第75話 ご近所さんが出来ましたね
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ロメロさん達との模擬戦は、結局アヤメさん1人で終わってしまった。
いくらブラジルでAランクのロメロさん達でも、相手が悪かったようだ。
僕はアヤメさんに模擬戦を負けた人を回復しながら、適当な理由を付けて<幸運>スキルと<虚空庫>スキルを渡して習得して貰った。
これからいくら頑張ると言っても<幸運>スキル無しでは辛いだろうしね。
<虚空庫>スキルはサービスってことで良いかな。
本当なら<鑑定>スキルも付けたい所だったが、流石に良い訳が出来ないので諦めた。
「んふふ、お疲れ様。今度会う時は、今日ほど簡単に勝てないでしょうね」
「フフ、私達は特別ですから、あまり気になさらないように」
「あっ! そうそう、私達の事は内緒ですよ?」
「言っても誰も信じないけどね♪」
「貴方達ならきっと強くなるわ、頑張ってね」
「では、僕達は行きますね。また、どこかで会いましょう」
義理堅いロメロさん達に、また感謝されてもいけないので僕達は逃げるように、その場を立ち去る事にした。
◇ ◇ ◇
「な、なんだあの強さは?」
「分からねえ、動きが早すぎて気が付いたら倒されてた」
「フゥ~、触れる事すら出来なかったな」
「あれでも、かなり手加減してくれてたんだろうな」
「でも、彼女が一番弱いって言ってたぞ?」
「ああ、だが彼女は魔法担当なんだろう? 魔法有りなら上位かもしれないぞ?」
「あはは、なら俺達は本職が後衛の女性に、近接でコテンパンにされたのか?」
「そー言う事だ。世界は広いよな~」
「そんな彼女達より遥かに強いって言う、あの少年は何者なんだよ?」
「分からねえが、俺から見たら皆化物クラスだよ」
「誰だ目標にするって言ってたのは? 幾ら何でも勝てる気がしないぞ」
「あ~、悪いな。だが予想外すぎるだろう?」
「しかし、美しいよなアヤメさんって・・・」
「おいおい、惚れちゃ駄目だぞ?」
「ああ、分かってるさ俺には分不相応って事ぐらいはな」
「それよりも、どさくさに紛れて渡されたスキルオーブは、みんな習得したか?」
「ああ、気が動転してる時に、ペナルティって言って渡されたやつだろ? 習得しちまったよ」
「やっぱり皆もか・・・しかし、<虚空庫>に<幸運>スキルか。見るからに高そうなスキルだよな~」
「全然ペナルティじゃねーよな? なあロメロ、どんだけでかい借りが出来たんだ?」
「あはは、そんなの<鑑定>スキルだけで一生ものさ」
「「「「「だよな~」」」」」
「とりあえず、彼らの事は他言無用だぞ?」
「当たり前だ。恩を仇で返すような事はしねえよ」
「それだけじゃねえよ、金額を考えろ。十分、命に係わるからロメロも念を押してるんだ」
「なるほどな~、だが、俺達は命より恩義だろ?」
「「「「「もちろんだ!」」」」」
◇ ◇ ◇
<ヨウ視点>
僕達はロメロさん達と別れ、また地下10階のボス戦からスタートした。
サクサクと狩り勧め、初見の魔物に出会ったのは、地下15階のレッサーデビルだった。
この魔物はデーモンのように<闇属性魔法>を放ってくるし、動きも早いがHPが低いため僕達なら簡単に倒す事が出来た。
そしてスキルを持っている個体を倒し、次はどんなスキルなのか期待が膨らむ。
「何回見てもスキルオーブを持っている個体が分かるなんて反則級よね」
「だよね~、それも確実にドロップするんだもん。強運なんてものじゃないものね」
「何でも2つドロップするしね」
「えへへ♪ いや~、それほどでも」
「フフ、ヨウ様。とんでもない事なのですが、相変わらず軽いです」
「フフ~、ヨウ様最強です~♪」
「我ながら助かってますよ。えっと、<精密動作>ってスキルみたいですね」
