第88話 守護さんとこの新人さんを紹介してくれるそうです
僕達はスタンリーさんと別れた後、サクサクと階層を進んで行き、今日も地下20階のボスである地龍を撃破した。
メチャクチャLUKを上げたせいか、レアボスばかり出現するようになったのは、良いのか悪いのか・・・
地下21階からは火山地帯になっているため、温度もかなり高いんだけど、僕達には<適温効果>があるので快適に過ごす事が出来た。
地下21階から初見の魔物は、ファイアラット・一角火兎・ファイアウルフ・ファイアグリズリーと続いたが、スキルは今までに出たものばかりだった。
だが地下25階から、新たなスキルをゲットする事になる。
なんと、マグマの中を悠然と泳いでおり名前はラヴァサーペントと言うらしい。
近寄ると飛び掛かって来るので<水属性魔法>が使えるなら楽な相手だった。
「ドロップ品の黒赤皮って綺麗な皮ね、高級感があって高く売れそうよ」
「まあ、ヨウ君には小銭にも成らないんだけどね」
「いえいえ、フミさんへのお土産になりますから重宝しますよ」
「フフ、肉はシオさんへのお土産になりますしね」
「やっぱり、上級ダンジョンは色々と美味しいんだね」
「まっ! 倒せたらなんだけどね、特にこの火山地帯は<適温効果>スキルが無かったら来れないし」
「そっか、それを考えたら僕達なら稼ぎたい放題なんだ」
「フフ~ 次からは地下20階のボス戦からスタートするのも良いかもですね~」
「スキルも集まって来たし、そうしましょうか」
そして、このラヴァサーペントからスキルを持っている個体を見つけたので、喜んで倒して確認してみた。
「お~ <激運>スキルですね! えっと<鑑定>によると<幸運>スキルの上位版だ」
「へええ~ 凄いじゃない。ヨウ君には恩恵は無いけどね」
「でも、守護さん達なら、凄く良いスキルになりそうですね~」
「凄いどころか一般の冒険者なら、とんでもない価値があるわよ」
「知り合いにしか渡せないよね」
「ん~ とりあえず僕達で試してみましょうか」
「そうね、それが良いと思うわ。流石にヨウ君みたいなドロップ率にはならないでしょうけど」
こうして<激運>スキルは、僕達で効果を確認する事にした。
先へ進んで行くとナギサさんが、とても良い物を発見したのか走って行く。
「やった~ 思った通りこれホットラッチよ♪ いっぱい自生してる~ ちょっと採集してこうよ」
「へええ~ 良く見つけたわねナギサ。流石、果物好きの嗅覚は凄いわね」
「あっ! なるほど。これメチャクチャ甘かった果物ですよね?」
「そそ、火山地帯の果物だったんだね~ ライチみたいな果物なんだけど、冷やしたら甘くなるのよ」
「これ、私も大好きです♪ ヨウ様良いですか?」
「僕も大好きですから、全部採っていきましょう」
「フフ、分かりました」
ホットラッチはミカンのような木の枝に生っており、葉っぱもないのにソフトボールぐらいの大きさで沢山実っていた。
探してみると、結構な量があったので皆で手分けして採集していき、味見として<氷属性魔法>で冷やしてから食べて見る事にした。
皮を剥くと真っ白な果肉が出てきて、以前食べたホットラッチより瑞々しく手からポタポタと果汁が零れ落ちる。
僕達は、その白い果肉に被り付くと、新鮮なためか信じられない程甘く美味しかった。
「うわ~ これ以前食べたのより全然美味しい~♪」
「へえ~ やっぱり新鮮な方が、ずっと美味しいわ」
「うん、これ最高ですね。冷やして<虚空界>に収納しときますか」
「んふふ、<虚空界>は時間停止だもんね。凄い能力だわ」
「フフ、ヨウ様は規格外ですから」
「あはは、我ながら反則ですよね~」
「まっ、そのお陰で、私達も恩恵を受けてるんだし♪」
「そそ、ヨウ君様様よ」
この日は、目についたホットラッチを全部収穫し、帰る事にした。
果物好きのナギサさんが、とても喜ぶ顔を見る事が出来たので僕も嬉しい。
今日は何時もより遅くなったので、このまま部屋に戻ることにした。
今日は、守護さん達が新しいパーティメンバーを紹介してくれるために、来てくれるので待つことにした。
◇ ◇ ◇
<守護視点>
「ちょっと早いけど、そろそろ帰ろか?」
