第303話 新しい遊び場所が増えたみたいです
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僕達は騒ぐのを止め、大人しく案内役の人に付いて行くことにした。
案内役の人も婦警さんで、見てて気の毒なほど怯えていたけど、申し訳ないが我慢して貰おう。
でも、警察署に来たのは初めてだったので、案内されながらも色々な部署に寄り道し見学することにした。
当然<威圧>スキルは開放したままなので、僕達が近づく度に警察官達は驚く者、身構える者、恐怖する者と反応は様々だった。
すると、警察の制服を着ていない女性が1人こちらに走ってきた。
「お、お前達止まれ! 警察に何をしに来た?」
「お~」×アヤメ・リッカ達
「貴女凄いわね。普通なら逃げ出すと思うんだけど、ヨウ君が怖くないのかな?」
「警官が怖いからと言って逃げるかよ、尋常じゃ無いから駆けつけて来たんだ」
「お~」 パチパチパチ!!! ×アヤメ・リッカ達
走ってきた女性は、よく見ると手が小刻みに震えており、やっぱり恐怖に耐えているのが分かる。
アヤメさん達に興味を持たれたのか皆に包囲され、何が起こったのか理解できないようだった。
「貴方、警官の鏡ね、凄いわ~」
「冒険者に向いてるかもね?」
「でも、早死にしそうかも?」
「確かに、危機感が欠落してるかもね?」
「警察としては、優秀になるのかな?」
「いやいや、勇気があるのは認めるけど、警官でも危険は回避しなきゃ」
「貴女良いわね~ 私、ちょっと興味が湧いちゃった♪」×リッカ
「はあ?」
「確かに、面白そうな人材ね」
「でしょ~ だって、ヨウ君の<威圧>に耐えるどころか、向かって来たんだよ?」
「とっても、強そうじゃない?」
「ふむふむ。美人だしスタイルも良いわね。かなり鍛えてるんじゃないかな?」
「な、なんなんだ、お前達は?」
「あれれ! 私達を知らないのかな?」
「そう言えば。どこかで見た事がある・・・指名手配犯か?」
ガクッ! ×全員
「ちょっと、私達を犯罪者にしないでよー」
「ヨウ君、ちょっと」
「はい?」
「ほら、この顔に見覚えがないのかな?」
僕はアヤメさんに後ろから顔を掴まれ、走ってきた女性に突き出された。
そんなに、頬っぺたを押さえられたら人相が変わると思うんだけど。
「ん? ああ! 三日月陽! SSランク冒険者か?」
あらっ? それでも、僕が分かったようだ。
「正解~♪」
「そういえば、取り巻きの女性達?」
「取り巻きって・・・パーティメンツって言ってくれる?」
「にしし、まあ取り巻きでも間違いじゃないけどね~」
「ところで、貴女の方こそ誰なの? 制服を着てないみたいだけど警察じゃないの?」
「私は刑事課の者だ」
「へえ~ 刑事課って制服を着なくて良いんだ?」
「そういや、テレビドラマでも来てなかったじゃない。確かスーツだったよ?」
「なるほどね~」×全員
「私の事は良い、それより、お前等はテロでもしにきたのか?」
「よく見てよ、ちゃんと案内役が居るでしょ? 私達は警視総監に会いに来たんだから」
「はあ? け、警視総監だと?」
「フフ~ 貴女良いわね~ 持って帰りたいな~♪」
「フフ、駄目ですよノノ、仕事の邪魔しちゃ?」
「そっか、今日は諦めるかな~」
「ねえ、君の名前は何て言うのかな? 僕はツドイだよ」
ツドイさんは女性の頬に手を添えながら、顔を近づけているので戸惑っているようだ。
「か、顔に触るな。えっ?」
女性はツドイさんの手を振りほどこうとしたが、一瞬で目の前から消え、今度は背後から肩に手を置かれていた。
ゾクッ! 「い、今何をした?」
「ククッ! その反応も可愛いね♪ 僕、名前を聞いてるんだけど?」
「刑事の名前を、そんなに簡単に教えられるか」
「そうなんだ。じゃ勝手に調べよっかな・・・えっと冴羽湯楽さんか、温泉好きそうな名前だね?」
「ちょ、ちょっと待て。何故私の本名が分かる? 最初から知ってたのか?」
「僕達に付いて来たら、教えてあげるよー」
「ヨウ君、この子も連れて行って良いかな?」
「皆が気に入ったんなら、御同行願いましょうか?」
「な、なにを?」
「んふふ、私達が気になるんでしょ? だったら付いて来たら良いじゃない?」
