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第304話 刑事さんのお手伝いです


「ハァーハァー、ば、馬鹿な、何故そんな重量を抱えながら疲れもみせないんだ?」


「うふふ、忙しいって言っといて、中々諦めないと思ったら、私が疲れるの待ってたんだ?」


「目隠しは誤魔化せるかもしれないが、その重りは本物だろう?」


「言っとくけど、目隠しも本物だよ? それに、これぐらいで疲れるような鍛え方はしてないしね」


「くっ・・・分かったよ。お手上げだ。警視総監が一目置くのが分かったよ」


「うふふ、そうね私なんかでも、この警察署を制圧することぐらいなら簡単だからね~」


「や、止めてくれよ?」


「冗談よ! 本当にそんな事する訳ないでしょ? ヨウ君に、チョッカイ出す気なら話は別だけどね」


「わ、分かったから」


「うふふ、湯楽刑事のお陰で、楽しかったわ」


「さてと、じゃ皆さん。今日はお暇しましょうか」


「そうね、湯楽刑事。また遊びにくるからね~」


「でわでわ」



 僕達は警察署を出て車で帰る事にした。


◇    ◇    ◇    ◇    ◇


 <湯楽視点>


「戻りました・・・」


「おっ! やっと帰ってきたか湯楽。でっ、どうだったんだ?」


「どうもこうもありませんよ・・・とんでもない目にあいました」


「だろうな。だから止めただろ? 何でもかんでも突っ込んで行くんじゃねえってよ」


「それを、言わないで下さい。後悔してんすから」


「まあ、普通ならあんな恐ろしい奴には近づかねえんだが。ある意味、お前って凄いわ」


「それ褒めてんすか? 貶してんすか?」


「褒めてんだよ♪」


「それで、どんな、無茶言われたんだ?」


「彼奴等の遊び相手になれって、言われたんすよ」


「はあ?」


「警視総監から直々にっすよ? その為だけに、私に特殊捜査官の肩書まで付けるって言ってましたから」


「おいおい、遊び相手って、そういう事じゃねえのかい?」


「そう言う事、ってなんすか?」


「だから、夜の相手って事だよ?」


「なっ! 何言ってんすか部長。それは無いすよ、だって女性達の方が喜んでたっすから」


「ばっか、今はLGBTとかあんだろ?」


「えええっ! そ、そういや、怪しい雰囲気の女性がいたような・・・」


「・・・まあ、人生色々な経験をした方が良いって言うからな?」


「部長。人事だと思ってっしょ?」


「女性同士なら良いんじゃねえか?」


「それ男の偏見っすよ。部長は男同士でも良いんすか? それと一緒ですからね?」


「好きなら良いんじゃねえか? 俺は偏見なんてしねーよ、女子なら手繋いだりキスぐらいしたことあんだろ?」


「そんなの、学生の頃だけっすよ?」


「男は学生の時も、そんなことしねーからよ」


「あ、あれ、そう言われれば・・・って、やっぱ違うっすよ」


「あはは、まあ断れねえなら、こんな事考えても一緒だがな」


「どうしたら良いんすか、部長?」


「嫌なら嫌って、言やあ良いだけだろ?」


「・・・部長なら、あの超絶美女から迫られても我慢できます?」


「・・・俺は嫁が居るからよ?」


「部長、今かなり間があったっすよ?」


「・・・正直、厳しいだろうな。あの顔にスタイル、特に胸がヤバかったからな?」


「ですよね? 私も大きい方だと思ってたっすけど、あれはヤバいっす。って、何でこんな話になってんすか?」


「わはは、まあ頑張れ。できたら事後報告してくれや?」


「冗談じゃないっすよ」


「遊び相手に成れってだけで、あんなに時間掛かってたのか?」


「いえ、ちょっとした賭けをしてたんすよ」


「警察官が賭けなんてしてどうすんだよ?」


「いやだって、1人の女性に『私に触れる事が出来たら、何でも言う事聞いてあげる』なんて言われたんすよ?


