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第298話 やっぱり守るべき者があると男は変わりますね


 <マイク視点>


 今日も絶好調だったな~ また<追加防御>と<状態異常耐性>スキルオーブが手に入っちゃった。


 SPオーブも結構ドロップしたから、僕もそこそこ強くなってきたかな~


 さて、ギルドに行ってパティさんに謝らなきゃね。


 僕は少し緊張しながらギルドでパティさんを探すと、今日も受付で働いているパティさんを見つけた。


 今日も綺麗だなパティさん♪ あんな綺麗な女性と昨日食事しちゃったんだな。


 今度は一緒にダンジョンにも行ってくれるなんて、楽しみでしょうがない。


 おっと、今はそんな事より全力で謝らなきゃ。


 パティさんは受付嬢の中でも人気者だから並んでいる冒険者も多いけど、僕も一番後ろに並んじゃおう。


 結構な時間を費やして、ようやく僕の番が回ってきた。



「お疲れさまでした。マイク様」


「ありがとうございます。素材の買い取りをお願いします」


「畏まりました。では、此方へどうぞ」



 僕は何時もアイテムポーチから素材を出しているので個室へ案内してくれる。


 僕の後ろに並んでいる人には悪いけど、トテトテとパティさんに付いて行く。


 個室に入ると直ぐに昨日の事を謝る事にした。



「あの、昨日は僕寝ちゃって、すみませんでした」


「良いのよ。私も初めてのお酒だって分かってたのに、飲ませすぎちゃったわ」


「それと、家まで送って貰ってすみませんでした。


あっ! タクシー代は僕が払います、ああっ! ひょっとして食事代も払ってくれました?」


「そんな事、気にしなくても良いから♪」


「あぅぅ! 色々とすみませんです」


「うふふ、次は奢ってくれたら良いじゃない?」


「はい、次は是非奢らせて下さい」


「でも、その前にダンジョンデートだね?」


「本当に、ダンジョンに付いて来て貰っても良いんですか?」


「もちろんよ。今から装備とか武器とか色々と考えてるんだからね?」


「買う時は僕も付いて行きます」


「じゃ今日、仕事が終わったら、お願いしちゃおうかな?」


「はい、喜んで」


「終わったら連絡するから待っててね」


「はい」



 思いもよらず、今日もパティさんと行動できることに有頂天になり、そのままギルドを出そうになってしまった。



「そうだ。納品があったんだ」


「うふふ、そのために個室に来たんでしょ?」


「あはは、そうでした」



 僕は、今日の素材をテーブルに出していく。



「ちょ、ちょっと待って、マイク君。スキルオーブとか魔法スクロールまであるんだけど?」


「はい、今までは売らずに持ってたんですけど、ヨウ君が余ったスキルは売って良いよって言ってたから売ることにしました。


でも、パティさんに渡す分は、ちゃんとストックしてますからね?」


「本当に凄いドロップ運ね、以前からそうだったの?」


「いえ、そんなことないんですけど、すみません。それはパティさんにも言えないんです」


「・・・なるほどね、分かったわ。詮索してごめんなさい」


「いえいえ、言えない事は言えないって言いますから、何でも聞いて下さい」


「分かったわ。オーブ系はオークションに掛けるから、マイルズ部長を呼んでくるわね」


「はい」



 僕はマイルズ部長みたいに偉い人にも頭を下げてお礼を言われ、恐縮しっぱなしになった。


 パティさんと買い物に行けるかと思うと、待ち時間も楽しく過ごせた。


 時間通りにパティさんが来てくれ、一緒にダンジョン専用の武器防具店に行くとパティさんも楽しそうだった。


 武器防具と言えど、やはり女性は買い物が好きなようだ。


 パティさんは魔物に攻撃できるか不安らしく、店員さんの勧めもあり、リーチのある槍に決めたみたいだ。


 アヤメさんみたいに魔法主体でも良いと思うんだけど、練習が必要だから最初はこれで良いと思う。


 防具は僕が見ても中々格好良い装備があり、試着してから見せて貰うと何処から見ても冒険者らしくて似合っている。



「すっごく、似合っていますよ?」