「へええ~、どっちかっていうと職人さん向けのスキルなのかな?」
「ん~、私は弓矢だから<看破>スキルで弱点を見破ってから、射貫くのに便利そうかな~」
「なるほど、じゃナギサさんに1つ渡しときますね」
「ありがと~、試してみるね」
とりあえず僕とナギサさんで<精密動作>スキルを試してみたところ、言葉の通り、かなり精密な動きが出来るようになるスキルのようだ。
<看破>スキルとの相性が抜群に良いようだ。
攻撃力の低い僕やナギサさんには非常に有用だった。
また、<闇属性魔法>スクロールもドロップするので良い魔物だ。
地下16階ではハイミノタウロスと言うミノタウロスより二回り大きな魔物が出現した。
早速<看破><精密動作>スキルコンボが役に立ち、弱点を狙い撃ちしサクサクと倒していった。
楽しみのスキルは<投擲>スキルだった。
以前までならドロップのため小石を投げていたが、今は魔法で初撃を入れているので、あまり使わないかもしれない。
だが、素材では強靭肉と言う美味しそうなお肉がドロップしたので、シオさんに渡したらどんな効果が付くのか楽しみだ。
それからもドンドン進んで行き、地下17階ではレッドサイクロプスと言う魔物がいた。
残念ながらスキルは<麻痺眼>スキルだった。
持っているスキルだがストックが増えるので良いとした。
地下18階のマンティコアで<魔石>スキルを入手した。
地下19階のナーガで<魔水>スキルが新たに手に入った。
どうやら両方、魔力を有した石や水を生み出す事が出来るようだ。
職人さん向けのスキルだよね。
しかし、特定の魔物からしかドロップしなかった、<魔石>が生み出せるようになったのは何時か役に立つかもしれない。
ここで何時もより少し遅くなったが帰る事にした。
帰りには予定通り、僕達のお抱え洋服店のフミさんの所へ寄る事にした。
「こんにちわフミさん」
「ようこそ三日月様。ウフフ、今日はどんな素材を持って来て下さったのか楽しみですわ♪」
「フフ、職人さんはブレませんね♪ 今日はホークフェザー、闇衣、マンティコアのタテガミとワイバーンの皮や色々な魔物素材を渡しておきます」
「わー、わー、大量じゃないですかー♪ 特殊効果も色々ありますね」
「んふふ、<鑑定>スキルを使うのにも慣れましたね」
「ウフフ、本当に<鑑定>スキルって便利ですわ♪」
「喜んで貰えたら僕達も嬉しいですね、今回は特に飛翔用作業服にホークフェザーを編み込んで欲しいんですよ」
「なるほど分かりました。特殊効果を考えたら当然の選択ですね、残りの素材は私の方で試行錯誤させていただいてもよろしいでしょうか?」
「はい、もちろん」
「ウフフ、とっても楽しみですわ♪」
「そーだ、ヨウ君守護さん達やソフィアさん達用の飛翔服も頼んどく?」
「あ~、そうですね。でも、同じデザインでも良いですかね?」
「ウフフ、コンセプトは同じにして、其々のパーティに似合うようデザインしましょうか?」
「なるほど、それ良い感じですね、フミさんのデザインなら皆喜ぶでしょうし」
「ありがとうございます、頑張りますわ♪」
僕はフミさんに守護さん達とソフィアさん達の特徴や雰囲気まで説明し、写メを見せてイメージの参考にして貰った。
飛翔服の材料であるケルピーの皮も、まだ大量にあるので全部渡しておいた。
僕達の飛翔用作業服を作って貰ってから色々な素材も増えているので、素材を追加すれば、もっと性能が良い飛翔服になるかもしれないので期待が膨らむ。
フミさんに頼みたかった事を全て説明したので洋服店を後にし、次は姫種の栽培をお願いするために料理人のシオさんの所へ向かう事にした。
移動については少し距離があるので<隠蔽>を使い空を飛んで行く事にした。
車で移動したときは30分ほど掛かったが、空を飛べば2~3分で到着した。
速いし気持ち良いし最高だな~、守護さん達やソフィアさん達も<高速飛翔>を習得したら喜ぶ顔が目に浮かびそうだ。
