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第86話 フラグって回収しちゃうもんですよね


 入手したアダマンタイト鉱石も、全てミナミさんに届けた。もう、これで6人分の武器を作れるぐらいの量は揃ったかな。


 完成にはかなり時間が掛かるみたいだけど、何とか加工することには成功したようだから、とりあえずは安心しておこう。


 さって、今日は何をしようかと考えていると、シオさんから連絡が入ったらしい。


 どうやら育てて貰っていた姫種が、遂に実をつけたらしいから来て欲しいと言う。


 楽しみの一つだった姫種が、どんな実をつけたのか、急いで見に行く事にした。



「あっ! いらっしゃい。待ってたわよ、ヨウ君」


「こんにちわ~ 実は楽しみにしてたんですよ、どんな実が生ったんですか?」


「う~ん・・・それは自分で確認した方が良いかもしれないよ?」


「私が何度見返しても、見間違いのような気がして仕方ないのよね・・・・・」


「・・・何か嫌な予感がするんですけど?」


「やっぱりヨウ君がフラグ立てるから~」


「ちょっと待って下さい! まだ、そうと決まった訳じゃないじゃないですか」


「あらっ? 今日は諦めが悪いのねヨウ君?」


「ん! どんな、とんでもないものが出来たのか見ないとね」


「・・・何故か、最早決定事項なんですね? 分かりました。確認しに行きましょう」



 僕はとりあえず姫種を植えた所を見て見ると、円錐形のまるで盆栽のような木にイチゴのような果物が生っているのが見える。


 見たこともない植物だけど、どうやら果物のようだ。


 僕はとりあえず<鑑定>せずに皆の反応を見ていると、空を向きながら片手を目を被せている人。


 口をポカンと開けて固まっている人、目を見開いて固まっている人、頭を抱えている人、額に汗を掻いている人と、多種多様なアクションを見せてくれている。



・・・嫌な予感しかしない!



