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第60話 性能が良すぎるのも大変ですね

優しいお言葉を掛けて下さった方、ありがとうございます。

今日から更新再開しますね。



 しばらく待っていると店主である藤間紋子さんが来てくれた、こんなに大きな洋服店の店主をしているのに、見た目は驚く程若く20代後半ぐらいに見える。


 落ち着いた感じの綺麗な女性で、教会のシスターが似合いそうな優しい笑顔が印象的だ。


 まるで母親を感じさせるような母性が滲み出ている、豊満な胸をしているのでそのせいかもしれない・・・


 かと言って決して太っている訳じゃなく、中肉中背の素敵なスタイルをしている。


 しかし、都会の女性は皆どうなってるんだ。綺麗な方が多すぎるな。



「初めまして私は、藤間とうま 紋子ふみこと言います。今日はクレセントの皆様が来て頂いて嬉しいですわ」


「貴方がリーダーの三日月様ですね? 話はリラさんから聞いております、珍しい素材を取り扱わせていただいて感謝してますわ」


「いえいえ、此方こそ秘密にしていただいて助かってます。それに、あのツナギ最高でしたよ」


「ウフフ、それはありがとうございます。しかし、テレビを見たときは流石に驚きました。同時に歓喜のため体が震えたのを覚えております」


「リラさんは何も教えて下さらなかったので、お人が悪いですね」


「フフ、申し訳ありません♪ ヨウ様、藤間さんはダンジョン素材で作成した物ならば、付与効果まで確認できる優れた職人なのです」


「へえ~、やっぱり誰でも分かる訳じゃないんですね」


「ウフフ、そんなに褒められても安くはなりませんよ?」


「それは残念ですね♪」


「それでは依頼の品をお出ししますね、此方がお預かりした銀色魔糸で製作した洋服兼防具です」


「うわ~、綺麗~♪」


「流石ですね、綺麗な黒色になってます♪」


「デザインは今までとあまり変わらないのに、もう全然別物ね凄いわ」


「フフ、私とノノの洋服は感じが変わりましたね」


「フフ~、やっぱり私達はスーツだよね、でもお洒落になったわ♪」


「僕のもカッコ良くなってますね。嬉しいかも♪」


「これって性能も凄いわね耐物理効果、耐魔法効果も付いてるなんて」


「ど、どうしてそれが分かるの? これを作成した私にしか分からない事なのに? ま、まさか鑑定スキル・・・貴女まさかギルドの魔女?」


「んふふ、麗人ってのもあるんだけどね」


「・・・何故それを私に言うの?・・・嘘でしょ? 私は誰にも喋ってないし、これからも秘密は守るわ」


「リラさん信じて、お願いよ」


「フフ、はい信じております、勘違いですよフミさん」


「か、勘違いって? 私を殺さないって事?」


「あ~、ごめんなさい私が悪かったわ。少し軽率でしたね、リラから信用のおける人だと聞いていたので、それにあのツナギで私達の秘密もバレてますしね」


「そ、それなら口封じに来たんじゃないの?」


「逆ですよ? フミさんにも私達の仲間になって貰おうって話をしてたんで、鑑定スキルを持ってる事が、分かる様な事言っちゃったんですよ」


「フゥ~、驚かさないで寿命が縮んだわ。まさか、リラさんに殺されるとは思わないけど、そんな重要な秘密を簡単に暴露されたから焦ったわ」


「やっぱり、勘違いされる程の秘密なんですよね? 僕も再認識しとかないと」


「僕達は秘密が多いので、信用のおけるフミさんには専属になって欲しいんですが如何でしょうか?」


「それって断れるのかしら?」


「勿論ですよ、でも僕達の専属になってくれたら特典もあったりします」


「ウフフ、ダンジョン産の素材を回してくれるだけでも私には大特典なのですよ?」


「じゃ、それに追加して、これも付けますけど、どうでしょうか?」


「これはクリスタル? えっ これってまさかスキルオーブとか言う?」


「そうです。これは<鑑定>のスキルオーブです。これも差し上げますよ良い特典でしょ?」


「鑑定スキル? 確か5000億円の値がついたのでは? これを私にくださるって言うのですか?」


「返事は直ぐじゃな・・・」


「OKよ。これを断る人間が居たら見てみたいですわ」


「あはは、即答ありがとうございます」


「本当に鑑定スキルを習得させて貰えるのですか?


