第271話 コツコツと努力してる者が最後には勝つんですよ
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<若宮武蔵視点>
フゥ~ 無色のクリスタルを集め出してから1週間か、吃驚するぐらい稼いでるよな。
これも、全部三日月のお陰だな、彼奴には感謝しかねえ。
それにしても、まさか無色のクリスタルが、エスケープクリスタルの材料なんて驚いたな。
誰もが放置してたのに、こんな発見するなんて三日月って凄え奴だ。
どおりで1つ1000円で、買い取ってくれるわけだよな。
昨日から大々的に売り出したせいか、今日は無色のクリスタルがあんまり落ちてねえな・・・
俺は三日月に教えて貰ったけど、形が一緒だから皆ストックしてんのかな?
受付嬢さんの話しじゃ、一般には無色のクリスタルの買い取りはしてねえらしいけど、これから買い取りする様になるんだろうな。
俺は三日月と個人契約してるから今もギルドが買い取ってくれるけど、ギルドにこんな事が頼めるって何者なんだろな。
まあ、メッチャお世話になってるし、何者でも良いんだけど。
さて、拾う事が出来ねえって事は、魔物を倒しまくって集めねえとな。
よーし、頑張るか。
俺は魔物を見つけては金属バットを振り回し、コツコツと無色のクリスタルを集めて行った。
フゥ~ やっぱり、拾い集めるより時間が掛かるな。
んっ? うおっ! あ、あった! 見つけた! 木の上の方に宝箱みたいな物がある。
三日月の言った通りだ、本当にあるのかよ♪
うはー、宝箱なんて見つけたの初めてだ。おっと、周りに人は居ねえな・・・
横取りされたら、たまったもんじゃねえ。早く取りに行かないと。
俺は何度もキョロキョロと周りを見渡し、絶対に人が居ない事を確認すると木に登り始めた。
宝箱は、背の高い木の上にある洞の中にある様だ、下からみたら少ししか見えなかったが、木の上に上るとハッキリと確認出来る。
太い木の枝に跨り、俺はワクワクしながら宝箱を開けると、中は黒い靄に包まれていた。
まるで、アイテムポーチの中みたいだ。
ってことは・・・俺は恐る恐る黒い靄に手を入れると、何か棒の様なものがある。
その棒をシッカリと握って引き出すと、とても長いて重かった。
全部取り出してみると、その棒はどうみても、俺の身長より長い鈍器の様な武器だった。
真っ黒で先端は菱形の様な形状をしており、とても格好良い。
うはー、凄え武器だな・・・
武器を取り出すと宝箱は消えてしまった。どうやら宝箱にはこの武器だけが入っていた様だ。
とても、その武器を持ちながら木上から下りれなかったので、一旦下に落として下りてから武器を手に取った。
試しに何度か素振りをしてみたが、重いが振れないと言うほどではなかった。
おかしいな、こんな重そうな武器が俺に振れる訳ないんだけど・・・
まあ、実際振れるんだから良いか。
よし! これからは、この武器で頑張ってみるか。
俺はその武器を、バトルスタッフと名付けた。
武器を金属バットからバトルスタッフに持ち替え、魔物との戦闘を繰り広げる。
重いから金属バットの様に速くは触れないが、その代わり攻撃力が跳ね上がった。
うはっ! ゴブリンが一撃かよ?
