第55話 とっても嬉しいプレゼント
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ダンジョンを出た僕達は早速スカッドの本部に行く事にした。
スカッドの本部に着いてみると4階建ての立派なビルだった。
「悪党の癖に良い所に住んでるじゃない?」
「悪党だから稼いでるんじゃない?」
「・・・・・・・・・」
「あの、ヨウ様が落ち込んでますから、それぐらいに・・・」
「も~、ヨウ君は別よ?」
「あはは、ヨウ君。例外もあるのよ? ヨウ君は真っ当に稼いでるからね」
「・・・良いんです、どの道自分が正義だなんて思ってませんから」
「そうなの?」
「そうですよ? 正義の人なら悪党と同じ手口なんて使わないでしょ?」
「僕がやる事は、悪党がやって来た事と同じ事をやり返して上げるだけですから、どっちかって言うと悪党ですよ?」
「僕はそれも良いと思うよ?」
「目には目を、歯には歯をってね」
「フフ、きっとそれでも、喜ぶ人の方が多いかと思います」
「えっと・・・」
「駄目よ、ヨウ君。私達も行くわ自分達の意思でね♪」
「分かりました、付き合わせてすみませんです」
「フフ~、では行きますか」
「はい、財産からスキルまで根こそぎ奪ってやりましょう」
「「「「「了解です!」」」」」
僕達は<隠蔽>と<気配遮断>で姿を消しスカッド本部に乗り込んだ。
ダンジョンで始末した者と同じように次々とメンバーを潰していく。
倒したメンバーからはキッチリとスキルや魔法を<返還>で抜き取っていく、強さを確保するためかステータスも、そこそこ上げているようだ。
姿が見えない僕達に反撃出来る訳も無く、1階から悲鳴だけが徐々に2階3階と上がっていく。
4階の奥の部屋に辿り着くと、装飾品や絵画が飾って有り豪華な部屋に行きついた、どうやら此処がリーダーの部屋なのだろう。
案の定、見るからに悪党である男性が何がおこっているのか分からないように焦って電話を掛けているが、部下に掛けているなら繋がる筈がない。
まさか、此処まで侵入されるとは思っていなかったのか一人で居るようだ。
僕はソファーに座り姿を現す事にした。
「プルルル、プルルル、クソが、何してやがる・・・」
「こんにちわスカッドさん?」
「なっ? どこから入って来やがった?」
「部下に電話してるなら無駄ですよ?」
「・・・そうか、お前のせいか? 一体、何をしやがった?」
「あはは、人にものを聞く態度じゃないですねー、敬語で喋ったらどうですか?」
「ふざけるな、早く言え! 何をしやがった?」
「まあ良いですけどね、えっと両足を潰されて気絶してるのかな? 死んでないと思いますけど」
「こんな真昼間から俺の部下を全員を倒したって言うのか?」
「あ~、ダンジョンに居たのも潰して来ましたけど、まだ居ます?」
「・・・何が目的だ?」
「へえ~、理解が早くて助かります、襲い掛かってくると思ってたんですけど? 僕って弱そうに見えるんでしょ?」
「ああ、とても強そうには見えねえな、ウチのバカ共がお前に絡むのも無理はねえ」
「1億で勘弁してくれねえか?」
「無理ですよ?」
「・・・分かった。有り金全部渡す、それで許してくれ」
「諦めも良いですね? 流石リーダーって言いたいですが、部下さん達全員ポーションでも治らない様に両足を切断するか潰してきました。何故だか分かります?」
「・・・・・・・」
「分からないですよね? 部下さん達が何も悪い事をしてない冒険者に対して、ボコボコに殴ってやるから這って帰れとか言ってたんですよ。
這うのが好きなのかなと思って、逆に両足を潰してやりました」
「待て、俺はそんな事命令してねえ、部下が勝手にやった事だろ? それに謝罪はする有り金渡すって言ってるじゃねえか、それで勘弁してくれよ」
「元々有り金全部貰う予定なんですよ? リーダーさんは特別に両手両足を潰してあげようかな?」
