第44話 美人に磨きを掛けると、とんでもない事になるんですよ
「お待たせしました、受付しときましたので行って下さい」
「も~、楽しそうにしちゃって、どんなコースなのかな?」
「ん~、詳しくは分かりませんが。いっぱい、お願いしといたので大丈夫だと思います。ささっ、どぞどぞ! 僕、適当に待ってますね、2~3時間ぐらいだそうです」
「ヨウ様、それってフルコースじゃ・・・」
「リラさんも、早く早く」
「フフ、はい分かりました」
それから約3時間、僕は適当に時間を潰しエステサロンの前で待っていると、エステサロンから出てきた皆を見て驚きのあまり固まってしまった。
アヤメさん達は洋服も着替えており、化粧や髪形までセットし終えた5人の美しい女性達に息を飲んだ。
普段着で化粧なんてしてなくても、人目を惹きつける様な美しい女性達が今は、とんでもない美しさになっている。
「お待たせヨウ君、んふふ、驚いた?」
「せっかくエステしたんだから、ちょっと皆で極めて見たのよ」
「フフ、ヨウ様ありがとうございます」
「僕エステ初めてだったけど、皆もらしいよ」
「フフ~、ヨウ様が固まってます」
「おーい、戻ってこーい」
「・・・すみません」
「メチャクチャ綺麗です・・・エステって凄いんですね・・・」
「ウフフ、ヨウ君こそ何て言って頼んだのよ? 1人に3人掛かりで必死でやってくれたわよ」
「あはは、凄かったよね~、メイクさんからヘアデザイナーまで店員さんが居たのよ?」
「僕、ネイルまでして貰っちゃった」
「フフ、せっかく此処までしていただいたので洋服も変えてみました、どうでしょうか?」
「すっごく大人の女性って感じです! 僕なんかが近くに居ちゃいけないぐらいに」
「フフ~、ヨウ様の為に頑張ったんですよ?」
「せっかくだから、ちょっと歩きましょうか?」
「そーね、このまま帰ったら勿体ない気がするね」
「じゃ、ブラブラしましょうか♪」
「あはは、そうね♪」
僕達は当てもなく、高いビルに囲まれた通りを歩くことにした。
幸い周りには色々な店があるので、歩きながら見ていても飽きない。
しかし、道行く男性どころか女性まで視線を集めているのが分かる。
僕なんかが一緒に歩いていて良いのだろうかとも思うけど、気分が良いのは男の性なのかな。
「・・・良い女達だな」
「そんなレベルじゃねーって、写メ撮ったら怒られるかな?」
「芸能人・・・じゃないよね?」
「どっかの超高級クラブのお姉さん達かな~、ちょっと綺麗すぎない?」
「あの少年羨ましぃ~~~、俺も一度で良いから、あんな女引き連れて歩いて見てえよ」
「・・・おい、声掛けて見ね?」
「バカか? オークが女神にちょっかい出すんじゃねえ」
「でも、ストーカーって言われても良いから、ずっと見ていてえな」
「・・・両手に花どころじゃねえな、なんてハーレムだよ」
「どうやったら、あんなに綺麗に慣れるんだろ・・・」
「女性も綺麗だけど、あの男性も可愛い顔してるよね?」
「分かる~♪ 超可愛いよ~、誰なんだろうね~」
通り行く人達の声が何時もより良く聞こえる、みんな唯でさえ美人なのに今日は美人過ぎるな・・・
流石に着いてくる者は居ないけど、老若男女問わず足を止める程だ。
でも何処にでも勇者は居る者で前から歩いて来た男性が、アヤメさんに声を掛けてきた。
「すみません少し話をしたいのですが、時間をいただけませんか?」
「・・・見ての通り連れが居ますので無理ですよ?」
「では、暇な時でも結構なので連絡先をお伺いしても?」
「言い間違えましたね、貴方に上げる時間はありません」
「そう言わずに、実は此方も5人居るのですが良かったら食事にでも行きませんか?」
「・・・何方かは存じ上げませんが、此方が6人居るのが見えないのですか?」
「失礼な人ね、ナンパなら他を当たったら?」
「フフ~、ナンパがひつこいって本当なんですね」
「ふぅ~、チャラ男がモテると勘違いしてるのかしらね」
「中々辛辣ですね、まあ一度会って見て下さいよ、さあ」
アヤメさんに声を掛けて来た男性は、アヤメさんの肩に手を回そうとしたので思わずその手を掴んでしまった。
「あの~、僕の連れに気安く触らないで貰えますか?」
「ああ、君の連れだったのか気付かなかったよ、子供は寝る時間だよ?