「うふふ、ありがとう♪ でも、まさか、私がダンジョンに行くことになるなんて、人生って分からないものね」


「そこは少し申し訳ないんですけど、僕はとっても嬉しいです」


「うふふ、私もちょっと、楽しみだったりして。


あっそうそう。言い忘れてたけど、私明日休みなんだよね。


装備も揃ったしさ早速、明日行っちゃう?」


「はい、とっても楽しみです。今日、眠れるか心配になってきました」


「うふふ、じゃ、今日も少し飲んじゃう?」


「良いんですか、やたーーー!」


「ちょっと待って、会計だけ済ませて来るわ」


「大丈夫です! 会計は、もう済ませてありますから」


「そんな悪いわ、結構良い値段したのに?」


「いえいえ、僕の為に付き合ってくれるんですから、せめてこれぐらいはさせて下さい」


「もう、結構高いのに?」


「これでも僕、結構稼いでるんですよ?」


「うふふ、知ってるけどね♪ じゃ、お言葉に甘えちゃうね?」


「はい」



 それから僕は、事前に調べておいた個室のある居酒屋さんに行くことにした。



「へえ~ おしゃれなお店ね?」


「結構人気がありそうだったんですけど、僕も初めてだから評判だよりなんです」


「ちゃんと調べといてくれたんだ。ありがとね、マイク君」


「いえいえ」



 パティさんには言えなかったけど、カップルに人気があるお店なので、個室も中々お洒落だった。


 僕は前と同じようにビールを頼み、料理を楽しみながらスキルを習得してからの事をパティさんに説明していった。


 僕なんかの話しをパティさんは真剣に聞いてくれ、感心してくれるので僕も凄く気分が良かった。



「なるほどね~ スキルの種類は知ってるけど、使い熟すためには訓練しないとなんだね」


「はい、後は慣れですね。<敏捷強化>スキルなんて壁に突っ込んでいきそうになりましたから」


「あはは、そうなるんだ~」


「でも、本当に高額なスキルオーブを私に使うつもりなの?」


「出来たらお願いしたいです。スキルがあれば危険度がグッと下がりますから」


「も~ 分かったわ。遠慮ばっかして、マイク君に負担を掛けちゃ駄目だもんね。でも、本当に高額だから躊躇いがあるんだよ?」


「そこは、ダンジョンに付き合って貰う、お礼だと思って下さい」


「たったそれだけで、大きすぎるお礼だと思うんだけど、これ以上言っても仕方ないわね」


「ありがとうございます。じゃ、早速出していきますね」



 僕はスキルオーブを1つ1つ説明しながら、パティさんに習得していって貰った。



「ま、待ってマイク君。まだあるの?」


「はい、まだまだありますよ。魔法スクロールもありますし?」


「うはー、これはとても恩返しできそうにないわね・・・」


「あはは、一緒にダンジョンに行ってくれるだけで十分ですよ」


「そんな訳ないのに~ あっ、マイク君。お酒はもう駄目よ?」


「あれっ? もうですか?」


「また、私に家まで送って貰いたいのかな?」


「止めときます!」


「うふふ、素直でよろしい」


「それにしても、明日はスキルとか魔法の練習が大変だわ」


「あはは、きっと楽しいですよ?」


「実は、ちょっと楽しみだったりして♪」



 パティさんに一通りのスキルと魔法を習得して貰い、今日は早めに帰る事にした。


 明日が楽しみでしょうがない♪


 翌日になり、かなり早めに家を出る事にし、笑顔でパティさんと待ち合わせをしている初級ダンジョンへ向かった。


 ニコニコしながらパティさんを待っていると、約束の時間前なのにパティさんが来てくれた。



「おはようマイク君。早いわね~ 待たせちゃった?」


「いえいえ、我慢出来なくて早めに来ちゃいました」


「うふふ、そんなに楽しみなの? 何時もダンジョンに来てるのに?」


「普通に誰かとダンジョン探索に行くのは、初めてですからね」


「そっかー、今日は楽しい1日にしよーね」


「はい」



 僕はパティさんと一緒に初級ダンジョンに入ると、地下1階にいるスライムで戦闘に慣れる事にした。



「よーし、じゃ戦ってみるね」


「あっ! <追加防御>スキルは使ってます?」


「忘れてた~」


