第51話 まだ謎が深まるのか
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「も~、いくら平気だからって見過ぎよヨウ君」
「リラさんなんて、顔が真っ赤になってたじゃない?」
「あはは、皆とっても可愛かったです♪」
僕は皆から頬っぺたを引っ張られながらも、一端部屋に帰る事にした。
「ひてて、ひたいですよ」
「・・・お仕置きです」
部屋に着いた僕達は、まず正体を隠す衣装の相談をした。
理想は性別があまり分からない事、目立たない色である事、等を色々と協議した結果、作業服のツナギで試作して貰う事になった。
作業服のツナギと言ってもリラさんが用意してくれたカタログを見ていると、中々恰好良いデザインもあるようだ。
確かに作業服のツナギなら、ダブついてるので性別は分かりにくいしフードや帽子で顔も隠せる。
色はどうにでもなるので、条件にはピッタリだった。
早速リラさんの伝手で、信用のおける方に依頼する事になった。
ケルピーの皮で上手く隠蔽効果が付けば、言うこと無しなんだけど。
「じゃ、次はヨウ君の2段階目のスキルね、どれから上げようとしてるの?」
「一応<敏捷強化>にしようと思ってます」
「<身体強化>はもう3つ上げてるんだよね?」
「はい、一応最大まで上げても問題無さそうなのは上げてます」
「躊躇ってるのは<敏捷強化><腕力強化><威圧>ですね」
「「「「「<威圧>は上げちゃ駄目!(です)」」」」」
「あはは、ですよね」
「でも<敏捷強化>から上げるのは、良いかと思いますね」
「<腕力強化>でも良いんじゃない?」
「確かにそれでも良いかと思ったんですが、腕力が欲しい時って攻撃力じゃないですか? それなら<追加攻撃>で何とかなるかと」
「なるほどね」
「<敏捷強化>でスピードが上がれば回避とか逃げるのにも良いかなと思って」
「フフ、ヨウ様は既にかなりの強さだと思いますが、どこまでも慎重なのが尊敬致します」
「あはは、ヨウ君らしいね私も賛成よ」
「僕もそれで良いと思うよ」
「そうね、それで良いと思うわ」
「ヨウ様はブレませんから」
「ありがとう、じゃ次は<鑑定>スキル習得しましょうか」
「んふふ、これで皆<鑑定>さんね♪」
「あはは<鑑定>さんって何よ?」
「はい<鑑定>さん切符ですよ」
僕はアヤメさん以外の4人に<鑑定>スキルを渡し、僕も1つ手に取った。
そして皆で何時もの様にスキルを習得する・・・・・・しかし、僕だけが何時ものスキル習得にはならなかった。
【キーポイントスキル<鑑定>を習得しました】
【<ウィル>スキルが次の段階に移行しました】
【スキル段階がステータス表示されるようになりました】
【最大スキル段階が拡張されました】
【最大魔法スクロール段階が拡張されました】
【特殊スキル<返還>を習得しました】
頭の中で鳴り響く声を朦朧とする意識の中、確かに聞き取りながら僕は眠りに落ちていく。
「ヨ、ヨウ君? どうしたの?」
「ヨウ様!」
「ヨウ・・・・・・」
僕は目を開けると見慣れた天井が見える、どうやら僕の寝室の様だ。
僕は・・・そうだ、声を聞いた。
段々と意識が覚醒していき<鑑定>スキルを習得し、意識を失った事を思い出した。
あの頭の中で響いていた声は何だったんだろう・・・
「ヨウ様、大丈夫ですか?」
「ヨウ君?」
「ヨウ君どこか痛くない?」
「ヨウ様見えてますか?」
「三日月君?」
寝ころびながら横に視線を向けると心配そうな皆の顔が見える。
「うん、もう大丈夫」
僕はゆっくりと体を起こそうとしたが、酷い空腹感を感じた。
「無理に起きなくて良いわよ、まだ寝てなさい」
「ありがとう・・・でも僕お腹減っちゃった。お肉食べたいです」
「フフ、分かりましたしばらくお待ち下さい」
「あはは、まさか空腹で倒れたんじゃないでしょうね?」
「ん~、そうかも知れません。急激に体のエネルギーを消費しちゃったみたいです」
「えっ? 本当にそうだったの?何が起こったの?」
「ナギサ待ちなさい、リラさんも一緒に聞きましょ」
「何か栄養のある物が良いわね。私も料理手伝ってくるわ」
