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第28話 ロシアからのお客さん?


 どれぐらい有用なのか、ちょっと試したくなり二人の前に立って<気配遮断>と<隠蔽>を発動してみた。



「えっ? ヨウ様! 嘘でしょ? 消えた?」


「ヨウ様!」


「はい♪」



 僕は思った以上に二人が焦り出したので、直ぐに姿を現す事にした。



「驚きました、それが<隠蔽>の効果ですか?」


「一応<気配遮断>と<隠蔽>を同時発動してみました。どうでした?」


「目の前に居たのに、突然消えたように見えたんですよ?」


「少し焦りました、凄い効果ですね」


「そんなにですか、これは使えそうですね。悪戯にも?」


「・・・ヨウ様」


「ジョウダンデスヨ・・・」


「フフ~♪ 覗きなら隠れなくても良いですよ?」


「えっ?」


「私達になら良いですけど・・・」


「ええっ?」


「さ、さあ、そろそろ進みましょう」


「は、はい」



 何かとんでもない免罪符を貰ったような気もしたけど、気のせいかな・・・


 まあ、有用なスキルなのは間違いないので、これも集めちゃおう。


 サクサクと選別しながら魔物を倒していくと、幾つかの果物も見つけたので、ついでに採集もしていく。


 地下13階は林の中で、普通の木に擬態したトレントと言う魔物がいた。


 おそらく、発見し辛いので近づいたら強襲されるのだろう。


 しかし、僕達は<気配感知>を持っているので、先制攻撃でサクサクと倒して行く。


 僕でも<気配感知>を覚えて無かったら、肉眼では見分けが付かないと思う。


 そう考えると此処は、かなり厄介な階層だろう。


 二人も刀を振るい、スパスパとトレントを倒して行くので頼もしい限りだ。


 トレントがドロップしたスキルオーブは<魔力感知>のスキルだった。


 感知系のスキルはかなり便利なので、良い物が手に入ったなとニヤニヤしてしまう。


 しかし、流石にトレントを何度も斬ったせいか二人の刀も傷んできたらしく、そろそろ帰る事にした。


 結構進んできたので、地下14階に下りて転送クリスタルで帰る事にした。


 無事に下へ下りる階段を見つけたので地下14階に下り、探索は明日に回して転送クリスタルで入口へ戻る。


 帰りは武器屋さんに寄って貰い二人の刀を研いで貰いに行く、欠けたりしていないので時間は掛らないそうだ。


 大人しく武器屋さんで刀を研ぎ終わるのを待っていると、久しぶりに守護さん達に出会った。



「三日月はん、久しぶりやな~」


「こんばんわ。守護さん達も元気そうで何よりです」


「あの、以前は助けて頂いてありがとうございました」


「いえいえ、あの後ポーションも返して貰ったし全然問題ないですよ」


「ところで三日月はん、後ろのごっつい美人のお姉さん達は誰なん?」


「紹介しますね。僕のパーティメンバーのリラさんと、ノノさんです」


「リラと申します。宜しくお願いします」


「ノノです。宜しくお願いします」


「守護って言います。ウチ等は三日月はんの同期で、仲ようさせて貰ってます」


「しっかし、えらいベッピンさん捕まえたもんやな? それも、えらく強そうやし」


「あはは、そうですね♪ いつも助かってます」


「そういえば、色々と装備が新しくなってますね?」


「それは三日月はんもやないか? 