手を放せガキが。ぎゃああああああああ!
な、なんて力してやがる・・・手を離せ! い、痛てえええ」
「参ったな・・・僕大阪に来てから良い人達としか巡り合わなかったのに、やっぱり嫌な人も居るんですね」
「は、放せ・・・ぎゃあああああああああ、ひぃぃ」
「お前、俺の連れに何してくれてんだ?」
「ガキが調子に乗ってんじゃねえぞ」
「おめえもガキに手掴まれてるぐれえで、大袈裟に痛がってるんじゃねえ」
「ああ? 泡吹いて気絶してるんじゃねーか?」
「ん~、痛かったんじゃないですか? ほらっ、握り潰しちゃったから手がプランプランになってますし」
「なっ! ・・・・・・握り潰した?」
「ええっと、1・2・・・4人ですか体験してみたら、分かるんじゃないですか?」
「言っておきますが、僕怒ってるんですよ? 無事で帰れると思わないで下さいね」
僕は久しぶりに<威圧>スキルを発動し、4人の男達の方に意識を向けた。
「「「「ヒッ!」」」」
男達は大量の汗を掻き膝がガクガクと震えているのが分かる。
どうやら<威圧>スキルは意識を向けられた方に強く作用するらしい。
っと言っても周りに居る人々も全員こちらを向いて青い顔をしているので全方位に効果はあるようだ。
男達は言葉も発する事が出来ないのか、目は虚ろになり失禁までしているようだ。
「さあ、一番近い人から行きましょうか?」
「ひっ! ひぃぃ」
僕は目の前の男の腕を取ると一瞬で握りつぶした。
「ぎゃあああああああああああ! う、腕があああああああああ」
「あはは、貴方も大袈裟ですね~♪」
「さあ、残り3人もこっちへ来たらどうですか?」
「相手はガキですよ?」
「ヨ、ヨウ君、もう良いわ行きましょ」
僕は全員の腕を握り潰してやろうとしていたが、青褪めた顔をしたアヤメさんに止められた。
僕はフッと<威圧>スキルのせいだと気付き、慌ててスキルを解除した。
「すみません・・・皆さん辛かったですか?」
「ふぅ~、こ、怖かった~」
「フフ、大丈夫ですよ♪」
「ちょっとキツかったかな?」
「・・・僕、汗掻いちゃった」
「とりあえず、もう良いわよ行きましょ」
「・・・そうですね行きましょうか。えっと、貴方達は今度会った時にして上げますね? 精々僕と会わない様にすることですね」
僕はそれだけを言い残し、既に立っていられなくなったのか膝を地面に付いてガクガクと震えている4人の男達から立ち去る事にした。
しばらく歩いて皆を見てみると、全員汗を掻いていたので、僕は<クリーン>を掛けて皆に謝る事にした。
「ありがと、いや~、ヨウ君怒ったら怖いのね?」
「も~、ヨウ君やりすぎよ? あんなナンパ沢山居るんだからね」
「フフ、ですが自業自得でしょう? 失礼な方達でしたから」
「そうですよ良い気味です」
「でも、三日月君の違った一面が見れて良かったかも?」
「う~、すみません。僕だけなら我慢出来たんですが・・・アヤメさんに触ろうなんて許容出来ませんでした。あ~、片手じゃ足りなかったかな・・・でも、顔は覚えましたし・・・」
「だから、もう良いからね? 今の私達なら、あんな男達なんて瞬殺なんだから、やり過ぎは駄目よ」
「でも、ありがとね♪」
「はい」
「そう言えば、スズカさんの居るキャバクラが近いですね」
「そうなんだ? あれから行ってないし少しだけ顔出して良いですか?」
「以前言ってたとこよね? 私も行って見たかったし良いわよ?」
「でも、全員で行って良いのかな?」
「少し顔を出すだけだから、聞いて見ましょうか?」
「そうね」
たまたま近くに来たのでスズカさんの居るキャバクラに寄る事になった、スズカさんは以前洋服をプレゼントした以来かな。
「へええ~、ここがキャバクラなのか~」
「うふふ、ちょっと楽しみね」
「じゃ、入って良いか聞いて来ますね」
「はーい」
今日は女性5人も居るので流石に聞いてから入ろうと思い、ドアを開け様子を見てみる。
