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第78話 スーパーレディですよ


 こうしてソフィアさん達に、空を飛ぶ事へのモチベーションを上げた後、上級ダンジョンで<高速飛翔>スキルオーブがドロップする、地下11階のハーピーホークの情報を伝える。


 早速、明日にでも取得しに行くと思ったら、現在は回復系魔法を取得している最中なため、安全の為にもそれが終わってから取得しにいくらしい。


 そして空を飛んだ興奮が冷めやらぬまま、ソフィアさん達は帰っていった。


 ソフィアさん達が帰った後、僕達もお風呂へ入り各自の部屋で寝ることにした。



「ふああ~、さって、ヨウ君も寝ちゃったし私達も寝ましょうか」


「待ちなさいアヤメ! このまま寝れると思ってるの?」


「今日は僕の順番なんだよね」


「わ、分かってるわよ~」


「でも、どーしても聞きたい? 後悔しない?」


「やけに脅しますね・・・」


「朝の様子から大体の察しは付きますが、やはり<ヒール>は使わなかったのでしょうか?」


「<ヒール>は使わなかったわ。何か嫌じゃない? 一生に一度の事だしさ」


「だからと言っても、私達には<超回復>のスキルがあるのに変じゃないですか?」


「・・・分かったわよ。でも、後悔しないでよ? 逃げちゃ駄目なんだからね?」


「お、脅しすぎじゃない?」


「ヨウ君って体は小さいのに、とんでもないのよ。目を疑ったわ」


「例えるなら、あれはもうドラゴンね! 何度気を失った事か・・・」


「「「「ゴクッ!」」」」


「どこまで規格外なのよ~」


「ド、ドラゴンですか・・・」


「さ、流石、ヨウ様」


「私から言える事は・・・愛があれば大丈夫! だと、思うわ」


「僕、膝が震えてきたんだけど? 大丈夫だよね?」


「「「「ファイト!」」」」


「ありがとう・・・僕、行ってくるね」


「「「「がんばー♪」」」」


「コンコンッ! 僕ツドイ」


「どぞどぞ」



 部屋に来てくれたツドイさんは、何故か怯えるように震えていた。


 なので僕はツドイさんを、そっと抱きしめて落ち着くのを待った。



「ありがと僕、人生で一番緊張してるかも?」


「僕もですよ?」


「僕に、こんな日が来るとは思わなかったから、備えが足りないのかも?」


「ツドイさんみたいな美人さんでも、そんな事考えるんですね」


「僕なんて大阪に来るまでずっと子供扱いで、彼女なんて夢のまた夢でしたよ?」


「ヨウ君、素敵なのに不思議だね?」


「僕みたいな朴念仁でも、ヨウ君に惚れたのにさ」


「そんなにハッキリ言われたら照れるじゃないですか?」


「何時も僕が喜ぶ事を考えてくれて、ありがとねツドイさん」


「僕、最近ヨウ君が喜ぶ事を考えるのも楽しみになってきたんだよね」


「だから、お礼を言いたいのは僕かも?」


「僕もツドイさんが喜ぶ事考えますね♪」


「きっと、今からが僕の人生最大の喜びになるかも?」


「僕と同じですね♪」


「あっ! んんっ♪」



 心安らぐようなツドイさんとの会話が終わる頃、僕は二夜連続で生涯忘れる事が出来ない最高の思い出を作る事になった。


 翌朝、ツドイさんは何故か歩く事が出来ないようだったので、抱き抱えてリビングまで連れて行くと、ツドイさんは照れているのか顔が真っ赤になっていた。


 それを見ると僕も照れてしまい、とりあえずツドイさんをソファーに座らせトイレに逃げる事にした。



「えっと、やっぱり歩けないよね?」


「・・・今は無理だね。でも、僕これまでの人生で最高に幸せ♪」


「んふふ、分かるわ♪」


「・・・なんか怖いけど羨ましいかも?」


「フフ、同感です」


「あわわ、今日私なんですよね。やっぱり、ちょっと怖いかも・・・」


「ノノ、大丈夫ですよ」


「うん、ありがとう。リラねえ」


「とりあえず」


「「「「おめでとう!」」」」


「ありがとう、僕嬉しいよ♪」



       ◇     ◇     ◇


 <少し時間を遡り、守護視点>



 フ~、今日は予想外に疲れたけど待望の仲間やさかいな、ええ娘達やったら是非パーティに参加して貰いたいわ。



「コトエ、そろそろ行きましょうか?」


「そやな、皆も十分休憩出来たかな?」


「今日は大変だったけど、もう大丈夫よ」