「僕も行くよ」
「待って私も手伝う、ヨウ君ちょっと待っててね」
「はい、すみません」
しばらくすると、良い匂いが漂って来て僕の空腹感に拍車がかかる。
何とかリビングへ移動しようとしたが、フラフラして上手く歩けなかった。
「も~、ヨウ君ジッとしてなきゃ駄目よ」
「す、すみませんアヤメさん。リビングへ連れてって貰えますか?」
「分かったわ、抱っこするわよ」
僕は少し恥ずかしかったが、アヤメさんに抱っこしてもらいリビングのソファーに座らせて貰った。
もう空腹感で、今にも倒れそうだ。
「ヨウ様、とりあえずコーンスープを飲んで下さい、もうすぐ料理が出来ますので」
「ありがとうリラさん」
僕はスープを飲もうとスプーンを手に取るが、手が震えて上手く飲めなかった。
それでも何とか飲もうとしているとアヤメさんがスプーンを手に取り、僕に飲ませてくれた。
口の中に入ったコーンスープはとても美味しく、飲み込む度に栄養が体中に行きわたるように感じた。
ようやく手に力が入るようになり、次々と運ばれてくる料理をパクパクと食べ始めた。
「お、美味しいです、もっと貰えますか?」
「ま、まだ食べるの?」
「はい、すみません甘いジュースもお願いしたいです」
「ちょっと待ってね」
僕は自分でも信じられないぐらいの料理を食べ、甘いジュースを飲み干した。
食べ続けるに連れ徐々に体に力が入るようになってきた。
満腹感を感じる頃には完全に体調も戻っていた。
「フ~、生き返りました。ありがとう、もう大丈夫です」
「し、信じられないぐらい食べたわね・・・」
「ひええ~、10キロ以上食べてるわよ。お腹大丈夫?」
「はい、どうしちゃったんだろ・・・まだまだ食べれそうですが、体調は完全に戻りました」
「良かったです、本当に心配したんですよ?」
「あはは、すみませんでした。どうやら体のエネルギーを根こそぎ使っちゃったみたいです」
「何故そうなったか理由は分かってるの?」
「ん~、分かってるような分かってないような・・・分かってるのは<鑑定>スキルを習得した事で、僕の根幹である能力が進化したみたいです。たぶん、そのせいで体のエネルギーを大量に消費しちゃったんだと思います」
「・・・詳しくは聞かないけど、もう大丈夫なのね?」
「はい、御心配をお掛けしました」
「フ~、安心しました。しかし、念のために明日はダンジョンを休んで下さいね」
「えっ? た、たぶんもう大丈夫ですよ?」
「駄目よ、素直にリラさんの言う事聞きなさい」
「そうです、ダンジョンは逃げませんからね」
「・・・あぅ~、分かりました」
ようやく体調が戻ったが皆が安静にしとくようにと、また自分の部屋で寝転がっている。
何時もなら、もう寝る時間なんだけど、沢山寝たせいか目が冴えている。
僕は頭の中で聞こえてきた声を思い出している。
そう、確か<ウィル>スキルが次の段階にとか、スキルが拡張されたとか、新しいスキルも覚えたような・・・一度確認しておこう。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【STATUS】
HP 990/990
MP 990/990
STR 99
VIT 99
DEX 99
INT 99
AGI 99
LUK 99
【skill】
<ウィル>☆
<返還>New!
<鑑定>New!
<虚空界>★
<追加攻撃>
<追加防御>★
<敏捷強化>
<腕力強化>
<身体強化>★
<気配感知>★
<気配遮断>★
<威圧>
<状態異常耐性>★
<隠蔽>★
<魔力感知>★
<魔力操作>★New!
<MP吸収>★New!
<硬質化>New!
<言語理解>★
<幸運>★
<超回復>New!
【Magic】
<生活魔法>
<回復魔法>
<解毒魔法>
<快癒魔法>
<水属性魔法>
<土属性魔法>
<風属性魔法>
<火属性魔法>
<氷属性魔法>New!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あっ、なんか<ウィル>スキルに星マークが増えてる。それに習得した記憶が無いスキルが・・・<返還>?