これなら、今まで逃げてたオークにも勝てるかもしれねえ。
俺は試しにと単独のオークを探しだし、奇襲攻撃をすることにした。
この長いバトルスタッフなら、オークの頭部にも届く筈だ。
何度か魔物を討伐していくと、ようやく単独のオークを発見した。
俺は慎重にオークに近づき、後ろから頭部にバトルスタッフを叩きつけた。
倒せなそうなら直ぐに逃げる準備をしてたにも関わらず、オークは一撃で膝を地面に付いた。
チャンスだと思い、もう一度バトルスタッフを振りかぶり頭部へバトルスタッフを叩きつけると、オークは光の粒子となって消えて行った。
や、やった、オークを倒した♪
運の良い事に、そこにはオークの牙がドロップしていた、確かこれは5000円で売れる筈だ。
よし、よし、とガッツポーズを取り、無色のクリスタル以外でもオークを倒せるなら稼げる。
俺は喜びに打ち震えながら、更に魔物を求めて頑張った。
腕の筋肉がプルプルと震え出した頃、そろそろ帰る時間になったので今日は探索を終わることにした。
フゥ~ 今日は頑張ったー、何時もより無色のクリスタルは集まらなかったけど、結構魔物素材を手に入れた。
俺は何時もの通りギルドへ行き、受付嬢さんに頼んで買い取りをして貰えるように頼んだ。
三日月の手配なのか、何時も個室で買い取りをしてくれるので、誰にも見られる事が無いのが助かる。
「あの、今日は魔物素材も一緒に買い取りして貰っても良いですか?」
「畏まりました。買い取りに出されるものを、全てテーブルへ出していただけますか?」
「はい」
俺はアイテムポーチから全ての素材を取り出し、テーブルへ置いて行く。
受付嬢さんの前で、アイテムポーチを使ってい良いか最初は悩んだけど、何も驚かずに対応してくれた。
おそらく、これも三日月が秘匿するよう手配してくれたのだろう。
同じ年だって言うのに、何から何まで凄い奴だ。
「査定が終わりました。クリスタルと素材を合わせ、合計で15万8000円となりますが宜しいですか?」
「えっ! 今日はクリスタル100個ぐらいだったから、素材で5万円にもなったんですか?」
「はい、オーク素材である皮と牙が、一番高値になっております。
オークのドロップ品では肉が一番高値なのですが、残念でしたね」
「あっ! 一応あるんですけど、これは自分で食べようかと思って、残してあるんです」
「そうでしたか。確かにオーク肉は美味しいですからね」
「食べれるか聞こうと思ってたんですけど、そんなに美味しいんですか?」
「はい、オーク肉は高級肉として有名ですから、1ブロックで3万円で買い取りしております。
もちろん、購入代金は、もっと高値になりますが、人気商品なので直ぐに売れてしまいます」
「さ、3万円ですか?」
「うふふ、お売りになりますか?」
「い、いえ、持って帰って家族で食べます」
「きっと、御家族様もお喜びになると思いますよ」
「あの、ちょっと、聞きたいんですけど?」
「はい」
「三日月って高ランクの冒険者なんですか?」
「申し訳御座いません。三日月様の事については、何もお答えできません」
「な、何もですか?」
「はい、もし少しでも私が三日月様の事を言えば、ギルドを首になり多額の賠償金を払う事になるでしょう」
「うはっ! す、すみませんでした」
「いえ、若宮様も三日月様の事は、お調べにならない方が宜しいかと思いますよ?」
「・・・分かりました」
・・・とりあえず、三日月が普通じゃないってのは分かったな。
全くよく分からん奴だが、素直に受付嬢さんの忠告を聞くことにしよう。
受付嬢さんにお礼を言い、今日はスーパーに寄ってから帰る事にする。
俺はパン粉と小麦粉、タマゴにトンカツソースを購入した。
そう、今日は、オーク肉の豚カツを作ろうと思う♪
三日月に貰った食材には劣るかもしれないけど、ウチにしちゃ御馳走だ。
鈴と亮の喜ぶ顔が目に浮かぶ。
急いで家に帰ると、既に2人共帰っていた。
「おかえり~ お兄ちゃん」
「お疲れ、兄ちゃん」
