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第270話 男気を見せられるとほっとけませんよね


 <若宮武蔵視点>


 ふぅ~ このアイテムポーチっての凄えな、一体どれほど入るんだよ?


 落ちてる無色のクリスタルもかなり集めたし、今日はそろそろ帰るか。


 彼奴等に飯作ってやんないとな。


 アイテムポーチだけは絶対に無くさないように、しっかりと手で押さえてダンジョンを出た。


 幸いアイテムポーチはベルトに通せる様になってるので、落としたりはしないと思うけどな。


 今日からこれだけは、抱いて寝ないといけないな。


 色々と食材も貰ったし、今日は食材の買い出しも良いだろう。


 久しぶりの肉だからな、彼奴等の喜ぶ顔が目に浮かぶな♪


 速足で家に帰ると、既に妹が学校から帰っていた。



「おかえり、お兄ちゃん」×スズ


「もう帰ってたのか鈴、今日は早かったな?」


「うん、お兄ちゃんが頑張って稼いでくれてるからね~ お手伝いぐらいしないとね」


「そんなの気にしなくて良いって、自由に遊びに行っても良いんだぞ?」


「うん、ありがとね、お兄ちゃん」


「亮は、まだ帰ってないのか?」


「ううん、友達と公園で遊んでるよ」


「そか、じゃ、晩飯作り始めるか」


「今日は、何を作ってくれるのかな~」


「今日はな、ダンジョン産の高級肉だ♪」


「ええっ! お兄ちゃん凄い! ダンジョン産のお肉って凄く高いんじゃないの?」


「あはは、驚いたか? 実は今日、味見のモニターとして頼まれたんだ。


だから、無料だぞ?」


「凄~い、お兄ちゃん! お肉なんて久しぶりだね?」


「ごめんな鈴。肉って買うと高くてな・・・」


「ううん、良いよ良いよ! あんまり食べれない方が、食べれる時嬉しいじゃない?」


「それも、そうだな」


「でも、お兄ちゃん。お肉なんて、どこにあるの? 冷蔵庫には無かったよ?」


「ああ、此処に入ってるんだ」


「えっ! そんなに小さい袋に? もう、お兄ちゃん本当に味見だけじゃない?」


「あはは、まあ見とけって」


「えっ! う、嘘?」



 俺はアイテムポーチから、マンモスの肉を取り出しテーブルへ置いた。


 テーブルが重さに耐えかねて、ギシギシと言っている。



「お、お兄ちゃん、なんで? おかしくない?」


「凄いだろ? これは本物のアイテムポーチだ!」


「ええーーー! あの漫画に出てくるアレ? 本当に存在したんだ?」


「ま、まさか、お兄ちゃん生活が苦しいからって?」


「こらこら、盗んだんじゃないぞ?」


「これは仕事の依頼を受けてな、そのために借りてるんだ」


「うわ~ 凄~い! 買ったら、高いんだろうね~」


「ああ、たぶん、目ん玉飛び出るぐらい高いと思う」


「よく、そんなの貸してくれたね?」


「これでも、真面目に働いてきたからな?」


「うふふ、良かったねお兄ちゃん」


「ああ、その依頼が凄く儲かりそうな仕事でな、お兄ちゃん頑張って稼いでくるからな」


「お兄ちゃんが騙されてないか心配だよ~」


「こらこら、お兄ちゃんを信じろって。大体、俺を騙しても得が無いだろ?」


「あっ! それもそうだね、お兄ちゃん」


「それで、納得されても困るんだが、まあ良いや。野菜とかフルーツもあるんだぞ?」


「わーい! 今日は御馳走だ♪」



 鈴と2人で晩飯の用意をしていると、弟の亮が帰ってきた。



「ただいま~ うおっ! メッチャ良い匂いしてるんだけど?」


「おかえり亮。今日はステーキだよー♪」


「えええええええええええええええええええええええっ?」


「そんなに、驚くことないだろ?」


「だ、だって兄ちゃん。肉なんて、どんだけ久しぶりなんだよ? 俺もう、肉の味なんて忘れちゃったよ?」


「あ~ それは、悪いとしか言えないな・・・」


「あっ! 良いって! 落ち込むなよ兄ちゃん。生活が苦しいのは俺も分かってるからさ。それにしてもデッケー、なにこれ? 本当に肉なのか?」


「お兄ちゃんに感謝しなさい。これはダンジョン産の高級肉なんだよ?」


「うっはーーー! マジで? すげーじゃん?」


「あいにく、ステーキソースなんて上等な物はねーけどな」


「そんなの塩だけで良いって、肉だぞ肉♪」


「もう、はしたないわよ亮?」


「さっ! もう焼けたかな~ ん~ もう良いみたい、食べましょ」


「うはー! すげーーー! デッケーーー! 肉だけで腹一杯になりそー」


「「「頂きます♪」」」


「ナイフとフォークなんて、家にあったんだな?」


「悲しい事、言わないでよ?」


「あはは、さあ食え食え♪」


「かぷっ! ウ、ウメェ~~~~~~~~♪」


「お、美味しい~~~♪」


「かはっ! 本当に旨いな、これ?」


「なんやこれ、なんやこれ! 凄え弾力があってウメエ!」


「そういや、マンガ肉って言ってたな」


