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第58話 世界中に夢を見て貰うのも良いかもね

評価やブックマークを付けて下さった方、ありがとうございます。


 今日も気持ちの良い朝となりダンジョンに来ている。


 今日も地下10階のボス戦からスタートした。


 驚く事に、またレア種であるキラースパイダーを引き当てた。


 LUKのステータスは、こういう時に発揮されているのかもしれない。


 ドロップは昨日と同じだったけど、銀色魔糸が溜まって来たので、これでどんな装備が作れるのか聞いて貰う事になった。


 これだけ高い素材なら良い装備になるに違いない。


 地下11階ではハーピーから<高速飛翔>のスキルをゲット出来たので、これでようやく全員分のスキルが手に入った。



「僕、楽しみだったんだ」


「今日は、ダンジョン探索を早めに切り上げて練習しよっか」


「でも、広い所の方が良くない? ほら、名前も<高速飛翔>だしさ」


「そっか! じゃ、地下20階のボスを倒したら、人が来ない様な所まで移動して練習しよう」


「嬉しいよね♪」


「んふふ、ツドイが、そこまで楽しみにしてるのも珍しいわね」


「ずっと言ってましたからね♪ よーし、急いで行きますね」


「「「「「了解です」」」」」



 何時もはハーピーのタマゴやケルピーの皮も集めているが、今日はオーブとスクロールだけを狙ってサクサクと進んで行った。


 人の少ないエリアでは久しぶりに、ツドイにジープも出して貰って駆け抜けた。


 その甲斐あって、今日は昼前なのに地下20階のボスを倒し終える事に成功した。


 そのままボス部屋から離れ、人が来ない様な場所を探して移動した。



「この辺りなら絶対に誰も来ないでしょ?」


「うん、僕の<気配感知>でも誰も居ないから大丈夫だと思うよ」


「では、<高速飛翔>スキルオーブを渡しますね」



 僕は皆に<高速飛翔>スキルオーブを渡し、全員習得した。


 何時もの様にスキルの扱い方が大体分かるんだけど、念のために少しずつ浮くところから練習を始めた。



「浮いた♪、結構簡単かも?」


「うん、これなら直ぐに自由に飛べるようになりそうですね、でも慣れるまで低い所で練習しよっか」


「わーい、気持ち良い~♪」


「わわ、何か足場が無いのって変な感じよね?」


「フフ、横向きになると、何故か違和感が無くなりますよ?」


「へえ~、寝る様な態勢ね? やってみよ♪」


「リラ姉、私もやる~♪」



 僕達は浮く事の練習から始め、横向き、逆さま等、向きを変える事に慣れてから低空飛行、キリモミ飛行、宙返りと徐々に飛ぶことに慣れていく。


 2時間ほど練習しただろうか、既に全員かなり自由に飛べるようになった。


 しかし、意外にも早く飛ぶことが難しく、どうしても空気抵抗が障害になるようだ。


 そこで僕は<風属性魔法>で流線形の形をイメージし、自身を包みこむようにした。


 僕の目論見通り、かなりのスピードを出しても失速しないようになり、呼吸もしやすく目も痛くない。



「三日月君、凄いねどうやったの?」


「流石ヨウ君ね、今のメチャクチャ早かったよ」


「でも、目が痛くなかった?」


「呼吸も苦しくない?」


「ヨウ君、風魔法かな?」


「お~、アヤメ正解です! 流石ですね~♪ でも、ちょっと形を工夫してみました。流線形と言うかタマゴ型をイメージして自身を包みこんでみたら、空気抵抗が減って早く飛べるし、呼吸も目も大丈夫でしたよ」