「もう、帰るんですか? コトエさん」
「そうですよ、まだ昼過ぎですよ? 約束は夕方なんですよね?」
「せや。でも、ホンマやったら今日はダンジョン中止しても良かったんやで?」
「ミミ、ルル、万が一でも遅れる訳にはいかない相手だって言ったでしょ?」
「「そうでした、すみません」」
「せやな、もっかい分かりやすく説明するとやな、今日会いに行く三日月はんには大恩があるんや。三日月はん達の言う事やったらウチ等は何でもするで」
「裸になれって言われたら直ぐに裸になるぐらいや」
「も~ コトエったら、そんな言い方したら誤解するでしょ? 三日月さんはそんな事言わないわよ」
「分かっとる。例えばの話しや」
「でも、コトエの言う通り、大切な人だから会う時は細心の注意を払ってね? 絶対に機嫌を損ねるような事しちゃ駄目よ」
「コトエさん達みたいな凄い人達が、そこまで言う人なんですね」
「「「「あはははは」」」」
「な、何が、そんなに可笑しいんですか?」
「ウフフ、三日月さん達に比べたら私達なんて虫けら同然よ?」
「そそ、世の中には本当に凄い人が居るんだから」
「でも、男性なんですよね?」
「そういえばミミ・ルルは男性が苦手なんだったわね。でも、大丈夫よ。三日月さんは絶対にナンパなんてして来ないから」
「せやで、嫌になるぐらいの綺麗な女性5人に囲まれてるさかいな~」
「コトエさん達もメチャクチャ綺麗じゃないですか? コトエさん達以上って、ちょっと想像がつかないんですけど」
「あらっ? 最初に私達に会った時、三日月さん達も見てる筈よ?」
「えっ? あ、あの時は緊張しててコトエさん達しか見て無かったかも」
「私もです、あの時は必死でしたから」
「なるほどな。まあ、会ったら分かる事や。それと念を押しとくけど三日月はんと会って知り得た情報は絶対秘密やで? 絶対の絶対や、喋ったらウチ等全員お終いや」
「そ、そんなに怖い人なんですか?」
「とても優しくて、とても恐ろしい人でもあるわ、少なくとも私達にとっては神様みたいね。でも、裏切るような事をしたら間違いなく終わりね」
「三日月はんはウチ等のパーティにミミとルルが入って、フルパーティに成った事を喜んでくれてるんや、ウチ等もミミとルルを信用して三日月はんに会わせるんやで?」
「分かりました。信用に応えるために頑張ります」
「私達口は堅いですから、余計な事は絶対に喋りません」
「あっ! 私達の秘密は三日月さんになら喋っても良いからね」
「「ええっ?」」
「ドロップ率やスキルの事も言って良いんですか?」
「良いわよ、むしろ三日月さん達には何も隠し事しちゃ駄目よ」
「コトエさん達が、とても信頼している人達なんですね」
「まあ、同期なんやけど師匠みたいな人やからな~」
「う~ 何か聞けば聞く程、どんな人なのか分からなくなります~」
「ウフフ、まあ会えば分かるわ♪ でも細心の注意を払ってね」
「「はい」」
さって、ミミとルルには念を押しといたし、ウチ等も三日月はん等に会うんわ久しぶりやな、また驚かされたりして・・・流石にそんな事はもう無いか。
ウチ等は早めにダンジョンを引き上げて、部屋に戻ってからお風呂へ入り、洋服に着替えてから三日月はんの部屋へ行く事にした。
ミミとルルは三日月はんが同じマンションの最上階に住んでいると言ったら、凄く驚いていた。
そういえば言った事無かったさかいな。
最上階専用エレベーターに乗ると緊張してるのが伝わってくる。
「ミミ、専用エレベーターって・・・」
「ルル、言葉通りだよね? 最上階の部屋だけのためにあるエレベーターってことだよね」
専用エレベーターは直ぐに到着し、いつものリビングへ通された。何時みても凄い部屋やわ。
「いらっしゃい、久しぶりですね」
「お久しぶりや、ちゃんと連れて来たで」
「その二人が新しいメンバーなんですね。へえ~ 聞いてた通り可愛い双子さんですね」
「わ、私は東林ミミ(とうばやし ミミ)って言います。今日は招待してくれてありがとうございます」
「私は東林ルルって言います。い、何時もコトエさん達にお世話になってます」
「んふふ、そんなに緊張しなくても良いわよ。さっ、座って座って」
