表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/108

第31話 人生どうなるか分からないものです


 店を出て改めて店名を見ると「キャバクラ アドベンチャー」って言うお店らしい。そっか、こういう店がキャバクラって言うのか~


 僕は名前は知ってたが、どんな店なのか知らなかったので、今日は良い経験をさせて貰ったとトールさんに感謝した。


 トールさんは食事も飲み代も全て奢ってくれ、気をつけて帰れと言い、またどこかへ歩いていった。


 恰好良いな~。思わずトールさんのファンになってしまいそうだ。


 僕は自宅であるマンションに帰って、リラさんとノノさんに今日の話をした。


 二人は楽しそうに聞いてくれた。今度、今日行ったお店に行こうと誘って見た。



「えっと、女性でも入れるのかな~。お姉ちゃん知ってる?」


「おそらく大丈夫だと思います。流石に私も行った事がありませんので詳しく分かりませんけど」


「そーだ、リラさんウイスキーって此処にもあるのかな?」


「ウフフ、とてもお気に入りのようですね♪ 一応一通り揃えておりますのでお飲みになりますか?」


「やった、流石リラさん♪ 水割りでお願いします」


「フフ、畏まりました」



 今日は3人で夜景を見ながら水割りを飲む事にした。


 お店で飲んだウイスキーも美味しかったけど、リラさんが入れてくれた水割りはもっと美味しかった。


 きっと高いんだろうなと思い、グラスに入った氷を転がしながら味わう事にした。


 ちなみに、僕がトールさんと居る間リラさんとノノさんは、ずっと護衛のため近くに居てくれた事を知ったのは、ずっと後の事になる。


 翌朝、何時もの中級ダンジョンに着いて何気にテレビを見てみると、頻繁にニュース速報が流れていた。



【大変な事になりました! ニュース速報を先にお伝え致します!】


【最近市場を賑わしている大阪ダンジョンギルドが今日、次のオークションの目玉商品としてエリクサーを出品する告示を致しました!】


【エリクサーと言うと、まさか全ての病が治ると言うあの?】


【はい、世界にダンジョンが出現し早1年が過ぎましたが、


いつか産出されるのではと期待されておりました、


エリクサーが遂に遂に日本に出現しました。


しかも、大阪でその存在が明らかにされました。


大阪ダンジョンギルドの社長である瀧見氏が、こう明言しております】


【我社の誇る鑑定人が鑑定した結果、


「これは全ての怪我や病気、欠損部位どころか生まれつきの障害に至るまで、


完全に正常な状態に癒す事が出来る奇跡の霊薬とあります」と答えている。


また、このエリクサーの出品者はオークションに向けてメッセージを残している。


それは、オークション会場で読み上げるので是非聞いて欲しいと】


【このように答えております、次のオークションは本日から9日後になってます】


【大阪ギルドの鑑定人と言えば、麗人とも魔女とも言われている謎の美女ですよね?】


【はい、分かって居るのはブーケに覆われた妖艶な美女としか。しかし、これはどうなるのでしょう?】


【<鑑定>スキルどころの話では無くなるでしょうね、それこそ世界各国の者が大阪のオークション会場へ集まるでしょう】


【いったい出品者は何者なのでしょうか?】


【まず間違いなく、特級ダンジョンを攻略中の冒険者と思われますね】


【しかし、特級ダンジョンは、その難易度から未だ誰も潜ってないとされておりますが?】


【居るのでしょう、我々の知らない強者が。特級ダンジョンへ挑み帰ってこれるだけの】



 色々な人が、エリクサーについての予想を立てている。


 大変な事になるだろうなと予想はしていたけど、かなり予想を上回っているようだ。


 ここで話をする訳にいかないので、僕達はダンジョンへ潜る事にした。


 回復系魔法も集まって来たので、今日は地下10階から始める事にしてリラさん達と話をする。



「ちょっと予想を上回ってますね」


「フフ、いえ上回るのは、これからだと予想されます」


「まだ、これ以上に大事になりそうです?」


「ギルドへ泥棒ぐらいは入るかもしれませんね」


「やっぱり、ヨウ様が持ってて正解かもですねー」


「う~ん、僕が持ってたらエリクサー自体が、ギルドにまだ無いって公言してくれると思ったんですが、やっぱりそういう訳にもいかないのかな」


「そうですね、本当に存在するのかと疑惑を持たれかねません」


「・・・ちょっとアヤメさんとナギサさんが心配になってきました」


「ヨウ様、私思うんですけど。いっそのこと一緒にパーティ活動って訳にはいきませんか?」


「えっ? アヤメさんとナギサさんもですか?」


「いえいえ、ツドイさんもです。丁度6人パーティになるじゃないですか」


「ええっ? でも冒険者は危険ですし、此方から誘う訳には・・・」


「私も賛成です。もうすぐ私達もステータスがカンスト致しますし、死なせないためにもそれが最適かと思慮致します」


「二人がそう言うなら、引き返しても良いでしょうか?」


「「勿論です」」



 こうして今日はダンジョンを引き返しギルドへ向かう事にした。


 ダンジョンを出ると直ぐにツドイさんに連絡を入れ迎えに来て貰った。


 アヤメさんとナギサさんは今ギルドに居るそうだから、とりあえずギルドへ向かう事にした。



「ヨウ様、戻って来て正解かも、何か嫌な予感がします」


「ええっ? もう襲撃されてるかもしれないんですか?」


「分からないけど、とっても嫌な予感がします」


「ヨウ様、急がれた方が宜しいかと」


「ツドイさん」


「分かったよ、飛ばすから掴んでて」



 ノノさんの予感は凄く良く当たるので、僕も<気配感知>を最大限に発揮した。


