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第46話 どうやら噂になってるようですね

誤字報告ありがとうございました。

訂正させていただきます。


 昨日はちょっと遊びすぎたので、お風呂に入ってから直ぐ寝ることにした。


 今日も昨日、地下8階まで進めた天王寺中級ダンジョンへ来ている。


 此処までに特筆した物は無かったので、直で来たけど朝だと言うのに人が多い。


 魔法を封印していたアヤメさんも、流石にする事が無くて暇そうだったので<火属性魔法>のみ使うようにしようと話し合いで決まった。


 やはり暇だったのかアヤメさんのストレス解消するかのように、苛烈な<ファイアボール>が躍るように魔物に襲い掛かる。



「うふふ、きっもちい~♪」


「あはは、すみません我慢させちゃって」


「あはは、良いのよ魔法は目立つもんね~」


「でも、ちょっと目立ちすぎじゃない? 周りの人が皆見てるわよ」


「僕達、目立つから今更だよ?」


「ねーねー? いっその事、全力を出せるように変装装備も作っちゃう?」


「あはは、ちょっとした変装程度じゃ、直ぐにバレるんじゃないです?」


「それもそっか・・・」


「その内、本当に本格的な変装装備作っちゃったりして」


「リラさんの事だから既にあったりして?」


「「「「「ありえる・・・・・・・・・」」」」」


「フフ、流石にそこまでは用意しておりませんよ、作るにしてもデザインが難しいですから」


「いくらお姉ちゃんでもデザインは好みがあるしね」


「普通な感じで顔と性別が分からなくなったら、使い勝手がありそうよね」


「う~ん、ちょっと真面目に考えてみますか・・・」



 ナギサさんの冗談から始まった変装装備も、何時か必要になるかもしれないので皆で考える事にし、ドンドンと先へ進んでいくと地下10階のボス部屋に到着した。


 驚いた事に2組のパーティが順番待ちしていた。


 更に驚く事に、その内の1組が守護さん達だった。


 事前に居る事は分かって居たが、まさか順番待ちだったなんて・・・



「・・・ひょっとして、ヨウ君ちゃうの?」


「あはは、おはようございます」


「「「えっ 」」」


「あはは、やっぱりや、なんで顔隠しとるん?」


「えっと、何か僕達って凄く目立つんですよ?」


「そりゃ目立つわよハーレムパーティだし、皆綺麗な女性なんだもの」


「んふふ、おはよ、褒めても何にも出ないわよ?」


「順番待ちしてるって事は、ここのボスって良い物落とすのかな?」


「ちゃうねん、ウチ等も初めてやねん、今までは此処までの階層で狩りしとってんけど、最近人が増えてきたさかい上階の方も見とこって話や」


「なるほどね、クリアするために並んでたんだ」


「丁度良いんじゃない? 頼んでみよーよ」


「ウチも同じ事考えとってん、なー三日月はん? 良かったら一緒にボス戦せーへんか?」


「えっ? 6人以上入れるんですか?」


「なんや知らんかったんか? 中級ダンジョンのボスは2パーティまで入れるんやで」


「実は前に並んでるパーティに声掛けようか悩んでてん、ナイスタイミングで来てくれたわ」


「ちょっと、相談させて貰っても良いかな?」


「もちろんや、ウチ等だけじゃ勝てんかもやさかい是非お願いや」


「待ってて下さいね」



 僕達は少し離れた所で相談する事にした、たぶん誰も反対はしないとは思うけど。



「とりあえず、守護さん達と一緒にやるならヨウ君は攻撃禁止になるわね」


「そうですね、ドロップを隠すのも横取りみたいになりますから、それが妥当だと思います。では、僕は攻撃禁止で皆さんにお任せしたいと思います」


「もし、ドロップ品が出たら山分けが無難よね?」


「譲って上げたいとこだけど、冒険者なんだし公平にしとかないとですよねヨウ様?」


「はい、ドロップ品は山分けでいきましょうか」


「僕もそれで良いよ」


「じゃ、決まりですね、実は中級ダンジョンのボスだし、ちょっと心配だったんですよ良かったです」


「あはは、そうね私達が行ってた西区北堀江中級ダンジョンの地下10階ボスも結構強かったもんね」


「じゃ、戻って引き受ける事を伝えますね」



 僕達は相談も終わったので、守護さん達に共闘の件を了承する事を伝えた。