「あはは、まさか、こんなにハードになるとは思わなかったしね」


「全くやで! 何から何まで規格外な人やけど、決してスキルの恩恵だけで強く成った訳じゃ、あらへんって分かっただけでも、ええ1日やったな」


「ええ、アヤメさん達まで強いのも納得よね。凄い人達だわ・・・でも、私達も負けてられないよね?」


「「「もちろん(や)」」」



 待ち合わせしていたギルド前に行くと、まだ時間前なのにミミとルルと名乗った新人冒険者が待っていてくれた。



「「こ、こんばんわ」」


「今日は私達のために、来て貰ってありがとうございます」


「ありがとうございます」


「あはは、そない緊張する事あらへんて。じゃ、メシでも行こか」


「「はい!」」



 双子の姉妹は、同じ年やと思うのにウチ等に対して丁寧な態度や敬語を使ってくれよる。


 かなり緊張しているようやけど、これだけでも好感度はええ感じやな。


 今から行く店も、ちゃんとアヤメ姉さんに紹介して貰った店やさかい、ええ感じの所やと思う。


 ウチ等もちょっとぐらいカッコつけやんとな。


 三日月はんのお陰で大金を稼いだけど。ウチ等、ええ店なんて知らんしなアヤメ姉さんに聞いといて良かったで。


 おっと、話しに聞いてたのは、このビルやな・・・うは~、流石に高そうな店やな~


 地上20階か・・・どんな居酒屋やねんな。



「うわわ、あの、私達そんなにお金持ってないんですけど?」


「すみません、私達貧乏なので」


「ウフフ、お金の事は心配しないで良いわよ、私達の奢りだから」


「えっ? 私達がお誘いしたのに」


「ええから、気にせんと入るで」


「「はい」」



 ウチ等はエレベーターに乗り地上20階に下りると、どうやらフロア全体が居酒屋になっているようや。


 店内に入ると居酒屋と言うより高級レストランみたいで、ウチ等も戸惑うような所やった。


 高級そうな内装に地上20階だけあって、窓から見える景色も抜群やわ。


 うわ~アヤメ姉さんも、凄い所紹介してくれたもんやな・・・


 ウチ等が店内に驚いていると、タキシードを着たイケメンの店員さんが対応してくれるようや。



「いらっしゃいませ、お客様。本日はご紹介でしょうか?」


「そや、アヤメ姉さんの紹介で来たんや」


「失礼しました。藤崎様から連絡をいただいております、守護様でお間違えないでしょうか?」


「そや」



 どうやらアヤメ姉さんが店に連絡してくれていたらしく、名前を言っただけで店員がゾロゾロと出てきてウチ等を出迎えてくれた・・・


 何人おるんや? 20人ぐらいの店員が並んだかと思ったら、一斉に丁寧なお辞儀をしてくれよった。


 ええんかいな? と思いながらも、その前を通って席へ案内してくれた。


 案内してくれた席は個室になっており、何気にVIPルームと書いてある・・・


 アヤメ姉さん、どんだけサービスしてくれてんねんな。


 個室の中も一際、豪華な造りになっていた。


 抜群の景色にゆったりとした空間。しかも、6人のイケメン店員が椅子を引いて待機してくれている。


 ウチ等を椅子に座らせてくれると、直ぐに食前酒が運ばれてきて、全員のワイングラスに注いでくれた。



「料理の方も直ぐにお持ち致します。お飲み物や追加の注文が御座いましたら、お呼び下さい」


「ええ、ありがとう」


「あわわ! わ、私達、場違い感が凄いんだけど・・・」


「う、うん、良いのかなルル~、何か怖くなってきちゃったよ~」


「あの、守護さん達は、新人冒険者とお聞きしていたのですが、私達の勘違いだったのでしょうか?」


「間違いやあらへんで? ウチ等は今年冒険者になったばかりの新人や、全員18才やさかいな」


「「ええっ?」」


「私達と同い年やなんて・・・」


「ウフフ、あらっ? 私達って老けて見えるのかな?」


「いえ、そう言う訳じゃないんですが皆さん、とても綺麗で大人びてますから年上かと思ってました」


「あはは、ありがと。そっかー、私達ってそう見えてるんだ」


「そーいう事やから敬語は要らんで?」


「はい、ありがとうございます」


「まあ、慣れてきてからでええけど、自分等ずっと二人で冒険者やっとったん?」


「いえ、何度か男性のパーティーに入れて貰ってダンジョンに潜っていたんですけど、その・・・遊び感覚なのか稼ぎも少なくてナンパも酷かったので」