「あはは、マンガ肉って、マンモスみたいじゃん♪」


「ああ、マンモスの肉らしいぞ?」


「マジで?」


「マジだ!」


「うはー、本当にあんのかよ、凄すぎるだろ?」



 俺達は無我夢中で食べ進め、あっという間に平らげてしまった。



「旨かったー♪ 野菜もスゲー旨かった!」


「旨かったな~ 何時も食ってる野菜と全然違うんだな~」


「うふふ、じゃじゃ~ん、まだフルーツがあるんだよー」


「うっはー、伝説のメロンじゃん?」


「ブッ!? 伝説って程じゃないだろーが?」


「ウチじゃあ伝説だよね~」


「全く、食え食え♪」


「「頂きまーす♪」」


「ウ、ウメエ~~~~~ メロンってこんなに旨かったっけ?」


「えっ? お、美味しい~」


「そういや、これもダンジョン産って言ってたな」


「それ、絶対高い奴だよー、お兄ちゃん?」


「俺に言っても分かんねえって、それよりモニター頼まれてんだから、味の感想教えてくれよ?」


「こんなの、ウメエとしか言えねえよ?」


「私もこんな美味しいメロン、食べたの初めてだもの?」


「ほら、食レポで良く言ってるやつがあるだろ?」


「そんなの、ウチには無縁じゃない?」


「・・・・・」


「ご、ごめんって、お兄ちゃん。そんなつもりで言ったんじゃないんだから、落ち込まないでよー」


「分かってるよ。でも、これから頑張って稼いで、旨いもん食わせてやるからな」


「いつもありがとね、お兄ちゃん」


「いつも感謝してるんだぜ、兄ちゃん」


「そだ、デザートにケーキもあるぞ?」


「嘘だろ?」


「お、お兄ちゃん。これが最後の晩餐じゃないよね?」


「縁起でもないこと言うなって、ほら旨そうだろ?」


「「うはーーー♪」」



 もう、お腹一杯の筈なのに2人共、パクパクとケーキを平らげ、床に引っ繰り返ってしまった。



「もう動けねえ~」


「お腹一杯だよー」


「あはは、肉も野菜も、まだまだあるからな?」


「マジか? これから晩飯が楽しみだな~」


「駄目よ? 次いつ食べれるか分かんないんだから、少しずつだかんね?」


「そりゃねーよー、姉ちゃん」


「そう膨れるなって、今度は焼き肉のタレ買ってきてやるからな?」


「うはー、最高じゃん?」


「うふふ、楽しみにしとこうね」


「さっ、俺は忘れないうちに、モニターレポート書かなきゃな」


「つっても、言葉が思いつかねえ・・・そうだ、ネットで調べるか」


「えっ! お兄ちゃんスマホなんて、どうしたの?」


「ああ、これも仕事用で借りてんだ」


「え~~ 良いな~ お兄ちゃんだけ」


「あ~ 俺もスマホ欲しいんだけど?」


「俺の稼ぎでスマホなんて買える訳ないだろ?」


「えっと、これどうやんだ?」


「私分かるよー、貸してお兄ちゃん」


「おお」


「えっと、ダンジョン産のマンモス肉なんて、どこにも載ってないね」


「あっ! プラチナマスクメロンはあった」


「えっ? お、お兄ちゃん?」


「なんだよ、どした?」


「さ、さっきのメロン、300万円だって?」


「「はああ?」」


「嘘だよな?」


「だ、だって、ここに書いてあるもの」


「・・・マジだ、兄ちゃん?」


「あ、彼奴等、なんてものくれやがんだよ?」


「ひょっとして、マンモス肉って、もっと高えんじゃね?」


「だ、大丈夫だ! モニターで貰ったからな? ちくしょー、本気のモニターじゃねえか、俺みたいな貧乏人に頼む事じゃねえだろ?」


「おい2人共。真剣に書かないとだぞ? 感想を教えてくれ」


「「ええーーー!」」



 俺は何とか食材のレポートを書き上げ、ちゃんと清書までして渡せるようにした。


 ふぅ~ 疲れた。どおりでスマホまで用意してくれるわけだ。


 しかし、2人共喜んでスマホ触ってるな・・・こりゃ頑張ってスマホも買うか。


 無色のクリスタルを本当に1つ1000円で買ってくれるなら、100個以上集めたから10万にはなるはずだ。


 明日から、もっと本気で集めないとな、よーし頑張るぞ。


 翌日、朝飯の段取りは妹の鈴が食パンを焼いてくれた、本当に出来た妹だ。


 食パンとインスタントコーヒーだけの質素な朝飯だが、文句も言わずに食べ2人を学校へ送り出した。


 さあ、今日は気合を入れて頑張るぞ!


 俺は何時もの中級ダンジョンへ行くと、信じられないぐらいの無色のクリスタルが無数に落ちていた。


 うはー、一体どんな強者が来てたんだよ。


 全滅するぐらいの勢いで、魔物を狩ったのに違いない。


 だが、俺にとっては好都合だ。


 たまに見かける他の冒険者に変な目で見られたが、俺は恥も外聞もかなぐり捨て、必死になってクリスタルを拾い集めた。


 昼飯も食べずに最低限の魔物だけ倒し拾い集めた結果、昨日のクリスタルと合わせると、1000個近く集めることが出来た。


 よし、これを換金出来たら100万円が手に入るはずだ!