「いやー、助かるわ、皆さんありがとな」


「でも、ウチ等4人やし、山分けじゃなくてもええよ?」


「いえ、僕達の総意なので、山分けでお願いします」


「分かったわ、よろしゅーな」


「こちらこそです」


「ところで、人気のない中級ダンジョン行っとる言うてたけど、やっぱり嫌になったんやな?」


「いえ、地下20階まで制覇したんで違うダンジョンに行こうって話になったんですよ」


「「「「ええっ?」」」」


「中級ダンジョンを制覇したんですか?」


「結構前にしたわよ? それがどうかしたの」


「・・・幾ら空いてるからって。いえ、空いてた方が魔物は多い筈」


「三日月はんが嘘言うとも思えんし・・・自分等ひょっとしてごっつ強いとか?」


「結構強くなってきたとは思いますけど、まだまだですよ」


「三日月はんは同期やし流石にそこまで強いとは思えんから、綺麗な女性達やけど実は高ランクの人やったり?」


「フフ、確かに私達は高ランクですが、強さならヨウ様が圧倒的です♪ 私達など相手にもなりません」


「・・・お世辞にも聞こえるけど、それがもし本当やったら三日月はん何もんなん?」



 何て応えようか考えていると、先ほどからずっと静かにしていた先頭で並んでいたパーティの男性から声を掛けてきた。



「さっきから黙って聞いてりゃ嘘ばかり言いやがって、どこまでダンジョンを舐めてやがんだ?」


「俺も我慢出来ねえ、大体女ばかりのパーティがボス戦に来るんじゃねえ、死にてえのか」


「中級ダンジョン制覇だと? 地下20階のボスがどれだけヤベえか知らねえから、そんな嘘が言えるんだよ」


「正直聞いてて不愉快だ、ダンジョンは女子供の遊び場じゃねえ。直ぐに帰るか俺達の知らないとこで死んでくれ」


「大体そっちのパーティも気に入らなかったんだ。女ばかり、しかも4人でボス戦だと? 寄生する気満々じゃねえか? ダンジョンを舐めすぎだ」


「どうして女性が弱いと決めつけるのですか? 少なくとも貴方達よりは強いと思いますが?」


「な、なにぃ?」


「やめとけ、ボス戦の前に体力を消耗するだけだ、それにボスの扉が開いたようだ行くぞ」


「けっ、わあったよ」


「・・・仲間がキツイ事を言ってすまなかったな、だが俺も正直君達はどうかと思う。出来たら引き返す事をお勧めするよ」



 先頭に並んでいた男性6人のパーティは悪態をつきながら、ボス部屋へと入って行った。



「・・・悔しいけど、あいつらの言う事も一理あるかもな、確かにウチ等は寄生が前提やったさかいな」


「あらっ? コトエも大人になったわね」


「ふふふ、まあ何言われても仕方ないわよ、新人だしね~」


「私も死にかけたから言ってる事は分かっちゃいますね」


「ヨウ君も何も言い返さずに良く我慢したわね?」


「ん~、女性を舐めてるのは腹が立ちましたが、ちょっと心配してくれてたようにも聞こえたんですよ」


「まあ、そうも解釈出来るけどさ、明らかに自分達の方が強いって思ってるのが自信過剰よね」


「まあ、弱い者ほど良く吠えるってね、吃驚する程弱いパーティだったわ、絶対守護さん達の方が強いわよ」


「あはは、おおきにな、まあウチ等には切り札もあるさかいな、あんな奴等には負けへんでえ♪」


「・・・奴等負けたっぽいね」


「えっ?」



 ツドイさんが言った通りボス部屋の扉がゆっくりと開いていく。



「・・・倒したにしては早すぎるか」


「フゥ~、ダンジョンを舐めてたのは奴等の方やったみたいやな・・・」


「でも負けるにしても早すぎると思わない?」


「なんか不測の事態になったんやろな、どないする三日月はん?」


「もちろん行きますよ、守護さん達はやめときますか? 嫌な予感を信じるのも良いかと思いますよ」


「・・・ウチ等だけやったら絶対やめや・・・でも三日月はんのパーティに寄生させて貰えるんやったら話は別や」


「フフ、自分達を過信しない所が良いですね、貴女達のパーティはきっと強くなりますよ」


「僕もそう思います、っと言うか是非強くなって貰いたいですね」


「じゃ、サクっといっちゃおっか」



 僕達はナギサさんの軽い言葉と共にボスの扉に入り中を見ると、大きくて黒い蜘蛛が奥に鎮座していた。



「キ、キラースパイダーや・・・・・よりにもよってレア種とはツイてへん」