「馬鹿な、そんなに勝手に部署を空けられるか」
「じゃ、上司の人に断わりを入れておきましょか」
「さ、さっきから何を言ってるんだ・・・」
「賛成ー♪」×全員
「さっ、行こっか」
「な、何なんだ、お前達は・・・」
僕達全員で刑事課に行き、湯楽さんの上司と相談すると、内線で警視総監に確認を取っておりアッサリと同行を許可してくれた。
「・・・何が何だか分からんが、湯楽行ってこい」
「ほ、本気ですか。部長?」
「んふふ、流石湯楽刑事の上司ね。ヨウ君が怖くないの?」
「いや、どんな凶悪犯より怖いね?」
「あはは、ヨウ君って凶悪犯より怖いって?」
「え~ こんなにセーブしてるのに? じゃ、これでどうかな?」
僕はあんまりにも刑事課の人が怯えてるので、一度<威圧>スキルを解除してみた。
「フゥ~ 参ったな。あれほど重苦しい殺気を自由に解除できるのかよ? 常にあんな状態なのかと思ってたんだが」
「あはは、そんな訳ないじゃないですか。まだ、怖いですか?」
「ああ、さっきより怖いな、SSランクの冒険者ってのは化物らしい」
「いや~ それほどでも♪」
「ヨウ君、褒められてないからね?」
「あれ~」
「・・・世の中には、こんな化物が普通に居るのかよ。なあ、頼むから犯罪者には成らないでくれよ?」
「一応、真っ当に生きてますよ?」
「それを聞いて安心したよ」
「でも、僕の大切な者に振れる奴がいたら、細胞も残らず消滅させてやりますけどね」
僕は言葉の流れだったけど少し激高し、また<威圧>を解き放ってしまった。
ゾワッ! ×刑事課一同
「な、なんだよこれは・・・分かったから、勘弁してくれよ?」
「あ~ すみません。今日は<威圧>しっぱなしだから、自然にでちゃった。
えと、このまま行きますねー、じゃ、湯楽刑事を借りていきます」
「無事に帰してくれよ?」
「あはは、冗談が上手いですね、でわでわ」
かなり寄り道してしまったので、そろそろ警視総監さんの所まで行かないとね。
僕達は案内役の人に付いていくと、結構大勢の警官が居る部屋に通された。
すると、キラキラした階級章を付けた50代ぐらいの男性が僕らに近づいてきた。
おそらく、この人が警視総監なのだろう。
「えっと、警視総監さんですか?」
「ハハハ、ああ、私が警視総監だ」
「すみませんね。色々と寄り道してたら、遅くなっちゃいました」
「いや予想より到着が早くて驚いたよ、慌てたと言った方が良いかもね。まあ座ってくれたまえ」
リッカさん達と一緒に来たので12人も居るんだけど、事前に情報が入っていたのか、ちゃんと椅子を用意してくれていたので素直に座らせて貰う事にした。
「僕達だけ座らせて貰っても良いんですか? 結構立ってるのも辛そうですけど?」
「ああ、此方の事は気にしないでくれたまえ」
「あの~」
「何か気になる事でも?」
「結構、大勢の方が居ますけど、護衛のつもりなら無駄ですよ?」
「・・・どうやらそのようだね、座っていても膝が震えるよ。他の者は退出してくれ」
「よ、よろしいのですか?」
「ああ、早く頼む」
「はい」
警視総監が命令すると他の者は全員退出していき、警視総監の他に3人だけが部屋に残った。
「結構辛そうなので、楽にして上げますね」
僕が<威圧>を解除すると、少し安堵したようだ。
「これで、話し易くなったでしょ?」
「助かるよ、先ほどから汗が止まらなくてね困ってたんだ。
しかし、恐ろしい重圧だね・・・いや、恐怖感と言ったら良いのだろうか。
高ランクの冒険者になると、こんなことも出来るようになるのかね?」
「僕って童顔のせいか、よく人から舐められるんですよね、だから威厳代わりに少しだけ威圧してたんですよ」
「す、少しだけかね?」
「もちろんです。あんまり強くすると仲間達まで呼吸出来なくなるみたいなんで、微調整してるんです」
「君は、それが危険だとは思わないのかね?」
「そう言われても、威圧なんて安全な方ですからね?」
「もっと、危険な事ができると言う事だね?」
「そこら辺は想像に任せるしかないですけど、僕の力が知りたいんですか?」
「いやすまない・・・話が逸れたが今回の件について謝罪しよう、不躾に警官を送ってしまいすまなかった。どうか許して欲しい」
「いえいえ、どうせ、あの老害が無理に頼んだんでしょ?
