第77話 いよいよソフィアさん達が念願に着手するようです
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僕は強引に話題を変えるようにダンジョンの入口へ進み、地下10階に潜る事にした。
幸い、皆も地下10階まで進んでいたらしく、全員直接来ることが出来た。
ボス戦にはドロップの都合から僕が入る事になり、最後の一人はツドイさんになったようだ。
っと、言っても幾ら守護さん達やソフィアさん達でも、僕のドロップ率を教える訳にはいかないので、申し訳ないけど適当に隠ぺいで隠して調整する事にした。
この階層のボスはスケルトンキングなんだけど、最初から大きな魔法を撃ってくるので、速攻で倒す計画を立ててから特攻することにした。
僕とツドイさんは手を出さないようにし、危なくなったら助ける予定だったが、流石にソフィアさん達もいるので危なげなく倒す事に成功した。
「流石Sランクやな、ソフィアさん達だけでも楽勝っぽいな」
「ウフフ、日本に来るまでは私達もこんなに強くなかったですよ。これもコトエさん達のお陰です」
「そうね、<追加防御>スキルが有ると無いとでは大違いよ」
「<追加防御>スキルを過信してる訳じゃないけど、安心感があるわ」
「守護さん達も、凄く強くなってますね。安心して見てられましたよ」
「うん、頑張ってるね」
「これも三日月はん達のお陰や、ステータスも上がって来たしスキルにも慣れてきたさかいな」
「ついでに今日は地下20階まで訓練しちゃいましょうか」
「ええんかいな? ウチ等は助かるけど」
「私達も願ってもない機会なので、是非お願いしたいです」
僕は皆の成長が嬉しくなり、笑顔で訓練の提案をしてみたら何故かアヤメさん達は苦笑していた。
「・・・もう手遅れよね?」
「・・・少し同情するよ」
「何事も経験よ」
「ヨウ様、程々がよろしいかと・・・」
「みんな<回復魔法>あるよね? 大丈夫かな?」
「「「「・・・・・」」」」
「「「「「「・・・・・・」」」」」」
「す、少し不安感が出てきたんだけど気のせいよね?」
「ど、どういう意味なんでしょう?」
「じゃ、とりあえず人数も居るから、地下20階まで魔物は全て殲滅して進みましょうか、着いて来て下さいね」
「えええっ? 殲滅って」×全員
「もう、諦めて手遅れだからさ」
「そ、そんな~」×全員
それからダッシュでダンジョンの中を駆け巡り、魔物を殲滅していった。
僕は皆の後ろから<ヒール>を掛け捲って、皆が疲れないように配慮していく。
流石に皆鍛えているので楽に着いて来てくれる、僕は嬉しくなり更にペースを上げていった。
中級ダンジョンだけあり段々魔物も強く成って来るので、流石に守護さん達は苦戦していた。
だが、ドロップしたSPオーブで、ステータスを調整しドンドン先に進んで行く。
これなら余裕だなと思っていたら、地下20階のボス部屋の前に着く頃には、守護さん達とソフィアさん達は、地面に転がって肩で息をしていた。
「あれっ? 皆疲れちゃったかな? ちょっとだけ休憩しますね」
「ゼェーゼェー・・・し、死ぬでホンマに」
「ハァーハァー、無間地獄ってこんな感じなのかな?」
「もう駄目・・・」
「やっと倒れる事が出来たのね・・・」
「フゥーフゥー、日本には地獄もあったのね」
「ゼェーゼェー、限界で倒れる寸前に<ヒール>が何度も飛んでくるんだもの、精神が持たないわ」
「ハァーハァー、そりゃ強くなるわ」
「なんで私達より動きまくってた人達が平然としてるの?」
「駄目、完全にレベルが違うわ」
「確かに、日本には天国と地獄の入口があるようね、私も流石に参ったわ」
「じゃ、そろそろボス戦行きましょうか、頑張ったらもう一周行けるかな~」
「イイイッ!!!!!!!!」×全員
「フフ、ヨウ様。今日はコトエさん達が用事があるようですから、早めに終わった方が宜しいかと」
「あっ! そうでしたね。じゃ、このボス戦を最後にしましょうか」
「き、九死に一生を得たで?」
「遺書を書きかけたわ・・・」
「日本のブラックユーモアは、笑えないわ」
「冗談に聞こえた?」
「いえ、絶対本気だったわ、良い笑顔だったもの」