「シオ~、来たわよ~」
「バタバタバタッ! いらっしゃい、三日月君♪」
「こらこら、私が声掛けてるんだから、私に声を掛けなさいよね?」
「ウフフ、ごめんね。待ちどおしくてさ、今日はどんなのかな?」
「ん~、期待させちゃって悪いんだけど、今日は食材を持ってきた訳じゃないのよ」
「ええっ! そりゃないよ~、電話貰ってからどれだけ楽しみにしたと思ってるのよ」
「あはは、でも食材と言えば、食材ですよ♪ でも、まだ種なんですよ。栽培方法が難しそうだし、秘匿して貰いたいからシオさんに相談に来たんですよ」
「そうだったんですね。ナギサったら何の説明もしてくれなかったから、それなら私が栽培しましょうか? 私ハーブ園してるから」
「此処にある箱庭だから秘匿性も高いと思うわよ」
「んふふ、流石シオ。私の見込み通りね」
「ありがとうございます、是非お願いします」
僕は今まで取得した姫種を全てテーブルに出して、シオさんに<鑑定>して貰った。
「ふ~ん、なるほどね~、栽培が難しそうってのが分かったわ。魔力を注がないといけないのね?」
「はい、鑑定結果では魔力が必要みたいです。でも、それなら丁度良いのがあるんですよ」
僕は姫種に引き続き、今までストックしてきた魔石を全てテーブルに置いていった。
「これは魔石って言うのね、これを土に埋めておけば魔力を注がなくても大丈夫って訳ね」
「はい、一応念のために<魔水>スキルで作った、魔力を含んだ水も用意しておきますね」
「分かったわ。ところで何が出来るか分かってるのかな?」
「それが分からないんですよ。上級ダンジョンのボス宝箱から出た種なんで、希少だとは思うんですが」
「・・・それって超希少素材って言うんじゃ?」
「んふふ 秘匿性が高いって言ったでしょ? 危険は無いと思うけど注意してね」
「・・・何かとんでもない物が出来そうな予感がするんだけど?」
「「「「「やっぱり?」」」」」
「そ、そんな事ないですよ、きっと美味しい野菜か果実になりますって」
「でも、一応<追加防御>切らさないで下さいね」
「分かったわ大丈夫よ、とっても美味しい物が出来る期待の方が大きいから」
「フフ~、凄い物が出来る予感はしますけど、危険な予感はしませんから大丈夫ですよ」
「まあ、出来て見ないと分からないのは確かね」
「期待しておきましょう、畑作り手伝いますよ」
「ウフフ、そうね♪ ありがとう。こっちよ」
僕達はシオさんの箱庭にあるハーブ園の土を耕して魔石を均等に埋めていき、姫種を植えていく。
後は<魔水>スキルで、出来るだけ魔力が濃くなるようイメージしてポリタンクに溜めていき、シオさんに渡しておいた。
どれぐらいで育つのかも分からないけど、シオさんが連絡してくれるらしいので楽しみにしておくことにした。
何れは<魔水>スキルもシオさんに習得して貰うのも良いかもしれない、ストックが溜まれば、また持って来ようと思う。
せっかくシオさんの所へ来たのだし、少し時間は早いけど夕食を食べて帰る事にした。
ついでにケルピー美容料理も作って貰い、<虚空界>のストックを増やしておいた。
これは、キャバクラのスズカさんに上げたら喜ぶだろう。
今日やる事も終わったので家路についていると、守護さんから連絡が入った。
どうやら僕達と同じマンションの部屋が決まったそうだ。
ついでに帰りに見に行く事にした。
守護さん達の部屋は地上40階の部屋らしい、聞く所によると10の倍数が広くて良い部屋になっているそうだ。
ギルドにはアヤメさんから頼んでくれていたので、僕達の部屋の次に良い部屋を用意してくれたのかもしれない。
こうして守護さん達の部屋に行く事になったんだけど、僕達の部屋専用エレベーターでも各階に止まる事が出来るので、そっちから守護さんの部屋に行く事にした。