「前のパーティが負ける訳ね、コトエ私達は覚悟は出来てるわ」


「こんな事もあるわよ」


「そうそ、洒落で冒険者を選んだ訳じゃないわ、それに魔法スクロールがドロップしたとき人生最高に楽しかったわ」


「死ぬには良い日かって言いたいとこやけどな、何故か死ぬような気が全くせえへんって言ったら信じるか?」


「キ、キラー種よ? いくら三日月君達が強いったって・・・」


「こらこら、何死ぬみたいな事言ってるのよ?」


「でも、レアって珍しいわね私達も初めてじゃない?」


「はい、通常種よりかなり強いみたいですね、念のために私とノノで行きますね」


「ん~、僕の見立てでも大丈夫だと思うんですが、アヤメさんはどうです?」


「そうね、守護さん達は避難してた方が良いわ、二人でも大丈夫だけど心配なら私が初撃だけしよっか?」


「僕は見学だね」


「念には念を入れて初撃だけアヤメさんに撃って貰いますね。リラさん、ノノさん」


「「了解です」」


「僕は守護さん達を守ってますから、ある程度手加減無しでも良いですよ」


「じゃ、ストレス解消といきますか♪」


「じゃ、守護さん達は僕の後ろに居て貰って良いですか?」


「み、三日月はん? ウチ等は見学? それに2人やて?」


「まあ、見てて下さい。僕達はたっぷりと安全マージンを取ってますから」


「用意が終わったら行くわよ」


「「了解です」」


「「<ファイアソード>!!!」」


「「OK」」


「行くわ<ファイアボール>!!!」



 運が良いのか悪いのか、レア種を引き当ててしまった僕達の戦闘が始まった。


 リアさんとノノさんは、刀に<火属性魔法>を付与した魔法剣を作りだした。


 何時もの銀色の輝きが、今は赤く光る炎が二人の刀身に宿っている、その輝きは実に美しく炎が揺らめいていた。


 即座にアヤメさんの<ファイアボール>が連弾となりキラースパイダーに襲い掛かる。


 日に日に威力と数が増えていくアヤメさんの魔法は、現在バスケットボール程の大きさになり20発以上あるようだ。


 轟音と共に着弾した<ファイアボール>の煙が晴れる頃、キラースパイダーは全ての足が焼け落ちてダルマ状態になっていた。


 今まさに二人の剣戟が止めをさす。


 綺麗に振り下ろされた刀身は炎の軌跡を残し、それが消える頃には輪切りになったキラースパイダーが転がっていた。


 光の粒子となって消えゆくボスに守護さん達は、口をポッカリと開いたままの状態で固まっていた。



「お見事でした、圧勝でしたね」


「アヤメさんの初撃がありましたから、ありがとうございます」


「これならアヤメさんだけでも倒せたかもですね」


「そんな事ないわよ、結構威力高めたけど原型を留めてたしね」


「守護さん達、終わりましたよ」


「・・・<火属性魔法>やて? それも何て威力や」


「どうやら全て本当の話だったようね、それでも想像を遥かに超えてるわ」


「うわ~、私の<ファイアボール>とは桁違いも良いとこね」


「あの人達より強いって三日月君って・・・」


「・・・参ったな、開いた口が塞がらんわ、中級におるんが不思議なぐらいやで」


「あっ? 魔糸がドロップしてるわよ」


「へええ~、普通の魔糸と色が全然違うわね、綺麗な銀色だわ」


「中々高く売れそうじゃないですか、言っときますけど遠慮は無しですよ? 冒険者の取り決めですからね」


「・・・全くかなわんな~、見学で守られて報酬貰え言うんかいな? ウチ等のプライドはどないしてくれんねんな」


「んふふ、出世払いで良いんじゃない?」


「あ~、つまり借りやな? 高くつきそうやで」


「でも良い物見せて貰ったわ、見るだけでも大収穫よ」


「私もイメージしやすくなりました、頑張ろっと」


「私も見たけど剣筋なんて軌跡しか見えなかったよ~」


「まあ、遥か高みの戦闘だからね、でも魔法剣が見れたのは良かったわ」


「何時か私達も絶対取得して見せるわ、皆も忘れちゃ駄目よ」


「忘れとーても、忘れられへんわ」


「大丈夫、しっかり見たわ」


「私もよ」


「んふふ、本当に良いパーティね、また見せたげるね」


「うわ~、本当ですか? やったね」



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