「おう、ただいま。最近帰ってくるの早いよな?」
「あはは、最近、晩飯が旨いからな」
「こら亮。何時も早く帰ってきて、お手伝いしなきゃ駄目でしょ?」
「良いって、鈴も遊びにいっても良いんだぞ?」
「私は良いよ。お兄ちゃんが買ってくれたスマホで、何時でも友達と連絡が出来るしさ」
「俺も友達に色々とゲーム教えて貰ってさ、すっげー面白いんだぜ」
「言っとくが、課金はするなよ?」
「分かってるって、兄ちゃん」
「ウチは貧乏だかんな~」
「そうハッキリ言わないの亮。お兄ちゃんも頑張ってるんだからね?」
「あはは、ごめんよ、兄ちゃん」
「いや、いいって。貧乏なのは本当だからな。
でもな、今日ダンジョンで初めて宝箱見つけたんだぞ?」
「「ええっ?」」
「凄いじゃない、お兄ちゃん」
「でっ! 何が入ってたんだよ、兄ちゃん?」
「聞いて驚け、これだ!」
俺は二人に、バトルスタッフを見せてやった。
「「うわ~」」
「カッケー、兄ちゃん」
「武器だよね? そんな大きいの使えるの?」
「ああ、ちょっと重たいけど。凄い威力なんだぞ?」
「今日は、兄ちゃんが倒して手に入れたオーク肉で、豚カツを作ってやるからな」
「うはー、今日は豚カツかよ、嬉しいな~」
「凄いね、お兄ちゃん。オークを倒したんだ?」
「ああ、今までは避けてた魔物なんだけどな、この武器のお陰で倒せるようになったんだ」
「あんまり、無理しちゃ駄目だよ、お兄ちゃん?」
「ああ、分かってる。危なくなったら直ぐに逃げるからな」
「兄ちゃん。早く作ろうぜ、俺も手伝うから」
「慌てるなって、直ぐに作ってやるよ」
二人にも手伝って貰い、オーク肉の豚カツを揚げていく。
貰ったキャベツが残っているので千切りにして添え、みそ汁を作ったら完成だ。
「言っとくが、マンモスの肉と比べるなよ?」
「分かってるって兄ちゃん。早く食おうぜ」
「すっごく、美味しそうだよ」
「そうだな、じゃ食うか」
「「「いただきます♪」」」
「「「ぱくっ! もぐもぐもぐ!」」」
「「「うっま♪」」」
「うっま、うっま、うっま!」
「ん~ 御飯が進む~」
「あはは、旨いな~ 頑張った甲斐があったよ」
たっぷり炊いた御飯も、全て無くなるぐらい最高に美味しかった。
今日は特に頑張って腹が減ってたから、余計に美味しく感じる。
やっぱり、ダンジョン産の食材はどれも旨い。
皆、満腹になり休憩しながらスマホを見ていると、ニュースでエスケープクリスタルの事を見かけた。
ボス戦なんてやらない俺には関係ないが、やはり冒険者にとっては大ニュースなのだろう。
これから、ボス戦の危険度も格段に下がり、繰り返し挑戦出来る事で討伐難度も下がっていくことが予想された。
つまり、これからは冒険者の数も増え、ダンジョンの需要も高まっていくとニュースが多く出ていた。
俺も仲間が居たらボス戦もやって、もっと稼げるとこに行けるんだけどな。
いや、無理か・・・貧乏人の俺にはSPオーブでステータス上げる事なんて出来ねえからな。
あんな高額なもん手に入れたら、問答無用で売るっちゅうの。
たった1つで、1500万円だもんな~
ステータス上げてる奴は、どんだけ金持ちなんだよって話だ。
まして、スキルオーブなんて夢のまた夢だよな。
そう考えたら三日月って凄い奴だよな、<虚空庫>スキル持ってるみたいだったし。
俺にアイテムポーチを貸してくれるぐらいだかんな。
綺麗な姉ちゃんを護衛にしてたし、元々金持ちなんだろな。
あ~ 羨ましがっても仕方ねえか、俺も今日ぐらい稼げたら月収、幾らぐらいになるんだ・・・
おお! 月収450万円じゃねえか!
メッチャ凄いんじゃねえか?
いや、何時も今日ぐらい稼げる訳ねえか・・・
でも、この一週間で700万ぐらい稼いだし、これからも今日ぐらい稼いだら弟妹達の学費も余裕だ。
その為にも絶対、怪我は出来ねえな。無理しなくてもコツコツ頑張ってたらいける。
だけど、初級ダンジョンに戻って、オークエリアに行ったらもっと稼げるかも?