「か、勘弁してくれ嫁と子供も居るんだ、今回だけ許してくれ頼む」
「そっか、家族が居るんだ? 家族さんにも会いにいかなきゃね」
「グッ・・・まだ、居たのか何者なんだよ・・・・分かった。俺には何をしても良いから家族には手を出さないでくれ」
「・・・そんな事言われたら手加減したくなるじゃないですか? 仕方ないですね両足だけで今回は勘弁して上げますよ」
僕はリーダーの両膝に回し蹴りを放つ、結構力を込めたので一撃で骨は粉々になってるだろう、もちろんポーションでは回復出来ないようにした。
「グアアアアアアアアアアアア」
「でも、勝手な人よね? スカッドに殺された冒険者にも家族が居たんだよ?」
「まあ、そうなんですが今回は勘弁して上げますよ、次はありませんけどね」
「とりあえず隠してあった財産は全て回収しました。今後スカッドに手を貸すような者が居ない様に圧力も掛けておきました」
「「「「「はやっ!」」」」」
「ありがとう、では行きましょうか」
「では、最後に忠告しておきますが、これからずっと監視を付けさせていただきますので御注意を」
「グゥゥ・・・わ、分かってる」
僕達はまた姿を消し、スカッドの本部を後にした。
「グゥゥ・・・くそう・・・とりあえず助けを呼ばないと」
「プルルル、俺だ、すまんが・・・」
「ああ、悪いなもうお前との付き合いは出来ねえんだわ。じゃーな」
「プー、プー、なっ? くそがっ」
「プルル、プルルル、俺だ」
「あ~、申し訳ないですが・・・」
「ま、待て、何故だ?」
「・・・すみませんね~、上からの指示なんで、こちらが聞きたいぐらいですが一体誰に喧嘩売ったんですかね?」
「あ~、答えなくて良いですよ、俺もまだ死にたくないんで」
「プー、プー、クソッタレ・・・一体何者なんだよ?」
◇ ◇ ◇
<ヨウ視点>
僕達は思ったよりも早く用事が片付いたので、部屋に戻って寛ぐ事にした。
「ところでリラ」
「はい」
「リラ」
「はい♪」
「リラ、リラ」
「はい、はい♪」
「ちょっと慣れて来たからって、リラで遊ぶんじゃないわよ?」
「あはは、ごめんなさい、ちょっと可愛くて」
「そ、そんな、可愛いだなんて・・・」
「リラも喜んでないで、早く用件を聞きなさい」
「アヤメ」
「なによ?」
「大好き♪」
「も、もう、何言ってるのよーーーーー」
「あはは、えっとね、さっきスカッドに圧力掛けとくって言ってたけど、ひょっとして?」
「はい、既にスカッドと繋がりの有る所は調べておきましたので、権力者に手回ししました。
今後スカッド関連と話をするだけで、徹底的に潰しに行くと脅しを掛けておきました」
「うわ~、流石ですね~」
「フフ、ありがとうございます」
「何時も思うけど、どんな人脈持ってるの?」
「コンシェルジュしていた時に色々と伝手を作らなければいけませんでしたので、それが役だっております。
もっとも潤沢な資金がなければ、できないことですけどね」
「・・・私よりリラの方が魔女って言葉が似合うんじゃない?」
「あはは、皆多才ですからね? 僕のような凡人には羨ましいです」
「「「「「・・・・・」」」」」
「ジ、ジト目は、やめて下さいよ・・・」
「突っ込む気にもなれないわよ」
「ねーねー? それより、早くあれ出そうよ」
「も~、せっかちなんだからナギサは」
「何の事ですか?」
「んふふ、皆言って良いかな?」
「にひひ♪ 早く早く」
「はい」
「もちろんよ」
「僕も良いよ」
「でわでわ、私達5人からヨウ君にプレゼントです!」
「うわー、うわー、僕貰っちゃって良いんですか?」
「もっちろんよ、皆で選んだんだからね?」
「開けても良いですか?」
「早く早く~」
僕は皆からの突然のプレゼントに驚き、笑顔が止まらない。ワクワクしながら包装紙を丁寧に解いていき中を見る。
「うわ~、ネックレスですね、それにこの形って?」
