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第84話 鍛冶屋さんの趣向は変わってますね


 <スズカ視点>


 ヨウ君には何時も驚かされるけど。また、とんでもない事になっちゃったな。



「ねえ、アイナ。私達も高級クラブのママになるんだよね?」


「突然だけど、それを私に聞きたくなる気持ちも分かるわ、私が2号店のママになった時もそうだったけど、今回はまたとんでもない話になっちゃったわね」


「あはは、三日月様と会うたびに、人生のターニングポイントになってるような気がするんだけど?」


「それは間違いないと思うよ? しっかし、凄い人だよね~」


「スズカママも凄い人と知り合ったものよね? そのお陰で、私達も恩恵を与ってるんだけどさ」


「えっ? ちょっと姉さん。その呼び方は早くないですか?」


「ウフフ、慣れるためにも早い方が良いわ、それと皆さんにも念を押しておきますけど、三日月様と応対するときは言動にも最新の注意を払ってくださいね」


「もちろん、気を付けてるわ」


「良い例ですから皆さんにも言っておきますが、此処から近くにあるコンビニの前に、高級住宅や億ションまで取り扱っている有名な不動産屋があるでしょう?」


「ええ、私は入った事も無いけど、大きくて高級物件ばかり扱ってるとこでしょ?」


「そうよ、今日私達は最初その不動産屋に行ったの、大手の不動産屋だから流石に三日月様と思っていたのよ。でも、そこの従業員は三日月様を唯の若い冒険者と思ったのか、失礼な対応をしていたわ」


「それで、気分を害したリラさんは直ぐに他の不動産屋に渡りをつけて、立ち去ったんだけど帰りに見た、その不動産屋がどうなっていたと思う?」


「まさか・・・無くなってたとかじゃないわよね? だって数時間でしょ?」


「その、まさかよ? 不動産屋があった痕跡なんて何も無かったわ、まるで改修工事でもしてるかのように壁まで全部取り外されてたの」


「「「「「「ゾクッ!」」」」」」


「そ、そんな? ママ、あれってヨウ君を怒らせたから潰されたの?」


「いいえ、正確には三日月様に失礼な態度を取ったから、リラさんが怒ったのでしょう。私もまさか、帰りに見た時に既に潰れているとは思いませんでしたけどね・・・」


「ひえ~ 一体どれだけの力を持ってるんだろ」


「三日月様はスズカを気に入ってくれているので、私達にも驚く程の待遇を掛けて下さってますが、怒らせればそこで終わりかもしれません。決して元に戻るだけでは済まないでしょう」