リビングにはアヤメさん達も全員揃って出迎えてくれた。
予想通り、ミミ達はアヤメさん達の美しさに釘付けになっとるようや。
「信じられないぐらい綺麗な女性達です・・・」
「ホントに冒険者? モデルさんより綺麗です・・・」
「だから言ったやろ?」
「どうしたの?」
「実はこの二人ウチ等みたいに男性は苦手みたいやねん。でも、三日月はんは綺麗な女性5人に囲まれてるからナンパなんてされへんって言うとったんですよ」
「しかし、しばらく見ない間に、また綺麗になったんじゃないですか?」
「フフ、御上手ですね。コトエさん達も以前より可愛くなってますよ、頑張ってるみたいですね」
「最近はミミ達のステータス上げしとったんやけど、ようやくウチ等と同じぐらいのステータスになって来たさかい、全体的に上げるようにしたんや」
「なるほどね。可愛い双子さんが冒険者してたらナンパも多いわよね」
「男性は苦手ですか? 僕、慣れるまで遠慮した方が良いかな?」
「「いえ、大丈夫です!」」
「あはは、綺麗にハモったわね流石は双子さんね♪」
「なら良かったです。今日はゆっくりしてって下さいね」
「「はい、ありがとうございます」」
「でっ! どうですか? やっぱりフルパーティになったら戦闘も楽になりましたか」
「そうですね、ミミとルルは空手をやってたみたいで、かなり強いから助かってますね」
「そんな。何時も足を引っ張ってばかりで、申し訳ないです」
「そか、スキルが揃ってきたら頼もしくなりそうですね」
「あっ! そうだ。今日ダンジョンで採ってきた果物あるんだ、食べてみて」
ナギサ姉さんは、そう言うと氷で出来た綺麗な皿に、真っ白な果実を乗せた物を皆に配ってくれた。
「おおきに、では遠慮なく」
「「「「「うわ~~~♪」」」」」
「「お、美味しい~~~~~~♪」」
「んふふ、気に入ってくれた?」
「はい、とっても美味しいです♪」
「こんなに美味しい果物初めてです」
「確か以前にもいただきましたけど、今日の方が凄く美味しいですね」
「あっ、分かる? なんせ今日、上級ダンジョンの地下25階で採って来たばかりだからね新鮮なのよ」
「「「「「「ええっ!」」」」」」
「上級ダンジョンの地下25階って、凄い所まで行って来たんですね?」
「まあ、火山地帯だからね、ちょっと敷居は高いかな」
「そんな・・・一体どれだけの強さが」
「言ったやろ? 世の中は広いって、ウチ等とは比べ物にならん雲の上のような方達やから」
「あらっ? 私達はそんな事ないわよ、ヨウ君はそうだけどね」
「またアヤメさん、僕を人外みたいに言うんだから」
「「「「「あはははは」」」」」
「ところで、守護さん」
「はいな、そろそろ名前で呼んで欲しいんやけど?」
「ん~ 分かりました。じゃ、コトエさん、ユウカさん、マユさん、ナホさん」
「はいな」
「はい」
「えっ? はい」
「は、はい」
「4人に聞きたいのですが、東林ミミさんとルルさんは信用出来ますか?」
「ああ、信用出来る」
「もちろんです」
「はい、信頼出来ます」
「はい、間違いなく」
「分かりました。では、僕もミミさんとルルさんに絶対の信頼をおきますね」
「「ゴクッ! ありがとうございます」」
「では信頼の証としてミミさんとルルさんにも、僕からちょっとした手助けをさせて貰いたいんです」
「「えと・・・」」
「二人共冒険者になってから結構頑張ってきたでしょ? ミミさんは首と左肩、ルルさんは右足首と左の人差し指痛めてますよね?」
「「ええっ? どうしてそれを」」
「「あっ!」」
「こらっ? 痛いとこあったら言えって、言うとるやろ?」
「「ごっ、ごめんなさい」」
「コトエ怒らないの。パーティに入ったばかりだもんね、言えなかったのよ。でも、これからは正直に言ってね」
「「はい、すみません」」
「でも、平気なフリしてたのに・・・」
「ヨウ君、治療して上げるなら水着になって貰おうよ、どうせなら徹底的の方が良いでしょ?」
「ん~ でも男性が苦手みたいだし、どうかな?」
「ミミ、ルル怪我してたん黙ってた罰や。水着になるで」
「「ええっ? どうして水着なんですか?」」
「ウフフ、後で分かるわよ♪」