「そそ、三日月の形をしたネックレスよ、ヨウ君にピッタリでしょ?」
「それに1・2・3・・・6本あるって事は、全員分ですね」
「んふふ、最初はヨウ君だけにしようと思ってたんだけど、同じパーティの印としてお揃いにしたの」
「うわ~、ありがとうございます♪ それにしても不思議な色ですね黄色っぽく見えますけど?」
「フフ、それはダンジョンから産出された超希少金属から作られています」
「えっ? まさか、オリハルコンなんじゃ?」
「フフ~、流石ヨウ様です」
「えええ~~~? それじゃあ、メチャクチャ高いんじゃないですか?」
「そうなのよね・・・僅か数グラム程度なんだけど1つで10億円よ? 加工するのにメチャクチャ時間が掛かるんだって」
「あわわ! 10億円って」
「私も値段聞いたときは吃驚しちゃったよ♪ でも、ヨウ君稼いでるもんね豪勢にいかないとだよ」
「っと言う訳で、全員一致でこれにしました。さっ、ヨウ君皆で着けてあげるね」
5人の女性達が1つのネックレスを取り、僕の首に掛けてくれた。
僕、お返しに皆の首にネックレスを掛けていく。
こうして全員の胸には、オリハルコンで出来たネックレスが光り輝いている。
「皆さん、とても良い物をありがとうございました。とっても嬉しいです」
「僕ネックレス着けるの初めてです」
「んふふ、気に入って貰えて良かったわ」
「皆お揃いだよね」
「ちょっと真似出来ないのが良いよね」
「とっても良い感じです」
「フフ、名前をつけるなら「クレセント」って所でしょうか」
「お~、良い感じですね♪ パーティ名って言ったら恥ずかしいけど、そう呼びましょうか?」
「そうね、良い感じだわ」
「にひひ♪ どう? ヨウ君。自分の女達って感じがしない?」
「ブッ!? その言い方は・・・でも・・・ちょっと嬉しいかもです」
「三日月君も男の子なんだね」
こうして人生で初めて着けるネックレスを何度も見ながら、今日の膝枕当番であるリラの太腿の上でゴロゴロしている。
「フフ、擽ったいですよヨウ様」
「ごめん、何か嬉しくてさ♪」
「フフ、そんなに喜んで貰えたら私達も嬉しいですね♪」
「あっ! スカッドのニュースやってるみたいよ」
【番組の途中ですが、ニュース速報をお伝え致します!】
【本日未明、大阪梅田にあるスカッド本部が何者かに襲撃される事件がありました。
これにより、スカッド構成員が全員両足を損傷、または切断されているとの一報が入りました】
【いや~、中々怖い事件ですねスカッドと言えば、世界にダンジョンが出来てから現れた悪名高い組織ですよね?」
【はい、ダンジョン内での殺人疑いで何度も警察の捜査が入っておりましたが、この襲撃により解散が決定したそうです】
【また、同時刻にダンジョンに居た構成員まで同じ被害にあっているそうです】
【ほほ~、そうなると組織どうしの潰し合いですかね?】
【それが不思議な事に死者が居ないにも拘わらず、目撃者が居ないのです。被害者は見ている筈なのですが、誰も見ていないという情報が入っております】
【不思議な事もあるものですね、それではまた詳しい情報が入りましたら、お知らせ致します】
・・・まさかニュースにまでなるとはね、そう考えると大きな組織だったのかな?
まあ悪名高いって言ってたから今までメチャクチャしてきたんだろう。
「これで、少しは抑止力になれば良いんだけどね」
「フフ、間違いなくなると思いますよ、その手の者へも脅しを入れておきましたから」
「やる事が早すぎですよ? 流石です♪」
「フフ、では御褒美を期待してもよろしいですか?」
「にひひ♪ ほらほらヨウ君。珍しいリラの催促よ?」
「あぅ、皆の前だと照れるんですよね」
僕は膝枕から少し体を起こしリラにキスをした、催促したせいもあるのか何時も以上に顔が真っ赤になっている。
今日も幸せを噛みしめながら、良く眠れそうだ。




