第90話 久々のスキル祭です
何とかコトエさんも歩けるぐらい回復したので、お互いにダンジョンへ向かう事にした。
今日は地下20階のボス戦からスタートし、今は地下26階に来ている。
地下25階のラヴァサーペントから<激運>スキルを2つ補充し、この地下26階ではサラマンダーに出会った。
メチャクチャ有名な名前だけに、スキルも期待出来るだろうと、皆で楽しみにしている。
サラマンダー自体は、やはり<水属性魔法>が弱点なので倒すのは問題なかった。
こいつが持っている素材は輝石と言い、どうやら修復の効果があるようだ。
希少な鉱石のようだから、鍛冶師であるミナミさんに、良いお土産になるだろう。
そして、遂にスキルオーブを持っている個体を見つけた。
みんなで倒し、スキルオーブを確認すると<火属性強化>スキルだった。
<鑑定>によると言葉通り<火属性魔法>が格段に強化されるようだ。
「んふふ、私には嬉しいスキルだわ♪」
「でもアヤメ。ステータスも上がってるし、ちゃんと練習しとかないと大惨事になるわよ?」
「分かってるわよ~ 今でさえ全力で魔法使ってないし、ちゃんと注意するわ」
「今アヤメさんがフレアとかメテオみたいな魔法使ったら、凄いんでしょうね?」
「ブルッ!? やめてよ。ちょっと想像しちゃったじゃない?」
「ダンジョンが壊れちゃうね」
「フフ、ですが何時か必要になるかもしれませんよ」
「そうだよね、ちゃんと備えとかなきゃね」
火山地帯も進むに連れて、段々とマグマ地帯が増えてきて厳しい環境になってきたようだ。
<適温効果>スキルが無かったら、立っているのも辛いだろうと思う。
サラマンダーもサクサクと倒して行くと地下27階で、また新たな魔物に出会った。
「次はカメさんね?」
「ラヴァタートルって言う見たいよ?」
「硬そうな魔物ですね、武器が持たないかもしれませんよ?」
「僕達って、ハンマー系の武器無いですもんね」
「ヨウ君の格闘か魔法で倒すしか無いわね」
「分かりました。<水属性魔法>撃ってから試してみますね」
僕は<ウォーターボール>で弱らせてから、<硬質化>スキルを発動し頭上から甲羅目掛けて殴ってみた。
すると、甲羅から網目状の亀裂が入り、光の粒子となって消えていく。良かった無事倒せたようだ。
「うわ~ 流石ヨウ君ね、あんな硬そうな甲羅も砕いちゃうんだ」
「何とか倒せましたけど、やっぱり武器は折れちゃいそうですね、凄い手応えでした」
「むむ、やっぱり刀だと折れちゃうか~」
「フフ、早くアダマンタイト製の武器が欲しい所ですね」
「あれは時間掛かりそうだし、仕方ないよね」
「ヨウ君は武器も楽しみだろうけど、違う楽しみもあるもんね~♪」
「ナギサさん! 一応不本意なんですからね?」
「可愛いよねミナミさん」
「・・・まあ、綺麗な女性ですね。ストレートなところが可愛いと言うか・・・って、何を言わせるんですか」
「あはは、ヨウ君も嫌な訳じゃ無いんでしょ? 素直に楽しみにしとけば良いのよ」
「う~ 僕は皆さんが大人過ぎて、戸惑っちゃいますよ」
「フフ、皆さんが認める程、ヨウ様が凄い人って事です」
「フフ~ かと言ってヨウ様が素直に喜んでいたら、きっと皆、不機嫌になるんですよ? 大人の女性は難しいんですから」
「あ~ 僕もそんな気がします」
「んふふ、分かってれば良いのよ♪」
何故か複雑な心境になりながら魔物を討伐していき、スキルオーブを持っている個体も無事倒す事が出来た。
「えっと・・・<結界>ってスキルですね。うわ~ これは良いスキルですね」
「へええ~ <追加防御>と違って、任意の場所に<結界>を作れるんだ。大きさにも依るけど確かに便利そうね」
「素材は紅蓮石か~ また鉱石だからミナミさん行きだね」
「お肉もドロップしてますから、シオさんも喜んでくれそうです」
「きっと、あの娘なら大喜びするよ。絶対手に入らなそうだもん」
今日は地下20階からスタートしたせいか時間もマダマダあるので、次は地下28階で新たな魔物を探している。
中々見つからないので此処には居ないのかと思ったら、マグマの深部に初見の魔物が居るようだった。
感知系のスキルをフル活用して、ようやく見つけたのだがマグマの深部に居るので<水属性魔法>を使ったら、水蒸気爆発を起こしそうだ。
なので、<アースボール>で攻撃し陸地の近くまで誘導すると、ようやく姿を見る事が出来た。
名前はラヴァシャークと良い、まんまサメがマグマの中を泳いでいる。
「・・・なんかマグマの中を、サメが泳いでるってシュールな光景ね」
「なんか不思議だね」
ラヴァサーペントもそうだったけど、どれだけ熱耐性があるのか、ダンジョンは不思議がいっぱいだ。
かと言っても、陸地に近いところなら<水属性魔法>で簡単に倒す事が出来るので、僕達にとっては楽な魔物なんだけどね。
ドロップした素材は焔油と言い、鍛冶や錬金だけじゃなく料理にも使えるらしい。
そして、スキルの方は<反撃>と言うスキルだった。
攻撃を受けると相手にもダメージが入るようだ。
なんて、理不尽なスキルかと思うけど、使う分には嬉しい限りだね。
「でも私達って、全然攻撃を受けてないから、まだ微妙なスキルになるかな?」