私もオークションを見ておりましたが、どれだけ欲しかった事か・・・


もし、いただけるのでしたら、これから依頼された洋服は、全て無料で結構です。


とても、釣り合いが取れるとは思いませんけど・・・」


「いえいえ、そんな気を使わなくても良いですよ?


実は、鑑定スキルを持っていると、多かれ少なかれ危険になるかもしれないんですよ。


だから<追加防御>スキルも付けときますね、報酬も100億ほど渡しておきますので御自由にお使いください」


「はい? い、言っている事が理解出来ないのですけど・・・リラさん?」


「フフ、ヨウ様が仰った通りで間違いありませんよ? スキルの説明をさせていただいても宜しいですか?」


「・・・フフフ、私の人生で一番驚いたかもしれませんね、今日は死と感激を一度に体験出来ましたわ」



 それからフミさんは、リラからスキルの説明を受け、快く僕達の専属になってくれた。


 フミさんには、これから宜しくと丁寧にお礼を言ってから洋服店を後にした。


 自宅へ帰ると、早速新しい洋服に着替えてみた、とても着心地が良くて大満足だ。


 こうして、銀色魔糸で新たな装備を手に入れた僕は、次に考えていた事を実行した。


 ずっと気になっていた、地下20階のボス戦でドロップした紅宝石の事だ。


 鑑定によると、この紅宝石はアクセサリーとして装備すると、何らかの付与効果が付くらしい。


 そこで僕は、皆がプレゼントしてくれた、オリハルコン製のネックレスに装着して見る事にした。


 最初はネックレスを作ってくれた所に依頼しようと思っていたんだけど、自分でも出来そうなので自分のネックレスで試して見る事にした。


 三日月型の中央から、やや上部に紅宝石がぶら下がるように取り付けると、我ながら中々良く出来たデザインになったと思う。


 三日月と太陽をデザインしたように見えるから、まさに僕の名前通りだな思い、少し照れてしまう。


 試しに、どんな付与効果が付いたのか鑑定してみると、目を疑いたくような結果になった。


 たまたま最初に作った物が、こんなとんでもない性能になったのかもしれないと思い、皆のネックレスも借りて来ることにした。


 全部同じデザインだけど入れ替わらない様に、其々名前を書いた紙を貼っておいて、僕のと同じように紅宝石を取り付けていく。



「・・・ヤバいな全部同じ性能になっちゃった、やっぱりオリハルコン製だったからなのかな」


「う~~~ん、どうしようかな・・・せっかく作ったからな~。まっ、いっか、その内慣れるだろうし、このまま返しちゃお」



 僕はリビングへ戻り、皆にネックレスを返す事にした。



「ねーねー? 私達のネックレス集めて何してたの?」


「えへへ♪ それなんですけど、ちょっと見て貰えますか?」



 僕は丁寧に1つ1つ取り付けた、紅宝石付きのネックレスを全員に返した。



「うわ~、可愛いじゃない、これって紅宝石よね?」


「へええ~、ヨウ君相変わらず器用ね~」


「これって三日月と太陽に見えるよね」


「フフ、まさにヨウ様を象徴するようなネックレスになりましたね」


「フフ~、色合いも良くて可愛くなりましたね、ありがとうございます」


「んふふ、これってヨウ君から皆へのプレゼントなのよね~、嬉しいな♪」


「まあ、僕からと言っても宝箱から出た宝石なので、皆の物なんですけどね」


「それでもヨウ君からのプレゼントに変わりはないわよ、ねーねー? 付けてみて良い?」


「あっ! ちょっと待って下さい。今付けない方が良いかも・・・・・」


「えっ? 何か問題あるの?」


「えっと、鑑定して貰ったら分かると思うんですが、ちょっと性能が良すぎちゃって困ってるんですよ」


「性能が良すぎるって・・・」



 皆は、僕の言葉を聞いてネックレスを鑑定しているようだ。


 そして、全員が目を見開いて驚いている顔が少し面白かった♪



「「「「「えっ・・・えええええっ!!!」」」」」


「ちょ、ちょっと、これ全ステータス2倍って何? 嘘でしょ?」


「どれだけレア装備なのよ? オークションに掛けたら幾らになるか分かんないぐらいよ」


「これ、今のステータスが二倍になるんだよね? これからステータス上げる度に二倍になっちゃうの?」


「これは、幾ら何でも壊れ性能って物なのでは?」


「うわ~、うわ~、全部二倍になっちゃうの? またドアノブ千切っちゃうかも?」


