第272話 初めての弟子になるのかな
評価やブックマーク等、応援して下さった全ての方、ありがとうございます。
僕は愛用の短剣を両手に持ち、水属性の魔法剣を作り出す。
すると、アダマンタイト製の短剣は、青い光が広がり幻想的な美しさになる。
「な、なんだよそりゃ?」
「魔法剣ってやつですよ?」
「ハハ、メチャクチャ綺麗だな?」
「褒められると嬉しいですね♪」
武蔵さんは軽口を叩きながらも、額には大量の汗を掻いている。
どうやら、僕に対して危機感を持っているのだろう。危険察知能力は悪くない。
「では、殺しに行きますから、死なない様に防いで下さいね?」
「くそう! やっぱりそうなるのかよ」
「・・・意外ですね。何か言いたい事は無いんですか?」
「正直、こういう展開を予想しなかった訳じゃねえ・・・
三日月が何がしてえのか、何が目的なのか分からねえけどな。
俺がどう足掻いても、勝てねえ強者だってのも分かってる。
だが、俺は死ぬわけにはいかねえ。どんなにみっともなくても生き残ってやる。
さあ、来いよ!」
「やっぱり、良いですね。武蔵さんは♪ では!」
次の瞬間、僕は武蔵さんの背後から魔法剣を首にあてがった。
武蔵さんは死を理解したのか、大量の汗が吹き出しヒューヒューと呼吸音が聞こえてくる。
僕は魔法剣を解除し、短剣を<虚空界>へ収納した。
「ブハァー! こ、殺さないのか?」
「もちろんです! でも、絶対に死なないってのは嘘みたいですね?」
「全く見えない動きってなんなんだよ? 一体どんだけ強えんだ・・・お前と対峙して、生き残れる奴って居るのかよ?」
「ん~ そりゃ、何人かは居るんじゃないかな?」
「何人かだけかよ? 怖い奴だな・・・
なあ、お前って、人を殺したことがあるよな?」
「言ったでしょ? 質の悪い冒険者ってのも居るんですよ。まあ、冒険者じゃなくても悪い奴は居るんですけどね」
「お前が良い奴で良かったよ」
「僕は、どっちかと言うと悪い奴ですよ?」
「自己評価と他人の評価は違うんだよ? それにしても、なんかドッと疲れたな」
「あはは、大丈夫ですか?」
「お前が言うなよな? でっ? 何で、俺に親切にしてくれるんだ?」
「ん~ できたら余計な事は、したくなかったんですけどね」
「良く言うよ? 最初の1週間程、無色のクリスタルをバラまいてくれたのお前だろ?」
「ありゃ、バレバレでしたか?」
「普段の10倍以上落ちてたんだぞ? いくら俺が馬鹿でも分かるっつーの。宝箱も置いてくれたって事はねえよな?」
「はい。でも後3つもあるのに、全然見つけてくれないんですよね~」
「うはっ! そんなにあったのかよ? 分かんねえって」
「あはは、でも運は良いみたいですね、僕でも『不壊』が付与された武器なんて初めてみましたから」
「そっちかよ? 『重量軽減』じゃなくてか?」
「壊れないって凄い事なんですよ? ある程度のレベルになったら、ミスリルでもポキポキ折れますからね~」
「うはー、俺なんて想像もつかねえよ。
ところでよ。俺ってそんなに危なっかしいか?」
「はい、間違いなく。何かトラブルにあったら簡単に死んじゃいますね」
「ハ、ハッキリ、言いやがるな・・・」
「そこでですね~ 僕の弟子になりませんか?」
「な、なんでだよ? 俺が弟子になっても、お前にメリットなんてねえだろ?」
「ん~ なんか、人に頼らず頑張ってる人を見ると、応援したくなっちゃったんですよね。
でも、男として気概をみせて頑張ってる者に、易々と援助するのは違うかなって思ったんですよ。
だから、僕の弟子になって少し鍛えてみませんか?」
「そう言ってくれるのはありがてえが、俺は稼がないといけないんだよ? 俺の両親は、中学の時に交通事故で死んじまってよ。弟妹を養ってんだ。
「生命保険とか入ってなかったんですか?」
「入ってたさ? ちゃんと両親は、もしもの時のために保険に入っててくれたんだけどよ。