最後のボス戦には僕とアヤメさんが加わる事になり、ボス部屋の扉を潜るとトロルキングかと思ったら、レア種のブラックトロルキングだった。
「お~、レア種ですね。訓練の〆には丁度良いかもです♪」
「えっと、私からは頑張ってとしか言えないけど、攻撃してもドンドン回復しちゃうから気をつけてね」
「ガアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
「う、嘘でしょーーーーー!」×全員
それからは正に、死闘と言える熱い戦いが始まった。
見ていた僕とアヤメさんも、力が入るような戦闘だった。
流石にレア種だけあり、怪我をしても凄いスピードで自己再生していくし攻撃力も高いようだ。
しかし、結構な時間が掛かったが、僕とアヤメさんのサポートもあり無事討伐に成功した。
熱い戦いだったので皆良い笑顔をしていると思ったら、全員死にそうな顔をして地面に転がっていた。
僕は<ハイヒール>を掛けながら、祝福の言葉を掛けることにする。
「皆さん、お疲れ様でした良い戦いでしたね~♪」
「もう、ヨウ君そんなに直ぐに喋れないわよ、ヨウ君の訓練はキツイんだから」
「あれっ? そうなのかな? 初めてだから手加減したんだけど・・・」
「アヤメ姉さん、尊敬するでホンマに」
「毎日、こんな訓練してるのですか?」
「んふふ、ヨウ君とダンジョンに来たら、こんなの楽な方よ?」
「ま、参りました」×全員
「んふふ、お疲れ様♪」
今日ドロップしたスキルやスクロールは皆で均等に分配した。
各自欲しいスキルがあれば取りに来る事になったが、地下11階にいるマタンゴからドロップする<状態異常耐性>スキルは是非、取っておいて欲しい事を伝えておいた。
こうして今日のボス戦お手伝いを終え、僕達は帰る事にした。
殆ど訓練になっちゃったんだけどね。
守護さん達は双子の新人さんと夕食に行くまで、ゆっくりするそうだ。
「あっ! そうだ。ソフィアさん達は今から用事ありますか?」
「えっ? いくら私達でも、今日はもう無理ですよ?」
「あはは、ソフィアさん達は余裕そうなのに冗談が上手いですね♪ でも、そうじゃなくて少し話があるんですよ」
「ホッ! 話だけなら良いわよね皆も?」
「ええ、体を使う事以外なら良いわよ」
「じゃ、僕の部屋に来て貰って良いですか?」
「「「「「「ええっ?」」」」」」
「そんなっ、よりにもよって今日ですか・・・」
「三日月さんが、どうしてもと言うなら、今日でも構いませんが・・・」
「まさか全員じゃないですよね?」
「ん? 何のことか分からないけど、全員来て欲しいです」
「そっちの体力も無尽蔵なんですね・・・」
「私達初めてなんですよ? せめて最初ぐらいは普通にお願いしたいです」
「んふふ、駄目よ! 全員一緒に初体験して貰う予定だから♪」
「「「「「「・・・・・・・」」」」」」
「分かりました。私達も覚悟を決めます、今からですよね?」
「フフ、とりあえず夕食を食べてから話をしましょう」
「日本へ来る事は、私が言い出した事だから皆は断ってくれても良いのよ?」
「駄目よソフィア。私達は一蓮托生って言ったでしょ? ねっ、みんな」
「「「「もちろんよ」」」」
何か話が噛み合っていない様な気もしたけど、僕達はソフィアさん達を連れて部屋へ帰った。
食事は何時もの様にシェフを招いて作って貰い、皆で美味しく食べてから話をすることにした。
「今日は皆さん小食でしたね、あっ! 今日はお酒飲むのは、少し待って下さいね」
「それは良いんですが、話とはいったい?」
「はい、改めてソフィアさん達に聞いておきたかったんですが、まだ空を飛んでみたいですか?」
「もちろんよ、三日月さんのお陰で色々と凄い体験させて貰ってるから、空を飛ぶどころじゃなくなってるけど、絶対いつか叶えて見せるわ」
「そうですか、実は空を飛ぶ方法がある事をソフィアさん達に色々言いましたけど、本当に僕達がその方法を知っていると思いますか?」
「分からないわ。でも、実際に空を飛べる人間が居る以上、三日月さんがその方法を知っていても何の不思議も無いわ」
「私は、いえ。私達は、三日月さんに何度も驚かされましたから」
「あはは、なるほど、それじゃあ言いますけど実は、ようやくソフィアさん達が空を飛べるようになる目途がつきました」
