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第302話 恐れ慄け冒険者の力は半端じゃないんです

評価やブックマーク等、応援して下さった全ての方、ありがとうございます。


 一応冒険者の力を少しは理解しているのか、続々と警察官が集まって来て、ダンジョン攻略部隊本部の中がパトカーだらけになっていく。


 窓から外を見ると、パトライトの赤い光が良く目立つ。


 そう言えばパトカーには、まだ一度も乗ったことが無いなと、少し乗ってみたい気分にもなるが今は遠慮するとしよう。



「フフ、ワハハ! さあ、もう逃げられるんぞ。覚悟を決めるんだな♪」


「全く、どこまで馬鹿なジジイなんだか、まあその方が気兼ねなくいけて良いか」


「あはは、こ、これって、思ってたより危なかったりして?」×リッカ


「そうね、リッカ達も気合入れときなさいね、私達でも危ないかも?」×アヤメ


「ひぇ~!」×リッカ達


「あっ! 私達は兎も角、本郷社長達どうしよ?」×キョウコ


「私達が守るしかないだろ?」×アズサ


「一応頑張るけど、駄目だったらごめんね」×ナナエ


「ん~ テヘペロで、良いかな?」×シノブ


「馬鹿な事言ってないで、全力で<結界>を張る準備ね?」×マイ


「はは、足が震えやがんだが?」×田中


「隊長マジで恨みますからね?」×高橋


「そう言う事は、生き残ってから言ってくれよ?」×松田隊長



 松田隊長達は、額から大量の汗が滴り落ち、若干足が震えている。


 流石に危険を肌で感じているのだろうか、これって警察より僕に恐怖してるんだよね・・・まだ感情を制御できていないってことかな。


 自分では落ち着いているつもりなんだけど、まだ抑えきれてないのか。


 僕の悪い癖だよね、でも治す気はサラサラなかったりして。


 さあって、そろそろ行こうかな。



「せっかく来て貰ったんだから、お出迎えしましょうか大馬鹿ジジイさん」


「ワハハ! 偉そうな口を利けるのも今のうちだけだ」



 大馬鹿ジジイは御機嫌で、階段を下りて外へと向かっていく。


 入口を出ると無数の警察官が待機していた。全くどれだけ呼んだんだか。



「ワハハ! さあ、こいつを捕まえろ」


「こ、この少年は、まさかSSランク冒険者の・・・」×警察官


「そうだ! 早く捕まえんか。此奴が罪人だ」


「・・・何があったのか分かりませんが、署まで御同行願えますか?」


「お断りします!」


「何をつべこべと言っておるのだ。此奴を逃がしたら君の責任になるのだぞ、分かっておるのか?」


「貴方が誰だかは知っておりますが、少し落ち着いて待っていて貰えませんか?」


「ぐぬぬ! さっさとせんか」


「聞いての通りなんだが、別に逮捕しようと言う訳じゃ無いんだ。事情を聞かせて貰いたいのだが?」


「お断りします! 僕に用事があるなら、また今度会いに来てください。凄く暇だったらお会いしますよ?」


「どうしても断ると言うなら、強制的になるが?」


「止めといた方が良いですよ? ざっと見たところ一般人ばかりみたいだし」


「一般人? ここに集まっている警察官は、ダンジョンで鍛えている精鋭ばかりなのだがね」


「僕から見たら一般人と変わんないですよ?」


「いくらSSランクと言ってもステータスの上限は変わらないんだ。そんなに強気になっても無駄だと思うよ?」


「まあ口で言っても分かんないですよね。僕は一切手は出しませんけど、本当に止めといた方が良いですよ?」


「悪いがこれも仕事でな、来てもらうよ」


「忠告はしましたからね? 捕えられるものなら、お好きにどうぞ」


「分かってくれて嬉しいよ、おい」


「はっ!」



 警察官2人が、僕の両腕をホールドしパトカーに乗せようとしているようだ。


 やれやれ! これは仕方ないよね。



 ゾクッ! 「み、皆、急いでー」


「うん、<結界>!!!!!」



 次の瞬間、僕は<威圧>スキルを開放した。


 少し強めに放ったためか警察官達は、声を出すことも出来ずに立ち竦んでいる。


 顔色は蒼白になり、滝の様に汗を流している。膝が笑い手もガタガタと震えている。


 大馬鹿ジジイは、口から泡を吹いて気絶しており、僕に喋りかけてきた警官だけがなんとか耐えているようだった。



「な、なんだこれは・・・」



 僕の両腕を掴んでいた警察官は、もはや立っていられないのか地面に膝をついている。



「僕は手も足も出してませんよ? 捕まえないんですか? あんなに偉そうに言ってたのに、やっぱり大したことないんですね?」


「う、うぅぅ」



 少しずつ少しずつ<威圧>のレベルを上げていくと、喋れていた警官も奥歯をガタガタと揺らし言葉がでないようだ。



「うわああああああああああああああああ!!!!!」



 パンッ! パンッ! パンッ!



