第39話 素材競り市もあったんだ
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翌朝、気持ちの良い朝を迎えリビングに行くと、もう皆起きてソファーに座っていた。
朝食も用意してくれていたので少し寝坊したのかもしれない。
「おはようございます、すみません少し寝坊しちゃいました」
「「おはよー、ヨウ君」」
「「おはようございますヨウ様」」
「おはよー、僕も今起きたとこ」
「あの、皆さんをヒカリの都合に着き合わせちゃってすみません」
「良いわよ、ヨウ君の妹さんなんだもの私も会いたかったしさ」
「そーよ」
「後、ダンジョンなんですがヒカリの居る間、午前中しか行けないんですが、もし良かったらお休みにしても」
「それでもヨウ様は一人でダンジョンへ行かれる気なのでは?」
「そ、それは、その・・・そうかもです」
「そんな事気にしなくて良いわよ?
全部ヨウ君の都合に合わしてもさ。
だって元々私とナギサとツドイさんはヨウ君の専属じゃない?
それにリラさんとノノさんは付き人だからずっと一緒でしょ?
最初から皆、ヨウ君の都合次第で動いてるのよ?
それに全然嫌じゃないわ、私なんてヨウ君の専属になってから、給料は増えるし仕事は楽になるし、良い事尽くしよ?」
「私もそうね、すっごく時間に縛られなくなったわ」
「僕も今までで一番幸せかも」
「私とお姉ちゃんは言うまでもないわよね?」
「フフ、ノノの言う通りです」
「そう言って貰えると助かります、すみませんありがとうございます」
「じゃ、しばらく午前中だけダンジョンって事ね、昼からはどうするの?」
「昼からは、まだ考えてないんですよ」
「ヒカリ様は美味しい物が、お好きみたいなので素材の競り市にでも行って見ますか?」
「えっ? あの魚の競り市みたいなものですか?」
「はい、本日の昼からダンジョンで取れた魔物素材や食材・鉱物・植物など色々な物が競りに掛けられますので、見ていても面白いかと」
「うわー、良いですねそれ僕も見てみたいです」
「んふふ、じゃ昼からの予定も決定ね、じゃ行きましょうか」
「はい」
こうして僕達は時短バージョンで何時もの中級ダンジョンへ潜り、昼過ぎに部屋へ帰ってきた。
中々ハードスケジュールだけど1日で1個しか取れない物は押さえておきたいしね。
部屋へ帰ると案の定ヒカリは未だ寝ていたので起こすと、ムニャムニャ言いながら起きてきた。
「皆さんおはようございます」
「ヒカリ? もう、こんにちわだよ」
「あれっ? 今日も昼回っちゃったか」
「相変わらずだなヒカリは」
「でも、すっごいフカフカだったんだもん。あのベッドはヤバいよ~、寝ちゃうよ~」
「あはは、それは少し分かるわね」
「あれは気持ち良すぎですね」
「よし、なら今日から布団を変えてやろう」
「げっ! そ、それは駄目だよ~、あんな気持ちの良いベッド取り上げないでお兄ちゃん」
「まあ、良いじゃない? 私達も午前中はダンジョン行くんだからさ」
「まあ、そうですけど」
「やたー、ありがとうアヤメさん、出来るだけ早く起きれるよう頑張るよー」
「今日はどこ行くのお兄ちゃん」
「調子良いんだからヒカリは、今日はダンジョン産の素材競り市に行こうか、美味しい物が出るんだって」
「うわ~、嬉し~、行こ直ぐ行こ」
「お昼ご飯食べなくて良いのか?」
「駄目~、お腹ペコペコだよ~」
「フフ、ヨウ様昼は軽めにサンドイッチで如何でしょうか?」
「あっ? 良いですね。ありがとうございます」
「わーい、サンドイッチだー、私大好き」