「そうですね。でも、油断はできません。これから強敵が出てきたら重宝するかもです」
「今の私達から見て強敵って、とんでもないわよ?」
「いえいえ、僕達はマダマダ上級ダンジョン程度ですから、特級や未知のダンジョンもあるかもですし」
「先は長そうだね」
「楽しみですね~♪」
「あはは、負けるわヨウ君には」
探すのが大変だったラヴァシャークも、一度見つけると群れでいるのでサクサクと討伐していった。
焔油もいっぱい入手する事が出来たので、次の階層に進む事にした。
地下29階に下りると、今度は直ぐに初見の魔物に出会った、久しぶりにゴーレムさんのようだ。
名前はラヴァゴーレムと言い、体が溶岩で出来ているようだ。
もちろん、冷やして叩くのコンボでアッサリ倒せた。
火山地帯は魔物との戦闘より、地形に対応する方が難しいんだろう。
水属性魔法が無かったら、僕達でも苦労していたかもしれない。
そして、スキルの方は<魔力炉>と言うスキルで、MPの回復速度が格段に上がるようだ。
「ウフフ、火山地帯って、魔法に有用なスキルが多くて嬉しいわ♪」
「アヤメもドンドン人外になっていくわね~」
「ヨウ君に比べたらマダマダ普通よ?」
「ヨウ君に比べたら全人類が普通じゃない?」
「・・・僕の評価はどこに着地するんでしょうか?」
「フフ~ もちろん素敵な旦那様です♪」
ノノさんの言葉に照れながらも、またダンジョンを進んで行き、遂に地下30階の最下層に辿り着いた。
「いよいよ、上級ダンジョンも最後の階層なのね、ちょっと信じられないわ」
「ホント、ホント、普通の受付嬢だったんだけどね~ 人生って分からないわ」
「僕も運転手だったんだけどね」
「私達は元々冒険者だったから、復帰になるのかな」
「フフ、そうですね復帰後じゃ無ければ、絶対に上級ダンジョンの最下層には来れませんでしたけど」
「でも、冒険者って最高だよね?」
「「「「もちろん♪」」」」
「皆を巻き込んじゃったから、そう言って貰えると嬉しいですね」
「んふふ、巻き込まれたなんて緩いもんじゃないわよ? 激変からの激動なんだから」
「そー言う事♪」
どうやら上級ダンジョンの最下層に来た事は、僕だけじゃなく皆も色々な感情があるようだ。
感慨に耽っていると、空にワイバーンぐらいの大きさの火の鳥が飛んでいるのを、皆で茫然と見る事になる。
「・・・あれってフェニックスだよね?」
「流石に上級ダンジョンの最下層ですね、凄い魔物見ちゃいました」
「ふあ~ 私達フェニックスまで倒しちゃうんだ」
「かなりの高度だったよね?」
「フフ、空中戦になりそうですね」
「フフ~ 空を飛ぶ練習しといて良かったですね」
「ですね。でも、安全のためにもマグマの上は避けましょうか」
「「「「「了解!」」」」」
僕達は初めて魔物を狩る為に<高速飛翔>スキルを使い、空中戦に挑む事になった。
空を飛びフェニックスに対峙すると、向こうも敵と判断したのか<ファイアボール>を放ってきた。
幸い、空を飛ぶスピードは僕達の方が速く、攻撃を回避するのは簡単だったので<ウォーターボール>で迎撃し、身に纏っている炎が消えると次々と地面へ落ちていった。
地面へ落ちたフェニックスは、直ぐにまた炎を纏い復活するので、その前に攻撃し倒していった。
ドロップ品は光羽と言う非常に大きくて美しい羽だった。
名前の通り淡く光っており、何色なのか判断が付かない、不思議な素材だった。
「フ~ 何回も復活されちゃったけど、何とか倒せたわね」
「流石にフェニックスって感じよね。これ、絶対空を飛べないと倒せないわよ」
「かなりの高度ですからね、ちょっと地上からの攻撃は無理ですね」
「フフ、市場に出ていない素材なのも頷けますね」
「火山地帯の素材なんて、殆ど市場に出てないもんね」
「僕達の独占だね」
「稼ぎたい放題ですね~♪ じゃ、スキルオーブを持ってる個体も倒しちゃいましょうか」
「あはは、何時も稼ぎ放題って気もするけど、行きましょうか」
フェニックスの倒し方も慣れてきたので、見つけた順番にドンドン倒していき、スキルオーブを持っている個体もロストせず無事手に入った。
驚く事に、一緒に魔法スクロールもドロップしたようだ。
「うわ~ スクロールもドロップしたみたい」
「やったね、んふふ、どんな魔法か楽しみ~♪」
「えっと、スキルは<復活>って? 嘘でしょ」
「あ~ 死なない訳じゃないみたいですね、1日に1回だけ致命傷を受けても復活出来るみたいです」
「それでも凄いよね?」
「スクロールも凄いわよ<光属性魔法>だって。これで全属性揃っちゃった♪」
「うわ~ 全属性魔法揃えたのって私達が初めてかもですね」
「流石に最下層だけあって、良い物出ますね~。僕は安全重視だから<復活>スキルが嬉しいですね」
「そうよね、1日1回でも凄い効果だわ・・・だって、普通なら致命傷受けたら死んじゃうんだもんね」
「復活出来ても、致命傷なんて受けたくないけどね」
「あはは、そりゃそうですよね。そんな事態にならない様に頑張ります」
後、残すはボス戦だけなんだけど、念のためにアダマンタイト製の武器が出来てから挑む事になり、今日はこれで帰る事にした。
って言っても今日はスキルや素材、魔法まで大収穫な一日になった。




