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第97話 何かイベントがあるそうです

評価やブックマークを付けて下さった方、ありがとうございます。

少しでも楽しんでいただけたのかなと思うと、とても嬉しいです。


 今日も気持ちの良い朝を迎え、皆で朝食を取っていると久しぶりに大阪ダンジョンギルドの部長さんから連絡が入った。


 なんだろうと思ったら、何か東京でイベントがあるので参加してみないか? っと、言う内容だった。


 僕達はとりあえず詳細を聞くために、ダンジョンの帰りにギルドへ行く事を告げておいた。



「あっ! ひょっとしたら新人交流会じゃないかな?」


「そっか、もうそんな時期よね。でも、ヨウ君が新人交流会ってどうなのかしら」


「それって、どんなイベントなんですか?」


「えっとね、一年に一度あるんだけど。新人冒険者を対象に東京で交流会をするのよ、全国から有望な新人が集まってくるから色々な情報交換に良いみたいよ」


「なるほど。面白そうですね~」


「フフ、しかし、ヨウ様には有用な情報は集まらないかもしれませんよ?」


「フフ~ でも、観光には良いかもしれませんね」


「僕達には旅行みたいだね」


「へええ~ 上級ダンジョンも踏破した事だし、タイミング的には良いですね、とりあえず話を聞いてから決めましょうか?」


「そうね、面白そうだわ♪」



 こうして、今日はダンジョンに行ってからギルドへ行く事になる。


 ついでに部長さんには以前迷惑を掛けたから手土産も持って行く事にしよう。


 手土産は何が良いか考えたけど、子供も居るだろうからホットラッチにすることにした。


 お店に売っている物より格段に美味しいので喜んでくれるだろう。


 午前中のダンジョンは誰に会うことなくサクサクと終わったので、軽く昼食を取ってからギルドへ向かった。


 ギルドへ着くと、久しぶりに顔を出したせいかギルド職員達は、緊張した面持ちで迎えてくれる。


 おそらく今日、僕達がギルドへ来る事を部長さんから聞いていたのだろう、何時もの様にVIPルームへ案内され、中へ入ると既に部長さんが待っていてくれた。



「こんにちわ、岩永部長」


「こんにちわ三日月君。元気そうで何よりだよ」


「えっと、以前部長さんにはご迷惑を掛けてしまったので、お詫びにこれを持ってきたんですよ」



 僕は<虚空界>からホットラッチを取り出して、岩永部長へ差し出した。



「これは気を使わせてしまったね。しかも、こんなに沢山ありがとう子供が喜ぶよ」


「いえいえ、それよりどうしたんです?」



 何か部長さんを見ていると、動きが変だったので聞いて見た。



「ああ、少し腰を痛めてしまってね。ハハハ、ギックリ腰ってやつだよ」


「そうでしたか。じゃ、治しちゃいますから上着だけ脱いで下さい」


「んっ? 治すとは?」


「んふふ、さっ! 岩永部長上着を預かりますね」


「ア、アヤメ君?」


「えっと、ちょっと行儀悪いですがテーブルの上に、うつ伏せになって貰えますか」


「あ、ああ」


「ん~ ヘルニアですね。かなり痛かったでしょうに頑張り過ぎですよ。岩永部長」


「ハハハ、腰が痛いぐらいでは休んでられんよ、今が頑張り時だからね」



 僕は先ずヘルニアを治す為に<ハイエストヒール>を掛けて、ついでに<看破>スキルで発見した肩こりと、持病だろうか胃潰瘍も治して上げた。



「はい、これで大丈夫ですよ」


「おお~痛くない。いやいや、凄いね三日月君。もう全く痛くないよ」


「それは良かったです。ついでに肩こりと胃潰瘍も治しちゃいましたから大事にして下さいね」