 これだけ稼げたら、2人に安いスマホなら買ってやれるかもしれない。


 詳しい値段何て知らないから、聞いてみないと分からないが、買えないって事はないだろう。


 しかし、毎月の使用料を考えると、マダマダ稼がないといけない。


 その前に本当に買い取ってくれるのか不安になってきたので、少し早いけどダンジョンを出てから、三日月に電話してみることにした。



 プルルル~ 「はい!」


「あっ! 俺、武蔵なんだけど?」


「あ~ 若宮武蔵君! クリスタルは集まりましたか?」


「ああ、1000個程集めたんだけど、何時引き渡したら良いか聞きたくて」


「お~ 頑張りましたね。今何処に居るんですか?」


「昨日会った、中級ダンジョンがあるギルドなんだけど?」


「分かりました。今から取りに行きますねー」


「お、おい、切っちまいやがった・・・」


「まあ良いか。とりあえず換金して貰えそうだしな」



 しばらく待たされるだろうと、ギルドにある武器販売店で時間を潰していると、5分も経たないうちに来てくれたようだ。


 三日月は受付嬢さんと話しをすると、受付嬢さんが個室へ案内してくれた。


 それにしても受付嬢さんが、やけに恐縮しながら三日月と喋っている。


 やはり、どこかの金持ちのボンボンなのだろう。


 まあ、俺にとっちゃ、どうでも良い話しだな。



「まだ1日しか経ってないのに、集めるのメチャクチャ早いですね?」


「俺は生活が掛かってるからな、頑張って集めたんだ」


「今、全部引き取ってくれるのか?」


「はい、テーブルの上に出して貰って良いですか?」


「ああ」



 俺はテーブルの上に集めたクリスタルを全部乗せていく、1000個以上あるのでテーブルが一杯になってしまった。



「これで、全部ですか?」


「ああ」


「どもども」



 三日月がテーブルに目をやると、山の様に積んだクリスタルが一瞬で消え失せた。



「えっ? ま、まさか<虚空庫>か?」


「よく知ってますね~」


「当たり前の様に、凄いスキル持ってんだな?」


「僕も頑張って冒険者やってますから?」


「ええっと、1052個ですね。ギルドカードを貸して貰えますか?」


「ああ」



 三日月は俺のギルドカードに代金として、105万2000円を振り込んでくれた。


 今までならキャッシュコーナーに行かないと分からなかった残高も、スマホで見れるらしく教えて貰った。



「おお~ ありがとな」


「いえいえ、こちらこそ」


「それと、これ頼まれてた食材のレポートだ! メチャクチャ旨かった。妹や弟も喜んでたよ、ありがとな」


「うわ~ 丁寧に書いてくれたんですね。ありがとうございます」


「武蔵君に頼んで正解だったな~ 良かったら、またモニターしてくれますか?」


「こんなレポートで良かったら、何時でもやるって。だけど、あんな高いもん俺みたいな貧乏人にモニター頼んで良いのかよ?」


「僕は食材は売らないんで値段は知らないんですよ、高く売れるのあったんですか?」


「いや、問題無いなら良いんだ」


「それと、スマホもありがとな、妹や弟が喜んで使ってた」


「いえいえ、僕も連絡手段は欲しいですから」


「それよりも、スマホが欲しいなら、段取りしましょうか?」


「いや良いよ。お蔭さんで稼がせて貰ったからな、安いスマホ探そうと思ってんだ」


「優しい、お兄ちゃんですね~」


「こんなの普通だろ・・・」


「それなら、格安でスマホが買えるとこ紹介しましょうか? 流石にダンジョン用のスマホって訳にはいきませんけど」


「全く問題ねえ。そんなとこあるのか?」


「ちょっと、待ってくださいね」



