ」


「確かに見るだけでも幸せになるよな、あんな美人が本当に居るんだな」




 僕達が乗っている新幹線が動き出した。


 どうやら出発したらしい。窓から見る景色が流れていく。


 出発した事だし、僕は早速駅弁に手を掛け1つ目を食べることにした。



「ヨウ君、もう駅弁食べちゃうの?」


「大丈夫です。3つありますから」


「何が、大丈夫なのか分かんないわよ」


「あはは、私も食べちゃおっと」



 結局僕が駅弁を食べ出すと、皆も食べたくなったのか全員駅弁を食べることになった。



「うふふ、やだ美味しいじゃない」


「ね~ ビールが進むわ♪」


「フフ、太っちゃいそうですね」


「そう言いながらリラ姉、もうビール4本目よ?」


「僕ずっと運転手だったから、自由にお酒飲めるのって嬉しいんだよね」


「これからは、好きな時にお酒飲んで下さいね、僕いつでも解毒魔法で治しますから」


「三日月君は優しいから僕、駄目人間になっちゃいそうだよ」


「あはは、ツドイさんなら大丈夫ですよ」


「うわっ! ヨウ君もう駅弁3つ食べちゃったの?」


「はい、5つぐらい買っとくべきでした・・・」


「どうして、ヨウ君って太んないのかしら・・・お菓子ならあるわよ?」


「えへへ、頂きます♪」



 片道2時間半の新幹線での旅も、あっという間に終わってしまい、僕達は東京駅に足を踏み入れた。


 流石に右も左も分からないんだけど、腹ごなしに色々見ながら歩くのも悪くない。


 色々とリラさんが有名な所を調べてくれていたので、歩いて移動する事にしたが、流石に東京だけあり高層ビルばかりだった。


 僕達は東京駅周辺の有名な所を歩きながら観光し、後はツドイさんの車で移動する事にした。


 もちろん、お酒を抜くために全員に解毒魔法の<デトック>を掛けておいた。



「あれだけ、お酒飲んで直ぐに車の運転が出来るって良いね」


「うふふ、魔法様様よね、本当に色々と便利だわ」


「フフ、とりあえず観光ならスカイツリーか東京タワーでしょうか?」


「それも良いですね、雷門とかアメ横も見てみたいです」


「んふふ、それって漫画の影響でしょ?」


「あはは、バレましたか♪」


「観光も色々ありすぎて迷っちゃうわね、適当にドンドン見て行こっか?」


「了解です、色々美味しい物もありそうですし」


「まだ食べる気なの?」


「えへへ、食べまくっちゃいますよ?」


「絶対太っちゃうよ~」


「別に無理して食べなくても良いでしょ?」


「アヤメは美味しそうな物見て、我慢出来るって言うの?」


「・・・ダンジョンで運動するから大丈夫」


「やっぱり、食べるんじゃない?」


「フフ~ せっかくの旅行ですから堪能しないとですよ」


「そうだよね。僕も今日は沢山食べちゃうよ」



 この日、僕達はクタクタになるまで東京見物し、美味しそうな物を見つけては食べ歩いた。


 そろそろ、ギルドが取ってくれた今日、宿泊するホテルに行く事にした。


 ホテルに着いてみると、そこは東京らしい高層ビルのホテルで豪華な造りだった。


 リラさんがフロントで受付をしてくれ部屋に案内してくれると、最上階にある、とても広い部屋なのに驚く事になる。


 流石に自分達が住んでいる部屋よりも狭いが、エキゾチックなデザインのせいか、趣が全然違うので新鮮な気分になる。


 6人部屋であり、ベッドが6台繋がってるから、端から端まで転がってみたくなる。


 大きな部屋風呂も設置してあり、お風呂からでも夜景が見れるようになっている、もちろん外からは見えないようになっているらしい。



「うわ~ ギルドも頑張って良い部屋を取ってくれたのね」


「何か新鮮だね」


「フフ~ 枕投げしたくなりますね~」


「ノノ駄目ですよ、<投擲>スキルを持っている私達なら、枕でも凶器になりますからね」


「あはは、枕で死んだら笑えないわね」


「んふふ、せっかくだから今日は皆でお風呂に入ろっか?」


「んっ? いつも皆で入ってるじゃないですか?」


「1人だけ一緒に入って無いでしょ?」


「えっ? まさか僕もですか?」


「ちょっと恥ずかしいけど、それも良いかもね」


「フフ、ヨウ様のお背中流します♪」


「今日はいっぱいヨウ様に御奉仕しますね♪」


「僕も頑張っちゃおうかな」


「えええっ? ほ、本気ですか?」


「にひひ、気合入れて行きますか♪」



 皆とは水着を着てジャグジーに入った事はあっても、一緒にお風呂に入った事は無いので僕はドギマギしていた。


 脱衣所に入ると皆照れながら服を脱ぎだしたので、僕もアワアワしながら一緒に服を脱ぎ大きなお風呂場に入る。