しかも、目隠しと200キロぐらいの重り付けてのハンデ戦っすよ。


勝ったら、この件も断れると思うじゃ無いっすか」


「まさか、負けたんじゃねえだろうな?」


「・・・そのまさかっすよ。どんなに頑張っても、服に触れる事すらできませんでした。彼奴等、本物の化物っすよ」


「目隠ししてる相手にかよ?」


「もちろん。色々と試したっすけど、至近距離からボールペン投げても掠りもしませんでした」


「やっぱ、ヤバいのは雰囲気だけじゃねえのかよ・・・」


「私が相手した1人だけで、この警察署を制圧するのなんて簡単、って言ってましたからね~ あれは嘘でも大言でも無いっすね」


「・・・俺は助けてやれねえが、頑張れよ」


「み、見捨てないで下さいよ部長ー」


「どうにもできん!(キッパリ)」


「そんなんじゃ、部下は付いて来ないっすよ?」


「賭けに負けた、お前が悪いんだろ?」


「反論ができないのが、悔しいっすね」


「減るもんじゃねーから、別に良いだろ?」


「なんか尊厳みたいなもんが、ごっそりなくなる様な気がするんすよ?」


「そんなのあったのか?」


「部長?」


「わはは♪」



 これからどうなるのだろうと不安になりながらも、仕事に精を出す事にした。


 それにしても今取り掛かっている犯人が、どこに逃げたのか見当がつかない。


 まだ、抱えている案件もあるのに頭が痛くなる。


 そんな仕事に忙殺されそうな日々を送っていると、あの恐ろしい冒険者の事も忘れかけていた。


 少し休憩しようとコーヒーを淹れて、ソファーに座りコーヒーを一口飲んだ瞬間、吹き出しそうになった。


 信じられない事に、何時の間にか目の前のソファーに、三日月陽が笑顔で座っている。



「い、何時からそこに座ってたんだよ?」


「ん~ 10分前ぐらいだったかな?」


「嘘をつけ! そんなに長い間座ってたら、誰かが気付くだろ?」


「あはは、そんなの無理ですよ。気配を消してましたから」


「ぐはっ! そんな事もできんのかよ・・・」


「そんなことより、こんにちはですよー、遊びに来ちゃいました♪」


「遊びに来ちゃいましたって。此処はデカ部屋だぞ?」


「あはは、コーヒー美味しそうですね?」


「此処は喫茶店じゃねえ!」


「えっと、警視総監さんは、どこですか?」


「ブッ!? 脅しか? 刑事をデカ部屋で脅すのか?」


「あはは、誤解ですよ?」


「あははって、頭が痛くなってきやがった。良い性格してやがんな?」


「いや~ それほどでも♪」


「褒めてねえよ」


「あれ~」


「ちょっと、待ってろよ」


「ありがとうございます」


「デカ部屋に、コーヒー飲みに来る奴なんて前代未聞だぞ・・・ところで今日は、あの恐ろしい女性達は一緒じゃねえのかよ?」


「僕の事呼んだ?」


「うっはーーーーーーーーー!!!!!」



 ツドイさんは湯楽刑事の後ろから抱き着き、耳元で声を出すと湯楽刑事は飛び上がる程驚いていた。


 湯楽刑事が後ろを振り返ると、アヤメさん達が手を振って挨拶をしている。



「い、何時の間に・・・」


「僕達も、さっきからソファーに座ってたりして♪」


「い、今まで三日月陽だけだったじゃないか?」


「ちゃんと私達も居たわよ? 湯楽ちゃんが気付かなかっただけ」


「は、はは、冒険者ってのは暗殺者にも成れそうだな?」


「んふふ、私達が暗殺者なら湯楽ちゃんの首は、とっくに転がってるね?」


「・・・すまん、悪かった、許してくれ、頭が痛い」


「フフ、少し動揺してるようですね?」


「ああ、ちょっとだけな」


「それより、そろそろ放しちゃくれないか?」


「僕の事?」


 ゾクゾクッ! 「み、耳元で喋るなーーー!」


「くくっ! 可愛いね♪」


「や、止めろって。ヤバい、本当にヤバいから」


「僕ヤバいって、よく言われるんだよね。なんでだろ?」


「いい加減、自覚しなくちゃね。ツドイも」


「ほら、コーヒーだ砂糖は幾つだ?」


「あっ! 5つでお願いします」


「はあっ? 5つ?」


「甘党さんです♪」


「・・・糖尿病になんぞ。でっ、皆飲むんだよな?」


「ありがとう♪」×アヤメ達


