第4話 冒険者って儲かるかもしれない
SPオーブでステータスを上げ終わり、1つだけSPオーブを残して売るかどうか迷っている。
確かにお金には困っているので、SPオーブが高く売れれば正直ありがたい。
実家にも何か美味しい物を送って上げたいし、余裕があればお金も送って上げられる。
そうだ、とりあえず藤崎さんに相談してみよう。
きっと藤崎さんなら最良の方法を教えてくれるはずだ。
そうと決まれば、僕は<マッピング>したメモを片手にギルドへ戻る事にした。
帰り道にもスライムは居たが、残念ながらSPオーブを持っている発光スライムは居なかった。
無事ギルドへ戻り藤崎さんを探してみると、昨日と同じように受付で仕事をしているのを見つけ一気に嬉しい気持ちになった。
時間帯のせいか少し混んでいたけど、藤崎さんの手が空くのを待つことにした。
結構待つ事になったが、ようやく藤崎さんの手が空いたようなので、僕はそそくさと声を掛けに行った。
「こんにちわ藤崎さん」
「こんにちわ三日月様、今日はダンジョンに行かれたのですか?」
「はい、それで素材買取りの相談をしたいのですが、お願い出来ないでしょうか?」
「もちろん良いですよ、相談室がありますから此方へどうぞ」
「ありがとうございます」
僕は内心ホッとし藤崎さんの案内の下、個室になっている部屋へ入る。
「スライムボールは出ましたか? 常時依頼の納品クエストなので結構良い稼ぎになるんですよ」
「はい、お陰様で人生初ドロップの喜びを噛みしめてました」
「うふふ、それはおめでとうございます。それで相談と言うのはスライムボールの事ですか?」
「んっと、それもあります」
僕は流石にスライムボールを全部出すと拙いと思って半分だけ出すことにした。
半分と言っても60個だから結構な量をテーブルに出していく。
「えっ? ま、まだあるんですか?」
「はい、全部で60個あります。 あっ、買取り制限ってあるんでしょうか?」
「いえ、そんなのはありませんけど・・・一体何体のスライムを倒したんですか? 普通10体に1個ドロップしたら良い方だと思うんですけど」
えっ? そんなにドロップ率悪いのか。
しまった60個でも多すぎたか・・・でも、もう遅いか・・・テーブルに出しちゃったしな。
「ええっと、ダンジョンに入った事が嬉しくて、早朝からずっとスライムを倒していたので何体倒したか覚えてないです」
「・・・三日月様、頑張りすぎです。初日からそんなに頑張ったら疲れちゃいますよ?」
「あはは、明日から気を付けます」
「でも、納得しました。これだけ大量のスライムボールがあれば相談したくなりますよね」
「じ、実はもう一つ相談があるのですが」
「えっ? はい、もちろん良いですよ」
「ありがとうございます、実はこれの事なんですが売るかどうか迷っちゃって」
僕は大事にカバンの中へ入れていたSPオーブを取り出し、藤崎さんに差し出した。
「ガタッ」
藤崎さんはいきなり椅子から立ち上がりSPオーブを見つめている。
「こ、これってSPオーブ? まさか初日からドロップしたのですか?」
「えへへ! ドロップしちゃいました」
「えへへ! って凄い事ですよ? 初級ダンジョンでドロップする事すら珍しいのにスライムでドロップするなんて」
「そうなんですか?」
「はい、上級ダンジョンで稀にドロップするぐらいなんですよ?」
「うわ~! 僕ビギナーズラックだったんですね」
「・・・三日月様。軽く言ってますけどSPオーブの売値はご存知なんですか?」
「いえ、はっきりとした金額は知らないんです高額で売れるとしか・・・」
「現在の相場では一千万円です!!!」
「ひょえっ? 一千万円?」
「そうですよ。私は初級から中級ダンジョン担当なのでSPオーブは久しぶりに見ました」
「あわわ!? そ、そんなに高額だったんですね」
「私も驚きましたよ? とりあえず販売の相談でしたね。選択肢は3つです」
「時間は掛りますがオークションへ送り、高額になるのを期待するか。此処のギルドへ販売し一千万円を手にするか。ご自身で使用なさるかです」
「う~ん、藤崎さんのお勧めはどれでしょう?」
「そうですね・・・私なら此処で販売する事をお勧め致します。オークションに出せば高額になるかもしれませんが、確実ではありません。三日月様はまだ初心者なので、ご自身で使用するよりお金にして装備を整えた方が有用かと思われます」
「分かりました、ではギルドへ売ろうと思います。僕が大金を手にしても誰にもバレませんよね?」
「はい、相談室に案内して良かったです。受け渡しの際、見られなければ誰にも分かりませんよ」
「良かった。ではお願いします」
「うふふ、言い忘れてましたが三日月様。おめでとうございます♪ 暫くお待ち下さいね」
「ありがとうございます」
直ぐに藤崎さんは戻って来て、端末のような物をセットしている。
「それでは、ギルドカードをお預かり致しますね」
「はい、どうぞ」
「基本的に素材の買取り金は全てギルドカードに入金させて頂きますが、この付近のお店なら全てギルドカードでお支払い出来ますから便利ですよ」
「そっか、現金を持たなくても生活出来るんですね。流石都会って感じですね」
「そういえば三日月様は、ご自身のステータスは未だ見る事が出来ませんよね?」
「はい」
本当は見る事が出来るんだけど、ここでそれを言う訳にはいかない。