 流石に皆バスタオルで体を隠しているが、それでもドキドキが止まらない。



「も~ あんまりジロジロ見ちゃ駄目、恥ずかしいでしょ?」


「す、すみません・・・でも、見ちゃいますよぉー」


「ひゃー、やっぱりちょっと照れるわね」


「フフ、ヨウ様。熱ければお伝えくださいね」



 僕は視線のやり場に困ったが、どうしても目が追い掛けてしまうのが制止出来ない・・・


 椅子に座るとリラさんがシャワーで体を流してくれ、皆で頭から足まで洗ってくれる。まるで王様にでもなったような気分だ。



「何時みても凄い体よね、背中の筋肉も盛り上がってるんだから」


「髪も短いけど艶々だね。やっぱり男の子でもケルピーの美容効果がちゃんと出てるんだ」


「そうなのかな、あんまり気にした事無いので分かりませんでした」


「肌もツルツルで気持ち良いよ」


「あはは、擽ったいですよツドイさん♪」



 6人掛かりで洗ってくれたので直ぐに洗い終わり、お礼に皆にシャンプーをしていった女性の髪は長いので洗うのも大変なんだと初めて知った。



「えっと、痒いとこありませんか?」


「あはは、美容院の真似しなくても良いのよ」


「フフ、ヨウ様良く御存知ですね?」


「えへへ、テレビで見た事あるんですよ」


「んふふ、男性にシャンプーして貰ったの初めてかも」


「へえ~ 美容師さんって女性ばかりなんだ?」


「そんな事無いわよ? 男性も居るけど、やっぱり女性の方が多いみたい」



 僕はシャンプー・トリートメント・コンディショナーと順番に髪を洗って、女性は大変なのを思い知った。



「フ~ 女性は大変なんですね」


「うふふ ヨウ君のお陰で綺麗になったから、お手入れはちゃんとしとかないとね」


「だから、皆さんの髪の毛っていつも変わらず綺麗なんですね」


「殆どケルピーの美容効果なんだからさ、照れる事言わないの」


「さて、洗い終わったし湯舟に入ろっか」



 皆に勧められるまま僕は一番最初に湯舟に入った。


 もちろん前を隠していたタオルを外したので、少し恥ずかしいんだけど。


 すると、皆もタオルを外し全員湯舟に入ってくる。


 流石にタオルを外すと全員の大きな胸が見えるんだけど、こんなに明るい所で全員の双丘を見ると壮観を通り越して至福の光景になる。


 大きな湯舟だけど6人で浸かっていると僕を取り囲むようになり、どこを見ても頬が緩む。



「三日月君、照れてないで普通に見て良いよ?」


「んふふ、ヨウ君に大サービスしちゃおーか♪」



 ツドイさんとナギサさんは僕の左右に体を寄せてくれた。


 それだけで、こんなに幸せな気分に成れるのかと感動を覚える程だった。



「フフ、王様気分はどうですか?」


「フフ~ リラ姉そんな事聞かなくても幸せそうな表情で直ぐに分かるよ♪」


「も~ ヨウ君ったら、幸せそうな顔しちゃって♪」


「し、仕方ないですよ、こんなことされたら男なら誰だって・・・」


「んふふ、のぼせるまで堪能して良いわよ♪」



 皆はローテーションして僕の腕や足のマッサージまでしてくれて、本当に王様気分でお風呂を堪能した。


 お風呂上りには皆でビールを乾杯して、今は6つ繋がったベッドに皆で転がって遊んでいる。



「あはは、何か楽しいですね」


「ホント、修学旅行っぽいわね」


「あっ! そうだ。マッサージのお礼に僕もお返ししちゃおうかな」


「んふふ、6人も居たら大変じゃない?」


「ん~ 実はスキルを少し整理したついでに<看破>スキルを三段階目まで上げたんですよ。


そうしたら、疲れを癒すツボとか気持ちの良くなるツボまで分かるようになったみたいなんです。


気持ちが良くなるツボなんて面白いんですよ、全員場所が違うんです」


「「「「「・・・・・・」」」」」


「そ、それって性感・・・」


「アヤメさんから、やっちゃいますねー」


「えっ? ちょ、ちょっと待って・・・ぴぎゃ、ガクッ」


「あれっ? アヤメさん? おかしいな~ 寝ちゃうツボだったのかな」


「今度は、ナギサさんですね」


「ま、待ってヨウ君。腕に触っただけで蕩けた表情で失神するのって絶対おかしいから」


「ナギサさんは、背中ですね~」


「お願い。聞いてヨウ君~ んきゃ、ガクッ」


「あれっ? 気持ち良さそうな表情してるから間違ってないと思うんだけど、どうして寝ちゃうんだろ?」



 僕が首を傾げていると、リラさんノノさんツドイさんの3人は逃げる体制を整えている。


 きっと遠慮してるんだと思い、逃がさないように全員に施術すると、皆幸せそうな表情で寝てしまった。


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