でも、僕が言いたいのは警察官なら権力者の言う事であったとしても、無暗に受ける様な真似は、どうかと思うってことです」
「申し訳ない。我々は上司の言う事は絶対でね、悪しき流れだと私も思っているよ」
「立場的なものもあるかと思いますけど、あれはまさに老害としか言えませんよ?」
「事情は本郷から聞いたよ、どうか許して欲しい。この通りだ」
警視総監以下全員が僕に深々と頭を下げ謝罪してくれた。
ここまでしてくれると、逆に申し訳ない気持ちになってきた。
「謝罪は受け取ります」
「そう言って貰えると助かるよ、ありがとう。三日月君」
「でも、今回の件を総理大臣があの老害に本当に頼んでたら、僕は世界に向けて今回の件を伝えます。
僕がエリクサーの出品者だと疑われ、エリクサーを寄越せと脅され、断ると警察官を差し向けられたとね」
「や、止めてくれ。そんな事をされたら大変な事になる」
「十中八九あの老害の独断でしょうけど、その老害の命令を何も考えずに警察が受けたんでしょ?」
「そ、その通りだ・・・」
「あそこに来た警察官は、少なくとも大きなトラウマを抱える事になるでしょう。
今回の件で警察が払った代償は大きいんじゃないですか?
まあ、僕が言うのもなんですけどね」
「言い返す言葉も無い、我々には謝るしかないのだが、私の権限でできることはしよう何かあれば言って欲しい」
「そう言われても、僕には欲しいものなんて無いんですよね」
「ヨウ君、ヨウ君。僕、湯楽が欲しいんだけど?」
「ええっ! それは無理じゃないかな?」
「フフ、ヘッドハンティングすれば良いのでは?」
「じゃ、一応聞くだけ聞いてみますね」
「あの、今回の謝罪として、湯楽さんを貰う訳にいきませんよね?」
「ま、待て待て待て! なんで私の話しになってんだ? 私は物じゃないんだ。冗談じゃない、警視総監に何を言ってくれてんだよ」
「ふむ・・・確か、湯楽君は刑事課の者だったね」
「は、はい」
「今回の件については極秘事項なのだが、君は全部聞いて理解してくれたと思う」
「そ、それはそうですが」
「もし、今回の件が世界に知れれば、我々は世界中から非難を浴びることになるだろう。
戦争の引き金になってもおかしくはない。
これは君が考えているより、重大な案件なのだよ」
「ちょ、ちょっと待ってください。まさか、私を売る気じゃないでしょうね。総監?」
「売るとは言っておらんよ。だが、出来る限りの譲歩はしたいと考えている」
「お~ 話せる~ 流石は、警視総監さん」
「でもヨウ君。いくらなんでも連れてく訳にはいかないでしょ?」
「そうですね~ じゃ、僕達の遊び相手になって貰うのはどうでしょうか?」
「賛成~♪」×全員
「はいはいはーい! 最初、私が良いーーー」×リッカ
「駄目だよ、僕が先!」×ツドイ
「フフ、ヨウ様。先にちゃんと決めておかなくては」
「そうですね警視総監さん。たまにで良いから湯楽刑事の所に遊びに来ても良いですか?」
「あ、遊びにかね・・・良いだろう」
「そ、総監っ」
「君には出来る限りの待遇をつけよう。しばらくの間頼まれて欲しい。
特殊捜査官の肩書をつけようじゃないか、これで今までより自由に動けるようになる。
君にとっても悪い話ではないだろう?」
「え、えええ」
「今日にでも辞令をだそう、よろしく頼むよ。冴羽刑事」
「は、はい・・・」
「えっと、警視総監さんが話の分かる人だったから、僕が<威圧>した警察官は全員治しておきますね」
「そんな事まで出来るのか?」