「あはは、スライムは体当たりしか、してこないから躱せるとは思うんですけど念のためにです」


「了解です。マイク先生」


「せ、先生は照れますよー」


「うふふ、えっと<追加防御>! これで良いのかな?」


「ばっちりです!」


「じゃ、改めて行っちゃうね~ やっ!」



 パティさんは遠い間合いからスライムに槍で攻撃すると、見事にスライムの中心に命中し倒す事ができた。



「スライムなら剣で倒した事があるんだけど、槍の方が楽ね」


「でも、複数相手なら剣の方がやり易いかもですよ?」


「そうね、頑張って練習するわ」


「はい」



 パティさんは運動神経が良いのか、次々とスライムを倒していった。


 スライムを3体相手にしても、体当たりを余裕で回避し、倒し切っているのを見て感心した。



「お見事ですー」


「ありがと。<身体強化>スキルのお陰かな~ すっごく動きやすいの。ちょっと慣れてきたから一緒にやろっか」


「はい、他のスキルとか、魔法の練習もしていかないとですね」


「分かったわ」



 パティさんは初めて使うスキルに翻弄されていたが、やはり運動神経が良いのかコツを掴むのが早い。



「わわっ! 凄いわね~<敏捷強化>スキルって吃驚しちゃった」


「でも、上手に使いこなしてましたよ。<敏捷強化>スキルは攻撃にも逃走にも便利なスキルですから」


「やっぱり、スキルの効果って凄いわね~」


「僕もそう思います」



 スライムの様な弱い魔物でも、パティさんと一緒に戦闘していると、とっても楽しく次々と倒していくと、今日初めてのSPオーブをドロップした。



「SPオーブ? ここって初級ダンジョンなのに・・・」


「今日1つ目のSPオーブゲットです」


「ちょ、ちょっと待って、ここ初級ダンジョンだよ? まさか何時もドロップしてるの?」


「そうですね。初級ダンジョンなら1階層で3~5つはドロップするかな?」


「ええっ! それって、凄い事よ?」


「えっと・・・僕もそう思います」


「ご、ごめんね、驚き過ぎて思わず聞いちゃった」


「僕の方こそごめんなさい。さあ習得しちゃって下さい。最初はINTが良いかもですね、MPが増えますから」


「・・・SPオーブもメッチャ高いんだけど?」


「スキルや魔法よりは安いでしょ?」


「あ~ マイク君といると、常識が変わりそうだわ」


「ヨウ君といると、常識なんて木端微塵になりますよ?」


「三日月様は別格だけど、マイク君も十分おかしいからね?」


「えー、僕は普通ですよー」


「ちょっとは、自覚しないと駄目よ?」


「そんなー」



 階層を進むにつれてSPオーブがポンポンドロップし、たまにスキルオーブがドロップすると、パティさんからジト目を向けられるようになってきた。



「ぼ、僕が変なのは認めますから、ジト目は止めて下さい」


「呆れちゃうぐらい凄いドロップ率ね。ところで、さっきから私ばかり習得してるんだけど?」


「僕はステータスオール70ぐらいですから、揃えといた方が良いかなと?」


「ええっ! マイク君って、そんなに強かったの?」


「僕なんて、まだまだ弱っちいですよー」


「普通それだけステータスが高ければ、自慢しちゃうんだけど?」


「これぐらいで自慢なんて出来ませんよ」


「そんなことないんだけど・・・三日月様の友達を舐めてたわ。まさか、私もそんなにステータスを上げる気なんじゃないでしょうね?」


「とりあえず、2人でカンスト目指しましょうか」


「うわー、私これから普通でいられるかしら・・・」


「ヨウ君達に比べたら全然普通ですよ?」


「それはそうね」



 なんやかんや言いながらパティさんは、目に見えて強くなっていく。


 魔法は僕も習得したばかりだから、一緒に練習して徐々に上手くなっていき、初めてゴブリンと戦闘することになった。


 一応人型なので最初は近接攻撃じゃなく、魔法で倒すことにしたようだ。


 まだ不慣れなので、少し近づいてから魔法を放ったが、先にゴブリンに気付かれたようで回避されてしまった。


 迂闊に近づいてしまったため、ゴブリンの反撃に対処が遅れる。



「きゃああああああ!!!」



 バシュ! ドサッ!