「三日月様、ようこそいらっしゃいました。以前は大変な物をありがとうございます」
「こんばんわ、ママさん。今日はちょっと寄っただけなんだけど女性5人良いかな?」
「ウフフ、流石三日月様、おモテになるんですね」
「そう言う事でしたら、VIPルームでも宜しいでしょうか?」
「はい、ありがとうございます。じゃ、呼んできますね」
僕はママさんの許可が出たので皆を呼びに一度外に出ることにした。
「た、大変だわ・・・スズカちゃん! 三日月様が来て下さったわよ」
「えっ? あわわ! キチンとお礼言わないと」
「皆も以前言った通りよ、気を付けなさい」
「は、はい、ママ」×キャバ嬢
僕は店の前で待っていてくれた皆を連れて店内に入る、すると綺麗なお姉さん達が全員で出迎えてくれた。
その中にはスズカさんも居て、深々と頭を下げてくれている。
アヤメさん達が店内に入ると、ママさんやキャバ嬢のお姉さん達が、何か驚いているようだ。
「ま、また綺麗なお嬢様達を・・・・・本当にウチにスカウトしたいわね」
「あはは、駄目ですよ? 僕のパーティメンバーなんですから」
「えっ? 全員冒険者ですの?」
「そうですよ」
「最近の冒険者って綺麗な人が多いのかしら・・・ささ、どうぞ奥へ進んで下さいな」
僕達はママさんに連れられて店の奥にあるVIPルームに入り、その豪華な造りに感心した。
「・・・嘘でしょ? 私達より数段綺麗なんじゃない?」
「どうして冒険者で私達より、ずっと綺麗なのよ・・・」
「・・・駄目、レベルが違いすぎるわ」
「ママ、また美人が増えちゃってるんですけど?」
「・・・流石に凄い美人を連れてますわね。さあ、何してるの飲み物を用意してスズカちゃん宜しくね」
「はい、直ぐに用意します」
僕達はソファーに座りリラックスしていると、スズカさんが直ぐに来てくれた。
「三日月様、以前は大変な物をいただいちゃって、ありがとうございます。私あんなに豪華なとこ見たことも無かったから驚いちゃって」
「気に入ってくれたんなら嬉しいです」
「あれで気に入らなかったら罰が当たりますよ~、あの、本当にいただいちゃって良いんですか?」
「えっ? もちろんですよ、だって僕スズカさんのパトロンですから」
「プッ! あはは、ヨウ君。パトロンって堂々と言う事じゃないのよ?」
「あっ? 前もそれ言われてたんでした」
「んふふ、まあヨウ君らしくて良いけどね♪ でっ、あなたがスズカちゃんね? 私達ヨウ君のパーティメンバーよ。宜しくね」
「はい、スズカと言います宜しくお願いします」
「でも、冒険者の女性ってどれだけ綺麗な人が揃ってるんですか? それとも三日月様だからですか? でも新人冒険者って・・・あ~、分からなくなって来ちゃった」
「あはは、ありがと♪ まあ、ヨウ君だからってのが一番シックリくる説明かな」
「・・・三日月様は、新人冒険者じゃなかったんですか?」
「僕は説明した通り新人冒険者だよ、どうしてなの?」
「だって、お金持ちだし・・・こんなに綺麗な女性とパーティを組んでるし」
「んふふ、ヨウ君は何も嘘を言ってないわよ、確かに新人なんだけど稼ぎまくってるからね~」
「フフ、ヨウ様は冒険者の天才ですから、誤解されるのも無理は無いかと」
「うは~、三日月様って凄い人だったんですね・・・」
「いやまあ、そんな事もないんだけど、それより前みたいにヨウ君って呼んで下さい」
「・・・いっぱいお世話になっちゃったから、気安く呼んだら失礼かと思っちゃって」
「あはは、良いですよ♪ そんなの」
それからママさんの計らいでキャバ嬢のお姉さんが5人ヘルプに入ってくれて、アヤメさん達に付いてくれた。
流石にキャバ嬢のお姉さん達も女性に、しかもこんなに綺麗な人達に付いた経験がないのが、最初はギクシャクしていたが段々と会話に慣れてきたようだった。