 遂に恐怖に耐えられなくなった警官が、僕に銃を発砲した。


 拳銃の玉なんて僕に届く筈もないが、手が震えすぎて見当違いの場所を撃っている。


 危ないので、発砲された銃弾を全て掴みとっておいた。


 リラさんとノノさんが拳銃を発砲した警官に殺意を向けると、あっけなく気絶し地面に倒れた。



「やれやれ。警察官が一般人を撃っちゃ駄目じゃ無いですか? 銃弾は返しておきますね、熱いので気を付けて下さい」



 僕は最初に喋りかけてきた警官の掌に銃弾を乗せると、やはり熱かったのか火傷しているようだったが、恐怖が上回っているのか微動だにしなかった。


 まあ良いかと思い、そのまま外へと歩を進めた。



「ぐっ! ぐぅぅ」×本郷


「フゥ~ やっぱり。私達でもかなりキツイわね」×リッカ


「大丈夫かな、松田さん?」


「あ、ありがとな。守ってくれてよ、それでも膝が笑いやがるんだが?」


「ヨウ君の<威圧>を受けて、その程度で済んでるのは、かなり手加減してるからですよ?」


「私達が見えなくなるまで<結界>の外にでちゃ駄目ですよ?」


「あ、ああ」


「ちょっと、死屍累々になっちゃってるけど、後はお任せしますね。では、またです♪


あっ! そうそう、もし僕が物理的に手を出していたらどうなっていたのかも見せといて上げようかな」



 僕は怒りが冷めやらぬまま右手に魔力を集めて行く。


 そう言えば、ダンジョン以外で攻撃魔法を使うのは初めてかもしれない。


 少し魔力を集めすぎたのか大気が震えビリビリと辺り一面に振動が伝わっていく。



「だ、駄目よヨウ君! もっと押さえないと」×アヤメ


「ヨ、ヨウ様! これ以上は危険です」×リラ


「了解です、じゃこれぐらいで良いか。


ほっ!」



 僕は上空に目掛けて属性を付与していない魔力の塊を放った!


 ドンッ!



「きゃあああああああああああああああ!!!!!!」×アヤメ達



 僕が放った魔力の塊は周りの空気を巻き込み、一瞬にして空へ消えて行った。


 現在、上空には大きな黒い円形が出来上がっており、徐々に閉じていっているようだ。



「あ、あれって宇宙よね?」×ナギサ


「た、大気が消し飛んじゃった・・・」×ツドイ


「・・・やはり、私達とは魔力の桁が違いますね」×リラ


「あ、汗掻いちゃった」×ノノ


「ヨウ君、遣り過ぎよ?」×アヤメ


「あはは、さって帰りましょうか♪」



 リッカさん達が僕達に追い付いてきたので、ツドイさんに車を出して貰い帰る事にした。



 <本郷社長視点>


「ぶはーーー!!! ハァーハァーハァー」×田中


「フゥ~ 大丈夫か?」×松田隊長


「ハァーハァーハァー、大丈夫じゃねえですよ。死ぬかと思った・・・」×高橋


「本郷社長?」


「ああ、大丈夫だ。それにしても想像より遥かに恐ろしい体験をしたものだ」


「見て下さいよ。俺達以外は屍の山になってるんですから」


「馬鹿、全員生きてるよ、なんとかな・・・」


「我々もリッカ君に守ってもらってなければ、同じになってたのだろうな・・・」


「あのクソジジイ自分だけ、さっさと気絶しやがって、なんて迷惑な野郎だ」


「警察官達もとんだ被害者だな。一生忘れる事はできねえだろうよ」


「それにしても最後のアレは、なんなのだ? あんなものが地上に放たれたら一体どうなるというのだ?」


「駄目なんですよ・・・彼奴は三日月陽だけは絶対に怒らせちゃいけないって事です」


「とりあえずは、この場を何とかしないとですね」


「ああ、我々も安堵してはられんな、私は急いで警視総監に連絡を入れておく」


「分かりました。俺達は倒れている警察官の状態を見ときます。何人かは救急車を呼んだ方が良いでしょうね」


「ああ、任せる。間違っても死なさんようにな?」


「分かってますよ。社長」



 それにしても、三日月君達と敵対しないで本当に良かったと、改めて思い知らされるな。


 彼とは敵対してはいけない・・・絶対にだ!