「大丈夫ですか?」


「えっ! た、倒してくれたの?」


「もちろんです。パティさんは僕が守りますから」


「マ、マイク君♪」


「わわっ!」



 パティさんは結構怖かったのか、安心した瞬間に僕に抱き付いてくれた。


 パティさんの方が僕よりかなり身長が高いので、ハグされるとパティさんの胸に顔を埋めることになる。


 パティさんに僕の汗が付かないか心配しながらも、柔らかい感触と良い匂いに頭がクラクラしてきた。



「マイク君。強ーい! 頼りになる~」


「あわわ! そんなに褒められると、照れちゃいますから」


「ステータスにも驚いたけど、実際に見ると本当に強いのが分かるわ。あんなに簡単にゴブリンを倒しちゃうなんて」


「ゴブリンはまだ、全然弱い魔物ですから、自慢なんて出来ませんよ」


「そんな事ないわマイク君。凄く格好良かった、素敵よ?」


「ほ、誉め過ぎですからー」



 僕はパティさんみたいな綺麗な女性に抱き着かれながら、褒めちぎられ耳まで赤くなっているのが自分でも分かった。


 心を落ち着かせるのに、かなり時間を要したが僕は褒められて伸びるタイプだったのか、今日は何時もより体のキレが良い。


 <気配感知>スキルと同時に魔物の魔力も読み、カウンターで魔物を仕留めていく。


 ああ、本当に今日は調子が良い。魔物の動きが手に取る様に分かる。


 これなら、複数体の魔物が相手でも対処できそうだ。



「き、綺麗・・・まるで魔物の方から、マイク君の剣に斬られに行ってるみたい。


私が思っていたより、ずっと凄い人だったんだね。マイク君は」


「も、もう、そこら辺で許して下さいー」


「照れなくて良いのに? 貴方は本当に凄い人だよ」


「僕の事を、そんなに褒めてくれた人は居なかったから・・・ぐすっ!」


「えっ! やだっ! 本当に凄いんだって。もっと、自信を持って良いんだよ?」


「ありがとうございます」


「よしよし♪」



 パティさんは、また僕を抱き締めてくれ頭を撫でてくれた。


 もう僕は、パティさんが居ないと生きていけないかもしれない。


 僕が落ち着いてから、また探索を再開したが、ゴブリン戦も何度か繰り返すうちに問題なく魔法で倒すことができた。


 僕も一緒に魔法の練習をしていたので、複数体の魔物相手でも魔法で先制攻撃をしてから数を減らすようにし、安定して狩れるようになった。



「やったねー」


「僕より魔法を使うのが上手いですね」


「そんな事ないよ。でも、ちょっとだけ慣れてきたかな? 魔法って気持ち良いよね。調子に乗ってると直ぐにMPが無くなっちゃうけど」


「INTを上げていくとドンドン増えますから、そのうちMP切れの心配もなくなりますよ」


「でも、平均して上げていくのが良いんだよね?」


「はい、ヨウ君がその方が良いって言ってました。少しずつ身体を慣らしていかないとだそうです」


「ふむふむ、流石にSSランクからの助言は、信頼度抜群だからね」


「はい、とても同い年には見えませんから」


「何度考えても凄い人ね、本物の天才なんだろうね。マイク君は、普通の天才かな?」


「あはは、普通の天才って矛盾してますね。僕は唯の凡人ですよ?」


「うふふ、謙虚さんだー♪」


「本当に凡人ですからー」




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