「分かってるわママ。これだけ良くして貰ってるんだもの、ある意味当然の事よね」


「流石はアイナさんね、スズカも見習わなくてはいけませんよ」


「はい、私みたいな田舎者に此処までして貰ってるんだもの、この恩義に応えて見せるわ」


「ウフフ、そうね♪ さあ、また忙しくなるわね皆さん。頑張りどころよ?」


「ええ、私の人生で一番頑張っちゃうわよ」


「当然よね、まずは色々と決めちゃわないとね」


「うわ~ 眠気も吹き飛んじゃったわ」


「う~ん、一番先に考えないといけないのは黒服さんだよね?」


「あっ! そうですね、黒服さん探さないと」


「ウフフ、そこに気付くなんて成長したわね、黒服は私が段取りするから心配しないでね」


「「「「「「流石ママ!!!!!!」」」」」」



       ◇     ◇     ◇


 <ヨウ視点>


 僕とリラさんはスズカさん達の用事が終わったので、歩いて部屋に帰る事になった。



「そういえばリラさん。手に入れたアダマンタイト鉱石を武器へ加工出来る職人さんって、直ぐ連絡が付いたりしますか?」


「はい、連絡は直ぐつける事が出来るんですが、少し変わった方なので実際に依頼するにはヨウ様もお越し願いたいです」


「あれっ? もちろん、僕が行くのは構いませんが、リラさんがそう言うのは珍しいですね?」


「申し訳ありません。その方は少し変わった趣味をしておりまして・・・しかし、ヨウ様が行って下されば、確実に武器製作依頼を受けていただけると存じます」


「へええ~ 何か分からないけど、明日にでも行って見ましょうか?」


「分かりました、連絡を入れておきますね」


「はい、お願いします」



 こうして明日は念願の僕達が使っても壊れない武器を作成して貰う為、アダマンタイト鉱石を加工出来るであろう鍛冶師さんの所へ行く事になった。


 部屋に戻り、夕食を取りながら今日あった事をアヤメさん達に伝えると、予想通り驚いていた。



「あはは、それにしても無茶したわね~」


「ん~ ヨウ君なら、そんなに無茶でもないような」


「でも、ヨウ様が誰かを接待するような時には、便利になるかもしれないですね」


「そうだね、皆此処へ連れて来る訳にはいかないもんね」


「フフ、これからはスズカさんの頑張り次第で、大阪一の高級クラブになるかもしれませんよ」


「そうなると良いですね~ 楽しみです♪」



 こうして今日も日が沈み寝る為に部屋へ行くと、ナギサさんが部屋へ来てくれた。



「えへへ♪ 今日は私の担当です♪ フゥ~ 予想以上に緊張しちゃうわね」


「あんまり言葉にしないで下さい、僕も照れちゃいますから」


「あらっ? ヨウ君はそろそろ慣れて来たんじゃない? 私で連続4人目だもんね~」


「全然慣れませんよ、毎日ドキドキの連続なんですからね」


「んふふ、今日は宜しくねヨウ君♪」


「こちらこそです。ナギサさん」



 僕とナギサさんはベッドに入りナギサさんを優しく抱き締めると、やはり緊張しているのか手が震えているのが良く分かる。


 何時も明るくて僕達のムードメーカーになってくれているナギサさんでも、少し怖いのかもしれない。


 僕はナギサさんの緊張を少しでも和らげるため、優しく抱き締めキスをした。


 どれぐらいの時間キスをしていただろう、少しずつナギサさんの手の震えも止まり、笑顔で僕を見つめていてくれる。



「んふふ♪ ありがとね。もう大丈夫よ」


「僕は大丈夫じゃないかもです」


「あはは、大好きよ。ヨウ君」


「僕も大好きです。ナギサさん」



 僕はナギサさんの言う通り、そろそろ慣れなくちゃいけないのに、また頭の中が真っ白になり幸せな時間を過ごした後、眠りに落ちたようだ。


 翌朝、目が覚めるとナギサさんが良い笑顔で僕の寝顔を見ていたようだった。



「んふふ♪ おはよヨウ君」


「おはようございます。ナギサさん」


「ねー? ヨウ君って、こっちもSランクなの?」


「ブッ!? こっちにランクなんてありませんよ~」


「んふふ、冗談よ♪ でも今最高に幸せよ・・・ありがとねヨウ君」


「そんな! 僕こそ最高に幸せでした」


「んふふ、ふふふ。あ~~~~~~~~~私って、幸せ者だあああああああ~~~~~♪」


「あはは、可愛いですねナギサさん♪」


「えへへ♪ ねーねー、もっとゴロゴロしよ」


「同感です♪」



 こうして僕は、ナギサさんと満足するまで布団の中でゴロゴロしてから、リビングに下りる事にした。



「えっ? ちょっと待って・・・あ、歩けないんだけど?」


「では、僕が抱っこしちゃいますね」


「あっ! もう、恥ずかしいんだけど・・・」


「あはは、諦めて下さい」



 皆に揶揄われながらも朝食を取り、今日もダンジョンへ潜った。


 上級ダンジョンにも慣れてきて、サクサクと必要なスキルを取得しながらアダマンタイト鉱石を今日もゲットし、帰る事にした。


 今日は、このまま全員で鍛冶師さんの所へ行く事にする。



「ウフフ、ナギサ。辛そうね~」


「うぅ~ 皆凄かったんだね~私、今日は駄目みたいだよ」


「こらこら駄目よナギサ。その話は、今日のリラが終わってからでしょ?」


「そうね、明日にするわ」


「そう言われると逆に気になると言いますか・・・あっ! どうやら着いたみたいです」



 鍛冶師さんの作業場は少し郊外から離れた所にあり、中々立派な作業場だった。


 作業場にしては重厚な造りで、おそらく騒音対策をしているのだろう。


 僕達は作業場の中へ案内され始めて鍛冶師さんに会う事になる。


 もちろん腕の良い鍛冶師さんだと聞いていたので、ドワーフの様な髭の男性をイメージしていたのだが、あまりのイメージとの違いに驚く事になるとは思わなかった。


 鍛冶師さんは背が高く引き締まったボディビルダーの様な体格をしていた。


 赤い髪を後ろに束ねており、大きな眼、高い鼻、プックリとした魅力的な唇をした美しい女性だった。


 とても豊満な胸には、赤い色のビキニを着ており、下はジーパンを履いていた。


 盛り上がった肩の筋肉や、見事に割れた腹筋に注目してしまう。



「おー、来たかリラ。久しぶりだな」


「お久しぶりです。ご紹介しますね此方は私達のパーティリーダーである三日月陽様です、そして此方が鍛冶師の内方うちかた 美南海みなみさんです」


「初めまして三日月陽と言います。今日は宜しくお願いします」


「ああ、宜しくな・・・って言いたいが。リラ、本当に彼の事か?」


「フフ、そうですわ。間違いなく引き受けて下さると自負しております」


「ほほ~ リラがそこまで言うなら楽しみだな。じゃ、早速だが三日月。服を脱いでくれるか?」


「えっ? 服って服を脱ぐんですか?」


「おいおい、何も聞いてないのかよ? 皆俺のとこに来る奴はポンプアップして来るんだけどな」


「フフ、すみません。詳しく説明しておりませんでしたね、この鍛冶師であるミナミさんは少し変わったお方でして、自分が認めるような筋肉の持ち主じゃないと依頼を受けてくれないのです」