俺はまだ中学だったから、俺達の面倒をみてくれるって言う親戚を信じて、全部渡しちまったんだ。
そしたら、碌な世話もしてくれねえし、生活出来るだけのギリギリしか金をくれなくてよ。
今年になって両親が残してくれた家まで売ろうとしやがったからよ、その親戚とは縁を切ったんだけどな。
金を返せって言っても、もう無いって言いやがるしよ、そんな訳ねえっての。
仕方ねえから、俺が稼ぐしかないんだよ?」
「酷い話しですね・・・」
「まあ、俺も馬鹿だったんだけどな。
でもよー、お前の助けもあって、このまま順調に稼げたら弟妹達の学費も何とかなりそうなんだわ。
声掛けて貰って、わりいけどそう言う事なんだわ」
「じゃ、稼ぎながら鍛えましょうか。今よりは、ずっと稼げると思いますよ?」
「はあ? マジかよ。俺、これでも1日15万は稼いでるんだぞ?」
「心配なら1日最低15万は保証しますよ? 別に断っても良いんですけど、武蔵さんが死んだら、弟妹さん達は路頭に迷いますよね? そうなったら可哀想だな~」
「だから、縁起でもねえこと言うんじゃねえよ? 俺もちっとは危機感ぐらいあるんだよ」
「返事は、今じゃなくても良いですよ? 本当にこれから何事もなく、冒険者で稼いでいけると言う甘い考えをしてるなら、断ってくれても良いですし?」
「い、嫌な言い方しやがって・・・
これでも、無理なく安全第一として、慎重に冒険者で稼いでいくプランを立ててたんだ。
だが、お前にそう言われたら、甘い考えだってのも分かるよ・・・
同級生に絡まれたぐらいで太刀打ち出来ねえ俺が、質の悪い冒険者に絡まれたら終わりだよな・・・
くそう、お節介野郎め! こうなったら、一生感謝してやるからな?」
「あはは! じゃ、今日から僕は、武蔵さんのお師匠さんですね?」
「わあったよ! 師匠! これから宜しくお願いします。それと、俺の事は呼び捨てで良いって、師匠なんだろ?」
「分かりました。じゃ、武蔵って呼びますね~」
「うわ~ 返事しちゃったか~ 頑張ってね。武蔵君!」×ナギサ
「うわあああ! ど、どこから現れたんだよ?」
姿を消していたアヤメさん達が一斉に現れると、武蔵さんは凄く驚いていた。
「ん~ 生き残れるかな?」×ノノ
「フフ、ヨウ様が気に入った少年ですよ? おそらく大丈夫かと?」×リラ
「えっとね! 地獄の訓練になると思うけど、頑張るしかないわよ?」×アヤメ
「大丈夫だよ! 死んだら骨は拾って上げる!」×ツドイ
「・・・なあ? 強くなる前に死んだら、本末転倒なんだが?」
「皆、冗談が過ぎますよ? ちょっと誤解されてるじゃないですか?」
「「「「「誤解かな?」」」」」
「・・・遺書も用意しといた方が良いのか?」
「大丈夫ですから! 死んだりしませんからね?」
「そんな慌てなくても良いだろ? 俺だって温い訓練じゃねーって事ぐらい分かってるからよ」
「んふふ、根性ありそうじゃない?」×アヤメ
「しかし、以前会った時は綺麗な姉ちゃん達だな、って思っただけだけど、皆強そうだよな?」
「私達は皆、ヨウ君に鍛えられたんだよ」×ナギサ
「フフ、強く成らなければ、ヨウ様と同じパーティでは居られませんから」×リラ
「私達も頑張って強くなったんだよ」×ノノ
「僕達の弟弟子になるのかな?」×ツドイ
「皆さんは、弟子じゃないですよ? 女性の皆さんを弟子にするなんて、酷い事するわけ無いじゃ無いですか?」
「お、おい、ちょっと待て!」
「冗談ですよ?」
「あはははは♪」×アヤメ達
こうして、明日から僕は初めての弟子を取ることになり、クレセント本部に帰ってからプランを練ることにした。
「ふ~ん。そんなに紙に書きだして、本格的じゃない?」×アヤメ
「はい、ちょっと、今までとは違った訓練にしよっかなって思ってます」
「フフ、興味が湧きますね。お聞きしても宜しいですか?」×リラ
「良いですよ。えっと、簡単に言えば、極力自力で強く成って貰おうかなって思ってます」
「へえ~ <激運>スキルも渡さないって事かな?」×ノノ
