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第61話 上級ダンジョンって外人が多いんですね

誤字報告ありがとうございます。


 今日は、久しぶりにオークションの出品物として、<鑑定>スキルとエリクサーをメインに色々と放出した。


 特にエリクサーは2回目と言う事もあり、かなりの注目を集めているようで連日連夜テレビ報道がされていた。


 流石に今日は高額取引になるので、アヤメとナギサはギルドへ駆り出されている。


 前回と同じようなパフォーマンスはやめておいた、僕達も知らないスキル等で正体がバレる可能性がゼロでは無いからだ。


 それに、今のアヤメとナギサが居れば、大抵の襲撃者も撃退出来るだろう。


 残りの者達は念のためにオークションへは行かないようにした。


 そして、僕は久しぶりに最近良く使っている<鑑定>スキル等を集めるために一人で初級ダンジョンへ来ていた。


 今の僕ならスキルオーブも、一度に2つドロップするので非常に集めやすい。


 <虚空庫><鑑定><追加防御>等を集め終わり、以前行っていた人気の無い西区北堀江中級ダンジョンでも、色々とスキルオーブを補充しておいた。


 久しぶりのソロ活動だから会話する事も無く、サクサクと進み昼前には終わってしまった。


 次は何をしようか考えた結果、一度中央区本町にある上級ダンジョンの下見に行って見る事にした。


 中央区本町上級ダンジョンに着いてみると、驚く事に外人だらけだった。


 僕は珍しさもありキョロキョロと見ていると、驚く事に知っている人物を発見した。


 なんと僕が高校生の時から雑誌やテレビで有名だった、アメリカのスタンリーさんとアリーシャさんが立っている。


 実際に見るとやっぱり外人は恰好良いな~、スタンリーさんは男前だしアリーシャさんは凄く綺麗な人だ。まさに美男美女だよな。


 世界でも数少ないSランク冒険者だし、僕は嬉しくなってサインを貰えないか色紙を持ちながら様子を伺っていると、スタンリーさんと目が合った。


 スタンリーさんは、僕が持っていた色紙が目に入ったのか、手招きしてくれた。


 僕は喜んでパタパタと歩みより、色紙を差し出してみると、嫌な顔もせずにサインをしてくれた。



「君も冒険者の様だが、上級ダンジョンに挑みに来たのかい?」



 僕は英語で喋り掛けられたのに意味が分かる事に不思議な気持ちになったが、<言語理解>スキルの事を思い出し納得しながら返答する事にした。



「はい、今日はパーティメンバーが用事で来れないので下見に来たんですよ、来て良かったです」


「驚いたな、君の様な少年には上級ダンジョンは危ないよ?」


「お気遣いありがとうございます、今日は下見だけしたら直ぐに帰ります」


「あらっ? スタンリーその少年は誰?」


「ああ、驚く事に日本の冒険者だよ。上級ダンジョンの下見に来たらしい」


「こんにちわアリーシャさん。僕ずっとファンでした、サインお願いしても宜しいですか?」


「ウフフ、良いわよ英語とっても上手いのね、それにとっても可愛いわ、ねえ君何歳なの?」


「ありがとうございます。僕は18才です」


「「えっ?」」


「・・・本当に18歳ですからね?」


「いや、すまない」


「そう言えば日本も18才からじゃないと冒険者に成れないんだったね、もっと若いと思ってしまったよ」


「本当に日本人は年齢より若く見えるわね~」



 僕はアリーシャさんにハグされて、身長差から大きな胸に顔を埋めた状態になっている。



「ん~、可愛い~♪ あらっ、どうしたの? 耳まで赤くなっちゃって、こんなので照れちゃったのかな?」


「か、彼氏の前で怒られますよ?」


「あはは、スタンリーは彼氏じゃないわ、同じパーティだしね」


「アメリカでは、同じパーティメンバーと付き合ったりはしないんですか?」


「俺からは色々とアプローチしてるんだが、中々良い返事をくれなくてね」


「こらこら、初対面の男の子に変な事言わないの」


「あはは、分かりますアリーシャさん、とっても綺麗ですもんね」


「そうだろう? とても、美しくて強い素敵な女性さ」


「ま~た、調子の良い事言っちゃって、君も騙されちゃ駄目よ。スタンリーはモテモテなんだから、私より綺麗な女性に何時も囲まれてるんだからね」


「アリーシャさんより綺麗な女性ですか? ちょっと想像出来ませんね」


「ウフフ、貴方も可愛い顔して油断出来ないわね~♪ 彼女に怒られるわよ?」


「怒られますか?」


「きっと怒るわ」


「じゃ、言わない様にします」


「でも、もっと怒られる様な事しちゃったりして♪」



 アリーシャさんは、そう言うと僕の頬にキスをしてくれた。