「内緒ですよ? それでは、またお会いしましょう」
僕達は警視総監さんとの話も終わったので、湯楽刑事と部屋を出た。
「んふふ、これから宜しくね。湯楽刑事」
「本当に何なんだよ、お前達は?」
「唯の冒険者だよ?」
「ヨウ君は、世界一のって付くけどね」
「そいつの怖さは十分分かったよ、警視総監相手によくやるわ」
「僕は何にもしてないんですけど?」
「<威圧>っての、してたじゃないか?」
「そうでもしないと、真面な話し合いにならないんですよ?」
「あはは、まあそれだけ見た目が可愛い少年なら、普通そうなるだろうな。
そこが怖いとこでもあるんだけどな・・・なあ絡まれても相手を殺さないでくれよ?」
「ブッ!? 絡まれたぐらいで殺すなんて物騒な事するわけないじゃないですかー」
「そっちの彼女さん達が絡まれたら?」
「それなら、殺されても仕方ないでしょう?」
「・・・やっぱり、特級危険人物じゃないか?」
「んふふ、大丈夫よ。私達に触れることが出来る人なんて、そうそう居ないからさ」
「ハッ! 大した自信だな?」
「うふふ、貴女も何か格闘技をしてるんでしょ?」
「格闘技なんてしてないって、逮捕術だけだ」
「逮捕術ですか?」
「確か警察官が習う武術なんだよね?」
「まあ、そう言う事だ大会とかもあるからな」
「へえ~」×全員
「じゃあさ、私に触れることが出来るか試してみる?
もし、服にでも良いから触れることができたら、貴女の言う事なんでも聞いてあげるわ♪」×リッカ
「また、強気にでたな・・・後で後悔しても遅いぞ?」
「うふふ、ヨウ君。良いかな?」
「良いですけど、ちゃんとハンデも上げて下さいよ?」
「ええ、目隠しで相手して上げる」
「はあ? 本気で言ってるのか?」
「ええ、もちろんよ」
「ハハハ、目隠しした奴に触れることも出来なかったら、私も何でも言う事聞いてやるよ」
「うふふ、賭けは成立ね」
「その自信は、どっからくるんだよ?」
「貴女は優秀な人だと思うんだけど、冒険者って者を知らなさ過ぎる」
「そりゃ残念だったな、私も一応冒険者なんだよ」
「それでも、私の言った事に変わりは無いわ」
「まっ、口で言ってもだよな、百聞は一見に如かずだ」
「ええ、そうね」
僕達は湯楽刑事に連れられて、床にマットが引いてある格闘場に案内された。
「私もそんなに暇じゃないから、少しだけな?」
「ええ、貴女が諦めるまでで良いわよ?」
「あはは、その自信だけは感心するよ」
「えっと、目隠し、目隠し」
「やってやんよリッカ。全く美味しいとこ持って行きやがって」×アズサ
「うふふ、目隠しだけじゃ面白くないから、トレーニング用の重りも追加しちゃお」×マイ
「えっ! ちょ、ちょっとー」×リッカ
リッカさんのパーティ面子は、面白がってリッカさんにドンドン重りを追加していき、200キロぐらい巻きつけられていた。
「・・・なあ、お前達本当に仲間なのか?」
「これぐらいのハンデじゃなきゃ、見ててもつまらねえからな」×アズサ
「ハッ、自信過剰も良いとこだ」
「うふふ、百聞は一見に如かずなんでしょ? さあ、何時でもどうぞ」
「そんな目も見えないダルマ相手に、何時でもって言われてもな。さっさと終わらすか」
湯楽刑事はスタスタと歩いて行き、リッカさんに手を伸ばすと、見事にその手は空を切ることになった。
「えっ?」
「私が思うに湯楽刑事の自信の方が凄いわよ? さあ、本気でどうぞ」
「・・・そうするとしよう」
それから約30分程経っただろうか、湯楽刑事の攻撃は悉くリッカさんに躱され続けた。