夜は競り市で買った食材を食べる予定だから、昼は軽めにしてくれた。
相変わらずリラさんの気配りは素晴らしいの一言だ。
こうして僕達一同はダンジョン産の競り市に出発した。
競り市会場は意外と近くにあり30分ぐらいで到着し、その活気に驚いた。
【良い鉱物出たよ、さあこっちで鉱物市が始まるよ】
【20万・25万・27万、他ないかないか、決まった27万で落札】
【もう直ぐ各種薬草類、朝取れだーー】
【食材全般スタートします、早い物勝ちだよーーー】
「おっと、食材が始まるみたいですね行きましょうか」
「おっもしろそー♪」
僕達は皆で食材競り市に参加し始まるのを待つことにした。
実際に参加するのは皆初めてらしく、競り市のルールだけ教えて貰う事にした。
どうやら指を立てて合図するらしく、立てる指や本数でアップする値段を市場の人に伝えるらしい。
間違ってありえない金額を示した時は、聞き直してくれるらしいが、繰り返すと退場になるらしい。
「あわわ、私両手握っとこうかな? 変な仕草したら間違えられそうだよ~」
「あはは、欲しいのあったらお兄ちゃんが教えてやるから、やってみろよ」
「ほんと? じゃ、やってみよっかな、面白そうだし♪」
「私も、欲しいのあったら参加しちゃお」
「ん~、果物あったら参加しちゃおっと」
「僕も欲しいのあったら参加かな」
「フフ~、皆楽しそうですね」
「私も今後のために仕入れておかないと」
【さあ~、食材市先ずはダンジョン産トマトから一箱5万からだ】
【6万・7万・8万・9万さあもう無いか?】
【10万! はい10万きたー、10万で落札だあー】
「あっ? リラさん落としたんですね」
「はい、一応押さえておきますね美味しそうでしたし」
「うわわ! リラさんって凄ーい、トマトに10万円使っちゃった」
「フフ、ダンジョン産は美味しいんですよ?」
「へええ~、食べたーい私も頑張ろっと」
【さあ、次はダンジョン産マンゴーだ! 籠で5万から、さあ張った張った】
「きたきたー、ナギサいっきまーす!」
【7万・9万・10万・11万だー、さー無いか無いか】
【13万きたー、はい13万で落札だあー、】
「やったね!」
「次はナギサさんかー、あはは面白くなってきた」
【次はダンジョン産トウモロコシだー、一箱5万から、張った張ったー】
「お兄ちゃん、私大好き♪」
「よーし、頑張るかヒカリ最後の方で人差し指1本上げよっか」
「うん、分かったよ」
【6万・7万・8万・9万さあー、もう無いか無いか】
「はーい、はい、はい、はーーい」
【あはは、元気の良いお嬢さんが来たぞ、さあ10万だ! よし、10万でお嬢さんが落札だー】
「キャアアアアアアアア! やったねーーーーー♪」
「あはは、喜びすぎだヒカリ♪ でも、やったな」
「おっもしろーい、でも10万も良いのかな?」
「小さい事を気にするなって、次も欲しいのあったら言えよ」
「うん、太っ腹~、お兄ちゃん♪」
それから食材競り市は、僕達のために大荒れに荒れた。
【おい、おい、おい、今日はどうなってんだ? 皆綺麗な姉ちゃんが掻っ攫ってくぞ】
【さあ、張った張った張ったー】
流石に食材競り市だけあり、商品は果物から野菜、魚に肉と様々な商品が出たが美味しそうな物は全部僕達で買い占めたようだった。
【つええ・・・駄目だ! 太刀打ち出来ねえ】
【お手上げだ・・・採算取れねえよ】
【たー、今日は参った、姉ちゃん達の圧勝だな】
食材競り市も終わり、僕達は帰りの車で今日の話で盛り上がった。
「僕ホタテ買っちゃった、バター醤油が良いな」
「私もトウモロコシをバター醤油かも?」