 此処だけの話やけどウチ等もあれからSPオーブ出てな、オークションに出したら1500万円で売れたんや」


「お~! 相場より随分高く売れたんですね」


「そや、ウハウハやで♪ それで皆の装備新調したんや」


「皆もう、どこから見ても冒険者ですね♪ 恰好良いですよ」



 僕が守護さん達の装備を褒めると、心なしか皆嬉しそうにしていた。


 装備を新調した事が余程嬉しかったんだろう。



「三日月はんも、よう似合っとるで」


「ありがとう。皆さんはもう中級ダンジョンへ行ってるんですか?」


「そやで、でもオーブはやっぱ厳しいな~。まあ素材だけでも儲かっとるんやけどな」


「三日月さんは、どこのダンジョンへ潜ってるのですか?」


「僕は魔法スクロール狙いで、少し遠いのですが人気の無い西区北堀江中級ダンジョンへ潜ってます」


「そうなんですか、人気の無い所でしたら素材が安いでしょ? 中々ギャンブラーですね」


「そうなりますね。でも、ボチボチやってますよ」


「あっ、研ぎ終わったみたいですね。じゃ、僕達は帰りますね。皆さん頑張って下さい」


「三日月はんも頑張ってな」



 僕達は守護さん達と別れ店を後にした。



「しっかし、やるもんやな~」


「実は凄いお金持ちなのかも?」


「そうよね~、あの美人のお姉さん達って護衛みたいだったものね」


「そういえば、そうやなSPオーブ持ってたし、そうかもしれへんな」


「マユは残念やけど、諦めた方が良いかもな~」


「も~、そんなんじゃないってば」


「「「あはは」」」



       ◇     ◇     ◇



 翌日、僕達はまた同じ西区北堀江中級ダンジョンへ向かった。


 未だに建物に入ると皆が避けて行くが、もう気にしない事にした。


 何階から始めようか迷ったけど、回復系魔法スクロールが欲しかったので、地下5階から始める事にした。


 地下5階に下りて、しばらく歩いていると<気配感知>に一人の冒険者が居る事に気付いた。


 人気の無い、このダンジョンで珍しいなと思っていると、僕達と一定距離を保ちながら着いてきている。


 しばらく、魔物と戦わずに様子を見ていると、どうやら尾行されているのは間違いなさそうだ。



「ヨウ様、どうされますか?」


「う~ん、どうやって僕を探り当てたのか分かりませんけど、尾行されてちゃ魔物も狩れないしね」


「おそらく、上級ダンジョンで手掛かりが掴めないので中級ダンジョンに探りに来ているのでしょう。この間の騒ぎで私達に目星を付けたのかと思われます」


「なるほど、仕方ないですね僕達を尾行してるなら、お茶にでも招待しましょうか」


「フフ、それは良い考えですね、私達が<鑑定>スキルの出品者だと確信している訳ではないでしょうから、誤魔化すのは簡単かと」


「面白そうです♪」


「じゃ、招待して惚けまくりますね」



 僕達は昼食用の折り畳みテーブルを取り出し椅子も2つ用意して、僕が座り二人は僕の左右に護衛のように立ち、コーヒーを2杯淹れてくれた。


 尾行者の方向へ向けて座っているので、招待していることが分かってくれるとは思うんだけど。



「中々此方へ来てくれませんね?」


「もう少し待って見ましょうか」



       ◇     ◇     ◇

 <尾行者視点>


 ・・・どういう事? まさか尾行しているのがバレたの? そんな筈ないわ。


 だって500メートルは離れているし、姿は見せていない筈。


 でも、明らかに此方を向いて椅子まで用意してるなんて・・・


 空席にコーヒーまで、もしこの距離で尾行がバレたんなら危険な相手だわ。


 引き返すべきか・・・今なら逃げれる。もし、当たりを引いちゃったなら報告しないと・・・


 でも、これだけで当たりとは限らないし判断の難しいところね。


 どちらにしろ、出て行く訳にはいかないわね。もう少し様子を見てから判断しても遅くない筈・・・



       ◇     ◇     ◇

 <ヨウ視点>


「う~ん、招待には乗ってくれない様ですね」


「では、私達で迎えに行って参ります」


「フフ~、行ってきます」


「ノノさんが危険を感じないなら大丈夫だとは思うのですが、十分注意して下さいね」


「「はい」」



 二人は<気配遮断>を使ったようだ。気配が希薄になった、同時に<敏捷強化>まで、中々使いこなしてるな~


◇    ◇    ◇    ◇    ◇


 <尾行者視点>


「誰かは存じ上げませんが、初めまして」



 なっ! い、何時の間に・・・


 気配すら感じさせずに背後を取られるなんて・・・


 しまった、判断を誤ったか。この距離を一瞬で詰めるなんて・・・


 もう逃げれそうも・・・ないか。



「私達の主人が貴女にお会いしたいそうなのですが、お茶でも如何ですか?」


「わ、私に何の用ですか?」


「貴方が尾行していたのは存じております、下手な言い訳はお勧め出来ませんよ?」


「どうぞ、このままお進み下さい」


「・・・分かったわ」



 此処までか・・・生きては帰れないだろうな・・・


 まさか、こんな場所で当たりを引くなんて運が良いのか悪いのか。


 しかも、この二人とんでもなく強い・・・


 まさか、この私が逃げる事さえ出来ないなんて。


 ふぅ・・・流石に足取りが重くなるな、死にに行くみたいなものだからな。


 しかし、遠すぎて余り分からなかったが、こんな少年が<鑑定>スキルをオークションへ掛けた者なのか?