「何故それを? そういえば肩が軽い・・・いや~ ありがとう。これは逆に何かお礼をしなきゃいけないね」


「いえいえ、ほんのサービスですからお気にせずに、それより話を聞かせて下さい」


「ああ、そうだったね実はアヤメ君とナギサ君なら既に知っていると思うが、恒例の新人交流会が今年も東京で開催されるんだよ。


もちろん、三日月君が既に新人の枠では無い事は承知しているんだけどね。


毎年、有望な新人冒険者パーティを派遣しているので、一応三日月君にも声を掛けておこうと思った訳なんだよ」


「なるほど、交流会って何をするんですか?」


「最初に簡単な説明会があって、そこから色々なスキルや魔法の説明があり、実際にスキルや魔法を見せてくれるようだね。


後は新人同士の模擬戦があり、高ランク者から戦闘方法での助言もしてくれるらしいね。


参加者は日本各地から集まって来るので、情報交換の場も開かれるそうだ。


っと、言う様に表向きには、新人冒険者の為になる交流会と言う訳だ」


「フフ、流石岩永部長ですね、ちゃんと裏側も教えていただけるのですね?」


「察しが言いね、もちろんだよ。実はこの交流会に東京ギルド本部の鑑定人である藤堂院透子とうどういんとうこも参加していてね。


我々は本部が日本各地でのスキルや魔法の習得状況を調べる為にあると思っているんだよ」


「んふふ、今年は私にそれを調べて来て欲しいって事ですね?」


「あはは、そこまでは言わんよ。それに君達のスキルや魔法を見られるかもしれない事を伝えたくてね、もちろん断ってくれても構わないよ」



 部長さんに色々と話を聞いていると、VIPルームに社長さんと支部長さんも来てくれたようだ。


 来客が僕達ってのが分かっている筈なのに、ちゃんと秘書さんがドアをノックしてくれ、部屋に入る許可を取ってくれるのが少し嬉しかった。



「遅くなってすまない、久しぶりだね三日月君」


「お久しぶりです瀧見社長、斗沢支部長」


「本当に会うのは久しぶりだね、三日月君のお陰で嬉しい悲鳴を上げる程、忙しくなっているよ」


「あはは、それは良かったです。良かったですが、少し疲れているみたいですね?」


「まあ、確かに疲れてはいるが、今はそんな事言ってられないのだよ」


「ん~ 瀧見社長も腰痛ですか、後は肝臓が弱ってますね」


「斗沢支部長は・・・おおっと! 初期の肺ガンですね。僕、今日ギルドに来て良かったです」


「ちょ、ちょっと待ってくれ三日月君。冗談にしてはキツイんだが?」


「うわ~ 良かったですね斗沢支部長。死んじゃうとこでしたね」


「ほ、本当なのかね?」


「・・・三日月君が、そんな冗談を言うとは思えない斗沢支部長。直ぐに病院で検査を受けて来たまえ」


「は、はい」


「あっ! 待って下さい。今、僕が治しちゃうんで上着を脱いで貰えますか?」


「「はっ?」」


「・・・すまない、三日月君の言っている意味が分からないんだが?」


「あはは、そうですよね。まあ、とりあえず上着を脱いでテーブルに寝て下さい。直ぐに終わりますから」


「さあ、上着を預かりますから、ヨウ君の言った通りにして下さい」


「ア、アヤメ君・・・」



 社長さんと支部長さんは怪訝な表情をしていたが、僕が言った通りテーブルに仰向けになって寝てくれている。


 僕は先ず支部長さんの肺ガンを治す為に<ハイエストメディカル>を唱え、ついでに疲労している身体を癒していく。


 続いて社長さんにも<ハイエストヒール>を掛けて腰痛や弱っている肝臓を治してあげた。



「よし! 終わりましたよ。痛い所や悪くなっていた所は全て治しておきましたから、身体の調子を確かめて下さい」


「確かに腰が痛くない。それに、あの光は<回復魔法>なんだね?」


「フフ、<回復魔法>を掛けられるのは初めてだったようですね」