 頬と言っても口の近くだったから一気に顔が赤くなっていくのが分かる。



「ウフフ、褒めてくれたお礼よ、ちゃんとキスマーク消しとかないと本当に怒られるわよー♪」


「やれやれ、アリーシャの悪戯好きは治らないよな。またな少年」


「はい、サインありがとうございました」


「またね~♪」



 別れの挨拶をし二人は歩いていってしまった。


 僕はしばらく茫然としていたが、トイレに行って鏡を見てみるとアリーシャさんのキスマークがシッカリと残っていた。


 それを見てまた顔が赤くなってしまうが、勿体ないけど消すことにした。本当に勿体ない・・・


 思わぬ幸運で有名人に出会ったので、帰ってから皆に話すネタが出来た。


 写メも撮って貰えば良かったと少し後悔した。


 当初の目的である上級ダンジョンに入るため移動し、何時ものようにスマホに登録してあるギルドカードを翳してダンジョンの中へ入る。


 そこは、まるで初級ダンジョンのような洞窟だった。奥へ進むと午前中も見てきたスライムを発見した。


 上級ダンジョンのスライムだから強いのかなと思ったが、今の僕にはやはり簡単に倒す事が出来た。


 っと言うか、初級ダンジョンのスライムより、強いのかどうかすら分からなかった。


 地下1階をドンドン進んで行くが、スタンリーさんのパーティは居ないようだ。


 おそらく違う階層に行ったのだろう。


 上級ダンジョンのスライムが落とすスキルも<虚空庫>だったので、新たに2つ補充出来た。


 おそらく上級ダンジョンの魔物は強い分、ドロップ率は良い筈なんだけど僕には<ウィル>スキルがあるから違いが分からないんだよね。


 そのまま地下1階を攻略していると、地下2階に下りる階段を発見した。


 様子を伺っていると、どうやら6人組のパーティがいるようだ。


 あまりソロで他パーティに接触するのは避けたかったんだけど、階段の近くに居るので仕方なく近づいてみることにした。


 近付くに連れて視認出来るようになると、女性6人の外国人パーティの様だった。


 しかも何処かで見たことがあるような・・・


 更に近づいていくと、向こうも此方に気が付いた。


 少し警戒されているようだが、僕がソロだったせいか警戒を解いてくれたようだ。


 6人共冒険者と言うよりモデルさんの方が似合いそうな美人で、抜群のスタイルをしている。


 金髪に青い目を見れば見る程、美しい女性達に驚いてしまう。


 挨拶をしようと今まさに声を出そうとしたとき、ようやく誰か思い出し思わず声を出してしまった。



「ソフィア・タラソワ!!!」


「えっ? 何故私を知ってるのかな?」



 そう、この人はロシアのSランク冒険者で超有名人のソフィア・タラソワさんだった。


 何度も雑誌で見ていたが、実際に見るまで気付けなかった。


 名前を呼んでしまった事で、また警戒されてしまったが慌てて弁明する事にした。



「す、すみません。僕ファンなんですけど驚いて名前を呼んじゃいました」


「へええ~、日本人よね? なのに流暢なロシア語喋ってるけど本当かな~?」


「本当です、決して怪しい者じゃないですよ」


「でも、君みたいな少年が上級ダンジョンにソロで来てるの?」


「今日はちょっとパーティメンバーが用事で来れなかったので、下見に来ただけなんですよ」


「フフ、皆こんな少年相手に、そこまで警戒する事も無いでしょ?」


「まあ、そうよね・・・でも相変わらずソフィアの人気は凄いのね、日本の少年にもファンが居るんだもの」


「ウフフ、羨ましがらないの♪ リーダーだから名前が目立つだけよ」


「あっ! 皆さんの名前も知ってますよ」



 僕はソフィアさんのパーティメンバーを一人一人言ってから、雑誌に出ていたパーティの役割まで丁寧に説明した。



「・・・そこまで詳しいと、ちょっと照れるわね」


「ウフフ、君が私達の大ファンってのは、良く分かったわ♪」


「こ~んなに可愛い子が、私の名前まで覚えてくれてるなんて嬉しいかも♪」


「でも君、冒険者みたいだけど年は幾つなの? ここって上級ダンジョンだよ?」


「若く見えるかもしれませんが僕は18才です。子供じゃないですよ?」


「「「「「「えっ?」」」」」」



 ・・・僕は、どこまで童顔に見えるのだろう。



「そっか18才以上じゃないと入れないもんね、でも日本人って若く見えるけど、君は特になんだね~」


「良く言われます・・・皆さんは何故、日本のダンジョンに来てるんですか?」


「ん~、まあ秘密にしてる訳じゃないから言うけど、空を飛べるスキルを探しに来たのよ」


「えっ? ひょっとして、あの報道を見てロシアから日本へ来たんですか?」


「そうよ? おかしいかしら?」