 これは見た目では分かる訳がないわ、各国の奴らも彼に辿り着けないのも仕方ないわね。



「初めまして名乗るのは勘弁して下さいね、どうぞお掛け下さい」


「・・・私をどうする気だ?」


「まあ、そんなに焦らずに。どうぞ、お掛け下さい」


「分かった」


「コーヒーを淹れなおしましょう」


「ありがとね」


「では、少し聞きたいのですが、何故僕達を尾行してたんですか?」


「・・・・・・・」


「正直に話した方が賢明かと」


「・・・オークションに<鑑定>スキルを出品した者を探しているからだ、分かってるんだろう?」


「何の事だか分からないのですが、その人を見つけたら拉致でもするつもりですか?」


「ち、違うそれは誤解だ。我々は交渉しに来ただけだ、危害を加えるつもりは毛頭ない」


「なるほど。では、貴女はその出品者と間違えて僕達を尾行したと言う事ですね?」


「・・・あくまでも違うと?」


「本当に何の事か分かりませんが、ちなみに交渉とはどんな交渉なんですか?」


「フフ、違うなら交渉事なんて聞く必要がないだろう?」


「そうですね。では、此処でお別れしましょうか」



 クッ・・・殺す判断が早すぎる、洗い浚い喋るしかないか・・・



「待て、待ってくれ、分かったから殺さないでくれ」×ロシア語


「殺すなんて物騒ですね?」×ロシア語


「ロ、ロシア語まで話せるのか」×ロシア語


「焦って母国語が出てましたよ? 母国語でも言動にはご注意下さいませ、それと会話は日本語でお願い致します」


「・・・分かった。我々はスカウトしにきたのだ、日本でどれぐらいの優遇をして貰っているか知らないが、我が国へ来てくれたら、それ以上の優遇を約束しよう」


「なるほど、その出品者にそれを伝えに来たんですね」


「ほ、本当だ。信じて欲しい・・・」


「でも、僕がもし出品者ならですよ?


とてもじゃないけど、そんな話し信じられませんね、面識もない人にそんな話をしても警戒されるのがオチだと思いますよ?


<鑑定>スキルの重要性は僕にも分かりますが、それだけに相手がどんな手に出てくるか分からないと思ってる筈です。


貴女が今、身の危険を感じているのも、事の重大さが理解出来ているからでしょう?」


「それは勿論だと思う、なら交渉の機会だけでも頂きたい」


「う~ん・・・<鑑定>スキルを落札出来なかったんですよね? 5000億円を出せなかったのに、どんな好条件を出すつもりなんですか?」


「そ、それは・・・」


「僕は最低でも、交渉の価値があると思える条件を言って上げないと無理だと思いますよ?


でも、僕達としては勘違いで尾行されてたと分かって良かったです。関係のない僕達の事は忘れて頂けますよね?」


「ヒッ!」



 な、何だ? 膝が振るえる・・・怖い! こ、この少年が怖い・・・


 に、逃げないと・・・駄目だ、足が動かない。



「わ、分かった。私は誰にも会ってない。忘れる」


「ありがとうございます、では僕達は行きますね。もう、尾行はしないで下さいね魔物と間違えるといけないので」



 少年は、それだけを言い終わると、恐ろしいまでの殺気も霧散するように消えていた。


 ヒュー、ヒュー、ハアハアハア・・・た、助かったのか?


 どこにも居ない・・・また、あの一瞬で消えたと言うのか・・・


 駄目だ、奴には絶対に近づいちゃいけない。


 あんな化物が存在するのか・・・寿命が一気に縮んだ思いだ。


 まだ、汗が止まらない・・・早く此処を離れないと、今魔物に襲われるのは拙い。



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たまたま鑑定スキルのオーブを手に入れた人を、どうこうしても仕方がないと思うのだが。 常識的に考えて、同じ人物がもう一個超珍しい鑑定スキルのオーブを持っているなどと、考えたりする方が頭がおかしい。(実際…
う~んスカウトに来る意味が分からん。 国に連れ帰って5000億ぶんどる、とか? 再現性がある事がバレたんでも無い限り、主人公は単に鑑定スキルのオーヴを偶々ドロップしただけのラッキーボーイにしか見えない…
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