えっ、分かる? これがどういったスキルか、まるで最初から知っていたみたいだ・・・
なるほど、一度習得したスキルや魔法を元のオーブやスクロールに戻す事が出来るようになったのか。
やった、これなら試しに<敏捷強化>や<腕力強化>を重ね掛けしても無理そうなら戻す事が出来る。
あっ? もし、他人にも使えるならスカッドみたいな奴等が、習得してるスキルも取り上げる事が出来そうだ。
それに星マークはスキル段階を表示してるみたいだな。
<ウィル>スキルだけ白星になってる。次の段階になったって事か。
黒星は3つ重ね掛けしているスキルだな。
あっ、でも拡張されたって言ってたような・・・
それに魔法も拡張されたって言ってなかったか?
今まで気付かなかったけど、魔法スクロールも重ね掛け出来たのか・・・
落ち着いたら試してみよう、焦る事もないしね。あっ? 誰か来たのかな?
「ヨウ君入るわよ?」
「はい、どうぞ」
「どう、調子は?」
「はい、お陰様で完全に調子を取り戻したみたいです」
「良かったね。も~、焦ったんだからね?」
「あはは、すみません。でも今考えれば僕が<鑑定>スキルを習得しなかったのは、こうなる予感があったのかもしれませんね」
「本当に不思議な人ねヨウ君は。まあ、体調が戻ってよかったわ♪ よいしょっと」
「えっ、アヤメさん?」
「んふふ、今日は私の番だったからね膝枕して上げる♪」
「あっ? あんまりこっち見ちゃ駄目よ? コートの下はネグリジェなんだから。はいどーぞ」
「えっ? あっ」
僕はベッドの上でアヤメさんに膝枕をして貰っている。アヤメさんはネグリジェなので素足の感触が僕の頬に伝わってくる。
「んふふ、どう? 素足だから気持ち良いでしょ? 言っとくけど大サービスなんだからね」
「はい、とっても気持ち良いです♪」
アヤメさんは、ネグリジェの上に薄いコートを着ていたので分からなかったが、少しヒンヤリとしたスベスベの肌がとても気持ち良い♪
チラッとアヤメさんの顔を見ようとしたら、豊満な双丘で見えなかった。
僕は緊張と照れの為か顔が赤くなっているのが自分でも分かる。でも、自分ではどうしようもなかった。
「も~、そんなに照れないでよ、こっちまで恥ずかしくなるでしょ~」
「自分ではどうしようもないんです・・・」
「んふふ、まあ喜んでくれてるなら良いんだけどね♪」
「はい、天国みたいです♪」
「あっ、こっち見ちゃ駄目だって、ブラ付けてないんだから」
「えっ? えええっ」
「だって、この方が嬉しいでしょ? ヨウ君には色々と我慢させちゃってると思うしね」
「い、いやそんな事は・・・」
「本当はもっとサービスして上げたいけど、私もこんな経験無いから恥ずかしいんだよね・・・もうちょっとだけ我慢してね?」
僕はアヤメさんの大胆な言葉に完全に頭が真っ白になり、あわあわしていた。
「さっ、もう寝よっかヨウ君」
「えっ、あのアヤメさんも此処で?」
「んふふ、念の為にね♪ でも変な事しちゃ駄目よ?」
アヤメさんは着ていたコートを脱いで僕の布団に入り、僕を見つめてくれている。
僕はアヤメさんの顔をジッと見ていると、何故か真っ白になっていた頭がスッキリとしていった。
気付いたらアヤメさんにキスをしていた。
「んっ、んんっ、もっ、も~、駄目って言ったのに?」
「す、すみません」
「んふふ、まあ良いけどさ・・・ねえヨウ君?」
「はい?」
「私、今日ヨウ君が倒れた時、どうしようもなく焦っちゃった。ホントにどうしたら良いのか分かんなかったの・・・オロオロしちゃうって、こういう事なのね~」
「心配かけて、すみませんでした」
「うんん、今の私なら<回復魔法>でも何でも出来るのにね、私もっと冷静な人間だと思ってたんだけどな。
でも、ヨウ君が回復していくに連れて分かったの。
今まで何かあやふやだったけど・・・私、ヨウ君が好きなんだってね。
私ヨウ君が好きよ! 愛してるわ♪」
「ア、アヤメさん! ぼ、僕嬉しいです♪ 僕もアヤメさんに初めて会った時から大好きでした」
「んふふ、知ってたわ♪ ヨウ君分かりやすいもんね~」
僕は溢れ出る涙を止める事が出来ず、照れる事も忘れアヤメさんの胸に蹲っていた。