「それでは私の肺ガンも完治したと?」


「はい、<快癒魔法>で綺麗に治しましたから御心配無く」


「し、信じられん<快癒魔法>とは、癌まで治療出来るのかね?」


「ウフフ、斗沢支部長。勘違いしては駄目ですよ? 普通の<快癒魔法>で治る訳ではないですから」


「やはりそうなんだね・・・しかし、どうやら命まで助けて貰ったみたいだね、三日月君ありがとう。今は死ぬ訳にはいかないので本当に助かったよ」


「いえいえ、普通の病院でも治るレベルだったと思いますから」


「あはは、いやいや。おそらく末期になるまで病院には行かなかったから、命の恩人に変わりは無いよ」


「しかし、凄まじい魔法を身に着けたみたいだね、本当にありがとう助かったよ」


「う~ん・・・」


「どうしたんです瀧見社長?」


「いや、今回の交流会の事なんだが、東京本部の奴等は鼻持ちならない奴が多くてな。


やれ、地方の冒険者のレベルは低いやら、東京のギルド本部は凄いとか自慢ばかりしていてな。


三日月君達の実力をしれば、東京ギルド本部の奴等もデカい口を叩けなくなると思っていたのだよ。


だが、そんな小さい事より三日月君達のスキルや魔法が知られない方が余程大事だと思ってな。


今回の交流会については、三日月君に判断を仰ごうと思っていたが、やはり違う者にした方が良いだろう」


「お気遣いありがたいですが、僕達のステータスなら<鑑定>スキルで見る事は出来ませんから大丈夫ですよ?」


「なんと、それが本当なら三日月君達のスキルや魔法が見られる心配も無くなるな」


「はい、何か面白そうだから行って見る事にします。幸い、アヤメさん達も乗り気ですし」


「そうか、フフフ、ありがとう。東京勢の驚く顔が目に浮かぶな♪」


「んふふ 瀧見社長。よっぽど腹が立ってたんですね」


「まあな、しかし三日月君のお陰で大阪はオークションも開けるようになったし毎回希少なスキルオーブも出品させて貰っているお陰で、今では東京のオークションなんかより大阪の方が世界中で人気になっている。


東京本部からオークションの事でも散々バカにされておったからな、ざまあみろと言う奴だ。ワハハハハ


まあ、そのために嬉しい悲鳴も上げている訳だが、我々の病気や怪我まで治してくれて本当にありがとう」


「私からもお礼を言うよ。まさか、私が肺ガンだったとは三日月君は命の恩人だよ」


「私も腰痛に悩まされていたが本当にありがとう、大阪ギルドがもっと繁栄するよう頑張るよ」


「いえいえ、大した事じゃないですからお気にせず」



 話しも聞き終わったので、僕達はギルドを後にして部屋に帰る事にした。


 ちなみに東京まで新幹線を取ってくれており、ホテルも予約してあるらしい。


 至れり尽くせりで申し訳ないぐらいだ。



「しっかし、よっぽど東京のギルド本部に腹を立ててたんでしょうね?」


「あはは、僕もそれは少し思いましたね~」


「まあ、そっちの方が嫌なことがあっても我慢しなくて良いわね」


「フフ~ 東京楽しみですね。きっとヨウ様をしれば、皆驚くと思いますし」


「いやいや、日本のギルドでも一番規模が大きいですからね、きっと僕より凄い人が居るかもですよ?」


「「「「「・・・・・」」」」」


「ヨウ君みたいな新人冒険者が居たら、こっちの方が驚くわよ?」


「そうだよ? 僕達でも手加減して上げないと」


「それと、今までのお礼に東京勢のステータスは把握しとかないとね♪」


「はい、今まで視られていたんなら遠慮する事もないですよね、東京に行ったら鑑定しまくっちゃいましょうか」


「「「「「了解よ!」」」」」


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