 僕は諦めて<鑑定>スキルを使い、姫種の木を確認して見る事にした。



 【ピークベリー】:イチゴのような爽やかな酸味と甘みを持った非常に美味な果実。


 別名「エルフの実」と呼ばれている超希少な果実であり、大量の魔力がないと育たないと伝えられている。


 『効能』:この実を食した者は、肉体的ポテンシャルがピークの状態にまで若返り老化が非常に遅くなる。


 また、肉体的ポテンシャルがピークに達していない者は、ピークまで成長した後に同じ状態になる。



「ま、まだ、マシな方だよね?」


「どこがマシなのか分かんないんだけど?」


「きっと、世界中の女性が欲しがりますよね?」


「流石ヨウ様、御慧眼かと・・・」


「10年後に若さの秘訣を聞かれそうだね?」


「私は単純に嬉しいですね~♪ また、人間離れしちゃいそうですけど」


「あはは、そうだよね。僕も皆には何時までも若く美しくあって欲しいから、とりあえず全員で1つずつ食べてみようっか」


「シオ? どこいくの逃がさないわよ?」


「ちょっと待って! 私は頼まれて育てただけよ?」


「じゃ、聞くけど。食べないっていう選択肢はあるのかな?」


「・・・無いです。逆に上げないって言われたら、土下座して私にも下さいって頼むかも?」


「そうよね~ 私達ぐらいの女性で、これを欲しがらない人がいたら見てみたいわ」


「じゃ、皆で試食といきますか?」


「もちろんよ♪」



 全員、選択肢が無いにも関わらず、覚悟を決めてピークベリーを1つ、口の中へ放り込んだ。


 口腔内のピークベリーを噛んだ瞬間、爆弾のように甘さが弾け、爽やかな酸味が後味をスッキリさせていく。美味しい♪



「なにこれ?」


「うはっ! 美味しい~」


「これは凄いですね」


「これヤバいよ~」


「甘味爆弾だね」


「た、食べちゃった・・・でも、これ最高に美味しいわ♪ う~ お店で仕えないのが残念だわ」


「あはは、効能を考えるとお客さんには出せないですね~」


「しかし、予想通りですけど。皆さん全然変わりませんね?」


「う~ん、個人差はあるだろうけど、大体20~25歳ぐらいなのかな?」


「フフ、私達はケルピーの肉も食べてますし、分かり難いかもしれませんね」


「あっ! そっか。私達って恵まれすぎですよね」


「とりあえず、姫種がまだ10粒ほどあるんですけど、これもお願いして良いですか?」


「分かったわ。また育ったら連絡するわ。あっ! それと完熟した実は全部持ってってね、私が持ってても仕方ないし」


「分かりました。ありがとうございます」



 こうして完熟したピークベリーを50個ほど<虚空界>に入れて、シオさんの店を後にした。


 シオさんには、新たに<魔水><魔石><精密動作>スキルを渡して習得して貰った。


 これで、僕が渡した姫種を育てる事が出来るだろう。


 まあ、MPがそんなに無いから少量しか出せないか。


 SPオーブでINTを上げて貰っても良いんだけど、体を少しずつ慣らしていかなとだしな・・・


 一度職人さん達にもダンジョンに来て貰おうかな~ 


 まだ部屋に帰るには時間も早かったので、次はフミさんの所へ頼んでいた洋服がどうなってるのか見に行く事にした。


 まだ完成の連絡が入ってないので出来てないとは思うんだけど、せっかく良いピークベリーも手に入ったし遊びに行く事にした。


 フミさんの所へは<隠蔽>を掛けてから空を飛んで行く。


 玄関から入ったらどうしても目立っちゃうしね。


 一応行く前に連絡を入れておいたので、驚かす事もないだろうと思う。



「こんにちは、フミさん」


「こんにちわ三日月様。ウフフ、スーパーマンみたいですね」


「あはは、赤いマントも発注しましょうか?」


「ウフフ、それも素敵ですね。依頼の品は三日月様達のは出来てますが、ソフィア様達のは、まだもう少し時間が掛かりそうですわ」


「あっ! 私達の装備は出来てるんだ?」


「えっ? 受取りに来られたのでは無いのですか?」


「ん~ 今日はどっちかと言うと遊びに来たんですよ」


「遊びですか? ウフフ、それはそれは光栄ですわ♪」



 それからフミさんがコーヒーを出してくれたので、出来上がった装備を見ながら雑談する事にした。


 ここぞとばかりに女性達は洋服の事を聞き、色んなカタログに目を通し楽しそうにしていた。


 やはり女性は洋服とか好きなんだよね。



「ところでフミさん。ちょっと内緒話しを、したいんですが良いですか?」


「ウフフ、三日月様の内緒話しは怖いですね、あれからこの部屋の盗聴防止に力を入れましたから大丈夫ですわ」


「あはは、ありがとうございます。じゃ、ちょっと聞きたいんですが、フミさんは肉体的にピークだった頃まで若返りたいとか思いますか?」


「・・・普通なら此処で笑う所なのでしょうが、三日月様から聞く意味を考えると冷や汗が出てきますね」


「そんなに構えるような事じゃないんですが、あくまでも見た目の話ですからね」


「ウフフ、やはりどう考えても、何時までも若くいられるのは女性の夢でしょう? もちろん、そんな事が実現可能ならばの話ですが」