 ギルドが近づくに連れ鮮明に気配が分かって来ると、屋根裏に怪しい2人が居るのが分かった。



「屋根裏に人が2人居ます。変ですよね?」


「ヨウ様、<隠蔽>と<気配遮断>で先に向かって下さい。私達も直ぐに行きます」


「お願いします」



 僕は<隠蔽>と<気配遮断>で姿を隠し、<敏捷強化>を発動し潜んでいる何者かを探しに行った。


 今は屋根裏から下りて部屋にいるようだ。普通の人より気配が薄いから僕には逆に良く分かる。


 この気配はナギサさんか、怪しい奴等に近い・・・急げえええええ。


 僕は最大限のスピードでギルドへ潜入していた2人の下まで行き、速攻で打撃を加え気絶して貰った。


 手加減が難しかったけど、なんとか上手くいったようだ。


 ふぅ~、間に合った・・・すぐ近くにはナギサさんがいるし、先に縛っておこう。


 縛り上げた怪しい人物は、外国人で部長さんを呼んで対処して貰う事にした。


 一応念のためにアヤメさんとナギサさんを連れ出し、一旦僕の部屋に来て貰った。



「ひゃ~! 吃驚した! 私、危なかった~」


「予想以上に過激になってきたわね」


「その事なんですが、提案があるんですけど」


「どうしたの?」


「実は安全の為にもアヤメさん、ナギサさん、ツドイさんの3名にも冒険者に成って貰えないかと思いまして」


「「「えっ?」」」


「僕もなの?」


「はい、3人共です」


「リラさんとノノさんにも相談したんですけど、ダンジョンは危ない所ですがダンジョンで強く成って貰うのが一番安全な方法だと思うんです」


「・・・それって何時からなの」


「すみません。今からだったりします」


「ええっ? そんな事言っても何にも用意してないわよ?」


「はい、とりあえずは今から3人の家に行って必要な物を持って、この部屋に住んで貰いたいんです」


「すみません私が提案したのですが、安全のためにも最低でも数ヶ月は此処に住んだ方が良いかと思われます」


「冒険者に成って貰うのはステータスを上げるためです」


「どうやら迷ってる時間も無さそうよね・・・分かったわ。急いだ方が良いのよね?」


「はい」



 それから急いでナギサさんの家から順番に回り、武器屋と防具屋で3人の装備も整え部屋に戻ったのは夕方になってしまった。



「人生って分からないものよね。まさか、私が冒険者になるなんて思わなかったわ」


「あはは、私もよ♪ でも昔アーチェリーやってて良かった。私、近接出来そうにないもの」


「私は近接も遠距離も何も出来ないから、魔法攻撃頑張るしかないのよね・・・攻撃魔法のスクロール習得させて貰って、杖まで買って貰っちゃったけど大丈夫かな~」


「僕は薙刀部だったから薙刀にしたけど、中距離になるのかな?」


「はい、偶然ですが中々バランスの取れたパーティになったかと思います」


「うん、しかも、全員魔法も使えるようになるなんて、凄いパーティになりますよ」


「すみません。僕のせいで大変な事になっちゃって」


「良いのよ、何か楽しそうだしねワクワクしてきたわ♪」


「んふふ 実は私もなの♪」


「ツドイさんは車に乗る時間少なくなっちゃいますね。すみません」


「僕、三日月君に貰ったお金でジープ買っちゃった。ダンジョン内でも大丈夫♪」


「そっか<虚空庫>があったらダンジョン内でも車乗れちゃいますね、機動力メチャクチャ上がりそうですね」


「山とかもありますよ?」


「オフロードのバイクもあるから大丈夫♪」


「良かった♪ 皆行けそうですね。じゃ、明日から頑張りましょう」


「「「「「おーーー!!!!!」」」」」


 次の日から中級ダンジョンの地下1階で戦闘訓練が始まった。


 とりあえずはアヤメさんの魔法を何とかするために取得したSPオーブを、全てアヤメさんのINTに注ぎ込んで貰い、MPを上げて貰った。


 スキルは<身体強化>から始まり徐々に慣れていって貰い、ドンドン習得していって貰う予定だ。


 今までは広いダンジョン内で魔物を探しながら移動していたが、今はツドイさんが運転するジープに乗りながら移動しているので移動時間が半分以下になった。


 移動→戦闘→移動→戦闘の繰り返しで想像を絶するスピードで強くなっていった。


 今では朝に地下1階からスタートし、夕方には地下20階まで制覇して帰っている。


 流石に地下20階のボスは、皆が強くなってからにしようと戦闘を避けていた。


 急ピッチでステータスも上げていったので、コップを握り潰したり、ドアノブが取れちゃったり、車のハンドルが楕円形になったりと色々大変だった。


 新たに覚えたスキルは<硬質化><MP吸収><魔力操作>の3つで、どれも有用なスキルだったため格段に強さも増した。


<硬質化>は攻撃にも防御にも役立つ優れたスキルだ。


<MP吸収>と<魔力操作>はアヤメさんが喜んでいた。


<MP吸収>で魔物や味方からMPを補填出来るため、MP切れの心配が無くなり<魔力操作>を覚えてから四属性の魔法を同時に駆使出来るようになったようだ。


 今ではアヤメさんが操る魔法は、脅威の破壊力があり殲滅力では一番かもしれない。


 ナギサさんの操る弓もDEXが上がるに連れ百発百中になり、非常に戦闘が楽になった。


 攻撃力ではツドイさんが一番だ! 


 長い射程の薙刀から繰り出される攻撃は払えば複数の敵を寸断し、とんでもない距離から魔物を貫いた。


 これならオークション当日までには、多少の危険なら大丈夫になったと思う、頑張ってくれた皆には感謝しないと。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あとは主人公の妹や両親など、家族を強くしなければねぇ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