「あはは、変わった方って随分な言い草だな? 自分の作った武器を使いこなせねえ奴の依頼なんて、受けたくねえだけだぞ?」


「さあ、分かったら脱いだ脱いだ」


「そういう訳でしたか・・・少し照れちゃいますが仕方ないですね」



 僕は初めて会う女性の前で、服を脱ぐのに抵抗があったけど、脱がないと依頼を受けてくれそうも無かったので上半身だけ服を脱ぐことにした。



「おいおいおい、本当かよ? なんてえ筋肉してやがるんだ・・・まるで鋼みたいな体じゃねえか?」


「ちょっと、触っても良いか?」


「えっ? 良いですけど・・・」


「し、信じられねえ・・・何時も使ってる武器は短剣? いや、双剣か。格闘もやってそうだな、もう人間を超越してるぞ? トレーニングで出来た筋肉じゃねえな、実戦だけで此処までの体にしたのかよ」


「体を見ただけで、そこまで分かるんですか?」


「ああ、俺には分かる・・・しかし、段々怖くなってきたな、どれだけ強いのか予想もつかねえ」


「フフ、どうですか、武器作成依頼を受けてくれますか?」


「ああ、もちろん受けるさ。リラには何時も驚かされるが、まさか超人を連れて来てくれるとはな・・・だが、全て分かった。普通の武器なら持たねえんだろ?」


「へええ~ 凄いな全てお見通しなんですね? 仰る通り全力で使える武器が欲しいんですよ」


「そいつは難しい相談だが、手に入れたんだろ? 見せてくれよ」


「えっと、此処には誰も入って来ませんか?」


「ああ、大丈夫だ。誰も来るなと言ってあるからな」


「分かりました。これがそうです」



 僕はミナミさんにアダマンタイト鉱石を手渡すと、何故だか凄く驚いているようだ。



「うおっ! なんてデカさだ・・・間違いねえな。正真正銘のアダマンタイトだ!」


「くぅ~ 鍛冶師ならこれを見るだけでも垂涎ものだぜ♪ しかし、デケエな成型できっかな・・・」


「フフ、何か必要な物があれば言って下さいね、大抵の物なら揃えますから」


「う~~ん、こりゃ~骨が折れるぜ。超高熱炉がいるな・・・まあ、何とかなるだろう」


「良かった。それと此処に居る5人にも武器を作って欲しいんです」


「んん? リラ達なら普通の武器で十分だろ? どうしてもって言うなら脱いで貰おうか」


「フフ、仕方のない人ですね。では、私から確認して貰えますか」



 そう言うと、リラさんは服を脱ぎ始めたので、僕は後ろを向いて見ない様にした。



「参った。お前もかよ? 武器は刀か? 一見、普通の体に見えるが内包された筋肉が半端じゃねえな・・・つーか、人間やめてねえか?」


「失礼ですね、私は普通の人間です。まあ、少しヨウ様に鍛えていただきましたけど」


「こんな筋肉してるのに、少し鍛えただけな訳ねえだろ? しかし、スゲエな・・・こんな細い腕なのによ、地獄の様な実戦してるだろ?」


「フフ、信じられないかもしれませんが、地獄どころか天国ですよ?」


「天国か・・・どうやら三日月陽は超人かと思ったが、神か悪魔のようだな。人間技とは思えねえよ」


「そっちの4人も同じ様な感じなのか?」


「もちろんです、私達は同じパーティですから」


「とんだ超人パーティだな・・・」


「リラの妹も刀か、後は槍・・・いや薙刀か、それと弓か、んっ? どんな武器を使ってるのか分からねえのが居るな、いや武器使ってねえだろ?」


「へええ~ 貴女も十分超人みたいね? 今までは使ってこなかったんだけど私はロングメイスが良いわ」


「武器も使わずに、どうやったら、そんな筋肉になるのか理解に苦しむな・・・」


「よーし、分かった! 6人分の武器だな。引き受けようじゃないか、だが条件を付けても良いか?」


「ありがとうございます。もちろん謝礼の方も十分にお支払いしますよ?」


「あ~ アダマンタイトを加工するのに金もいるが、それよりも三日月陽に抱かれてえ」



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