「へーへー」



 湯楽刑事は僕達にコーヒーを淹れてくれて、一緒にソファーへ座ってくれた。


 同僚の刑事さん達は、僕達を温かい目で見ているだけで、何も絡んで来なかったりした。



「でっ、今日は何用なんだ? コーヒーを飲みにきた訳じゃないだろ」


「えっと、遊びに来ました」


「おい・・・」


「また遊びに来るって言ったじゃない?」


「本当に遊びにきただけか? 私は仕事中なんだが?」


「んふふ、まあ、そりゃそうよね」


「ねーねー、どんな仕事してるのかな?」


「言える訳ないだろ? 何で教えて貰えるって思うんだよ?」


「聞いてもどうせ分かんないから、良いと思うんだけど?」


「はぁ~ 逃げた犯人を捜してんだよ」


「へえ~ なんかドラマみたいですね?」


「あはは、確かに」


「ドラマじゃねえ、こっちは真剣に探してんだよ」


「ふむふむ、なんて人を探してるんですか?」


「だから、言えないって言ってるだろ?」


「あそこのホワイトボードに貼ってある人じゃない?」


「あっ! こらっ勝手に見るんじゃねえ」


「その人なら台東区に居るみたいですね、良かったら捕まえてきましょうか?」


「はあ? 何を言ってるんだか・・・」


「おい、ちょっと待て。湯楽」


「部長?」


「良かったら、もう少し詳しく教えて貰っても良いか?」


「良いですよー、えっと浅草寺の近くですね。地図ってあります?」


「湯楽、地図だ」


「ええっ! は、はい」



 僕は地図を見ながら詳しい場所を伝えると、その場に居た刑事達が一斉に動き出した。



「湯楽、ここに居ろよ」


「ぶ、部長、本気で三日月陽の言う事を信じるんですか?」


「どうせ、手掛かりなんてないんだ。こっちはワラにも縋りたいからな。


連絡するから待ってろ、また聞きたい事があるかもしれんからな」



 部長さんは、湯楽刑事にそう言い残すと、僕が伝えた現場へと出かけて行った。



「置いて行かれちゃいましたね?」


「あのな~ お前のせいだろ?」


「失礼、お前とはヨウ様の事ですか?」


「わ、悪い失言だ。怒らないでくれよ」


「リラさん、それぐらい良いですから、僕の事はヨウって呼んでくれたら良いですよ」


「分かりましたヨウ様。ですが、言動には十分注意して下さい」


「分かった。謝るよ」


「ほらリラも、そんなに怒んないの。私達だって湯楽ちゃんって言ってるんだからさ」


「私は言っておりませんし、ちゃん付けで呼ぶのは失礼ですよ?」


「はーい、私も湯楽刑事って呼ぶからさ」


「名前呼びは変わらないんだな?」


「冴羽刑事なんて堅苦しいでしょ?」


「まあ、良いけどな。しかし、皆に慕われてんだな?」


「フフ~ ナギサだって、ヨウ様を軽んじられたらブチ切れるんだよ?」


「それは、皆だって同じでしょ?」


「まあね、ヨウ君ほど過保護じゃないけど?」


「えへへ、それほどでも♪」


「褒めてる・・・あれ、一応褒めてるのかな?」


「フフ、ヨウ様の愛情表現ですから」


「おいおい、モテ過ぎだろ? デカ部屋で惚気んなよな」


「あはは♪」×全員



 それからも、色々な話しをしていると、私のスマホに電話が掛かってきた。



「すまん。ちょっと電話に出る」


「どぞどぞ」


「はい、えっ! えええっ! はい、うはー! 分かりました」


「んふふ、無事逮捕できたみたいね?」


「どうなってんだよ。本当だったのかよ?」


「ヨウ君が、そんな冗談言う訳無いでしょー」


「・・・どうやら空き家に潜伏してたらしい。三日月君にお礼を言っといてくれって部長が言ってたよ」


「それは良かったですね。まあ逃げられてたとしても、直ぐに見つけますけど」


「一体、どうやって見つけたんだよ?」


「それは内緒かな?」


「・・・流石SSランクって事か、警察にも欲しいな」


「湯楽刑事には遊び相手になって貰ってるし、ちょこっとだけ手伝っちゃいましょうか?」


「本気か? 未解決事件に協力してくれんのかよ?」


「えっと、未解決事件のファイルとかありますか?」


「ちょ、ちょっと待ってくれ。そう言ってくれるのはありがたいんだけど、私の権限では見せる事ができないって」