「そうなんです。ミミと二人で狩りした方がずっと儲かるので、最近はずっと二人でダンジョンに潜ってたんですが、流石に下層に行くと二人では厳しくて」


「そうよね。初級ダンジョンも地下2階から厳しくなるものね」


「そうなんです。私達、武器が格闘なのでニードルラットを倒すのが厳しくて」


「でも、幸いパーティーを組んでいた時に地下5階まで行けるようになっていたので、今は地下4階のスケルトンを倒して稼いでます」


「なるほどね。でも、どうして18才なのに冒険者を選んだの? 大学とか興味なかったとか?」


「恥ずかしい話なんですが、ウチ兄妹が多くて貧乏なんです・・・せやから早く家を出て、手っ取り早く稼げる冒険者を選んだんです」


「それに、オトンじゃなくて父親が酷い腰痛で入院してて、特級ポーションが欲しくて・・・」


「そか~、中々厳しい生活してんねんな、実はウチ等も女性限定でパーティーメンバーを二人探しとったんや」


「そ、それじゃあ?」


「ウフフ、ええ、取り合えず試しに私達と初級ダンジョンでパーティーを組んでみましょうか?」


「「ホンマですか?」」


「ホンマや♪ せやけど出来れば長い間パーティー組んで、仲良う冒険したいんやけど?」


「はい、私達もお金を稼がないと、どうにもならないので長期間、冒険者をやる事は願ってもないです」


「ウチ等も一生懸命頑張りますから、是非お願いします」


「じゃ、簡単に紹介だけしとこか」


「私はナホって言うの、メインは後衛で攻撃魔法かな」


「私はマユよ、メインは後衛で回復役になるのかな~」


「私はユウカよ、メインは中衛かな」


「ウチはコトエや、メインは前衛や盾持ちってやつやな」


「「「「これからよろしく」」」」


「「はい、宜しくお願いします」」


「新人冒険者なのに魔法が使えるなんて・・・」


「そ、それに回復って<回復魔法>も使えるんですか?」


「せや、ウチ等は全員魔法使えるんや」


「「ええっ?」」


「元々凄い、お金持ちなんでしょうか?」


「あはは、ウチ等も貧乏人やで? この間までウサギ小屋みたいな所に住んどったしな」


「うふふ、そうよ。最近稼ぎだしたけど貧乏人なのは間違いないわね」


「最近は師匠のお陰で稼がして貰ったんだけどね」


「私達の魔法は全部、自分達でダンジョンからドロップしたのを習得したんだからね?」


「私達も頑張ったら魔法スクロールが手に入るでしょうか?」


「もちろんや! 最初の内は手に入れても、売らんと習得して貰う事になるやろうけどな」


「凄いです! 頑張ろうね、ルル」


「うん、すっごい頑張るわミミ。頑張って、いつかお金持ちになるのが夢なんだもの」


「あはは、ウチ等もそうやで、それからなウチ等とパーティを組むんやったら絶対に守って貰いたい条件が1つだけあるんや」


「「ゴクッ!」」


「それは秘密厳守や! 大した事あらへんやろ? とは言わへん。今までの秘密って言うレベルとはちゃうで? 私達とパーティーを組んで知り得た情報は、絶対に誰にも言うたらあかん」


「何処のダンジョンに行ったか、どんな魔物と戦ったか、どんな物がドロップしたのか全て秘密や」


「貴女達もダンジョン素材や、スキル、スクロールがどんな値段で売買されてるか知ってるわよね?」


「「はい」」


「高い物なら何十億円にも・・・・・」


「せや、秘密を守れんかったら冗談やのうて死ぬ、本人だけやのうて家族やウチ等も殺されるかもしれへん」


「さっきウチ等が魔法を持っとる言うたけど、普段やったら誰にも絶対言わへん。アンタらに言うたんは、信頼の証やと思って欲しいねん」


「高額なオーブやスクロールを取得するって事は、危険が増えるって事でもあるのよね」


「そうよね、敵は魔物だけじゃないのよ」


「どう? 家族にも内緒に出来るかな?」


「はい、絶対誰にも、家族にも言いません」


「私も秘密を守れなかったら命に係わると認識しときます」


「言いたい事はそれだけや。歓迎するで、好きなだけ飲み食いしてや」


「はい、ありがとうございます。こんなに美味しい物久しぶりです♪」


「でも、守護さん達ってスーパーレディだったんですね、恰好良いです♪」


「ウフフ、私達が?」


「「「「あはははは」」」」


「ど、どうしたんですか?」


「何時か本物のスーパーレディに会えるかもね♪」



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