 幸い警視総監とは知らぬ中でもないが、説明が非常に難しいところだな、何とか理解して貰えるよう頑張らんとな。


 とりあえず、警視総監に電話を入れ、事の顛末を詳しく説明することにした。



「以上がたった今、此処で起こった事だ」


「・・・そろそろ電話が掛かって来る頃だと思っていたが、本当にそんな事が人間にできるものなのか?」


「私は一切誇張などはしていない。此処に来た警察官は、今でも気を失っているか恐怖で震えている。


先程も言ったが、銃を発砲した者が居たほどだ。だが、それは無理もない。攻撃しなければ死ぬと思ったのだろう」


「本郷さんが、そこまで言う事態だったのか・・・」


「私も未だに足が震えておるよ。あれは駄目だ! 三日月君達とは絶対に敵対してはいけない。


こちらに警察官を差し向けた事を謝罪した方が良い。下手をすると警察組織が壊滅するぞ?」


「本気で言っているのか? 仮にも公務執行妨害をした者に謝れと?」


「私は強要はしないが、判断を間違えると取り返しのつかない事態になるだろう。


君とは知らん中でもないので忠告することにした。


私の言葉を疑うなら大阪梅田のギルドに聞いてみると良い。


これだけは言っておこう、彼等は何も悪い事はしていない。


もし、彼らを逮捕しようとするならば、東京の警察が地図から消える事になるだろう」


「ば、馬鹿な・・・」


「これは冗談でも脅しでもないのだ、彼は警察だからこそ、見逃してくれたと思った方が良い。


だが何度も見逃してくれるとは思えん。


馬鹿とは言え、大臣からの要請だったのだから断れなかった事を伝えるべきだ。


君だから言うが、彼は唯の冒険者ではない、我々の部隊など子供扱いされたのだから」


「・・・SSランク冒険者とは、そこまで規格外なのか? テレビで見る限り可愛い少年なのだろう?」


「冒険者の強さは、見かけでは判断できないと言う事だ。


我々の屈強なる部隊が倒せなかった巨大な魔物を、まるで蟻を踏み潰すかのように薙ぎ払ったらしい。


彼が本気で魔法を放てば、一撃で東京が無くなるだろうと私はみている」


「馬鹿な・・・」


「どうか、日本を守る為にも判断を間違えないように、私が言いたい事はそれだけだ」


「・・・とりあえず、会う事にしよう。忠告、感謝するよ」


「また、会える事を祈っているよ」


「縁起でもないことを・・・」


「今のが冗談に聞こえたのなら注意した方が良いな、では健闘を祈る!」



 コンコンッ! 「警視総監緊急の報告があります」


「入ってくれ」


「はい」


「大変な事が起こりました」


「そうみたいだな」


「御存知でしたか?」


「大体の事は把握している、話せる者は居るのかね?」


「今は難しいかと、10人以上の者が救急車で運ばれ、他の者も恐慌状態とのことです。


一体何があったというのですか? 彼等はステータスを上げている精鋭達なんですよ?」


「彼等は何もされておらんよ」


「確かに外傷等はありませんが、何か精神攻撃の様な事をされたのでは?」


「いや、彼等は1人の冒険者の機嫌を害しただけだ。そして、彼の怒気に振れたのだろう。


ハハハ、自分で言ってても信じられんがね♪」


「本当にそんなことが・・・」


「出来るのだろう世界一の冒険者ならば、SSランクとはそういう者と言う事だ。


さて、急いだほうが良いな、早速謝罪に出掛けるとしようか」


「ほ、本気で言っているのですか?」


「ああ、友人の忠告は大事にせんとな」


◇    ◇    ◇    ◇    ◇


 僕達はダンジョン攻略部隊からの帰りに、昼食でも食べに行こうとしていると、リラさんにギルドから電話が入ったようだ。


 また厄介事じゃないだろうかと思っていると、警視総監が先ほどの件で謝罪したいとの申し出らしい。



「へえ~ 予想外ね?」


「そうですね。僕もまさか、謝罪されるとは思ってませんでした」


「僕は警察との全面戦争になるかと思ったよ?」


「物騒な事言わないでよツドイ、いくらヨウ君でもそんな事しないわよ、しないわよね?」


「微妙に僕の事を信じてませんよね?」


「んふふ、気のせいよ♪」


「たぶん、本郷社長が手を回してくれたと思いますよ?」×リッカ


「フフ、おそらくそうでしょう。流石、本郷社長ですね警視総監を説得してくれたのですから」


「なるほど。何て言ってきてるんです?」


「はい、大阪梅田ギルドまで来られるそうです」


「うはー、中々誠意を感じますね~」