「まあ、まだ確定した訳じゃないですから、ちょっとだけ試して見ます?」


「ナギサ、ネックレス付けてコーヒー飲んでみて」


「なんで私なのよ? アヤメやりなさいよー」


「やーよ、ヨウ君の前でコップ握り潰したくないわよ」


「あーたね、自分が嫌な事人に頼むんじゃないわよ?」



 結局全員でネックレスを装着し、テーブルに置いてあるコーヒーを飲んでみる事にした。



「良い? 行くわよ」


「OKよ」


「せーの」


「「「「「「パリンッ・・・・・」」」」」」


「「「「「「・・・・・・」」」」」」


「む、無理よ~、私そ~っと触ったわよ?」


「あはは、面白いぐらい皆割れちゃったね~」


「こんなに難しいとは思いませんでしたね」


「鋼鉄のコップにしちゃう?」


「熱くて持てないよ?」


「う~~~ん、やっぱりスキルと違ってステータスは、簡単にオンオフ出来ないですからね・・・」


「でも、諦めるには勿体ないですよね、頑張って慣れちゃいましょうか」


「「「「「・・・・・・」」」」」


「言うと思ったけど、言うのねヨウ君?」


「あはは、VITも倍になってるから怪我はしないでしょ?」


「とりあえずタマゴを持てる様に練習しましょうか?」


「うわ~、やる気が凄いよ~、リラねえ」


「・・・やるしか無いのね」


「強さの為にも頑張りましょう♪」


「う~、ヨウ君の強さへの渇望が半端じゃ無いよ~」


「あああ~、タマゴなんて持てないよ~」


「おそらく、ミリ単位で調整できれば・・・グシャッ・・・」


「まだ強すぎるか・・・そーっと、そーっと・・・よし、持てた。やれば出来そうですよ?」


「どれだけ器用なのよ~」



 それからも訓練は続いたが、部屋の至る所が破損する事になった。


 少し力を入れると、床を踏み抜いてしまうため真面に歩く事が出来ないし、手に触れた物は悉く壊れていった。


 着替えは<虚空庫>スキルで出来るんだけど、寝返りで壁に大穴が開いてしまった。


 ベッドも破損し被害は甚大になったが、訓練の為だから仕方がない。


 朝起きるとリラが涙目になっていたので、どうしたのかと思ったら料理が出来ないそうだ。壊れた鍋やフライパンが転がっている・・・


 仕方が無いので朝食を注文しようと思ったが、スマホに触れない事に気付いた・・・


 流石にスマホは壊す訳にはいかないので、慣れてから触るようにすることにした。


 外食のため出掛ける事にしたが、ツドイが車のドアを引き千切り、ハンドルを折って泣いてしまった。


 流石にちょっと可哀そうになってきたが、中途半端に止めるのも勿体ないので訓練は続行した。



「えっと、ペットボトルは、もう持てるようになったかな?」


「ある程度弾力があるから大丈夫よ、蓋を開ける方が難しいけどね」


「なるほど。じゃ、朝食を食べたらダンジョンの中で走る練習から行きますよ」


「やっと、歩けるようになったところよ?」


「フフ、早く魔物と戦いたいです♪」


「リラ姉がストレス溜まってるよ~、怖いよ~」



 この日のダンジョン探索は壮絶を極めたのは言うまでもない。


 困ったのは武器が早々に壊れてしまい、全員格闘で戦闘する事になったが、何故か皆怖いぐらい格闘に慣れていったようだ。


 アヤメの蹴りを初めて見たかもしれない。


 しかし、人間の慣れとは恐ろしいもので、3日目には全員遂にステータスの調整まで任意で出来るようになったのは驚きだった。


 やれば出来るもんだなと改めて感心し、今ではステータスも100ぐらいで調整し、自由にリミッターを解除出来るまでになる。



「いや~、やっぱりやれば出来るもんですね」


「・・・被害は甚大だったけどね? 武器幾つ潰したと思ってるのよ?」


「フフ、でも本当に壊れない武器を調達しないといけませんね」


「幾ら何でもオリハルコンの武器は無理だから、アダマンタイトでも探さないとですね」


「そうですよね、せっかく上げたステータスが勿体ないですものね」


「僕達も上級ダンジョン行かないとだね」



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― 新着の感想 ―
再開有難うございます。予想外の展開ですが、上級ダンジョンでの大暴れ(大活躍ともいう)の予感にますます続きが読みたくなりました。
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