「私はフルーツばかりだからな~」
「私はキングサーモンね、実は楽しみなの」
「私と姉さんは野菜を押さえていったから色々あるわね」
「僕高かったけど、ミルキーバイソンのお肉買っちゃった」
「お兄ちゃん、お肉好きだもんね、でも1塊で50万は高すぎるよ~」
「ねーねー? リラさん。私提案があるんだけど?」
「はい、なんでしょうか?」
「私の友達で料理人が居るんだけど、美味しい食材があったら調理してくれるのよ、今日は彼女にお願いしちゃっても良いかな?」
「はい、私は構いませんがヨウ様。ナギサさんのお勧めなので如何でしょうか?」
「はい、勿論お願いします」
「皆も良いかな? 腕は私が保証するからさ」
「へええ~、なら期待出来るわね」
「僕も良いよ」
「勿論、私もです」
「ありがとー、じゃ案内するね」
こうしてナギサさんの友達である料理店に行く事になった。
場所は競り市から車で30分程にある、都心から少し離れた料理店だった。
そんなに広くは無いけどお洒落な建物で、店内に入ると女性らしい細やかな装飾に施された隠れた名店の様だった。
ナギサさんが声を掛けると奥から黒いコック帽を被った女性が出てきて笑顔になる。
「ナギサじゃない♪ 久しぶりね」
「おひさ~、今日は友達を連れて来たよ~♪ 紹介するね、此処で店長やってる友達の澤北 汐って言うの」
「へええ~、いっぱい連れて来てくれたのね、シオです。今後共よろしくね」
「でっ、何か持って来てくれたんでしょ?」
「早速なの? 久しぶりなんだから、もうちょっと会話がないのかな~」
「あら、引っ張るって事は良いのが手に入ったのね?」
「も~、これだから旧友は困るのよね~、隠し事が出来ないじゃない」
「あはは、さっ、奥で出して早く早く」
「分かったわよ~、皆も食べたい物出してシオが調理してくれるから」
「了解です」×全員
僕達は店の奥にあるテーブルに、今日競り市でゲットした食材を次々と置いていった。
流石に量の多い物は少な目にしたが、生ものは全部出すようにした。
もちろん<虚空庫>から出す訳にはいかないので、事前に袋に入れてから持って来ていた。
「えっ? 凄いじゃない・・・どれもダンジョン産ばかりね高かったでしょう?」
「へええ~、見ただけで分かるんですね」
「うふふ、そりゃね♪ どれもこれも良い物ばかりだし、このお肉ミルキーバイソンでしょ? 腕の振るいがいがあるわ~」
「あっ? そうだ、自分達で獲ったアップルミートとマナバイソンのお肉もあったんだ」
「追加で置いときますね」
「な、なんですって・・・両方希少素材じゃない? 貴方達で獲って来たの? 嘘でしょ? 入手難度が凄く高い食材よ?」
「うふふ、こう見えてヨウ君は凄腕の冒険者なのよ、あんまり失礼な事言うと下げちゃうよ?」
「すみませんでした! 訂正します。直ぐします、でも・・・凄い・・・まるで今獲れたてみたい、ミルキーバイソンよりずっと新鮮だわ・・・」
・・・冷凍した痕跡もない、こんな事って不可能よ一体どうやって・・・
時間を止めた? まさか・・・でもそんな事どうでも良いか、私は料理人だし作るだけね。
「これだけあれば、色々作れそう・・・待ってて直ぐ作るわ」
「今までで一番嬉しそうね、持ってきた甲斐があったわ」
・・・ちょっと拙ったかな、途中で思い出して袋から取り出す振りをして<虚空界>からアップルミートとマナバイソンのお肉出しちゃったけど、まさか新鮮さがバレるなんて。
しかし、見ただけで分かるんだな・・・凄い料理人も居たもんだ。
もう出しちゃったし聞かれたら惚けないと・・・