「やっぱりね~♪ でも、その方法なら高度を上げても酸素の心配も無くなるわね」


「そっか、気圧の問題もありましたね。でも、まだ高度を上げるのは危険だから、やめときましょうか」


「そうね、よ~しやってみよ」


「僕もやってみるよ」



 それから更に1時間程練習したら、全員高速で飛ぶことも出来るようになってきた。


 今までやってきた複数のスキルを使う練習が役に立った様だ。



「うん、自分を操縦するのも、やっぱり楽しいね」


「あはは、なるほど、ツドイが楽しみにするのが分かりましたよ」


「そっか、そう考えるとそうよね。でも、私は空を自由に飛べるのが楽しいわ」


「んふふ、鳥になった気分よね♪」


「フフ、まさか空を飛ぶ日が来るとは思いませんでした」


「フフ~、そりゃ、誰も思わないわよね? スキルって最高です♪」


「じゃ、次は<隠蔽><気配遮断>を発動しながら練習してみましょうか」


「「「「「・・・・・・・」」」」」


「・・・出たわ、ヨウ君のスパルタ訓練よ?」


「久しぶりなんだけど、頑張るしかないのよね」


「フフ、頑張ります」


「ん~、頑張る」


「それが出来るようになったら便利だよね、頑張るよ」



 流石にスキル3つを発動しながら魔法を使うのは難しいので、これからの課題になった。


 今日は、空を飛ぶ訓練が楽しすぎて、スッカリ遅くなってしまった。


 でも、有意義な日になったのは間違いない♪


 ダンジョンから出て部屋に戻る時、どこかから連絡が入ったと思ったらケルピーの皮で発注していたツナギが完成したようだ。


 早速、リラさんが引き取りに行ってくれ、直ぐに部屋へ持って帰ってくれた。


 製作してくれた人の話によると、残念ながらツナギに隠蔽効果は付かなかったらしい。


 しかし、露出している顔の部分が認識阻害効果が付いたらしく、眼鏡や帽子で隠さなくても顔は分からないようだ。



「お~、それで十分じゃないですか? 人前に出て完全に見えないのも問題ですからね」


「フフ、そうですね。完全に姿を消したいときは<隠蔽>スキルを発動すれば大丈夫ですから使い分けできるかと」


「それよりも、先ずは着てみようよ」


「そうね、先ずは試着よね」



 僕達は自分のツナギに着替えて、またリビングに集まる事にした。


 驚いた事に本当に顔が見えてるんだけど、誰か認識出来ないようになっていた。


 ツナギのデザインは作業服とは思えない程、良い感じに仕上がっており、製作した人のセンスの良さが伺える。


 狙い通りダブついたツナギなので、性別も分かり難いのも良いな。



「うわ~、本当に顔が分かんないわね」


「凄いわね、私達だけに分かる様な印でも付けようか?」


「それにしても声も変わってますよね?」


「フフ、念のために変声器も付けて貰いましたので」


「なるほど、流石ですね声でバレたら意味が無いですからね」


「まあ、慣れてきたら区別ぐらいは出来そうだから、このままでも良いんじゃない?」


「はい、それと僕この装備見て良い事考えたんですが、こんなのどうですか?」


「えっ? なになに・・・・・あはははは♪ 良いわね、それ最高じゃない?」


「フフ、流石にそれは予想がつきませんでした」


「ブルッって来たわ、うふふ、良いわよ、やりましょうか」


「やっぱりヨウ様は、発想が斜め上です。面白そうです♪」


「震撼って感じだね♪」



 僕の提案を皆に聞いて貰ったら、全員楽しそうに賛成してくれたので、明日実行する事になった。


 翌日、午前中はダンジョンに潜り速攻でクリアしてから部屋へ戻り、昨日僕が言った提案を実行に移す。


 そう、僕の提案とは「大阪の、ど真ん中を飛びまくって目立ちまくろう!」と言う事だった。


 人は自由に空を飛べない! その常識を都会の、ど真ん中で打ち破ると言う事が如何に夢がある事だろうか。


 昨日この装備を見て何気なく思いついたけど、今は我ながら名案だと思う。


 事故や事件と言った悪いニュースばかり流れる中、世界中の人間の度肝を抜いてやろう。


 僕達はガラスに覆われてない屋上で待機している。


 認識阻害で顔が分からないが、全員笑っているような気がした。


 そして、僕の掛け声で6人が一斉に飛び立つ!