「ねーねー? ヨウ君。ついでと言っちゃなんだけど、あっちの方も食べて貰わない?」


「なら、徹底的にやっちゃいましょうか♪ フミさんって今日、時間ありますか?」


「ええ、時間ならありますけど?」


「じゃ、ちょっと僕の家まで来て貰って良いですか?」


「それは光栄ですが、先程の話と関係があるのでしょうか?」


「んふふ、フミさんには色々とお世話になっちゃってるもんね」


「そうですね。ところで、空を飛んで帰りたいのですが、フミさん抱っこしても良いですか?」


「えっ? じょ、冗談ですよね?」


「フフ、大丈夫ですよ。直ぐに着きますから」


「じゃ、ちょっと失礼しますね」


「えっ? キャアアアア!」



 僕はフミさんを抱き抱え、空を飛んで部屋に帰る事にした。


 フミさんは流石に少し怖かったのか、目を瞑って僕にしがみ付いていた。



「着きましたよ。フミさん」


「わ、私、空を飛んだんですね・・・嘘みたいです」


「じゃ、次はこれを食べて下さい。まあ、イチゴみたいなものですから」


「はい・・・パクッ! うわっ! 美味しい♪ これ凄く美味しいですね」


「フフ、では、次は水着になって貰いましょう」


「えっ? ちょっと、待って下さい。リラさん?」



 フミさんは女性陣に引き連れられ白いビキニを着せられ、プールサイドに連れられて来た。


 顔が赤くなっているので、少し恥ずかしがっているようだ。


 フミさんは、おそらく30代前半ぐらいの年だと思うんだけど、既にピークベリーの効果が出ているのか明らかに若返っていた。



「お~ フミさんも凄くスタイル良いですね、とても似合ってますよ」


「あ、あの、もう私はビキニを着るような年でも無いので、とても恥ずかしいんですが?」


「あはは、後で鏡見たら分かりますよ。ところで、フミさんって腰痛持ちですよね他に古傷とかありますか?」


「何故それを? ウフフ、不思議な方ですね、古傷と言えば昔事故で左膝を手術してます。腰痛の方もその時の後遺症なんですよ」


「なるほど。じゃ、そこに寝転がって下さい。直ぐに終わりますから」


「もう、覚悟を決めましたわ。言われた通り致しますね」


「フフ、賢明かと思います」



 僕はフミさんの腰と左膝や細かい古傷を、全て<ハイエストヒール>で治していった。


 特に後遺症が出ていた腰は念入りに治療したので、もう痛くなることはないだろう。


 <看破>スキルで診ても健康体になり古傷も綺麗に治した。


 しかし、フミさんも豊満な胸をしておりスタイルも良いので、ビキニで寝転がっていると目のやり場に困るぐらいだった。


 治療が終わったので、次は皆で夕食を取り、フミさんにはシッカリとケルピーの肉料理を食べて貰う。


 今は女性陣に連れられて、お風呂場へ行ってるので、出てくるのが楽しみだ。


 しばらく待つと、女性陣に連れられてフミさんがお風呂場から出てきた。



「お~ 予想以上ですね♪ 凄く綺麗ですよ。フミさん」


「ウフフ、御上手ですわ三日月様♪ でも、本当に若返ったかのように気分爽快ですわ、これの事をおっしゃっておられたのですね?」


「あれっ? ひょっとして、まだ鏡見て無いのかな?」


「にひひ、正解よ! どうせなら驚いて貰おうと思ってね」


「あはは、皆さんの気持ちは良く分かりますよ。さあ、フミさん。姿見の鏡があるんで見て下さい」


「えっ? は、はい?」



 フミさんは左膝の治療跡すら見せずに、サクサクとピークベリーから全身の治療、ケルピーの美容効果のコンボを行ったので、鏡を見た反応が楽しみだ♪



「え? えええっ! ど、どうなってるの? まさか、本当に若返ってる? い、いえ、若返ったとしても肌の張り髪の艶・・・明らかにおかしいぐらい綺麗になってるなんて」


「そういえば膝の手術痕が無くなってるし、腰が痛くないのもひょっとして?」


「み、三日月様。どんな魔法を使われたのでしょうか?」


「ん~ 女性が喜ぶ魔法をコンボで掛けたってとこですね」


「信じられない事を、簡単に仰いますね?」


「それにしても・・・幾ら何でも・・・ウフフ、でも嬉しい♪ やはりとても嬉しい物ですね」


「しかし、あの・・・明日、仕事に行って私だと気付いてくれるでしょうか?」


「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」


「だ、大丈夫だと思うわよ?」


「そ、そうね、少し若返って綺麗になっただけだから?」


「・・・正直かなり驚かれるかもしれませんね」


「むしろ、驚かす事を楽しみにするとか?」


「ん~ 綺麗になったのは兎も角、若返ったのは説明出来ないわよね」


「そうですか? 元々若いし綺麗だったから問題ないですよ」


「ウフフ、ありがとうございます。また、大きな借りが出来てしまいましたね」


「ああ、借りと言えば<魔水><魔石><精密動作>スキルを新たに職人さんに渡してるんですよ。習得しといて下さい!」


「・・・どうやら、来世になっても借りは返せそうにないですわね」



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