「でっ、でも、あれって未確認生物とか言ってましたけど、スキルなんですか?」


「私は未確認のスキルだと思うわ、そう考えた方が夢があるでしょ?」


「なるほど、凄い行動力ですね~、それであの・・・・・」


「なーに? サインならして上げるわよ」


「本当ですか、ありがとうございます♪」


「あはは、そんなに色紙を持ってモジモジされたら頼んでるみたいなものよ?」


「えへへ♪ すみません宝物にします」


「ウフフ、本当に18才には見えないわね~、可愛い顔してるしね」


「わわっ!」



 僕は頭を撫でられたり、抱っこされたりと、ヌイグルミの様に扱われ可愛がってくれた。


 ソフィアさん達は写メも一緒に撮ってくれ、僕は上機嫌で立ち去ろうとした。



「皆さん、ありがとうございました、では頑張って下さいね」


「待ちなさい、そっちは地下2階に下りる階段よ?」


「はい、もうちょっと下見しようかと・・・」


「駄目よ! 本来、君みたいな子が居るようなダンジョンじゃないのよ? 危ないんだからね」


「まだ低層階なので大丈夫ですよ?」


「ダンジョンを舐めたら駄目よ、低層階でも危ないんだから」


「まあ、実力があったら問題ないんじゃない?」


「そうだけど・・・じゃ、ちょっと実力を見て上げるわ」


「え、ええっ」


「えっと、訓練用の剣なんて用意してないから、この木の枝を使ってやりましょうか。私に触れる事が出来たら地下2階に行って良いわよ」


「本当にやるんですか?」


「大人しく帰るなら、やらなくても良いわよ?」


「ソ、ソフィアさ~ん?」


「ウフフ、駄目よ? 私も同意見なんだから大人しく鍛えて貰いなさい」


「あぅ~、じゃちょっとだけ、お願いします」


「さあ、何時でも良いわよ」



 僕はSランクの人達相手では、流石に少し本気でやらないと認めて貰えないと思い、ステータスのリミッターを解除し、敏捷強化を使って相手の背後に回り込んだ。


 僕の速度について来れていなかったので、持っていた木の枝を肩口で寸止めした。



「「「「「「なっ!」」」」」」


「えへへ♪ 僕の勝ちですね、行って良いですか?」


「そ、そんな? 見えなかった・・・」


「ソフィア?」


「・・・私も見えなかったわ、一体彼は何をしたの?」


「ソフィアでも見えない動きって? 冗談よね?」


「じゃ、僕は行かせて貰いますね」


「待ちなさい・・・何をしたのか分からないけど、私は未だ触れられてないわよ?」


「ええ~、そんな~、いくら木の枝でも女性には当てたくないんですよ、タッチでも良いですか?」


「良いわ、もう油断は無しよ・・・」


「はい、行きますね」



 次に僕が選んだ行動は、誰が見てもタッチしているのが分かるように一瞬で移動し、正面から相手の左手を掴み握手をした。



「「「「「「ゾクッ!」」」」」」


「う、嘘でしょ?」


「えへへ♪ 今度こそ僕の勝ちです。心配して貰ってありがとうございました」



 僕はもう一度スピードを上げ、今度はソフィアさん達の背後に移動した。



「ソフィアさん」


「「「「「うわっ!」」」」」


「では、僕行きますね、ありがとうございました」


「ま、待ちなさい、まだ名前を聞いてなかったよね?」


「ん~、名乗らないのも失礼ですよね、僕は三日月陽って言います」


「では、またどこかで」



 僕はソフィアさん達に手をブンブンと振って、地下2階の階段を下りて行った。



「な、なんだったの今のは?」


「・・・恐ろしいくらいのスピードだったわね」


「私達が視認出来ない速度って、どうなのよ?」


「あ~、参ったわ私のプライドはズタボロよ」


「もし、あの子に襲撃されてたら私達でも死んでた?」


「スピードだけで攻撃力が低いかもよ?」


「いいえ、間違いなく皆殺しだったよ? あの速度で攻撃されてたら、どんな防御も意味が無いわ」


「後ろに立たれるまで<気配感知>も追い付かなかったわ、あの子は間違いなく化物ね」


「まだ背中に掻いた冷や汗が止まらないわ」


「ソフィア・・・日本のレベルって、そんなに高いのかな?」


「それは無いと思うわ、あの子が特別なのよ・・・可愛い顔してたけど恐ろしい少年ね」


「ロシアでもトップクラスの私達を簡単に皆殺しに出来る少年か・・・世界は広いわね」


「三日月陽か・・・覚えておくわ」



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― 新着の感想 ―
態々自分から実力を示してまで目立ちたいという行動ですね。
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