「Ready? Go!」


「「「「「「YEEHAHーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」」」」」」



 僕達は高層ビルが立ち並ぶ谷間を、縦横無尽に飛び回った。


 道行く大勢の人々が僕達を見ている。


 普段隠し事の多い僕達のストレスを発散するかのように、叫びながら飛び続けた。



「オオオオオオオオオッ! スゲー、あれ見てみろよ?」


「おい、おい、おい、ウソだろ?」


「人だよなあれ?」


「ええっ? あれなに?」


「スッゲエエエエエエエエエエ! マジで空を飛んでやがるぜ」


「ウソー? マジマジマジ~?」



 僕達を見ている全ての人々がスマホで動画を取っているようだ。


 僕達もサービスで低空飛行を織り交ぜていく。



「きたきたきた~~~、オオオオオオオッ! スゲエの撮れたぞ」


「見た~? 本当に人間だよアレ! だって手を振ってたもん」


「ク~~~、何か叫んでたぜ、気持ち良さそうだよな♪」


「カッケー、なんも付けてなかったぜ? どうやって飛んでんだよ?」



 目まぐるしくポジションを変えながら、ビルの中から見ている人達にも手を振っていく。


 ビルからビルへキリモミしながら飛び回るのが快感になってきた。



「何あれ?」


「何か飛んでたね・・・」


「鳥・・・じゃないよね?」


「どう見ても人間だったわ・・・」



 僕達が飛び出してから30分程しか経ってないのに、もう報道ヘリが飛んで来たようだ、こういう所は流石に都会を思わせる。


 しかし、流石にビルの谷間まで飛んで来れないようなので、少しだけサービスで近付いてから、また縦横無尽に飛び回った。


 最初はスマホの動画やテレビカメラで認識阻害がバレるんじゃないかと思ったが、どういう原理なのか、動画や画像であろうと個人を認識出来る程、顔が鮮明には映らないらしいので堂々とカメラの前でも飛び続けられる。


 飛び出してから約40分ぐらい経っただろうか、僕達は誰にも分からない様に<隠蔽>と<気配遮断>を発動してから部屋に戻った。


 部屋に戻った僕達は、<虚空界>を使って部屋着に着替えリビングに集まる。



「くぅ~、最高に面白かったわ♪」


「あはは、気持ち良かったわね~♪」


「僕も最高だね♪」


「フフ、皆良い声でした♪」


「あ~、最高の気分だわ♪」


「ん~、偶には目立つのも良いですね? 日頃抑えている分、ストレス発散になりましたか?」


「「「「「最高よ♪(です)」」」」」


「あはは、僕も最高でした♪」


「さってと、やってるかな~♪」



 アヤメはテレビのスイッチを入れると、次々ととチャンネルを変えていく。



「あっ! やっぱりニュースって早いね~、私達が映ってるわ」


「うわ~、凄く早いですね、でも話題性は十分だったみたいですね」



【番組の途中ですがニュース速報です!】


【たった今大阪梅田周辺において、人間が飛び回ると言う怪現象が目撃されました。当局が、その光景を捉えましたので、ご覧ください】


【これは驚きですね、空を飛べるような物は、何も装備していないように見えるのですが?】


【はい、御覧の通り、何も装備していない6人の人間が、自由に空を飛び回っております】


【そんな事が可能なんでしょうか?】


【可能である訳がありませんよ・・・何故この者達は空を飛べるのでしょうか?】


【ひょっとしたら、この者達はダンジョンからやって来た、未知の生命体なのでは?】


【しかし、ダンジョンの生命体は魔物しか確認されていないのでは?】


【ですが、ここを見て下さい・・・こんなにも近くで撮影出来ているのに顔がハッキリと分からないんですよ。


こんな事はありえないんです・・・我々の知らない未知の能力としか思えません】


【しかし・・・この者達は実に楽しそうに空を飛んでいますね。ほらっ手を振っていますよ、フフフ♪ 羨ましくなりますな】


【引き続き、謎の飛行生命体の情報が入りましたら、お知らせいたします】



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