「実はSPオーブがあればステータスを表示する裏技があるのです。ステータスを把握しておくと何かと便利ですのでやっておきますか?」
「はい、お願いします」
「うふふ、では御説明致しますね。SPオーブを持ちながら使う事を意識すれば、
どのステータスを上げるか選択肢が表示されます。
そこでキャンセルすれば、今後御自身のステータスを見る事出来るようになります。
間違って何れかのステータスを上げてしまうと、SPオーブが消えてしまいますので御注意下さい」
「うわ~! それって便利な裏技ですね。教えて下さりありがとうございます」
「うふふ、SPオーブが高額でなければ、初心者講習の時にステータスが見えるようにして上げたいのですが、トラブルの元になりますのでお伝え出来ないのです」
「なるほど、確かに間違ってステータスを上げてしまっても弁償出来ないですね」
「その通りです。では、くれぐれも間違えないようにして下さいね」
「はい」
僕はSPオーブを手に取り、後ろを向いてからステータスを表示している振りをして藤崎さんにSPオーブを返した。
「ありがとうございます。ステータスが見えるようになりました」
「うふふ、ステータスを表示しても他人には見えませんので隠さなくても大丈夫ですよ」
「そうなんだ? あはは、すみません。僕のステータス弱そうだから見られるのが恥ずかしくて」
「最初は誰でも弱いのですから気にしなくても良いですよ」
「では、ギルドカードをお返し致します。SPオーブとスライムボールの代金を振り込んでおきました。合計で一千万飛んで4万8千円になります」
「うわ~! 大金持ちになっちゃった」
「うふふ、三日月様は強運の持ち主かもしれませんね」
「あはは、そうだと嬉しいんですが、ステータスのLUKは普通でしたから、たまたまだと思います」
「そうだ! 厚かましいとは思うのですが、初買取り記念に一緒に写真を撮らせて貰えませんか?」
「私とですか? そうですね・・・」
「お願いします、そ、そうだ! 今日は大儲けしちゃったんで食事も奢りますから、1枚だけお願いします」
僕は必死だったから思わず食事にも誘っちゃった事に、アヤメさんの気分を害したんじゃないかと心配になる。
気が動転していたとはいえ、もう言っちゃったから仕方ない。ドキドキしながらアヤメさんの返答を待った。
「うふふ、そうですね♪ じゃラーメンで手を打っちゃいましょう」
「ありがとうございます♪ 藤崎さんとなら、お寿司でも奢っちゃいますよ?」
「うふふ、都会のお寿司は高いですよ~♪」
「うわっ!? そういえば相場なんて知らなかった。すみません言い過ぎました」
「うふふ、冗談ですよ♪」
「受付嬢が冒険者の方に高価な物を奢って貰ったら、上司に怒られますから」
こうして嬉しい事にアヤメさんと並んで写真を撮ることができた。
僕にとっては一生の宝物だ♪
「あっ! 写真チェックさせて下さい!」
「あはは、大丈夫でしたよ? 凄く綺麗に撮れました」
「駄目です! ちゃんとチェックしとかないと、私よく目を瞑っちゃいますから・・・大丈夫そうですね」
「今日は相談に乗って頂いて、ありがとうございました」
「いえ、仕事ですから気にしなくても良いですよ」
「では、僕は食事にでも行ってきます。夢中になって狩ってたから昼食も抜いちゃってお腹ペコペコなんです」
「うふふ、では、私ももう直ぐ終わりなので早速ラーメンでも行きますか?」
「ほ、本当ですか?行きます行きます。僕家に装備を置いてから直ぐに戻って来ます」
「だ、駄目ですよ? ギルドから一緒に出て行ったら皆に何を言われる事やら・・・」
「あっ! そうですね」
「私から連絡しますので、アドレスを交換して貰っても良いでしょうか?」
「はい、もちろんです。楽しみにしてます」
ずっと分からなかった自分の謎スキルの一端が見え、大金も手に入り、藤崎さんみたいな綺麗な女性とアドレス交換も出来た。
しかも、一緒に食事にいけるなんて♪ ちょっと運が良すぎて怖いぐらいだ。
僕は急いで家に戻り、今日はずっと狩りしてたので汗臭いかもしれないと思い、シャワーを浴びて大人しく連絡を待つ事にした。
◇ ◇ ◇
「アヤメ~! あんなに可愛い男の子とずっと相談室にいたけど、何してたのかな~♪」
「もうナギサ、何言ってるのよ仕事よ、シ・ゴ・ト!」
「ニヒヒ、あの男の子って子犬みたいにアヤメの手が空くのを待ってたのよ? 可愛いよね~♪ この年下殺しめ」
「も、もう違うってば。でも、可愛い男の子なのは同意かな♪」
「やっぱりそうなんじゃない?」
「んふふ、だってあの子って目がクリンクリンで、とっても良い笑顔で喋り掛けてくるんだもの♪」
「久しぶりにキュンキュンしちゃった♪」
「年下好きのアヤメにはドストライクよね? 抱き締めてキスなんてしてないでしょうね?」
「もう馬鹿ね、私が痴女みたいじゃない?でもキスしたくはなったかな~♪」
「やっぱりロックオンしてるじゃない?」
「あはは、じゃ今日はちょっと用事があるから帰るわね。後お願い」
「あ~~~! さては食事に誘ったんでしょ?」
「ち、違うわよ・・・・誘われたのよ♪」
「まったく・・・今度ゆっくり聞かせなさいよね」
「はいはい、じゃーねー♪」
「も~! 自分だけ楽しんじゃって、お気楽トンボめ」