だ~ 何考えてんだ! 今無理しないって決めたとこじゃねーか。
オーク2体になったら厳しいしな、まして逃げる手段がねえ。
やっぱ、確実に中級ダンジョンで頑張るのが一番か。ひょっとしたら、SPオーブや魔法スクロールがドロップするかもだしな。
魔法スクロールは、魔法を使う魔物しかドロップしないんだったっけ。
俺はまだ、魔法を使う魔物とは戦闘したことないから無理か。
危険度も跳ね上がるし、木の上に逃げても魔法撃たれたら終わりだもんな。
危ない危ない! やっぱ欲張るんじゃねえな。弟妹達の為にも地道に頑張ろう。
まずは、バトルスタッフを自在に使えるようになるまで鍛えよう。
うん、それが良いな。うし、明日も頑張るぞ。
俺はこれからの決意を決め、翌日、弟妹達を学校へ送り出し気合を入れてダンジョンへ向かった。
何時もの堺市西区中級ダンジョンへ着くと、やはり無色のクリスタルが1つも落ちてない。
仕方ねえかと思いつつ、魔物を探してはバトルスタッフで倒していく。
木の上にある宝箱も念入りに探していくが、見つからないな・・・そんなんに毎日見つかるもんじゃねえか。
それでもオークを倒せるようになったので、積極的に探しては倒していく。
何度か危ない場面もあったが走って逃げた。
オークは他の魔物と比べ知能が高いのか、木の上に逃げても中々諦めてくれない事が分かった。
なので、複数体のオークからは走って逃げる事にした。
幸いオークは鈍足なので、俺でも十分逃げる事が出来た。
オオカミ系の魔物は、足が速いので木の上に登ってやり過ごし順調に稼いでいく。
そんな毎日を送っていると、最近ジワジワと稼ぎも良くなってきた。
一番の原因は、バトルスタッフの扱いに慣れてきたことだろう。
重いバトルスタッフを毎日振り回しているので、筋力も付いてきたと思う。
そして、今日も魔物を狩り稼いでいると、久しぶりに三日月に出会った。
今日は綺麗な姉ちゃん達は居ないようだ。
「頑張ってますね~ 武蔵さん」
「ああ、お陰様で稼がせて貰ってるよ」
「金属バットは卒業ですか?」
「これもある意味、お前のお陰で手に入れた物だ」
「ってことは、ひょっとして宝箱から出た武器です?」
「まあ、そういうことだ」
「ラッキーでしたね、でもやっぱり鈍器使いの武蔵は健在なんですね♪」
「ほっとけよ」
「でも、それ中々良い武器ですよ?」
「重量軽減と不壊が付与されてますから」
「なにっ? そっか、それで俺でもこんな重たそうな武器が扱えたのか。教えてくれてありがとな。でも何で分かるんだよ?」
「それは秘密です」
「だろうな知ってた。じゃ約束通り、宝箱を見つけた場所言っとくわ」
「どもども」
俺は三日月に出来るだけ分かり易く、宝箱があった場所を説明した。
「なるほど、分かりました」
「ちっとは恩返しになったか?」
「はい、助かっちゃいますね」
「そか。そういやエスケープクリスタルの販売が始まってから、無色のクリスタルを捨てて行く奴がいなくなってな。あんまり数が集められなくて、ごめんな」
「いえいえ、作り方まで公表してないんですけど、エスケープクリスタルの素材だって分かったのかな~」
「そうじゃねーか? だって、形が同じだからよ」
「ですよね。まあ、もうすぐギルドでも1つ1000円で買い取る様になるんですけどね」
「だろうな。でもまあ、三日月のお陰で先行して稼がせて貰ったから、俺は満足だけどな。
そういやエスケープクリスタルって1つ5000円らしいけど、もっと高値で売れたんじゃね?」
「そこはまあ、出来るだけ多くの人に普及したかったので」
「お前って良い奴だよな?」
「そんなに褒められたら、またお得情報が言いたくなるじゃないですか?」
「あはは、三日月にはかなり世話になってるからな、もう十分だよ。
そろそろ、アイテムポーチも返そうか?」
「返しちゃって良いんですか? それメッチャ便利でしょ」
「ああ、便利過ぎて長く持ってたら返したくなりなりそうでよ?」
「あはは、やっぱり武蔵さん良いですね~ 死なせたくないな~」
「おい、物騒な事言うなよな? 俺は絶対死なねえよ」
「何故、絶対って言えるんです? 幾ら気を付けていても、魔物に奇襲される事もありますよ?
魔物に奇襲されても、無傷で倒せますか? それに、危ないのは魔物だけじゃないです。
残念ながら質の悪い冒険者も結構いたりしますし。
まして、このダンジョンは冒険者が少ないから、ソロの武蔵さんは襲いやすいでしょうね」
「・・・何が言いたいんだよ?」
「本当に絶対に死なないか、試させて下さい」
「お、おい、マジか?」