「えっ? す、すみません。もう一度、言って貰えますか?」
「ぶっちゃけますけど、空を飛ぶ方法って<高速飛翔>って言うスキルなんですよ。それが、ソフィアさん達も入手出来る目途がついたんです」
「やはりそうでしたか・・・でも、何故それを私達に言ってくれたんですか? まして入手出来る方法まで教えてくれるなんて?」
「まあ、理由は1つですね。ツドイさんがソフィアさん達を気に入ったからです」
「そ、それだけですか?」
「もちろん、僕の大事なパーティメンバーの希望なら、何でも聞いちゃいますよ」
「では、どうしてツドイさんは私達に、そんな大事な事を教えてくれる気になったんですか?」
「ん~、本気で空を飛びたそうだったからかな?」
「たったそれだけの理由なんですか?」
「そうだよ? でも全ては三日月君次第だから、僕は三日月君に聞いてあげただけ」
「ウフフ、ありがとうございます♪ なんか、とても良い関係ですね。少し羨ましいです」
「んふふ、じゃヨウ君、そろそろ行こっか」
「はい、じゃソフィアさん達も来て下さい」
「えっ? どこへ・・・」
僕は戸惑っているソフィアさん達を連れて屋上へ移動した。
ここには、バルコニーの様にガラスで覆われていない屋外だから丁度良い。
「じゃ、それぞれペアになって貰えますか、僕はソフィアさんを担当しますね」
「じゃ、私はベッキーさんとペアね」
「んふふ、イナさん私と組もっか」
「フフ、アリサさん宜しくお願いします」
「フフ~、私はカーチャさんね」
「僕はレシャさんと組むね」
「えっ? あの、私達は女性相手なんですか? しかも屋外なんて・・・」
「ウフフ、一生忘れられない初体験させて上げるわ♪」
「「「「「そんな・・・」」」」」
「じゃ、皆さん行きますよ」
「「「「「了解!」」」」」
僕達はペアであるソフィアさん達を、それぞれ抱き抱えた。
「ちょ、ちょっと待って下さい、幾ら何でも・・・」
「READY?」
「「「「「「GO!」」」」」」
「YEAHOOOOOOOOOOーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
「「「「「「キャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」」」」」」
ソフィアさん達を抱き抱えたまま僕達は大空に飛び出した。
もちろん、空を飛ぶなんて考えてなかっただろうソフィアさん達は、叫び声を上げていたが、しばらく飛び続けていると慣れてきたのか落ち着いてきたようだ。
僕達は、かなり高度を上げ大阪の上空から、眼下にある景色を眺めている。
もちろん、<隠蔽>スキルを発動して周りからは見えなくしていたが、ソフィアさん達にも確認出来るように、一度<隠蔽>スキルを解除する事にした。
もう結構、暗くなっているので誰も僕達は見えないだろう。
抱き抱えられているソフィアさん達は、仲間達を見ながら素晴らしい景色に感動しているようだった。
「やっぱり、三日月さん達だったんですね? 凄い、凄いわ・・・なんて素晴らしい」
「本当に空を飛べるなんて・・・」
「もう、何がなんだか分からないんだけど」
「放さないで下さいね?」
「・・・夢でも見てるのかしら?」
「気持ち良い~~~♪」
「んふふ、どう? 良い初体験になったかな?」
「「「「「「もちろん♪」」」」」」
僕達はソフィアさん達を抱き抱えたまま、しばらく大空を飛び回ってから、部屋へ戻って来た。
ソフィアさん達は、まだ今の体験が信じられないのか、放心していたけど落ち着くためにもお酒を飲んで貰う事にした。
「大空の散歩はどうでした? <高速飛翔>スキルを取得するモチベーションが上がったかな?」
「ウフフ、人生最高の気分だったわ、ありがとう。絶対に取得してみせます」
「最初から初体験って、こういう意味だったんですね・・・」
「もう、それを言わないでよ、勘違いしてたのが恥ずかしいでしょ?」
「フ~、本当に呆れるぐらい凄い人達ですね?」
「あらっ? 凄いのはヨウ君だけよ?」
「えっ! 僕は普通の・・・」
「・・・・・・・・・・・」×全員
「・・・分かりましたから、そんなジト目で見ないで下さい。僕が特殊なのは認めますから」