 三日月はどこかへ電話すると、直ぐに携帯ショップの場所を教えてくれた。



「何か訳アリ商品みたいだけど、安く買えるらしいですよ?」


「ありがてえ。俺こんなの全然知らなくてよ助かった」


「これぐらいなら、お安い御用ですよ。そう言えば、お得情報があるんですけど聞きたいですか?」


「またかよ? 教えて下さいお願いします! これで良いか?」


「あはは、確か木登りが得意でしたよね?」


「ああ、速く登れなきゃ、魔物から逃げらんねえからな」


「実は木の上に宝箱がある情報を掴んだんですけど、探してみませんか?」


「ホントかよ? でも、本当に見つけた時は、どうすんだよ?」


「そのまま貰ってくれて良いですよ? でも、見つけた場所を教えてくれたら嬉しいです」


「それだけで良いのか?」


「商談成立ですね?」


「分かったよ。でも、あんまり期待すんなよ?」


「見つかったらテンション上がるっしょ?」


「まあな♪」


「じゃ、俺は早速教えて貰った携帯ショップに行ってくる」


「あっ! ギルドの受付嬢に言ってくれたら、クリスタル買い取ってくれるように言っときましたから、次からそうして下さいね」


「そりゃ助かる。ありがとな」



 俺は三日月に礼を言い、携帯ショップへ向かった。


 携帯ショップへ着き店員に話を聞くと、新品だけど少し傷があるスマホを、格安で売ってくれるらしい。


 傷があってもカバーをすると見えなくなるので、俺は喜んで買う事にした。


 使用料金もモバイル系の安いところにし、家にホームルーターを付けてWi-Fiも繋がるようにした。


 もちろん、月額は掛かるが家で満足に使おうとしたら、こっちの方が安いようだ。


 家以外ではあまり使わないだろうし、これで良いだろう。


 俺は2人が喜ぶ顔を思い浮かべながら、走って家に帰った。



「おかえり~ お兄ちゃん」


「おかえり、兄ちゃん」


「おっ! 今日は2人共帰ってたか」


「今日は、肉野菜炒めで良いかな?」


「ああ、昨日の残りで作ってくれたのか、ありがとな鈴」


「これぐらい良いよー」


「俺も手伝ったんだぜ、兄ちゃん?」


「そか、亮もありがとな。


そんな2人に、今日はプレゼントがあるんだ」


「「えっ?」」


「ほらっ! 欲しがってただろ?」


「「うわ~♪」」


「これスマホじゃん、盗んで来たのか兄ちゃん?」


「ブッ!? 馬鹿野郎! 格安のスマホがあってな、買ってきたんだ。


少しばかり傷はあるが、最新機種なんだぞ?」


「スマホって肉より高いんだろ?」


「肉を基準にするなよ?」


「嬉しいお兄ちゃん。言えなかったけど、私もスマホ欲しかったんだ」


「鈴は高校1年だもんな、そりゃ欲しかっただろ? ごめんな」


「ううん、ありがとう。お兄ちゃん」


「でも、お金大丈夫なの?」


「ああ、昨日言ってた仕事の依頼で稼げてな、金の心配なんてしなくて良いぞ。


兄ちゃん、ガンガン稼いでくるからな」


「兄ちゃん、あんまり無理するなよな?」


「生意気言うんじゃねえって」


「冒険者は危険な仕事だから、危なくなったら逃げてね?」


「ああ、分かってる。自慢じゃないが、俺は強くないからな?」


「あはは、兄ちゃん恰好悪り~」


「うるせえ! 強く無くたって、頑張って稼いでるんだぞ?」


「それにな、自分の事が強いって思ってる奴ほど、早死にするんだ」


「冗談だよ兄ちゃん。兄ちゃんは、日本一カッコイイぜ?」


「スマホ買って貰ったからでしょ? 調子良いんだから亮は」


「あはは、バレたか」


「こいつめ~」


「あはは♪」



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