「あはは、ちっちゃい事を気にする方なんですね~」


「フフ、湯楽刑事ファイルは何処にあるのですか?」


「だ、だから見せれないって」



 私に喋りかけた美しい女性は、微笑みを浮かべながら棚に歩いて行くと何枚かのファイルを持ってきた。


 ちょっと待て! そのファイルは・・・



「ヨウ様、この6件がよろしいかと」


「ありがとう。リラさん」


「ま、待て! なんで分かるんだよ? それに、あの棚には鍵が掛かってただろ?」


「んふふ、私達には鍵なんて無意味よ?」


「皆さん、どれ行きます?」


「ん~ 私はこれかな~」


「僕、これにしよっと」


「うわ~ どれも凶悪犯ばかりじゃない」


「えっと、一応本当に犯人か確認して下さいね~」


「了解ー♪」


「じゃ、湯楽刑事。行ってきますね~」


「えっ! ちょ・・・なんで、皆消えるように居なくなるんだよーーーーー!」


「おい、帰ったぞ」


「いや~ お手柄だったな。厄介な山だったが無事解決だ♪」


「おい、湯楽。あの連中は帰ったのか? 礼を言いたかったんだが。おいって湯楽。なんで頭を抱えてやがんだ?」


「部長・・・私は悪く無いっすからね」


「・・・まさか、また何かあったのか?」


「私が犯人を捜してくれた事に感謝したら、他も手伝ってくれるって言いだして、未解決事件のファイル持っていかれました・・・」


「はああああああああああああああああ?


お、お前、なにそんな重要ファイル渡してんだよ?」


「渡してないっすよ。まるで、最初から知ってたみたいに、棚からファイルを取り出して持ってったんすよ」


「鍵、掛かってただろうが?」


「掛かってましたよ。でも簡単に開錠しちゃったんすよ。私に止められる訳ないっすよ」


「なんてこった・・・あれが公表されたら、えらいことになるぞ? 何件持ってかれた?」


「1人1枚持ってったから、6枚っすね」


「ろ、6枚もか・・・俺の始末書で足りんのかよ。おい湯楽、お前も掛けよ6枚だ」


「ぐはっ! そ、そりゃないっすよ」


「なあ、まだ近くに居るってことはねえよな?」


「相手が誰だと思ってんすか、あのパーティに追い付ける訳ないっすよ」


「大人しく帰ってくんのを待つしかないか・・・頼むからファイルを落とすような事はしてくれんなよ」


「ただいま~♪」


「「えっ?」」


「あ~ ヨウ君に負けちゃったかー」


「よっし3着だー、リラ姉に勝ったー」


「フフ、同着でしょ?」


「ええー、5着なの私」


「到着ー! って僕、最後なの?」


「遅いよ、ツドイ」


「だって、僕3人だったからさ」


「嘘だろ・・・こ、こいつ等って」


「ちょっと、湯楽刑事のお手伝いしてきました。


えっと、このファイルの犯人と証拠になりそうな物を持ってきましたよ。


あっ! 言っときますけど、絶対に冤罪とかじゃないですからね」


「おい・・・これって、窃盗集団から盗まれた物だ」


「こっちは、あの5年前におこった事件の計画書か」


「こ、こいつは指名手配犯じゃねえか」


「こいつ等を、この短時間で捕まえてきたってのかよ・・・」


「ハ、ハハ、どうやら、お礼を言った方が良さそうだな?」


「ちょっとしたお手伝いだから、良いですよ」


「これで結構、仕事は進んだでしょ?」


「ああ、それはそうだが」


「じゃ、ちょっと湯楽刑事を借りても良いですか?」


「・・・分かった。連れて行ってくれ」


「ちょ、部長?」


「上には俺から報告しておく、それぐらいの頼みは聞かないとだろ?」


「私は物じゃないんですよ・・・でもまあ、分かりましたよ。一応私も感謝してますからね、まだ信じられませんけど」


「あはは、許可も貰えた事だし行きましょうか?」


「どこに連れてくんだよ?」


「それは内緒です」


「おい?」


「んふふ、心配しなくても、湯楽刑事は私達が守るからさ」


「まさか、危険なとこに行くんじゃないだろうな?」


「当たり~♪」×アヤメ達


「おいーーー!」




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