「はい。自力でどこまで出来るか、効率的にサポートしたいと思います」
「面白そうじゃない。具体的に聞いても良いかな?」×ナギサ
「えとですね~ まずはスタミナポーションを飲んで貰って、中級ダンジョンのナイトウルフを狩りまくって貰います」
「僕、分かっちゃった! <気配感知>スキルの自力取得かな?」×ツドイ
「ツドイさん、正解!」
「うわ~ そんな事出来るの? 凄く低確率なんだよ?」×アヤメ
「普通ならそうなんでしょうけど、武蔵ってLUKが最初から50もあるんですよね」
「たっかー!」×アヤメ達
「でしょー? 皆さん知ってました? オーブやスクロール持ちの魔物はドロップしなかったら、エリアのどこかに直ぐ湧くんですよ。
だから、<気配感知>スキルを持っているナイトウルフを倒してドロップしなかったら、走って次の<気配感知>持ちを倒しに行く!」
「うはー、スキル持ち魔物マラソンするんだ?」×ノノ
「ですです。身体を鍛えながら効率的にスキルオーブも狙っちゃう、一石二鳥の良い案でしょ?」
「フフ、ヨウ様にしか出来ない方法ですね」×リラ
「僕、それでも中々ドロップしないと思うんだけど?」×ツドイ
「そこは、武蔵の頑張り次第になりますね~ まあ、最終手段も考えてますけど」
「んふふ、武蔵君の家にゴールドスライム置いちゃうとか?」×アヤメ
「あはは、分かっちゃいます?」
「<気配感知>スキルは兎も角、<幸運>スキル取りは厳しいと思うんですよね」
「なるほどね~ <幸運>スキルが取れたら、後がグッと楽になるわね」×ナギサ
「ですです。そこから本番なんですけどね。SPオーブ取りまくってステータスを上げつつ、有用なスキル巡りをして貰おうかと思ってます」
「<幸運>スキルって、確かアップルバードだよね? 武蔵君に倒せるかな?」
「<気配感知>を使いこなせれば大丈夫だと思います。一番大事な事なんで、徹底的に訓練して貰いますよー」
「あはは、私達も負けてられないわね」×アヤメ
「アヤメさん達も、良い訓練になると思いますよ?」
「えっ! どういうことかな?」×ナギサ
「一番最初にスキル持ち魔物を倒したら、次に湧いた魔物がスキル持ちなんですよ?」
「そっか! <気配感知>を駆使したら、私達でもスキル持ち魔物が分かるわね」×ノノ
「ですです。強く成ったら殲滅するだけで良いんですけど、それでも<気配感知>を駆使しないとですから」
「教えて貰うまで分からなかったけど、感知系スキルって重要だよね」×ツドイ
「はい、僕は数あるスキルの中でも、一番大事なスキルだと思ってます。皆さんも頑張って極めて下さい♪」
「ヨウ君は、もう極めちゃったの?」
「まさか? まだまだですよ?」
「ヨウ様でも、そんなに時間が掛かるなら、私なんて無理かもだよー」×ノノ
「何言ってるんですか? 感知系スキルの行きつく先は、ノノさんやコトエさんの直感かもしれませんよ?」
「そうなのかな?」
「そうかもしれないです♪」
「フフ、一番先に極めるのは、ノノかもしれませんね」×リラ
「僕も頑張ろっと。ヨウ君のお母様にも認めて貰わないとだしね」×ツドイ
「あ~~~」×全員
「母さんは、達人の領域ですからね。僕にも真似出来ませんよ?」
「うはーーー!」×全員
「私達も頑張らないとだね。よーし、やるぞ~♪」×アヤメ
「ヤー♪」×全員
明日からの武蔵訓練計画も大体決まったので、皆で夕食に行くことにした。
中国に帰っていたシュアンさん達も、今日<転移魔法>で日本へ連れてきた。
これからは、日中は中国のダンジョンへ行き、夕方からクレセント本部で過ごすそうだ。
ソフィアさん達やアリーシャさん達も同じ様な生活をしており、時差があるんだけど日本時間に合わせてくれている。
ダンジョンへは、24時間入れるから便利なんだよね。
でも、シュアンさん達は取って貰いたいスキルが幾つかあるから、しばらくは日本のダンジョンに潜って貰おうかな。