「そりゃー、大勢の警官が病院送りにされたんだから、大事になってるわよ?」


「なるほど。でも、大阪まで来て貰うのも悪いですね。僕が警視総監のとこまで行きますって伝えて下さい」


「今度は、警察本部に突撃かな?」


「違いますー、平和的な話し合いですからね?」


「ククッ! このまま向かう? それとも食事が先かな?」


「もちろん。食事が先ですよ?」


「あはははは♪」×全員



 僕達は全員で食事を取った後、警視総監に会いに行くことにした。


 リラさんが電話で事情を伝えると、快く快諾してくれたそうだ。


 まあ、どうせ東京にいたし、厄介事の後始末と思えば良いかなと、軽い気持ちなんだけどね。


 何時もの様にツドイさんの車で向かうと、近かったのか直ぐに着いたようだ。


 車を下りると凄く大きな建物だ。流石に警察本部だなと変に感心してしまった。


 そして、当然の如く<威圧>スキルを開放した。まあ一般人に影響が出ない程度にだけど。


 幸い、建物内には警察官しか居ない様なので、少しだけ<威圧>のレベルを上げておいた。


 アヤメさん達も何も言わなかったので、許容範囲内なのだろう。


 それでも僕が入口から建物内に入ると、その場に居た警察官達は一斉に僕の方に振り返った。


 そう言えば、今から会いに行くと伝えたけど、こんなに早く来るとは思わなかったのかもしれない。


 そんな注目は気にせず、スタスタと受付のような場所に歩を進めると、婦警さん達は怯えているようだったので、優しく声を掛ける事にした。



「あの~ 僕、三日月陽って言うんですけど、警視総監さんは居ますか?」


「は、はい、SSランクの三日月様ですね?」


「そうです。御存知だったんですか?」



 僕は婦警さんに笑顔で問い掛けると、引き攣っていたが笑顔を返してくれた。



「も、もちろんです、とっても可愛いと思ってました」


「あはは、ありがとうございます」


「しばらく、お待ちください」


「どもども」



 婦警さんは振るえる手で内線を取り、どこかに連絡を取っていた。


 電話越しの相手もかなり慌てているのか、大きな声なので僕達にまで聞こえてくる。


 よく見ると、婦警さんは大量の汗を掻いていたので、少しサービスして上げる事にした。


 僕はポケットからハンカチを取り出し、<念動力>スキルで婦警さんの汗を拭いて上げた。



「あ、ありがとうございます・・・えっ! ええっ?」


「いえいえ♪」



 婦警さんは宙に浮いているハンカチが余程不思議だったのか、固まったままの状態で汗を拭かれている。



「な、なんで・・・」



 汗を拭き終わると分かり易くするために、指を動かし僕の手の上にハンカチを呼び戻す。



「暑いのかな? 汗が止まってなさそうですね?」


「んふふ、私もサービスしよっか?」


「そうですね。<クリーン>なら手加減しなくても良いですよ?」


「あはは、悪いんだから、ヨウ君は」



 アヤメさんは右手に大量の魔力を集めていったため、眩しいまでの光に部屋中が包まれていく。



「あわわ! い、一体何を・・・」


「<クリーン>!!!!!!!」



 アヤメさんが解き放った<クリーン>の光は、大きな警察本部を全て呑み込んだ。


 やがて<クリーン>の光が消える頃、人だけではなく建物の全てが光り輝く程綺麗になっていた。



「うわ~ アヤメさんの魔法は、<クリーン>でも怖いですね」×リッカ


「攻撃魔法なら半径数キロは吹き飛んでただろ? おっとろしー」×アズサ


「ひぇ~ さっすが。ギルドの魔女ですね~」×マイ


「あら~ 貴女達、遊んで欲しいのかな?」


「「「イイッ!」」」


「や、やだな~ 冗談ですよアヤメさん?」


「そうです、冗談ですサー」


「私は唯、流石だな~って、あはは」


「「「なむ~♪」」」×キョウコ・シノブ・ナナエ


「こ、こら~ 薄情者~」


「口は災いの元って言うでしょ?」×シノブ


「んふふ、連帯責任かな~」


「「「ええ~~~」」」


「私達まで巻き込まないでよ~」×キョウコ


「死ぬときは一緒だろ?」×アズサ


「僕も参加しよっと」×ツドイ


「ツドイさんには、何も言ってないのに~」×リッカ



 僕達が勝手にギャーギャー騒いでいると、どうやら警視総監の部屋まで案内してくれる人が来たようだ。




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