「ねーねー、ヨウ君さん?」×イーノォ
「あはは、ヨウ君で良いですよ?」
「じゃ、ヨウ君って呼ばせて貰うね?」
「はいはい」
「今日、ベッドに遊びに行っても良いかな?」
「ブッ!? イ、イーノォ?」×テユン
「え、ええっと・・・お待ちしてます?」
「やったー♪ 皆も一緒に行こうね~」
「あ、あはは、私はちゃんと説明したからね?」×テユン
「別に良いんじゃね? 早いか遅いかの違いだけだろ」×ソヒョン
「うふふ、そうね。では、私達も宜しくね。」×シュアン
「ひゃ~ 今日なんだ」×フィ
「あわわ!」×ソンイ
「あはは、なんか、凄く簡単に決まったね~」×ギュリ
「あ、あの、僕からも宜しくお願いします」
「にしし、今日は個室用意しとくね。頑張ってね~」×ナギサ
「こら~ 揶揄わないの。皆<超回復>スキルは習得してるよね?」×アヤメ
「は、はい?」×シュアン達
「それだけは、確認しとかないとだね」×ツドイ
「あ、あはは、意味を考えると怖いんですけど?」×シュアン
「フフ、大丈夫ですよ。ヨウ様を愛していれば耐えれますから♪」
「愛って偉大だよね~」×ノノ
「・・・・・・・・・・」×シュアン達
「さてと。じゃ、ヨウ君は早めに移動しといたら?」×アヤメ
「そですね。じゃ、行ってきます。シュアンさん達も行きましょうか」
「は、はい」×シュアン達
僕はシュアンさん達と一緒に、普段あまり使ってない個室へ移動した。
個室と言っても、かなり広い部屋で巨大なベッドが設置されてるんだけどね。
とりあえず、皆に落ち着いて貰おうと思い、ワインを用意した。
「これでも、どうです?」
「ありがとう。頂くわ」×シュアン
シュアンさん達は、ワインを堪能し少し落ち着いてきたようだ。
「ふぅ~ 美味しいワインだね~」×テユン
「やっぱり、緊張しちゃいます?」
「当たり前だろ? 心臓がバクバク言ってるぞ?」×ソヒョン
「あはは、お父さんとは、ちゃんと話せましたか?」
「ああ、ありがとな。キッチリケジメだけは付けて来たよ」
「お父さんに会いたくなったら何時でも言って下さいね。直ぐに拉致しますから?」
「あはは、全く怖いったらねえな? その気になったら世界征服出来るんじゃないか?」
「ブッ!? そんな事しませんよー! 言っときますけど、僕は平和主義者なんですよ?」
「そこは、疑ってないよ」
「でも、少し悲しかったんじゃないですか? これからは僕が支えになりますからね」
「このタイミングで、それを言うのは狡いぞ?」
ソヒョンさんは、やはり色々と思うところがあったのか、涙目になっていたので座りながら優しく抱きしめて上げた。
皆もソヒョンさんの気持ちを察しているのか、優しい目をしていた。
気持ちが落ち着く頃、ソヒョンさんに優しくキスをすると、少し驚いた様な表情になり、そのまま眠ってしまった。
「ありゃ! ちょっと、加減が足りなかったかな・・・」
「な、何をしたのかな?」×ギュリ
「キスですけど?」
「はは、何でソヒョンが気を失ったのか、聞いても良いかな?」×フィ
「ん~ 人って、痛みには耐えれても、快楽には耐えられないそうです」
「ははは、言ってる意味が分かんないんだけど?」×ソンイ
「何か僕に振れたら、すっごく気持ち良いみたいなんですよね?」
「私もキスする~♪」×イーノォ
「あはは、本当に綺麗になりましたね、イーノォさん」
「うふふ、ありがとー、チュ! くたっ」
「あれっ? そっか。イーノォさんは、特に刺激に弱かったんだった。頬にキスするべきだったかな・・・」
僕はソヒョンさんとイーノォさんをベッドに寝かしてからソファーに戻ると、残った皆は少し怯えていた。
「ん~ たぶん、直ぐに慣れますから大丈夫ですよ?」
「はは、未知なる恐怖を感じるのは、気のせいかな?」×シュアン
「直ぐに、未知じゃなくなりますから♪」
僕は残った皆とキスをし、全員ベッドに寝かしてから、ゆっくりと朝を迎えることにした。




